ノーストレスライフ!~魔王を倒した勇者、スライムに屈する!?~

write

文字の大きさ
20 / 21

もう一度……

しおりを挟む
(で、どうしようかな、このまま逃げてても仕方がないよね。)

走りながらラーナは思った。

「じゃあ、特訓の成果でもみせますか、これでもくらえ!」

一瞬振り返ったラーナは、剣を地面に向かって思いっきり突き刺した。すると突き刺した地点を起点に、魔物のいるほうへ地割れを起こした。魔物達がその地割れのくぼみに落ちていく


(これで一気に数十匹は倒れたはずよ。特訓の成果が出たわね)

ラーナはほくそ笑み、また走り出した。

だが魔物はまだまだたくさんいる。

その後もラーナは走りながらタイミングを計っては何回か地割れを起こしたが、一向に減る気配はない。

これだと埒が明かないわね。

後ろにまだまだいる魔物を見て、ラーナはいよいよ焦りだした。

でも立ち止まることなんてもってのほかよ。

いくら鍛えたとはいえ、こんな多くの魔物を一気に倒すなんて無理。一気に倒すなんて………




一気に倒す?

ラーナは自分で発したその言葉で以前見た夢を思い出した。

夢は誰かと歩き、行き止まりになった場面で終わっていた。だけど、私は今その続きが分かる。だってその夢は

思い出の続きだから




『行き止まりですよ、師匠。』

『行き止まりだなぁ。だけど無駄足じゃないよ、ラーナ。またひとつ知識を得たんだ』

『どういうことですか?』

『ラーナ、例えば敵が大量に襲ってきたらどうする?』

『え……それはいったん戦わず逃げる、でしょうか。』

『もし逃げられる状態じゃなかったら、例えばずっと追いかけられたりして。』
『そんなことってありますか?』
『例えば、の話よ。そんな時こことかとても良いとは思わないか?』



そうだ、あの場所なら

ラーナは走る方向を変えた。


やがてラーナの目の前には両側が高い岩壁で囲まれている細い道が現れた。

ラーナはその細い道に入った。

入ってしばらくして振り返った。

魔物達は細い道になったのでごたついていた。

それを見てラーナは後ろを見た。後ろは行き止まりになっていた。

よし行き止まりね。背後から攻められる恐れもない。逃げる気持ちも持たずに済む。

「さぁ魔物ども、」
ラーナは前を向いた。
「勝負だ!」

その声に反応したのか、魔物達がラーナに向かっていっせいに襲いかかった。


いっせい、とはいうものの、狭い道のおかげで、ラーナに一気に襲ってくる魔物の数は数匹で済んでいる。

(よし、思った通りだ。これなら大丈夫)

が、それでも、倒しても倒しても、敵は現れる。

(正直、体力がない。どうしよう……あっ魔法瓶!)




ラーナはポケットから魔法瓶を出した。

「いでよ、魔王!」

ラーナの目の前に煙で出来た魔王が現れた。本当なら実物はもっと大きいが、場所が場所だけにコンパクトに収まっている。

がそれでも、魔王の威厳はすごく、魔物達は一瞬で静まる。どうやら、魔王が現れたら、その指示が出るまで、何もしないことが魔物界での掟であるらしい。

ラーナはその掟に助かったと胸を降ろした。

魔物ども、みんな騙されているわ……

と途中までほくそ笑んでいたが、

……私、この魔法瓶で皆のこと騙してたのね……

とラーナは暗い気持ちになった。

ごめん、皆

だから、だからこそ私逃げないのよ。どうせ、このまやかしだって、上級魔物には……ほら来たわ。

前方には下級魔物ばかりだったので、この魔法瓶に騙されていた。

だが前に進まないことをいぶかしんだのか、知能の高い上級魔物が魔物軍の後方からやってきた。


(さぁ魔法瓶はもうない。後は戦うのみ。)

上級魔物が偽物だと見分け、魔王の煙をかき消した。

(ユーリの言うとおり私はもう英雄ではない。)

すると再び魔物達がラーナにめがけて突撃してくる。

(だけど、私は)

ラーナは剣を強く握りしめた。

「もう一度英雄ラーナになってみせる! いけ―!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

無能と追放された鑑定士の俺、実は未来まで見通す超チートスキル持ちでした。のんびりスローライフのはずが、気づけば伝説の英雄に!?

黒崎隼人
ファンタジー
Sランクパーティの鑑定士アルノは、地味なスキルを理由にリーダーの勇者から追放宣告を受ける。 古代迷宮の深層に置き去りにされ、絶望的な状況――しかし、それは彼にとって新たな人生の始まりだった。 これまでパーティのために抑制していたスキル【万物鑑定】。 その真の力は、あらゆるものの真価、未来、最適解までも見抜く神の眼だった。 隠された脱出路、道端の石に眠る価値、呪われたエルフの少女を救う方法。 彼は、追放をきっかけに手に入れた自由と力で、心優しい仲間たちと共に、誰もが笑って暮らせる理想郷『アルカディア』を創り上げていく。 一方、アルノを失った勇者パーティは、坂道を転がるように凋落していき……。 痛快な逆転成り上がりファンタジーが、ここに開幕する。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

処理中です...