【完結】サボテンになれない俺は、愛の蜜に溺れたい

古井重箱

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 秋の夜が更けていく。
 仕事を終えた陽翔は玲司のマンションに立ち寄った。今夜は泊めてもらうことになっている。
 緊張のあまり、陽翔はソファに座りながら肩を強張らせた。玲司はそんな陽翔を見て、柔らかく微笑んだ。

「今夜は僕に任せて。陽翔くんの気持ちいいところ、いっぱい探してあげる」
「俺も……玲司さんに尽くしたいです」
「きみは本当に健気だね。僕には勿体無いパートナーだ」
「玲司さんこそ、優しいし賢いし綺麗だし。平凡な俺はあなたと釣り合わないです」 
「……陽翔くんは自分がどれだけ魅力的か分かっていないようだね。僕がきみのことをどれだけ好きか、たっぷり教えてあげないと」
「んっ……!」

 唇を奪われる。
 飢えた人が果実に齧りつくような強引なキスだった。いつもの玲司のやり方とは違う。
 体を寄せ合いながら、陽翔は玲司のぬくもりに包まれた。肌が火照っていく。
 これ以上抱き合っていたら勃起してしまう。涙目で訴えると、玲司が立ち上がった。

「先にシャワー浴びてくるね」
「はい」

 陽翔はクッションを抱き締めながら、玲司の準備が整うのを待った。
 心臓の音がうるさい。手にはじっとりと汗をかいている。肌を合わせる前からこの状態なのだから、実際に行為が始まったらどうなってしまうのだろう。
 ソファに座ったまま固まっていると、玲司がリビングに戻ってきた。腰にタオルを巻いただけなので、引き締まった腹部や、男らしい膨らみが目に飛び込んでくる。
 玲司が陽翔の耳元で囁いた。

「ベッドルームにいるから」
「は、はい!」

 陽翔はバスルームに向かった。
 脱衣所で着ているものをすべて取り去る。乳首の色がピンクじゃないなどと落ち込んでいる場合ではない。玲司が気持ちよくなれるように頑張ろう。
 熱いシャワーを全身に浴びる。
 後ろの始末も忘れなかった。まさか自分が誰かに強く求められる日が来るとは思っていなかったので、陽翔は胸がいっぱいになった。今まで誰ともセックスしなかったのは、初めてを玲司に捧げるためだったのかもしれない。
 ボディーソープの匂いが淡く香っている。
 陽翔は腰にタオルを巻いた姿で、ベッドルームに入った。

「お待たせしました……っ、あっ、玲司さん!」

 ダブルベッドの上に押し倒された。
 玲司はすでに勃起していて、硬い肉が陽翔の太ももを圧迫してきた。
 首すじを舐められるあいだ、陽翔は玲司の雄々しい膨らみを手のひらで撫でた。タオルの向こうで玲司の熱が高まっていくのを感じる。
 くちゅ、くちゅりと粘っこい水音を立てながら、ふたりは舌を絡めた。ディープキスをしているあいだ、玲司の手が伸びてきて、陽翔の乳首をつまんだ。くにくにとこね回されているうちに、陽翔の突起はピンと尖っていった。
 玲司は芯を持った陽翔の小さな器官を口に含んだ。

「あんっ、あぁんっ」

 濡れた舌で乳首を転がされるたびに、陽翔は嬌声を上げた。玲司は夢中になって陽翔の突起を舐めている。胸元を見下ろすと、乳首の色味がほんのりと赤みを増したように見えた。
 玲司の愛を注がれて、自分の体が変わっていくのか。
 陽翔は嬉しさのあまり、目を潤ませた。

「Tシャツ着れなくなっちゃうかもね」

 意地悪なことを言われても、甘噛みをされたようで嬉しい。陽翔は玲司の首に腕を回した。張り詰めた下腹部の猛々しい感触に、心がとろけていく。

「玲司さん……。俺、初めてなのに積極的だから……引きますか?」
「どうして。陽翔くんがエッチな方が僕は嬉しいよ」
「あの、玲司さんのち×ぽ、もっと触りたいです……。タオルを取ってもいいですか?」

 玲司がうなずく。
 陽翔は玲司の腰を覆っていたタオルを取り去った。ぶるんと勇壮なペニスが揺れる。目の前に現れた立派なモノに、陽翔は指を這わせた。極太の肉茎がビクビクと脈打っている。
 そうしてほしいと請われたわけでもないのに、陽翔は玲司のカリにちゅっと口づけた。じゅくんと垂れていたカウパーを唾液とともに飲み込む。陽翔は玲司のカウパーの味を舌に記憶した。

「もっと舐めてもいいですか」
「陽翔くん。無理してない?」
「俺……今、すごく昂ってて。玲司さんが俺のフェラで乱れるところが見たいんです」
「意外と大胆なんだね」
「だって玲司さんのち×ぽ……おっきくて熱くて、すごく美味しそう」

 陽翔は玲司の亀頭を咥えた。
 先端から滲み出てくるカウパーを啜る。玲司が視覚的にも楽しめるように、陽翔は薄い尻を振った。
 じゅぷっ、ちゅぽっという音がベッドルームに満ちていく。
 玲司が切なげに吐息をこぼした。

「陽翔くん。そろそろ出そうだ。顔を上げて?」
「最後まで欲しいです」
「んっ!」

 びゅくりとペニスが震えて、先端から白い矢が放たれた。
 陽翔は口を大きく開けて、玲司の精液を受け止めた。苦みと青臭さが混じり合ったなんとも言えない味を舌で覚え込む。こくんと喉を鳴らして精液を嚥下すると、玲司に抱き締められた。

「初めてなのに勘がいいね。陽翔くんがこんなにエッチだったなんて……」
「嫌いになりましたか?」
「ますます惚れた。今度は僕がきみを気持ちよくしてあげる番だね」

 玲司はサイドテーブルからローションを取った。そして透明な液体を手に垂らしたあと、陽翔に言った。

「仰向けになって」
「……俺の、見ても嫌いにならないでください」
「陽翔くんのアヌスなら花びらみたいに可愛いよ。さあ、足を開いて」
「んっ……!」

 腰に枕を添えられたため、臀部が浮き上がった。陽翔は玲司に導かれるまま、膝と膝のあいだを大きく離した。玲司が陽翔のアヌスを覗き込む。自分では眺めたことがない場所を玲司にさらけ出している。恥ずかしさが極まって、陽翔は手で顔を覆った。

「さっきまでの大胆な陽翔くんはどこに行ったの?」
「だって……そこ、見られたくないっ」
「僕に全部ちょうだい」
「玲司さん、ずるいです。そんな甘い声で言われたら、俺……抵抗できませんっ」

 陽翔にキスをすると、玲司はアヌスに指を突き入れた。誰の手にも堕ちたことがない陽翔の肉筒は狭くて、きゅうっと収縮しながら玲司の指を食い締めた。

「苦しい?」
「……だい、じょうぶです」
「もうちょっと先に、いいところがあるよ」
「えっ? あ、あぁっ!? やっ! やぁっ」

 玲司の指がその一点をこするたび、陽翔の視界に白い星が瞬いた。腰が溶け去りそうなほどに強い快感が襲ってくる。
 体がびくびくと跳ね回った。まるで自分が自分ではなくなっていくかのようで、陽翔は怖くなってシーツをぎゅっと握った。
 いところを刺激されて喘ぐ陽翔を、玲司が焦がれるようなまなざしで見つめている。
 誰かに強く求められるのは初めてだ。
 陽翔は玲司に選ばれたことを嬉しく思った。潤んだ瞳で玲司を見つめ返す。

「指、二本に増やしてもいいかな?」
「はい」

 玲司の長大なペニスを受け入れるためには、もっとナカを慣らす必要がある。陽翔は玲司にすべてを任せた。「あんっ、あんっ」と甘えた声が玲司の愛撫に合わせて口から漏れ出てしまう。玲司は二本の指を自在に操り、陽翔のナカを開発していった。

「三本目も挿れていい?」

 こくんとうなずけば、玲司がローションで濡れた指を陽翔のアヌスに突き入れた。さすがに圧迫感がある。陽翔の呼吸が浅くなっていく。玲司は陽翔の体のあちこちにキスを落として、緊張を和らげてくれた。
 
「あぁーっ!」

 玲司の指が、陽翔の快楽が生まれる部分を的確に探り当てた。腰の動きとともに視界が揺れる。喘ぎすぎたあまり、唇が唾液で濡れている。自分は今、すごく情けない姿をしているのではないか。
 陽翔が「見ないでっ」と訴えると、玲司がつややかに微笑んだ。

「全部ちょうだいって言ったでしょ」
「でも、俺……いやらしいことが大好きで……。玲司さんに軽蔑されちゃう」
「ふたりで一緒にしていることでしょ。エッチなのは僕も同じだよ」
「玲司さん。大好きです」

 唇を合わせたあと、玲司が再びそそり立ったペニスにコンドームをはめた。
 そしてゴム製品をまとった肉棒にローションを垂らし、先端を陽翔のアヌスにぴとりと押し当てた。

「きみとひとつになりたい」
「来てください……っ! 玲司さん、好きっ」

 ずぷんという音がして、ふたりの体が合わさった。つながっている部分がじんじんと熱い。陽翔は玲司が貫きやすいように力を抜こうとしているのに、ナカが勝手に締まって、ピストン運動の邪魔をする。

「ち×ぽ、すごいっ。ビクビクしてる……!」
「陽翔くん。愛してる」
「あっ! 奥……、だめっ。深い……っ!」

 ずちゅっ、ずちゅっという水音と、肌がぶつかり合う音がベッドルームに響いた。陽翔は溺れる人のように、玲司のしなやかな腰をたぐり寄せた。玲司にしがみつき、律動に身を任せる。
 男を知らなかった肉筒は、玲司から与えられる情熱を味わい尽くそうとするかのように、きゅうきゅうと収縮した。

「ん、んんーっ! そこっ、やっ……! 来ちゃう」
「陽翔くん。可愛い」
「あぁーっ」

 玲司が陽翔のペニスを放熱へと導いた。白いモノがふたりの腹を汚す。
 ナカの刺激だけで達しそうになっている自分に気づいて、陽翔は焦った。しかし、玲司のピストン運動が心地よくて、どんどん深みにはまっていく。
 もうどうなってもいい。
 陽翔が目をつむった瞬間、射精とは違う快楽がナカで生まれた。

「あっ、俺……そんな」
「もしかして、イった?」
「玲司さんのち×ぽが気持ちよすぎるからっ」
「僕も陽翔くんが可愛すぎて、そろそろ限界だ」

 玲司が陽翔の奥を貫いた。
 大きく息を吐くと、玲司は陽翔のナカからペニスを引き抜いた。そして、コンドームを取り去って、口を縛った。
 はぁっ、はぁっと乱れた呼吸を整える。
 陽翔は玲司を見上げた。

「……玲司さん。気持ちよかったですか?」

 玲司が陽翔にキスをした。
 ふたりは指と指を絡め合った。

「俺、幸せです」
「僕もだよ」
「ずっと一緒にいたいです」
「そうだね。長生きしよう」

 言葉と体、そして心。使えるものはなんでも使って玲司に愛を伝えていこう。
 陽翔は改めて、強くなりたいと思った。自分の気持ちを表現することを恐れている暇などない。人生はあっという間に過ぎていくのだから。
 そして陽翔と玲司は、同じタイミングで眠りについた。
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