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双子の仕立て屋

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空が明るくなった頃、ジュリエットは目を覚ました。

起きたばかりでボーッとしているとアンナが入ってきて、湯あみの支度が整ったことを伝える。

それを聞いてのそのそと動き出す。

湯浴みはアンナが手伝い、ジュリエットの長い髪を櫛で梳かしながら言う。

「今日は仕立て屋さんがいらっしゃいますね、ドレスのデザインは決められましたか?」

「いいえ、全然。なんだか昨日着いたばかりなのに怒涛の1日で…。」

「たしかに昨日は1日バタバタしていましたからね。でもウィリアム様が良い人の様でよかったですね!」

湯浴みが終わり、コルセットで腰を締めてネグリジェからドレスに着替える。

「たしかに、とてもお優しい方で安心したわ。話していてもとっても楽しいですもの!」

アンナに身支度を手伝ってもらいながらジュリエットも答える。

「使用人の方々も良い方ばかりで、アンナも仲良くできそうね!」

ニッコリと笑い、気遣ってくれる主人に喜びが湧き「はい!」と返す。

話しているうちに身支度が終わったので、朝食が用意されている晩餐室へ向かった。


<晩餐室>
 
晩餐室に入ろうとアンナが扉に手をかけると、内側から扉が開いた。

「奥様、アンナさんおはようございます。」

そう言ったのはアーノルドだ。

部屋に入るとウィリアムは既に座っており、エルメールはジュリエットも来たとわかると厨房に続く扉の奥に消えた。

そして直ぐに料理を持って現れた。

「今日は昨日言った通り仕立て屋が来るから、そうしたら応接間で話し合うといい。私は書斎で仕事をしているから。」

運ばれて来た食事を口に運びながら言った。

「はい、ありがとうございます。」

「君がどんなドレスを着るのか楽しみにしているよ。」
 
「あら、それでしたら一緒に考えますか?」

「いや、そう言うものは当日まで楽しみに取っとくものだと聞いたからな。」

「そうなんですの?それでしたら期待を裏切らないように仕立て屋さんには頑張って貰わないといけないですわね」

和やかな雰囲気で進む食事にあっという間に皿が空になる。

「それでは宝石職人が来たら呼んでくれ。」

ジュリエットの皿も空になったのを見てからエルメールに対して言う。

それに続いて

「それじゃあまた後で。何かあったらエルメールを頼ってくれ。」

とジュリエットに言って晩餐室を出た。

「それでは私たちも行きましょう。応接間で待つ形で良いですか?」

アンナがそう聞くとジュリエットは頷き、席を立つ。

「私は仕立て屋が来たら行きますのでそれまで応接間でゆっくりお待ちください。」

エルメールが皿を片付ける手を止めて言った。

「わかりました、それでは応接間でお待ちしておりますね。」

そう答えてジュリエットも晩餐室を出た。

<応接間>
そうして応接間に着いて直ぐエルメールが扉をノックし、入っても良いかと聞いて来たのでどうぞと言う。

「奥様、仕立て屋が来ました。今アーノルドが案内してくれてるので直ぐに来ると思います。」

その言葉を聞いて直ぐ、再び扉がノックする音がしアーノルドが現れた。

「奥様、仕立て屋が来ましたのでお連れしました。」

そうジュリエットに言うと、後ろに向かいどうぞお入り下さい。と声をかけると部屋から出て行った。

替わりに応接間に入ってきたのは30代に見える顔がそっくりの2人組だった。

「驚きましたわ、仕立て屋さんは双子の方でしたのね!」

思わず言ってしまったジュリエットに仕立て屋の2人は顔を見合わせると

「お初にお目にかかります。私達は公爵家にご贔屓頂いております、私はルル、赤みがかった茶色の髪は私でございます。」

「お会いできて光栄です。公爵家夫人となる方が素直で良い人そうで安心しました。私はララ、青みがかった茶色の髪は私でございます。」

と言った。

2人はとてもそっくりで、髪色などで判断しなければどっちがルルでどっちがララかわからなくなりそうだ。

「はじめまして、私はジュリエット。この度男爵家からこの家に嫁いで参りました。この度はドレスを仕立てて頂けるとそうで、楽しみにしていましたの。」

立ち上がりそう挨拶を返した。

すると突然ルルが
「挨拶も終わったことだし、いつも通り話させてもらうけどいいかい?」と聞いてきた。

挨拶の時と打って変わってサバサバとした印象のルルに

「堅苦しい喋り方が姉は苦手なんです。すみません。」

とララが代わりに謝る。

どうやらこれが2人の元々のキャラクターのようだ。

「構いませんわ、その方が打ち合わせしやすいでしょう?」

とルルの問いに対して答えるジュリエット。

「それじゃあこれで行かせてもらうよ。」

そう言ってルルは手元にスケッチブックや色々なイラストの描かれた紙などを出した。


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