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第二章 新婚生活
16. 本当にいいんですか?
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芦毛の馬、ミアに乗って丘を駆け上がる。蹄が奏でる高らかな音が青空に吸い込まれていった。
やがて俺とアレス様は湖水地帯に到着した。
大小の湖が点在していて、晴天の青を水面に写しとっている。自然が作り上げた絶景を前に、俺の心は躍った。
「綺麗ですね……!」
俺は息を飲んだ。アレス様は以前、俺にくれた手紙で湖水地帯の美しさについて語ってくれた。どんな場所だろうと思いを巡らしていたが、想像以上の眺めである。
アレス様は黒馬セレディオから降りると、木陰に俺をいざなった。
風に木の葉が揺れるさらさらという音が心地よい。俺もミアから降りて、アレス様の隣に並んだ。
これってデートだよな?
ちょっとぐらい大胆になってもいいよな?
俺はアレス様の肩に頭を預けた。ぺたんとくっついた俺をアレス様が優しい微笑みを浮かべて受け入れる。アレス様の大きな手が、俺の手を握った。指と指を絡め合ううちに顔が近づいていった。
キスする流れだ。
俺はアレス様と唇を合わせた。
肉厚の舌が俺の歯列を割って、口腔を舐め始める。まさかこんな濃厚なキスをされるとは思わなかったので俺は戸惑った。アレス様が着ている上衣をぎゅっと掴み、快楽と羞恥に耐える。
唇を離す時に唾液が糸を引いて、ふたりの唇に細い橋をかけた。
「アレス様……。今のキス、刺激が強すぎます」
「あなたがあまりにも可愛らしいから」
ぎゅっと抱きしめられた。
俺ってちゃんと求められているのかな? 最後まで致してはいないけれども、アレス様は俺の唇を夢中になって吸ってきた。
このままデートを重ねていくうちにアレス様のなかで時が熟すかもしれない。俺はすぐにでも抱かれたいという考えを捨てることにした。俺とアレス様は始まったばかりだ。悲観することはない。
「仕事を頑張った甲斐がありました。フィーラン殿とこれからもいろいろな場所に出かけたいです」
「俺もアレス様といっぱい思い出を作りたいです」
「それはよかった。ご覧ください、湖の数々を。水が澄んでいるでしょう?」
「はい。すごく綺麗です」
「景観を保存するため、湖に生活用水を流したりしないように規制しているのです」
「そうなんですね……。自然保護は大切ですからね」
アレス様は目を伏せた。
「先の人魔戦争の際は、湖が仲間の血で赤く染まったこともありました」
「それは……お辛かったですね」
「フィーラン殿の癒しの歌だけを頼りに、戦いを乗り切ることができました。改めてお礼申し上げます」
「俺は何もしてません……! アレス様が身を賭して魔族と戦ったから、勝つことができたんです」
「どこまでも控えめですね、あなたは。私の恋心は加速していく一方ですよ……」
二度目のキスを交わす。
アレス様の吐息が口元に吹きかかるたび、くすぐったさと嬉しさでイきそうになる。俺はアレス様の胸に体を委ねた。アレス様の大きな手のひらが俺の背中をそわりと撫でる。くちゅ、という艶かしい音が俺の耳を焼いた。
「アレス様……。俺、アレス様のものになりたいです」
「フィーラン殿……」
三度目のキスが始まろうとした時のことだった。
近くにあった茂みから、白くて長い顔をした生き物が姿を現した。野生馬か?
いや、違う。
馬に似た生き物の額には金色の角が生えていた。幻獣ユニコーンだ。
ユニコーンは俺とアレス様の元に駆け寄ってきた。そして、俺の体に頭をすり擦りと擦りつけた。
撫でてもらいたいのかな?
俺はユニコーンの顔に触れた。たてがみが嬉しそうに風にそよいでいる。ユニコーンは心地よくてたまらないという風にいなないた。
「幻獣ユニコーンに懐かれるフィーラン殿……。尊い眺めですね。やはり私は今夜もあなたを抱くわけにはいかない」
なんでこうなるんだよ!
開放感のある野外でディープキスをして、互いの気持ちを高め合っていたというのに。
でもユニコーンを邪険にするわけにはいかない。俺は動物が大好きだ。ユニコーンのたてがみを撫でる。
「いい子だね。どこから来たの?」
ユニコーンの尻尾がふさふさと揺れる。幻獣は俺たちがいる人間界とは異なる世界に住んでいると言われている。誰かが召喚したのだろうか?
アレス様が言った。
「幻獣界と人間界のあいだにある障壁の力が弱まっているのかもしれませんね」
どうやら、アレス様の見立ては正しいようだ。時空の切れ目から、ユニコーンの群れが姿を現した。
俺はあっという間にユニコーンの群れに取り囲まれた。ユニコーンたちは次々に俺の手のひらを求めてきた。懐かれて悪い気はしない。俺はユニコーンの顔を撫でた。
「ユニコーンに触れられるということは汚れなき処女である証! フィーラン殿、私はこの先もあなたに獣欲を向けたりはしませんからね」
いや、犯してほしい。翌日立てなくなるぐらいめちゃくちゃにされたい。
俺の体は確かに未通かもしれないけど、頭の中はエロエロだぞ!? だが、ユニコーン的には処女が考えていることなど関係ないようで、相変わらず俺に懐いている。
「尊い……。尊すぎる……」
アレス様ってかっこよくて優しいけど、処女へのこだわりが強すぎやしないか? 俺が寂しい思いをしていることも少しは知ってほしい。
やがて自由にできる時間が切れたのか、ユニコーンの群れは幻獣界に去っていった。
俺はアレス様に抱きついた。顔を上げて、視線を合わせる。
「アレス様。気が済みましたか? 俺は……アレス様とその……契りたいです」
ああ、言ってしまった。
こうなったら後には引けない。俺は震える唇をアレス様のそれへと近づけた。ちゅっという音が弾けて、ディープキスが始まる。
唇を離しては互いに見つめ合い、また貪り合う。そんな時間が続いた。
俺たちは息継ぎのために顔を離した。アレス様の唇がふたりの唾液で濡れている。最高にエッチな眺めだ。
「あの、アレス様。今夜……いいですか」
しばし沈黙したのち、アレス様が言った。
「いいですよ」
まさか肯定的な返事がくるとは思っていなかったので、俺は目を丸くした。
やがて俺とアレス様は湖水地帯に到着した。
大小の湖が点在していて、晴天の青を水面に写しとっている。自然が作り上げた絶景を前に、俺の心は躍った。
「綺麗ですね……!」
俺は息を飲んだ。アレス様は以前、俺にくれた手紙で湖水地帯の美しさについて語ってくれた。どんな場所だろうと思いを巡らしていたが、想像以上の眺めである。
アレス様は黒馬セレディオから降りると、木陰に俺をいざなった。
風に木の葉が揺れるさらさらという音が心地よい。俺もミアから降りて、アレス様の隣に並んだ。
これってデートだよな?
ちょっとぐらい大胆になってもいいよな?
俺はアレス様の肩に頭を預けた。ぺたんとくっついた俺をアレス様が優しい微笑みを浮かべて受け入れる。アレス様の大きな手が、俺の手を握った。指と指を絡め合ううちに顔が近づいていった。
キスする流れだ。
俺はアレス様と唇を合わせた。
肉厚の舌が俺の歯列を割って、口腔を舐め始める。まさかこんな濃厚なキスをされるとは思わなかったので俺は戸惑った。アレス様が着ている上衣をぎゅっと掴み、快楽と羞恥に耐える。
唇を離す時に唾液が糸を引いて、ふたりの唇に細い橋をかけた。
「アレス様……。今のキス、刺激が強すぎます」
「あなたがあまりにも可愛らしいから」
ぎゅっと抱きしめられた。
俺ってちゃんと求められているのかな? 最後まで致してはいないけれども、アレス様は俺の唇を夢中になって吸ってきた。
このままデートを重ねていくうちにアレス様のなかで時が熟すかもしれない。俺はすぐにでも抱かれたいという考えを捨てることにした。俺とアレス様は始まったばかりだ。悲観することはない。
「仕事を頑張った甲斐がありました。フィーラン殿とこれからもいろいろな場所に出かけたいです」
「俺もアレス様といっぱい思い出を作りたいです」
「それはよかった。ご覧ください、湖の数々を。水が澄んでいるでしょう?」
「はい。すごく綺麗です」
「景観を保存するため、湖に生活用水を流したりしないように規制しているのです」
「そうなんですね……。自然保護は大切ですからね」
アレス様は目を伏せた。
「先の人魔戦争の際は、湖が仲間の血で赤く染まったこともありました」
「それは……お辛かったですね」
「フィーラン殿の癒しの歌だけを頼りに、戦いを乗り切ることができました。改めてお礼申し上げます」
「俺は何もしてません……! アレス様が身を賭して魔族と戦ったから、勝つことができたんです」
「どこまでも控えめですね、あなたは。私の恋心は加速していく一方ですよ……」
二度目のキスを交わす。
アレス様の吐息が口元に吹きかかるたび、くすぐったさと嬉しさでイきそうになる。俺はアレス様の胸に体を委ねた。アレス様の大きな手のひらが俺の背中をそわりと撫でる。くちゅ、という艶かしい音が俺の耳を焼いた。
「アレス様……。俺、アレス様のものになりたいです」
「フィーラン殿……」
三度目のキスが始まろうとした時のことだった。
近くにあった茂みから、白くて長い顔をした生き物が姿を現した。野生馬か?
いや、違う。
馬に似た生き物の額には金色の角が生えていた。幻獣ユニコーンだ。
ユニコーンは俺とアレス様の元に駆け寄ってきた。そして、俺の体に頭をすり擦りと擦りつけた。
撫でてもらいたいのかな?
俺はユニコーンの顔に触れた。たてがみが嬉しそうに風にそよいでいる。ユニコーンは心地よくてたまらないという風にいなないた。
「幻獣ユニコーンに懐かれるフィーラン殿……。尊い眺めですね。やはり私は今夜もあなたを抱くわけにはいかない」
なんでこうなるんだよ!
開放感のある野外でディープキスをして、互いの気持ちを高め合っていたというのに。
でもユニコーンを邪険にするわけにはいかない。俺は動物が大好きだ。ユニコーンのたてがみを撫でる。
「いい子だね。どこから来たの?」
ユニコーンの尻尾がふさふさと揺れる。幻獣は俺たちがいる人間界とは異なる世界に住んでいると言われている。誰かが召喚したのだろうか?
アレス様が言った。
「幻獣界と人間界のあいだにある障壁の力が弱まっているのかもしれませんね」
どうやら、アレス様の見立ては正しいようだ。時空の切れ目から、ユニコーンの群れが姿を現した。
俺はあっという間にユニコーンの群れに取り囲まれた。ユニコーンたちは次々に俺の手のひらを求めてきた。懐かれて悪い気はしない。俺はユニコーンの顔を撫でた。
「ユニコーンに触れられるということは汚れなき処女である証! フィーラン殿、私はこの先もあなたに獣欲を向けたりはしませんからね」
いや、犯してほしい。翌日立てなくなるぐらいめちゃくちゃにされたい。
俺の体は確かに未通かもしれないけど、頭の中はエロエロだぞ!? だが、ユニコーン的には処女が考えていることなど関係ないようで、相変わらず俺に懐いている。
「尊い……。尊すぎる……」
アレス様ってかっこよくて優しいけど、処女へのこだわりが強すぎやしないか? 俺が寂しい思いをしていることも少しは知ってほしい。
やがて自由にできる時間が切れたのか、ユニコーンの群れは幻獣界に去っていった。
俺はアレス様に抱きついた。顔を上げて、視線を合わせる。
「アレス様。気が済みましたか? 俺は……アレス様とその……契りたいです」
ああ、言ってしまった。
こうなったら後には引けない。俺は震える唇をアレス様のそれへと近づけた。ちゅっという音が弾けて、ディープキスが始まる。
唇を離しては互いに見つめ合い、また貪り合う。そんな時間が続いた。
俺たちは息継ぎのために顔を離した。アレス様の唇がふたりの唾液で濡れている。最高にエッチな眺めだ。
「あの、アレス様。今夜……いいですか」
しばし沈黙したのち、アレス様が言った。
「いいですよ」
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