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第9章 選ばれし…者?
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第9章選ばれし…者?
【人間界の山の廃屋】
《歪みが現れる》
「うわっ、うわっ、うわーっ」
「何だ?宙に浮いてるのか?」
《翔、蓮に続いて司と沙羅先生が落下する。ドスーーーン!!!続いて空中に大河と由利香先生が現れる》
うわっ、危ない。
「あっ」
《大河はとっさに優里香先生をがばって抱くように落下する》
「痛い…大河君大丈夫?」
「先生ケガは?」
「私は大丈夫」
「良かった」
「大河君は?」
「僕も大丈夫だよ」
「ケガは無いのね?」
「うん、たぶん」
「じゃあどうしてそんな顔してるの?」
「その…レディに失礼なんだけど…」
「え?そんな小さな声じゃ聞こえないわ」
「重いんですけど」
「ハハハ」
翔達は笑ってるけど…
《大河の上に優里香先生が重なっている》
優里香先生って、誰かのケガの心配をすると他が見えないと言うか、状況がわからないんだよね。
この天然ぶりが可愛いんだけど…
「誰も居なかったらKISSしちゃうんだけどな」
「もう、大河君。何言ってるの」
「フッ」
「(笑ってるんだからこの子は…私をかばって、わざと下敷きになるように落ちるんだもの。心配するに決まってるじゃない)」
「大河、しちゃえばー?皆んなで向こう向いててあげるからー」
「沙羅先生もそんな事言って」
《そう言うと優里香先生は起き上がる》
「痛たたた、れ蓮も大河みたいにあたしをかばってくれれば良かったのにー。思いっきりお尻打っちゃったよー」
「は、まあ、尻から落ちたのなら問題無いでしょう」
「沙羅先生なら、胸から落ちても問題ねーだろ?」
「こら、翔」
「痛てっ、何でげんこつだよ」
「胸から落ちるなら、俺が下敷きになってやっても良かったぞ」
「あら、司。じゃ、今度からそうするわよーって、そんな器用に出来ないし」
「ケツの方が重いってか?」
「うん?」
「痛てて、何で俺だけげんこつだよ?」
「フッ」
いつものやり取りだ。
帰って来たんだね、僕達の世界に。
「明日からまた学校かよ」
「今日からです!」
「嘘だろ?だりぃ。優里香先生のオニ」
「何ですって、司君。今からなら授業に間に合うわ、さ、早く山を下りましょう」
「マジかよ?」
【山道】
「腹減ったー。朝飯食わねえで学校行けってかよ?」
「今日は休ませてやっても良いんじゃなーい?」
「そうね、朝食はしっかり摂らないといけないわね」
「やった!」
「遅刻しても仕方ないかしら?」
「遅刻しても行けってか?!」
【大河達の教室】
そんなわけで、急いで朝食を摂って教室に来たんだけど…
「大変だったな、お前達。無事に帰って来てくれて本当に良かった」
沙羅先生が、担任の谷田先生に話しておいてくれたから、面倒な事にならなくて助かった。
「ねえねえ、大河君。向こうの世界ってどんなだった?モンスターとか居たんでしょ
う?」
「勇者様は?そんな世界なら勇者様居たんじゃない?」
「居ないみたいだったよ」
「俺達が、その勇者様だってんの」
「だりぃ、大岡って本当勇者が好きだな」
「どんな町だった?中世ヨーロッパみたいな、素敵な町?」
「湖に浮いた魚人族の町とか…」
「半魚人?」
「魚人族だよ。それから、森の中のエルフの村に行ったよ」
「エルフって、本当に居たの?!」
「うん、居た」
「ねえ、桜。私達も行ってみない?」
「え?あっちの世界?」
「私、勇者様に会ってみたい」
「だから、大岡さん。勇者様は居なかったよ」
「それは、大河君達がたまたま会わなかっただけよ」
「私は怖いから行きたくないわ」
「やめといた方が良いと思うよ。モンスター居るし」
「そうだよ、梅ちゃん。やめなって」
「どうやったら行けるのかな?あっちの世界」
大岡さん、まさか一人で行ったりしないよね?
まあ、あの廃屋は立ち入り禁止になっているけれど…
【旧校舎】
《大河、翔、司が校舎に入って来る》
「帰って来たばっかで、結局授業受けてよう、ほんでこっち来てまた勉強か?」
「しょうがないね」
「だりぃ」
【教室】
「遅いぞ、お前達」
「イヤミがイヤミ言ってら」
「遅いと言っただけだ。こういうのは、イヤミとは言わん」
「皆んな揃ったわねー」
《沙羅先生と優里香先生が入って来る》
「ジェムが結構貯まったのよー」
「ほうほう、そんで何に使うんだ?」
「装備を強化しようかなーって思ってるのー」
「やったー!俺一番!俺の大剣を強化してくれよ、沙羅先生」
「一番は、この僕に決まっている」
「イヤミの杖より、俺の弓だよな?沙羅ちゃん」
「それがさー、一人分しか無いのー」
「だから、俺、俺。俺の剣だろ?」
「優里香と相談したんだけどー。大河の盾にしようと思うのよー」
「えー?何でだよ?」
「何で僕?」
「文句言うなー。私の独断と偏見で決めるって言って有ったでしょう」
「何故大河なのだ?(この僕では無く)」
「大河君ね、いつも皆んなを守る為に無茶するから、だから、盾を強化してほしいの」
「攻撃は最大の防御と言うが、武器では無く盾から強化か」
「あんた達結構スキル覚えたじゃーん。攻撃は良い感じに成長してんのよ」
「確かに…」
「じゃ、行くよー」
「行くって、どこだ?」
「大河おいでー」
「はい」
「俺達もついて行って良いだろ?」
「良いわよー、別にー」
【洞窟】
試験の日、最後の試練でカプセルを取りに来た洞窟だね。
《中に入ると…》
あ、やっぱりカプセルが1つ残ってる。
《祭壇の上にカプセルが少し宙に浮いた感じで1つ残っている》
あれがヒーラーの装備なんだね。
「大河ー。盾ちょうだーい」
「はい」
《大河はカプセルを出して、中から盾を取り出す》
「強化するわよー」
どうやって強化するんだろう?
《沙羅先生は大河の盾をヒーラーのカプセルの横に置いてその上にジェムストーンを置く》
盾が浮いてる。
あれ?
金色の光に包まれて…
なんだか変化して行く。
「随分と大きな盾になったな」
「カッコいいじゃん」
「はーい、大楯に強化出来たわよー、大河」
「ありがとう」
「これだけ大きな盾だ。しっかり守ってもらわんとな」
「イヤミ、イヤミ言うなよ」
「次こそは、この僕の杖を強化してもらいたいものだな」
「沙羅ちゃん、次決まってんのか?」
「決まってなーい」
次回も沙羅先生の独断と偏見で決めるらしい。
《皆んなが洞窟を出て行く。大河が振り返ると優里香先生が1つ残ったカプセルを愛おしそうに見ている》
ヒーラーのカプセル…
中には何が入ってるんだろう?
《祈るようにカプセルを見ていた優里香先生が大河の視線に気づく》
「あ…本当はね、このカプセル大河君が取ってくれると思ったのよ」
「え?何で僕?」
「勇者の試練をモニターで見ていて、貴方が適任だと思ったの…」
《優里香先生は再びカプセルに目を落とす》
「それなのに、どうしてこの子を選ばなかったの?あなたは」
そんな事カプセルに言ったって答えるわけ…
《優里香先生がそっと手を伸ばすとカプセルが開いて分厚い本が飛び出す》
「あ!」
「えっ?」
《優里香先生はびっくりして手を引っ込める》
「先生その本」
「たぶんヒーリングの方法が沢山詰まっているのね」
「だったら取ってみて」
「無理よ…私には…」
優里香先生、前にカプセルに選ばれなかったって言ってた。
でも…
でも今なら…
今の優里香先生なら、このカプセルを取れるような気がするんだ。
「その本、何で飛び出したのかな?きっと先生に読んでもらいたいんじゃないかな?」
「私…に?」
《優里香先生はためらいがちにそーっと手を伸ばす》
「やっぱりダメ」
《手を引っ込めてしまう》
「先生見て」
「え?」
《本が開いている》
「やっぱりそうだよ」
「まさか」
「フッ、踊ってる。何だか嬉しそうだね君は。優里香先生を誘ってるんだろう?」
《大河がそう言うとまた嬉しそうに踊る》
「この本…何が書いて有るのかしら?」
「スキルだよ」
「大河君?」
「僕じゃない、本が喋った!」
まあ、今更何が起こっても驚かないけどね、ここはそういう所だ。
「ずっと待ってたホン。早く僕を手に取ってなの」
「「僕」って、男の子?それはちょっと妬けるな」
「大河は優里香の恋人?」
「うーん…きっとそうなる」
「もう、大河君たら、何言ってるの」
「ふーん、まだ違うのか。まあ僕は邪魔しないから安心しろなの。でも大河は優里香の事が好きなんだよね?」
「うん」
「でも、優里香は相手にしてない感じホン。僕がくっつけてやるから心配するななの」
「別に心配してないけどね」
「優里香、早く僕を手に取ってなの」
「本当に良いの?」
「この日を待ってたホン」
《優里香先生はゆっくりと本に手を伸ばす》
「取れたわ」
「宜しくなの」
「宜しくね。さあ、貴方の中に何が書いて有るのかしら?」
《優里香先生は嬉しそうにページをめくる》
「くすぐったいホン、やめるホン」
「そんなに動いたら読めないじゃない」
「読んでスキルを覚えるんじゃないホン」
「じゃあ、どうやって?」
「他の皆んなと同じだホン」
【旧校舎の教室】
「どう?司ー」
「おう、すげー動きやすい」
「沙羅先生、俺のも早くくれよ」
「翔のはまだこれからー」
《大輝と優里香先生が教室に入って来る》
「大河、遅っせ ー」
「優里香先生も一緒だったようだな」
「二人っきりで何やってたのよー?」
「別に何もしてないよ」
「これ…」
《優里香先生はカプセルを出して見せる》
「優里香取れたんだー。やったじゃん」
「先生、俺の戦闘服早く作ってくれよ」
「翔より僕が先だ」
「何だよイヤミ」
「はい、優里香。大河と自分の縫ってー」
《沙羅先生はドサッと生地を渡す》
「あっ…」
「これって、エルフの村で貰った」
「そうそう、あん時の生地だよー。あたしはこいつらの作るからー。優里香は大河と自分のね」
「ええ…わかったわ」
「大河、これすっげー軽くて動きやすいぞ」
「本当?僕の出来るの楽しみだな」
「沙羅先生、早く俺の、俺の」
「僕のも早急にお願いしたい」
「優里香先生、僕のは急がなくて良いからね」
「え?ダメよ。そんなに動きやすいなら急いで作るわ。だって、いつまた魔族が現れるかわからないもの」
【並木道】
《特別クラスの寮に帰る大河、翔、司、蓮》
「大河くーん!」
《振り返る大河》
「遠山さん」
《遠山桜が息を切らせて走って来る》
「ハァハァ…」
「どうしたの?」
「ハァハァ…梅が居ないの」
「大岡さんが?」
「部活終わって帰ろうと思ったら、もう居なかったの」
「先帰ったんじゃねえのか?」
「そんなはず無いわ。いつも一緒に帰るもん」
「何か用事が出来たんじゃね?」
「だったら良いけど、一人で山に入ったんじゃないかって…」
「電話してみたら?」
「何度もかけたわ。出ないのよ」
「んじゃ、メールすれば良いじゃん」
「したけど返信無いの。ねえ、山に行ってたらどうしよう?」
【山道】
「暗くならないうちに着きたいわね」
《大岡梅はポケットからスマホを出す》
「バッテリー切れか…まあ、どうせ、向こうの世界じゃ繋がんないだろうし、良いっか」
《梅は山の奥へと入って行く》
「見えて来た!あの廃屋ね。あの中に向こうの世界の入り口が有るんだよね?ウハッ、勇者様に早く会いたい!」
《梅は走って廃屋へ向かう》
【人間界の山の廃屋】
《歪みが現れる》
「うわっ、うわっ、うわーっ」
「何だ?宙に浮いてるのか?」
《翔、蓮に続いて司と沙羅先生が落下する。ドスーーーン!!!続いて空中に大河と由利香先生が現れる》
うわっ、危ない。
「あっ」
《大河はとっさに優里香先生をがばって抱くように落下する》
「痛い…大河君大丈夫?」
「先生ケガは?」
「私は大丈夫」
「良かった」
「大河君は?」
「僕も大丈夫だよ」
「ケガは無いのね?」
「うん、たぶん」
「じゃあどうしてそんな顔してるの?」
「その…レディに失礼なんだけど…」
「え?そんな小さな声じゃ聞こえないわ」
「重いんですけど」
「ハハハ」
翔達は笑ってるけど…
《大河の上に優里香先生が重なっている》
優里香先生って、誰かのケガの心配をすると他が見えないと言うか、状況がわからないんだよね。
この天然ぶりが可愛いんだけど…
「誰も居なかったらKISSしちゃうんだけどな」
「もう、大河君。何言ってるの」
「フッ」
「(笑ってるんだからこの子は…私をかばって、わざと下敷きになるように落ちるんだもの。心配するに決まってるじゃない)」
「大河、しちゃえばー?皆んなで向こう向いててあげるからー」
「沙羅先生もそんな事言って」
《そう言うと優里香先生は起き上がる》
「痛たたた、れ蓮も大河みたいにあたしをかばってくれれば良かったのにー。思いっきりお尻打っちゃったよー」
「は、まあ、尻から落ちたのなら問題無いでしょう」
「沙羅先生なら、胸から落ちても問題ねーだろ?」
「こら、翔」
「痛てっ、何でげんこつだよ」
「胸から落ちるなら、俺が下敷きになってやっても良かったぞ」
「あら、司。じゃ、今度からそうするわよーって、そんな器用に出来ないし」
「ケツの方が重いってか?」
「うん?」
「痛てて、何で俺だけげんこつだよ?」
「フッ」
いつものやり取りだ。
帰って来たんだね、僕達の世界に。
「明日からまた学校かよ」
「今日からです!」
「嘘だろ?だりぃ。優里香先生のオニ」
「何ですって、司君。今からなら授業に間に合うわ、さ、早く山を下りましょう」
「マジかよ?」
【山道】
「腹減ったー。朝飯食わねえで学校行けってかよ?」
「今日は休ませてやっても良いんじゃなーい?」
「そうね、朝食はしっかり摂らないといけないわね」
「やった!」
「遅刻しても仕方ないかしら?」
「遅刻しても行けってか?!」
【大河達の教室】
そんなわけで、急いで朝食を摂って教室に来たんだけど…
「大変だったな、お前達。無事に帰って来てくれて本当に良かった」
沙羅先生が、担任の谷田先生に話しておいてくれたから、面倒な事にならなくて助かった。
「ねえねえ、大河君。向こうの世界ってどんなだった?モンスターとか居たんでしょ
う?」
「勇者様は?そんな世界なら勇者様居たんじゃない?」
「居ないみたいだったよ」
「俺達が、その勇者様だってんの」
「だりぃ、大岡って本当勇者が好きだな」
「どんな町だった?中世ヨーロッパみたいな、素敵な町?」
「湖に浮いた魚人族の町とか…」
「半魚人?」
「魚人族だよ。それから、森の中のエルフの村に行ったよ」
「エルフって、本当に居たの?!」
「うん、居た」
「ねえ、桜。私達も行ってみない?」
「え?あっちの世界?」
「私、勇者様に会ってみたい」
「だから、大岡さん。勇者様は居なかったよ」
「それは、大河君達がたまたま会わなかっただけよ」
「私は怖いから行きたくないわ」
「やめといた方が良いと思うよ。モンスター居るし」
「そうだよ、梅ちゃん。やめなって」
「どうやったら行けるのかな?あっちの世界」
大岡さん、まさか一人で行ったりしないよね?
まあ、あの廃屋は立ち入り禁止になっているけれど…
【旧校舎】
《大河、翔、司が校舎に入って来る》
「帰って来たばっかで、結局授業受けてよう、ほんでこっち来てまた勉強か?」
「しょうがないね」
「だりぃ」
【教室】
「遅いぞ、お前達」
「イヤミがイヤミ言ってら」
「遅いと言っただけだ。こういうのは、イヤミとは言わん」
「皆んな揃ったわねー」
《沙羅先生と優里香先生が入って来る》
「ジェムが結構貯まったのよー」
「ほうほう、そんで何に使うんだ?」
「装備を強化しようかなーって思ってるのー」
「やったー!俺一番!俺の大剣を強化してくれよ、沙羅先生」
「一番は、この僕に決まっている」
「イヤミの杖より、俺の弓だよな?沙羅ちゃん」
「それがさー、一人分しか無いのー」
「だから、俺、俺。俺の剣だろ?」
「優里香と相談したんだけどー。大河の盾にしようと思うのよー」
「えー?何でだよ?」
「何で僕?」
「文句言うなー。私の独断と偏見で決めるって言って有ったでしょう」
「何故大河なのだ?(この僕では無く)」
「大河君ね、いつも皆んなを守る為に無茶するから、だから、盾を強化してほしいの」
「攻撃は最大の防御と言うが、武器では無く盾から強化か」
「あんた達結構スキル覚えたじゃーん。攻撃は良い感じに成長してんのよ」
「確かに…」
「じゃ、行くよー」
「行くって、どこだ?」
「大河おいでー」
「はい」
「俺達もついて行って良いだろ?」
「良いわよー、別にー」
【洞窟】
試験の日、最後の試練でカプセルを取りに来た洞窟だね。
《中に入ると…》
あ、やっぱりカプセルが1つ残ってる。
《祭壇の上にカプセルが少し宙に浮いた感じで1つ残っている》
あれがヒーラーの装備なんだね。
「大河ー。盾ちょうだーい」
「はい」
《大河はカプセルを出して、中から盾を取り出す》
「強化するわよー」
どうやって強化するんだろう?
《沙羅先生は大河の盾をヒーラーのカプセルの横に置いてその上にジェムストーンを置く》
盾が浮いてる。
あれ?
金色の光に包まれて…
なんだか変化して行く。
「随分と大きな盾になったな」
「カッコいいじゃん」
「はーい、大楯に強化出来たわよー、大河」
「ありがとう」
「これだけ大きな盾だ。しっかり守ってもらわんとな」
「イヤミ、イヤミ言うなよ」
「次こそは、この僕の杖を強化してもらいたいものだな」
「沙羅ちゃん、次決まってんのか?」
「決まってなーい」
次回も沙羅先生の独断と偏見で決めるらしい。
《皆んなが洞窟を出て行く。大河が振り返ると優里香先生が1つ残ったカプセルを愛おしそうに見ている》
ヒーラーのカプセル…
中には何が入ってるんだろう?
《祈るようにカプセルを見ていた優里香先生が大河の視線に気づく》
「あ…本当はね、このカプセル大河君が取ってくれると思ったのよ」
「え?何で僕?」
「勇者の試練をモニターで見ていて、貴方が適任だと思ったの…」
《優里香先生は再びカプセルに目を落とす》
「それなのに、どうしてこの子を選ばなかったの?あなたは」
そんな事カプセルに言ったって答えるわけ…
《優里香先生がそっと手を伸ばすとカプセルが開いて分厚い本が飛び出す》
「あ!」
「えっ?」
《優里香先生はびっくりして手を引っ込める》
「先生その本」
「たぶんヒーリングの方法が沢山詰まっているのね」
「だったら取ってみて」
「無理よ…私には…」
優里香先生、前にカプセルに選ばれなかったって言ってた。
でも…
でも今なら…
今の優里香先生なら、このカプセルを取れるような気がするんだ。
「その本、何で飛び出したのかな?きっと先生に読んでもらいたいんじゃないかな?」
「私…に?」
《優里香先生はためらいがちにそーっと手を伸ばす》
「やっぱりダメ」
《手を引っ込めてしまう》
「先生見て」
「え?」
《本が開いている》
「やっぱりそうだよ」
「まさか」
「フッ、踊ってる。何だか嬉しそうだね君は。優里香先生を誘ってるんだろう?」
《大河がそう言うとまた嬉しそうに踊る》
「この本…何が書いて有るのかしら?」
「スキルだよ」
「大河君?」
「僕じゃない、本が喋った!」
まあ、今更何が起こっても驚かないけどね、ここはそういう所だ。
「ずっと待ってたホン。早く僕を手に取ってなの」
「「僕」って、男の子?それはちょっと妬けるな」
「大河は優里香の恋人?」
「うーん…きっとそうなる」
「もう、大河君たら、何言ってるの」
「ふーん、まだ違うのか。まあ僕は邪魔しないから安心しろなの。でも大河は優里香の事が好きなんだよね?」
「うん」
「でも、優里香は相手にしてない感じホン。僕がくっつけてやるから心配するななの」
「別に心配してないけどね」
「優里香、早く僕を手に取ってなの」
「本当に良いの?」
「この日を待ってたホン」
《優里香先生はゆっくりと本に手を伸ばす》
「取れたわ」
「宜しくなの」
「宜しくね。さあ、貴方の中に何が書いて有るのかしら?」
《優里香先生は嬉しそうにページをめくる》
「くすぐったいホン、やめるホン」
「そんなに動いたら読めないじゃない」
「読んでスキルを覚えるんじゃないホン」
「じゃあ、どうやって?」
「他の皆んなと同じだホン」
【旧校舎の教室】
「どう?司ー」
「おう、すげー動きやすい」
「沙羅先生、俺のも早くくれよ」
「翔のはまだこれからー」
《大輝と優里香先生が教室に入って来る》
「大河、遅っせ ー」
「優里香先生も一緒だったようだな」
「二人っきりで何やってたのよー?」
「別に何もしてないよ」
「これ…」
《優里香先生はカプセルを出して見せる》
「優里香取れたんだー。やったじゃん」
「先生、俺の戦闘服早く作ってくれよ」
「翔より僕が先だ」
「何だよイヤミ」
「はい、優里香。大河と自分の縫ってー」
《沙羅先生はドサッと生地を渡す》
「あっ…」
「これって、エルフの村で貰った」
「そうそう、あん時の生地だよー。あたしはこいつらの作るからー。優里香は大河と自分のね」
「ええ…わかったわ」
「大河、これすっげー軽くて動きやすいぞ」
「本当?僕の出来るの楽しみだな」
「沙羅先生、早く俺の、俺の」
「僕のも早急にお願いしたい」
「優里香先生、僕のは急がなくて良いからね」
「え?ダメよ。そんなに動きやすいなら急いで作るわ。だって、いつまた魔族が現れるかわからないもの」
【並木道】
《特別クラスの寮に帰る大河、翔、司、蓮》
「大河くーん!」
《振り返る大河》
「遠山さん」
《遠山桜が息を切らせて走って来る》
「ハァハァ…」
「どうしたの?」
「ハァハァ…梅が居ないの」
「大岡さんが?」
「部活終わって帰ろうと思ったら、もう居なかったの」
「先帰ったんじゃねえのか?」
「そんなはず無いわ。いつも一緒に帰るもん」
「何か用事が出来たんじゃね?」
「だったら良いけど、一人で山に入ったんじゃないかって…」
「電話してみたら?」
「何度もかけたわ。出ないのよ」
「んじゃ、メールすれば良いじゃん」
「したけど返信無いの。ねえ、山に行ってたらどうしよう?」
【山道】
「暗くならないうちに着きたいわね」
《大岡梅はポケットからスマホを出す》
「バッテリー切れか…まあ、どうせ、向こうの世界じゃ繋がんないだろうし、良いっか」
《梅は山の奥へと入って行く》
「見えて来た!あの廃屋ね。あの中に向こうの世界の入り口が有るんだよね?ウハッ、勇者様に早く会いたい!」
《梅は走って廃屋へ向かう》
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