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天下動乱!
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天下統一への第一歩にて最大の敵を葬る。これぞ天下人の策!
徳川家康を葬れば、豊臣家の天下は揺るぎないものになるのだ。そのためには竹千代を人質として預かっている織田信長を京へ呼び出し、一足早く本能寺で家臣ごと丸焼きにする。これで色々と面倒そうな相手も一掃できて一石二鳥だ。
後はうまく信長をおびき出すだけだが……。
「秀頼様、織田信長様が京へ向かって出発したとの知らせが入りました」
「うむ、上手く行ったようだな」
「はい、九十九個の茄子を用意して待っていると書いたら喜んで来ると返事をしたそうです」
「そうか……」
信長はナスが好きなのか? そんな話は聞いたことが無かったが……そうか、奴の住んでいる場所は尾張、あの辺りの人間はなんにでも味噌を塗って食べるというからな、味噌の濃い味に飽き飽きした所に茄子のみずみずしいさっぱり感が堪えられん筈だ! 例え罠だと勘づいたとしても出向かずにはいられない、ナスの誘惑には勝てんのだ。
「くっくっく、丁度良い、焼きナスでも茹でナスでも好きなだけ食わしてやろう……」
「はい、松永様が本能寺に次々と茄子を運び込んでいる所です」
「奴ら余りの嬉しさに踊りながら食うはず、ナスの踊り食いだ! ふはっはっは!」
遂に秀頼の計画が動き出したが、天下を狙う大名は彼だけではない。おのれの領地を守る事に全力を注いでいた守護大名たちが、自分の掴むべき本当の目標に向かって動き出したのだ!
それは奇しくも秀頼が天下に発した号令によって、守護大名たちに戦国大名である自覚を目覚めさせてしまったからに相違ないのであった。
「貢物を運ぶついでに京の奴らを見て来たが、腰抜けの雑兵ばかりであったは」
「それでは、……ついに計画を実行されるのですか?」
「おうよ、これまで朝廷に従う振りをしてきたが、俺の事をアキちゃんと軽んじていた連中に、北の野獣の安東愛季の恐ろしさを思い知らせてやるぞ!」
「スイカが無ければ電車も乗れない都会育ちの腰抜けどもに一泡吹かせてやりましょうぞ!」
「セリフも一行しかないとかナメテやがる。だがそうやって油断できるのも今の内だ、奴らは我ら北国に住む野蛮人だとでも思っているのだろうが、我が智謀知略の数々を喰らうがよい!」
「ふっふっふ……剣を振るうだけが武士ではありませぬ……して、どのような手で?」
「まずは京に招待された織田信長の一行に紛れ込み、軍勢を京に送り込み内と外から攻める作戦だ」
「それは妙案でございます」
通り道で織田信長を待ち伏せしてみたがとても紛れ込む隙が無い……。
「これが織田信長の隊列なのか……」
「流石は第六天魔王と呼ばれるだけはあります」
「うむ、お供にサル、犬、鳥。まさに、魔王、いや桃太郎か!」
「あの家臣どもも侮れませぬ。鳥は知勇に優れた丹羽長秀、犬は槍の又左と異名をとる前田利家、サルは……たぶんそこら辺の山からついて来たのでしょう」
「ならば、サルの振りして紛れ込むか」
「それがよろしいでしょう……」
「第六天魔王さん、僕たち山のサルだよ。キビ団子おくれよ」
「熊だ! 熊が出たぞ! 鉄砲だ、鉄砲を出せ、是非も無し!」
「撃ち殺されるところだったぞ! ぜんぜんダメじゃないか!」
「やはり信長は一筋縄ではいきませぬか……」
「ならば、強硬策しかあるまい。奴らを始末して信長本人に成り済ますのだ!」
徳川家康を葬れば、豊臣家の天下は揺るぎないものになるのだ。そのためには竹千代を人質として預かっている織田信長を京へ呼び出し、一足早く本能寺で家臣ごと丸焼きにする。これで色々と面倒そうな相手も一掃できて一石二鳥だ。
後はうまく信長をおびき出すだけだが……。
「秀頼様、織田信長様が京へ向かって出発したとの知らせが入りました」
「うむ、上手く行ったようだな」
「はい、九十九個の茄子を用意して待っていると書いたら喜んで来ると返事をしたそうです」
「そうか……」
信長はナスが好きなのか? そんな話は聞いたことが無かったが……そうか、奴の住んでいる場所は尾張、あの辺りの人間はなんにでも味噌を塗って食べるというからな、味噌の濃い味に飽き飽きした所に茄子のみずみずしいさっぱり感が堪えられん筈だ! 例え罠だと勘づいたとしても出向かずにはいられない、ナスの誘惑には勝てんのだ。
「くっくっく、丁度良い、焼きナスでも茹でナスでも好きなだけ食わしてやろう……」
「はい、松永様が本能寺に次々と茄子を運び込んでいる所です」
「奴ら余りの嬉しさに踊りながら食うはず、ナスの踊り食いだ! ふはっはっは!」
遂に秀頼の計画が動き出したが、天下を狙う大名は彼だけではない。おのれの領地を守る事に全力を注いでいた守護大名たちが、自分の掴むべき本当の目標に向かって動き出したのだ!
それは奇しくも秀頼が天下に発した号令によって、守護大名たちに戦国大名である自覚を目覚めさせてしまったからに相違ないのであった。
「貢物を運ぶついでに京の奴らを見て来たが、腰抜けの雑兵ばかりであったは」
「それでは、……ついに計画を実行されるのですか?」
「おうよ、これまで朝廷に従う振りをしてきたが、俺の事をアキちゃんと軽んじていた連中に、北の野獣の安東愛季の恐ろしさを思い知らせてやるぞ!」
「スイカが無ければ電車も乗れない都会育ちの腰抜けどもに一泡吹かせてやりましょうぞ!」
「セリフも一行しかないとかナメテやがる。だがそうやって油断できるのも今の内だ、奴らは我ら北国に住む野蛮人だとでも思っているのだろうが、我が智謀知略の数々を喰らうがよい!」
「ふっふっふ……剣を振るうだけが武士ではありませぬ……して、どのような手で?」
「まずは京に招待された織田信長の一行に紛れ込み、軍勢を京に送り込み内と外から攻める作戦だ」
「それは妙案でございます」
通り道で織田信長を待ち伏せしてみたがとても紛れ込む隙が無い……。
「これが織田信長の隊列なのか……」
「流石は第六天魔王と呼ばれるだけはあります」
「うむ、お供にサル、犬、鳥。まさに、魔王、いや桃太郎か!」
「あの家臣どもも侮れませぬ。鳥は知勇に優れた丹羽長秀、犬は槍の又左と異名をとる前田利家、サルは……たぶんそこら辺の山からついて来たのでしょう」
「ならば、サルの振りして紛れ込むか」
「それがよろしいでしょう……」
「第六天魔王さん、僕たち山のサルだよ。キビ団子おくれよ」
「熊だ! 熊が出たぞ! 鉄砲だ、鉄砲を出せ、是非も無し!」
「撃ち殺されるところだったぞ! ぜんぜんダメじゃないか!」
「やはり信長は一筋縄ではいきませぬか……」
「ならば、強硬策しかあるまい。奴らを始末して信長本人に成り済ますのだ!」
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