【完結】悪妻オメガの俺、離縁されたいんだけど旦那様が溺愛してくる

古井重箱

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第3話 趣味じゃない旦那様

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「見なさい、レムート。これがおまえの夫となる方の肖像画だ」
「……これは」

 父が差し出した肖像画を見て、俺は絶句した。
 開いた本ほどの大きさのカンヴァスには、角がある巨鯨を相手にもりを突き立てている男が描かれている。

「これは神話に出てくる英雄、ヴァイゼンの姿絵では?」
「いや、おまえの未来の夫君だ」

 一体、どういうことだ?
 俺の夫となる人は何者なのだろう。

「そのお方のお名前はなんとおっしゃるのですか?」
「ヴァイゼン・テス・ワイゼル殿だ。南域なんいきの盟主としてワイゼル領を治めておられる。今年25歳になられるとのことだ。おまえは18歳だから、ちょうどいい年の差だな」

 英雄の名前を子どもにつけるとは、随分と変わったご両親だ。よほどの自信家なのか、あるいは南域の文化なのか。少なくとも俺の趣味ではない。

「レムート。南域の豊かな海がおまえの心を慰めてくれるだろう」
「はい……」

 俺は人形。
 俺に拒否権はない。
 一生、ヴァイゼンなる男に支配されるのが俺の運命。
 そう思うと、死にたくなった。
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