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援軍要請
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一週間がたった。
ユーリが、ラーナの屋敷にやってきた。
そして、二人でティータイムをとった。
「あれからスライムはもういないの?」
「うん」
「よかったわね。でも蜃気楼箱で重力レベル下げて遊ぶのは程ほどにしなさいよ」
「う、うん」
「ラーナ、どうしたの?」
「いやなんでもないよ。それよりも最近どんな依頼があったの?」
「こないだなんてとても大変だったの、実はね……」
と、二人で談笑している間に
ジイがおつかいから帰ってきた。
「ユーリ様、ちょうど良かったです。」
ジイがテーブルの椅子に座るユーリのもとに駆け寄った。
「どうしたの」
「たった今、王様の使いが来まして、」
「王様からの使い?」
「使いの方がユーリ様が不在だったので、ラーナ様のお屋敷にいるのではと思ったそうで私に言づてを渡しまして」
「不在なら、クロに預けてって王様にはお伝えしてるはずなのに」
「ええ、ですが、使いによると、急ぎの用だそうです。」
「急ぎの用?」
「だそうです。」
ユーリは手紙をジイから受け取り、中身を見た。
「ラーナ、ごめんでかけるわ」
読み終えたユーリは急いで椅子から立ち上がった。
「どうしたのユーリ? 手紙にはなんてかいてあったの?」
「援軍要請よ」
「援軍要請?」
「大量の魔物が町の城壁を突破しようとしてるそうよ。だから助けて欲しいって書いてある」
「え? 魔物が?」
「なんと魔物がですか」
「どうして? 魔王がいなくなってからこんなこと一度もなかったわよ」
「ラーナ、私だって分からないわよ。でも、とにかく行くわ。 ラーナ、部屋、ちょっと借りるわね」
ユーリはそう言い残し、戦いの準備をしにラーナの部屋に入った。いつ何時依頼が来るのか分からないため、ユーリは剣や弓矢、鎧を常時携帯していた。
ラーナはジイのほうを見た。
「ジイ、私には…………」
私には来てないの、そう言おうとしたラーナだったが、口を止めた。そう聞くこと自体、惨めに思えた。
「お嬢様?」
「いえ、なんでもないわ」
そらそうよね。いくら王様が私に期待してるって言ったって今の私には実力はないことを知っていらっしゃるんだわ
ラーナは、王様からユーリへの手紙を見てそう思った。
しばらくたち、ユーリが鎧を着た状態で部屋から出てきた。
「よし、準備できたわ。じゃあ行ってくるわ。ラーナ、ティータイムの続きはまた今度ね」
「…………う、うん」
ラーナは首をコクンと頷いた。
ユーリもまたそれに対し、コクンとうなずき、そしてラーナから背を向け、玄関に向かって足早に歩きはじめた。
ユーリの背中がだんだんと遠ざかっていく。
なのに私は
ここにいていいの?
「待ってユーリ!」
ラーナは椅子から勢いよく立ち上がった。だから危うく椅子が倒れそうだった。
「えっ、どうしたの?」
ユーリはこちらを振り向いた。
「私も!」
ラーナは手にしてた紅茶のカップをテーブルに置く。
「私も行くよ、ユーリ」
「だめ」
「え?」
ラーナから見て廊下を挟んで数メートル先にいるユーリだがその顔が険しいということはラーナには分かった。
「あなたには、無理よ。今のあなたじゃ無理。今から行くところはスライム倒しと訳が違うのよ。」
「それぐらい分かってるよ。だけどユーリ、あれからも私、特訓したの。」
「あれからって、まさか」
「ええ、スライムがいなくなった後も、ずっと特訓してたの。今レベル4で中盤のダンジョンボスと戦ってるわ」
「えっどうして……」
「どうしてなのか、私にも分からない。何のためにこんな苦しい特訓をしてるのかは分からない。でもきっと、このためだったんだと思う。」
「ラーナ…………あなた、変わったわね。だけどまだ」
「そう、まだまだだと思う。けれどそれでも皆を、皆を私は守りたい。あの頃と同じように」
「あの頃と同じように……」
「お願い、ユーリ、私も行かせて」
ラーナはユーリの目を見た。ユーリもその視線をさけることなく、見返した。
「分かった、ラーナ。だけど無茶は絶対にだめよ」
「ありがとう! ユーリ」
ラーナも戦う準備をした。
ラーナとユーリは一緒にふもとの町に向かった。
町にくると、ユーリは近くにいた一人の軍服姿の男に声をかけた。
「司令官、王からの援軍要請で来ました。」
「これはユーリ様、とラーナ様ですか? 王様からはユーリ様だけがくると聞いていたのですが」
「その……私も参戦しても良いですか?」
「もちろんです。英雄のあなたの参戦を断る司令官がどこにいるのですか」
司令官は笑顔を浮かべた。
「英雄」その言葉に反応してラーナは少しうつむいた。
あーこの人、私が今どんな状況なのか知らないんだ。よかった……。
ラーナは少し、ほっとした。がすぐに
いや、私の騒動のことをこの町で知らない人はいないはず。きっと気をつかってくれたんだ。
と思い直し、ある種、罪悪感を覚えた。
っと突然、
「ラーナ、何ぼーとしてるの。行くわよ」
ラーナはユーリに肩をたたかれた。
「あ、うん。あれ、司令官は?」
目の前にはさっきの司令官がいない。
「何言ってるの。さっき行ってしまわれたわよ」
「で、私達はどこに行ったら良いの?」
そうラーナが聞くと、また突然隣にいたユーリに両肩をつかまれ向かい合わせになった。
「それも、司令官が言ってた。ねぇラーナしっかりして、ここからは戦場よ。蜃気楼箱とは違うの、一発でもやられたらそこで終わりなの」
こうラーナに注意をする時のユーリの目はいつも厳しい。だけど今の目はよりいっそう険しいものであった。
「うん、分かった。そうだよね、ここは現実の世界」
それから、ラーナはユーリから司令官が話していたことを聞いた。
現在、魔物は正門と裏門の二手に分かれて攻めてきており、正門のほうにたくさん集結しているという。正門のほうが町に近いから、こちらが本軍だろうと司令官は考えているらしい。実際に部下からの報告によると裏門を攻める軍のほうが弱い魔物が多いそうだ。
「じゃラーナあなたは裏門よ」
「え?」
「ここは、私は譲れない。ラーナあなたは裏門にいってちょうだい。」
「…………分かったわ」
ラーナは裏門に通じる道を歩いた。
裏門につくと隊長らしき人をみかけ声をかけた。
「ってあなたは!」
「これはラーナ様」
「まさかあなたは隊長だったのですか」
「そうです私は裏門を守る守備隊長のローレンスです。……えっと私のことを知っておられたんですか」
「こないだ、子供のけがの手当されてましたよね」
「あっはい。息子がスライムに襲われてしまいまして」
「すみませんでした!」
ラーナは深々と頭を下げた。
「いえいえ、大丈夫ですよ。まさかあのスライムが人を襲うなんてびっくりですよね」
「あのスライムご存じだったのですか」
「こう見えて私も昔は冒険者だったのでいくらか魔物の知識がありまして。」
「そうでしたか……お子さんはもう大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。すっかり元気になりました」
「そうですか……」
「それよりも早く魔物を退散させましょう。こちらは少ないですが、油断は禁物です。すみません上から目線で」
「いいえ、そんなことないです。それよりどうして今更モンスターが攻めてきたのでしょうか?。魔王は倒したのに」
「分かりません。でもとにかく今は。」
「そうですね」
「ラーナ様、これ、弓です。」
「あっありがとうございます」
ラーナは兵とともに、城門の外にいる魔物を弓で射った。
正門よりは少ないとはいえ敵が多いことにかわりない、
(けどこの城門のおかげでなんとか食い止められそうね。)
ラ-ナの見た感じでは下級魔物ばかりだった。司令官の言うとおり、こちらは陽動部隊、正規軍は向こうであることは間違いなさそうだった。
だからこそ正門のほうで戦いたかった、と思ったラーナであったが、今はそんなこと思っている場合じゃないと思い直し、目の前の敵を倒していく。
ただ戦いながらラーナは不思議に思った。
種族が全然違うのに、こんな規律が整っているなんて…………
通常、魔物の種族の間にはいざこざがある。
魔王が居た頃は、魔王が統率することがきたが、今はもういない。
(じゃあいったいだれが統率してるの?)
そんな疑問を感じながらもラーナは魔物を倒していく。
少し時間がたつと、数が減っていることが目に見えて分かるようになった。
どうやらなんとか食い止められそうね。
ラーナはすこしほっとした。
だがほっとつくのもつかの間
「西方、東方から大量の魔物軍が迫ってきます!」
見張り台の兵が叫んだ。
「何?!数は」ローレンスは聞いた。
「今攻めてきている魔物数と変わらないぐらいです。」
「倍増えるというのか」
「おそらく、しかも」
「しかも?」
「中級以上の魔物ばかりです」
「これは……持ちこたえられないぞ、時間稼ぎと、正門の軍から応援を呼べ!」
ローレンスは近くにいた兵卒に命令した。
「よーし! なんとか食い止めるぞ!」
魔物の数は増えいよいよ塀の上付近まで来た。
そこでラーナは弓を手放し剣を鞘から抜いた。
遅いかかる魔物を次々とラーナは倒していく。
しかし塀を登り切った魔物の攻撃が背後から……
だがそれを魔法で防いだのは
ユーリだった。
「ユーリ!大丈夫?」
「大丈夫よ」
「正門はいいの……?」
「正門はもう大丈夫よ」
「すごいわ、ユーリ。もう撃退したんだ。」
「というより、」
「え?」
「そっちの門、さっきより敵の数増えてない?しかも中級クラス以上の魔物が」
「ええ、そうよ。どうして知ってるの? 援軍要請で行った兵はまだ正門には着いてないはずよ」
「実は私が戦いに参加してから、しばらくしたら敵が逃げ出したのよ。逃げていく方角的にもしかしてと思って、あっ」
ユーリはふらっとした。慌ててラーナはユーリの体をうけとめた。
「ユーリ!」
「完全には魔物の攻撃を防ぎ切れなかったみたい。私も衰えてしまったようね」
「そんな、ユーリ……」
「ラーナ、あなたなら大丈夫……それと、これ」
「えっ」
ユーリは服の内ポケットから何かを取り出した。
「戦ってる最中に来たの。師匠からの手紙」
「手紙?」
「今さっき私のところにきたの。突然あなたの屋敷に現れたスライム、今起きている大量の魔物軍の襲来。偶然とは思えない。何か手紙にヒントがあるかもしれない」
「手紙にヒントが……」
「ラーナ、お願いこの町を守ってね」
「……うん」
ラーナがうなづくと、ユーリはおだやかな表情を浮かべ、そして目を閉じた。
「ユーリ!!!」
「大丈夫、まだ息はある。」
いつのまにかローレンスさんが横にいた。
「救護兵が来ました!」
ユーリは救護兵に運ばれていった。
「ラーナ様、大丈夫ですか。」
「はい、ローレンスさん、大丈夫です。」
ラーナは再び持ち場に戻った。
戦っている最中、兵士通しの会話が耳に入った。
「いったいどういうことなんだよ?こちらのほうが仮に突破されても、まだ、町まで遠いし、兵数も正門と変わらないのに」
「分からねぇよ! ただ相手はしょせん魔物だ。人間のような高い知能は持ってないんだろうから正門が無理だったから単にこっちに来ただけだろ?」
魔物が高い知能を持ってない。これは正確には間違えている。
上級魔物にもなれば、人間の知能と同程度、中にはそれより高い魔物がいる。
それに最初は二手に分かれて攻めていた。ちゃんと意図のある行動だった。
だから裏門だけに集中するのにも何か理由があるはず。
「そうだ、手紙を読もう」
ラーナはポケットからいそいで手紙を取り出した。
手紙の内容を読んでいると思わず「え?」と声をもらした。
その手紙にはスライムが夜泣く原因について書かれていた。
ラーナは、睡眠の邪魔をするために魔王がスライムに与えた能力だと思っていたが。
そんな生半可な能力ではなかった。
鳴き声がラーナの睡眠を邪魔をすることはあくまでも副次的なものであった、この鳴き声の真の狙いは
魔物を呼ぶことであった。
夜の力を使い、スライムは鳴き声を出して、ラーナを倒すよう魔物達に呼びかけていたと手紙に書かれていた。
これまで魔物達は魔王を倒したラーナに怖がり、そのスライムの鳴き声に応じてはいなかったが、いつそれに応えるか分からない。そう手紙にかかれているが今こんな状態になっているということはその声に応えたということなのだろう。
(私が弱くなったことを魔物達は知って、応えたんだきっと……あれ?もしかして)
ラーナははっと気づいた。
スライムが子供達を襲われたとき、研究者はスライムが興奮状態となっていたといってたけど、それはスライムの呼びかけに魔物達が応じてくれ喜んでいたということなのか?
だからその日の前の夜、スライムの合唱中にいきなり、光ったのもそういうことなのか
だとしたら私がもっと早くに駆除しておけば……
「つまり私のせいでこの町が……」
門の上から矢を放つ兵士と門の前に集結してまるで人海戦術で登ってくる魔物達をラーナは見た。
今のように自分の身ですら守れない。
だけど、そんなこと今考えても仕方がない
ノーストレスライフ
いいえ
ノーストレス・ノーライフ
冒険が終わってからずっと私は楽して生きようって決めていた。
だけど私は今ここで頑張らないといけない。
絶対に、ここは逃げない
ラーナは見張り台を見上げた。
そして、そこにめがけて大きくジャンプした。
「魔物ども!」
ラーナは見張り台の屋根の上に飛び乗った。
「あっラーナ様!」
司令官ローレンスが叫んだ。
すると兵士も、魔物も屋根の上にラーナがいることに気づいたようで、視線をラーナに向けた。
ラーナはそこで目を閉じ、息をフッと吐いた。
今から私がやろうとすることはとてつもなく怖いこと。本当に怖い。
でも…………私は、逃げない。
ラーナはゆっくりと目をあけた。
「ターゲットは私なんだろ!?」
そう叫んだラーナはそこからまた大きくジャンプして城外へと飛び降りた。
そのジャンプは弧を描くかのように、城壁の前に群がる魔物の集団を飛び越え、
魔物軍の背後に着地した。
魔物達はいっせいにラーナのほうを振り返る。
「さぁこっちだ。」
ラーナは城門から離れるように走り出した。
そしてしばらくしてから後ろを見た。
大量の魔物がラーナを追ってきていた。
(よし! これで良いのよ。これで町を守れる!)
ラーナはまた前を向き、一段階ギアをあげ走り続けた。
ユーリが、ラーナの屋敷にやってきた。
そして、二人でティータイムをとった。
「あれからスライムはもういないの?」
「うん」
「よかったわね。でも蜃気楼箱で重力レベル下げて遊ぶのは程ほどにしなさいよ」
「う、うん」
「ラーナ、どうしたの?」
「いやなんでもないよ。それよりも最近どんな依頼があったの?」
「こないだなんてとても大変だったの、実はね……」
と、二人で談笑している間に
ジイがおつかいから帰ってきた。
「ユーリ様、ちょうど良かったです。」
ジイがテーブルの椅子に座るユーリのもとに駆け寄った。
「どうしたの」
「たった今、王様の使いが来まして、」
「王様からの使い?」
「使いの方がユーリ様が不在だったので、ラーナ様のお屋敷にいるのではと思ったそうで私に言づてを渡しまして」
「不在なら、クロに預けてって王様にはお伝えしてるはずなのに」
「ええ、ですが、使いによると、急ぎの用だそうです。」
「急ぎの用?」
「だそうです。」
ユーリは手紙をジイから受け取り、中身を見た。
「ラーナ、ごめんでかけるわ」
読み終えたユーリは急いで椅子から立ち上がった。
「どうしたのユーリ? 手紙にはなんてかいてあったの?」
「援軍要請よ」
「援軍要請?」
「大量の魔物が町の城壁を突破しようとしてるそうよ。だから助けて欲しいって書いてある」
「え? 魔物が?」
「なんと魔物がですか」
「どうして? 魔王がいなくなってからこんなこと一度もなかったわよ」
「ラーナ、私だって分からないわよ。でも、とにかく行くわ。 ラーナ、部屋、ちょっと借りるわね」
ユーリはそう言い残し、戦いの準備をしにラーナの部屋に入った。いつ何時依頼が来るのか分からないため、ユーリは剣や弓矢、鎧を常時携帯していた。
ラーナはジイのほうを見た。
「ジイ、私には…………」
私には来てないの、そう言おうとしたラーナだったが、口を止めた。そう聞くこと自体、惨めに思えた。
「お嬢様?」
「いえ、なんでもないわ」
そらそうよね。いくら王様が私に期待してるって言ったって今の私には実力はないことを知っていらっしゃるんだわ
ラーナは、王様からユーリへの手紙を見てそう思った。
しばらくたち、ユーリが鎧を着た状態で部屋から出てきた。
「よし、準備できたわ。じゃあ行ってくるわ。ラーナ、ティータイムの続きはまた今度ね」
「…………う、うん」
ラーナは首をコクンと頷いた。
ユーリもまたそれに対し、コクンとうなずき、そしてラーナから背を向け、玄関に向かって足早に歩きはじめた。
ユーリの背中がだんだんと遠ざかっていく。
なのに私は
ここにいていいの?
「待ってユーリ!」
ラーナは椅子から勢いよく立ち上がった。だから危うく椅子が倒れそうだった。
「えっ、どうしたの?」
ユーリはこちらを振り向いた。
「私も!」
ラーナは手にしてた紅茶のカップをテーブルに置く。
「私も行くよ、ユーリ」
「だめ」
「え?」
ラーナから見て廊下を挟んで数メートル先にいるユーリだがその顔が険しいということはラーナには分かった。
「あなたには、無理よ。今のあなたじゃ無理。今から行くところはスライム倒しと訳が違うのよ。」
「それぐらい分かってるよ。だけどユーリ、あれからも私、特訓したの。」
「あれからって、まさか」
「ええ、スライムがいなくなった後も、ずっと特訓してたの。今レベル4で中盤のダンジョンボスと戦ってるわ」
「えっどうして……」
「どうしてなのか、私にも分からない。何のためにこんな苦しい特訓をしてるのかは分からない。でもきっと、このためだったんだと思う。」
「ラーナ…………あなた、変わったわね。だけどまだ」
「そう、まだまだだと思う。けれどそれでも皆を、皆を私は守りたい。あの頃と同じように」
「あの頃と同じように……」
「お願い、ユーリ、私も行かせて」
ラーナはユーリの目を見た。ユーリもその視線をさけることなく、見返した。
「分かった、ラーナ。だけど無茶は絶対にだめよ」
「ありがとう! ユーリ」
ラーナも戦う準備をした。
ラーナとユーリは一緒にふもとの町に向かった。
町にくると、ユーリは近くにいた一人の軍服姿の男に声をかけた。
「司令官、王からの援軍要請で来ました。」
「これはユーリ様、とラーナ様ですか? 王様からはユーリ様だけがくると聞いていたのですが」
「その……私も参戦しても良いですか?」
「もちろんです。英雄のあなたの参戦を断る司令官がどこにいるのですか」
司令官は笑顔を浮かべた。
「英雄」その言葉に反応してラーナは少しうつむいた。
あーこの人、私が今どんな状況なのか知らないんだ。よかった……。
ラーナは少し、ほっとした。がすぐに
いや、私の騒動のことをこの町で知らない人はいないはず。きっと気をつかってくれたんだ。
と思い直し、ある種、罪悪感を覚えた。
っと突然、
「ラーナ、何ぼーとしてるの。行くわよ」
ラーナはユーリに肩をたたかれた。
「あ、うん。あれ、司令官は?」
目の前にはさっきの司令官がいない。
「何言ってるの。さっき行ってしまわれたわよ」
「で、私達はどこに行ったら良いの?」
そうラーナが聞くと、また突然隣にいたユーリに両肩をつかまれ向かい合わせになった。
「それも、司令官が言ってた。ねぇラーナしっかりして、ここからは戦場よ。蜃気楼箱とは違うの、一発でもやられたらそこで終わりなの」
こうラーナに注意をする時のユーリの目はいつも厳しい。だけど今の目はよりいっそう険しいものであった。
「うん、分かった。そうだよね、ここは現実の世界」
それから、ラーナはユーリから司令官が話していたことを聞いた。
現在、魔物は正門と裏門の二手に分かれて攻めてきており、正門のほうにたくさん集結しているという。正門のほうが町に近いから、こちらが本軍だろうと司令官は考えているらしい。実際に部下からの報告によると裏門を攻める軍のほうが弱い魔物が多いそうだ。
「じゃラーナあなたは裏門よ」
「え?」
「ここは、私は譲れない。ラーナあなたは裏門にいってちょうだい。」
「…………分かったわ」
ラーナは裏門に通じる道を歩いた。
裏門につくと隊長らしき人をみかけ声をかけた。
「ってあなたは!」
「これはラーナ様」
「まさかあなたは隊長だったのですか」
「そうです私は裏門を守る守備隊長のローレンスです。……えっと私のことを知っておられたんですか」
「こないだ、子供のけがの手当されてましたよね」
「あっはい。息子がスライムに襲われてしまいまして」
「すみませんでした!」
ラーナは深々と頭を下げた。
「いえいえ、大丈夫ですよ。まさかあのスライムが人を襲うなんてびっくりですよね」
「あのスライムご存じだったのですか」
「こう見えて私も昔は冒険者だったのでいくらか魔物の知識がありまして。」
「そうでしたか……お子さんはもう大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。すっかり元気になりました」
「そうですか……」
「それよりも早く魔物を退散させましょう。こちらは少ないですが、油断は禁物です。すみません上から目線で」
「いいえ、そんなことないです。それよりどうして今更モンスターが攻めてきたのでしょうか?。魔王は倒したのに」
「分かりません。でもとにかく今は。」
「そうですね」
「ラーナ様、これ、弓です。」
「あっありがとうございます」
ラーナは兵とともに、城門の外にいる魔物を弓で射った。
正門よりは少ないとはいえ敵が多いことにかわりない、
(けどこの城門のおかげでなんとか食い止められそうね。)
ラ-ナの見た感じでは下級魔物ばかりだった。司令官の言うとおり、こちらは陽動部隊、正規軍は向こうであることは間違いなさそうだった。
だからこそ正門のほうで戦いたかった、と思ったラーナであったが、今はそんなこと思っている場合じゃないと思い直し、目の前の敵を倒していく。
ただ戦いながらラーナは不思議に思った。
種族が全然違うのに、こんな規律が整っているなんて…………
通常、魔物の種族の間にはいざこざがある。
魔王が居た頃は、魔王が統率することがきたが、今はもういない。
(じゃあいったいだれが統率してるの?)
そんな疑問を感じながらもラーナは魔物を倒していく。
少し時間がたつと、数が減っていることが目に見えて分かるようになった。
どうやらなんとか食い止められそうね。
ラーナはすこしほっとした。
だがほっとつくのもつかの間
「西方、東方から大量の魔物軍が迫ってきます!」
見張り台の兵が叫んだ。
「何?!数は」ローレンスは聞いた。
「今攻めてきている魔物数と変わらないぐらいです。」
「倍増えるというのか」
「おそらく、しかも」
「しかも?」
「中級以上の魔物ばかりです」
「これは……持ちこたえられないぞ、時間稼ぎと、正門の軍から応援を呼べ!」
ローレンスは近くにいた兵卒に命令した。
「よーし! なんとか食い止めるぞ!」
魔物の数は増えいよいよ塀の上付近まで来た。
そこでラーナは弓を手放し剣を鞘から抜いた。
遅いかかる魔物を次々とラーナは倒していく。
しかし塀を登り切った魔物の攻撃が背後から……
だがそれを魔法で防いだのは
ユーリだった。
「ユーリ!大丈夫?」
「大丈夫よ」
「正門はいいの……?」
「正門はもう大丈夫よ」
「すごいわ、ユーリ。もう撃退したんだ。」
「というより、」
「え?」
「そっちの門、さっきより敵の数増えてない?しかも中級クラス以上の魔物が」
「ええ、そうよ。どうして知ってるの? 援軍要請で行った兵はまだ正門には着いてないはずよ」
「実は私が戦いに参加してから、しばらくしたら敵が逃げ出したのよ。逃げていく方角的にもしかしてと思って、あっ」
ユーリはふらっとした。慌ててラーナはユーリの体をうけとめた。
「ユーリ!」
「完全には魔物の攻撃を防ぎ切れなかったみたい。私も衰えてしまったようね」
「そんな、ユーリ……」
「ラーナ、あなたなら大丈夫……それと、これ」
「えっ」
ユーリは服の内ポケットから何かを取り出した。
「戦ってる最中に来たの。師匠からの手紙」
「手紙?」
「今さっき私のところにきたの。突然あなたの屋敷に現れたスライム、今起きている大量の魔物軍の襲来。偶然とは思えない。何か手紙にヒントがあるかもしれない」
「手紙にヒントが……」
「ラーナ、お願いこの町を守ってね」
「……うん」
ラーナがうなづくと、ユーリはおだやかな表情を浮かべ、そして目を閉じた。
「ユーリ!!!」
「大丈夫、まだ息はある。」
いつのまにかローレンスさんが横にいた。
「救護兵が来ました!」
ユーリは救護兵に運ばれていった。
「ラーナ様、大丈夫ですか。」
「はい、ローレンスさん、大丈夫です。」
ラーナは再び持ち場に戻った。
戦っている最中、兵士通しの会話が耳に入った。
「いったいどういうことなんだよ?こちらのほうが仮に突破されても、まだ、町まで遠いし、兵数も正門と変わらないのに」
「分からねぇよ! ただ相手はしょせん魔物だ。人間のような高い知能は持ってないんだろうから正門が無理だったから単にこっちに来ただけだろ?」
魔物が高い知能を持ってない。これは正確には間違えている。
上級魔物にもなれば、人間の知能と同程度、中にはそれより高い魔物がいる。
それに最初は二手に分かれて攻めていた。ちゃんと意図のある行動だった。
だから裏門だけに集中するのにも何か理由があるはず。
「そうだ、手紙を読もう」
ラーナはポケットからいそいで手紙を取り出した。
手紙の内容を読んでいると思わず「え?」と声をもらした。
その手紙にはスライムが夜泣く原因について書かれていた。
ラーナは、睡眠の邪魔をするために魔王がスライムに与えた能力だと思っていたが。
そんな生半可な能力ではなかった。
鳴き声がラーナの睡眠を邪魔をすることはあくまでも副次的なものであった、この鳴き声の真の狙いは
魔物を呼ぶことであった。
夜の力を使い、スライムは鳴き声を出して、ラーナを倒すよう魔物達に呼びかけていたと手紙に書かれていた。
これまで魔物達は魔王を倒したラーナに怖がり、そのスライムの鳴き声に応じてはいなかったが、いつそれに応えるか分からない。そう手紙にかかれているが今こんな状態になっているということはその声に応えたということなのだろう。
(私が弱くなったことを魔物達は知って、応えたんだきっと……あれ?もしかして)
ラーナははっと気づいた。
スライムが子供達を襲われたとき、研究者はスライムが興奮状態となっていたといってたけど、それはスライムの呼びかけに魔物達が応じてくれ喜んでいたということなのか?
だからその日の前の夜、スライムの合唱中にいきなり、光ったのもそういうことなのか
だとしたら私がもっと早くに駆除しておけば……
「つまり私のせいでこの町が……」
門の上から矢を放つ兵士と門の前に集結してまるで人海戦術で登ってくる魔物達をラーナは見た。
今のように自分の身ですら守れない。
だけど、そんなこと今考えても仕方がない
ノーストレスライフ
いいえ
ノーストレス・ノーライフ
冒険が終わってからずっと私は楽して生きようって決めていた。
だけど私は今ここで頑張らないといけない。
絶対に、ここは逃げない
ラーナは見張り台を見上げた。
そして、そこにめがけて大きくジャンプした。
「魔物ども!」
ラーナは見張り台の屋根の上に飛び乗った。
「あっラーナ様!」
司令官ローレンスが叫んだ。
すると兵士も、魔物も屋根の上にラーナがいることに気づいたようで、視線をラーナに向けた。
ラーナはそこで目を閉じ、息をフッと吐いた。
今から私がやろうとすることはとてつもなく怖いこと。本当に怖い。
でも…………私は、逃げない。
ラーナはゆっくりと目をあけた。
「ターゲットは私なんだろ!?」
そう叫んだラーナはそこからまた大きくジャンプして城外へと飛び降りた。
そのジャンプは弧を描くかのように、城壁の前に群がる魔物の集団を飛び越え、
魔物軍の背後に着地した。
魔物達はいっせいにラーナのほうを振り返る。
「さぁこっちだ。」
ラーナは城門から離れるように走り出した。
そしてしばらくしてから後ろを見た。
大量の魔物がラーナを追ってきていた。
(よし! これで良いのよ。これで町を守れる!)
ラーナはまた前を向き、一段階ギアをあげ走り続けた。
0
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若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
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