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第10章 戦場の花よ舞い散る事無かれ
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【廃屋】
《歪みの中から誰か出て来る。入り口からは大岡梅が駆け込んで来る。バッタリと顔を合わせる2人》
「キャー」
「キャー」
「何よ!」
「それはこっちのセリフよ。あなた人間?」
「アタシは魚人族」
「そうか、やっぱり!向こうの世界から来たんだ。キャー!半魚人!」
「それを言うなら人魚よ、人魚」
「え!?私の事食べる気?」
「誰があんたなんか食べるのよ。食べれたとしても美味しくなさそうだわ」
「何か変な人だけど、悪もんじゃなさそう」
「当たり前でしょ!」
「向こうの世界から来たなら、勇者様は?」
「勇者?そんなもん知らないわよ」
「居るでしょう。剣と盾持ってて、カッコ良くて、モンスターに襲われてたりしたら助けに来てくれるの」
「ああ、それならあの子達の事だね」
「あの子達?子供なの?」
「ちょうどあんたぐらいの子さ」
「そうなんだぁ」
《嬉しそうに目を輝かせる大岡梅》
「どこに行けば会えるの?連れてって」
「どこって、こっちの世界から来たんだよ」
「えー?嘘。勇者様って、普通こんな所に居ないもん」
「本当に来たのさ。男の子が4人」
「4人?ふむふむ、勇者のパーティは4人なのね」
「女の人も2人居たよ」
「えー?やだぁ!女の人も一緒なの?」
「あの子達の先生って言ってたね」
「なんだぁ。それってもしかして、大河君達の事?」
「大河?あ、そうそう。確か小虎が「大河兄ちゃん」て呼んでたよ」
「もう、なによ。あんなのじゃなくて、本当の勇者様に会いたいの!向こうの世界に連れてってよ」
「そんなもんアタシ達の世界にだって居やしないよ。そんな事よりさ、アタシゃ人間の町を見て歩きたいんだよ」
【大岡梅の部屋】
「あ、桜からメール」
メール
桜/今どこに居るの?
梅/どこって、家だよ
桜/心配したんだからね
「何で心配よ?」
「ちょっと、こんなの着れないわよ。もっと他の無いの?」
「醜女さんて、魚人族なんでしよう?河童みたいにお皿が乾いたらダメとか?」
「そんなバカな。まあさ、長く陸に上がってると水ん中に入りたくはなるけどね」
「そうなんだぁ…じゃあ、お風呂入れば良いか」
「本当は海が良いんだけどさ」
「そのカッコで海になんか行ったら捕まえられちゃうよ」
「それはごめんだね」
「だから、半魚人てわかんないようにちゃんと着替えてよ」
「半魚人て言うな!人魚よ、人魚」
「そこんとここだわるんだぁ」
「だって、半魚人て言うと何と無くオヤジ臭いじゃない」
「だって本当はオヤジでしょう?」
「もう、言わないでよ」
「ほらほら早く着替えなさいって」
「着替えたら町を案内してくれんのかい?」
「今日はもう遅いから、出かけたら怒られちゃうよ。明日ね」
【特別クラスの寮エントランス】
《翌日の土曜日》
「(どうしよう?こんな事、彼にしか頼めないわよね…彼?あの子でしょう?あの子よ)」
「あれ?優里香先生。何してるの?」
「あ、大河君…」
「うん?」
「(どうしよう?彼に、ううん、この子よ。この子に頼んでみる?)」
「どうしたの?」
「あのね、大河君。トレーニングに付き合ってほしいの」
「トレーニング?」
「私もこれから戦う事になるでしょう?貴方達の足でまといになりたくないもの」
「なるほどね」
「お願い出来る?」
《大河はいたずらっぽく笑って》
「お礼は何?」
「お礼?そうね…」
「kissが良いなぁ」
「もう、この子は。何言ってるの」
【街】
「醜女さん、こっちこっち!早く!」
「ちょっと待ってよ、アタシゃ何見ても珍しくてさ」
《大岡梅に案内されて人間界の街の散策を楽しむ醜女》
「醜女さん達の世界にも、町は有るでしょう?ほら、城下町とか」
「有るけどさ。凄い高いね…こんな建物は無いよ」
「高層ビルが珍しいの?」
【聖フェアリー学園特別クラス旧校舎の庭】
《大河と優里香先生がアンドロイドを相手に戦闘の特訓をしている。大河は必要以上に優里香先生を庇いながら戦う》
「大河君、それじゃぁ私何も出来ないわ」
「だって、僕達が戦うから、先生は僕が守るから」
「私だって戦えるわよ、この子が居るもの」
「そうだホン、ヒーラーだって戦闘スキルが有るホン」
「あら、そうなのね」
「僕を開いてみるホン」
「ヒール以外何も書いて無いわ」
「これから覚えるホン」
「えー?これからなの?」
「そうか、僕達だって戦いながら少しずつスキルを覚えるんだから、先生も同じだよね」
「そうなのね」
【町】
《大岡梅と醜女が歩いている。醜女は人間界に興味津々でキョロキョロしている》
「醜女さん、私お腹空いちゃったよ。何か食べようよ」
「良いわね、食べましょ」
「半魚人て何食べるんだろう?」
「だから半魚人じゃない、って言ってんだろ、本当にアンタは」
「いつも何食べてんの?」
「何でも食べるわよ。そう言やあの翔って坊やに魚食べてたら「共食いだ!」って言われちゃったわよ」
「あー、東成君の言いそうな事だわ」
「どこのお店に入るのよ?」
「この先に美味しい洋食屋さんが有るんだ」
【聖フェアリー学園並木道】
《校門に向かう優里香先生と大河》
「お礼にお昼ご馳走するわ」
「それってデート?」
「え?もう、またそんな事言って」
「お礼ならデートが良いんだけどね」
「貴方と私は教師と生徒。デートなんて出来ないでしょう?」
「そうかな?そんな校則ある?この学校」
「常識です」
「いやあ、だって、僕達魔族と戦ったり、常識じゃ計り知れない事してるでしょう」
「だからって、教師と生徒がデートして良いって事にはならないわ」
「いい加減な気持ちじゃないんだ。僕は本当に先生の事が好きだ」
「……大河君」
【洋食屋】
《大岡梅と醜女がテーブルに着く》
「ここは何でも美味しいから」
「忘れてたんだけどさ、アタシこっちの世界のお金持ってないんだよ」
「当たり前じゃない。そんなのわかってるわよ。私が奢るから心配しないで」
「それじゃ悪いよ」
「気にしない、気にしない。今度醜女さん達の世界に行ったらお世話になるからさ」
《優里香先生と大河が入って来る》
「おや、あの子じゃないかい」
「あ、大河君じゃない。保健の先生も一緒だ」
「坊や達。こっちにいらっしゃいよ」
「え?醜女さん?」
《目を丸くする大河》
「大河君と先生も一緒に食べようよ」
《2人は醜女達と同じテーブルに着く》
「醜女さん、いつ来たの?」
「昨日だよ。小猿を追いかけて洞窟に入ったらさ、こっちの世界に来ちまったんだよ」
「小猿?」
「獣人族の子さ」
「もしかして、その子もこっちの世界に来ちゃったのかしら?」
「もしそうなら探し出して連れて帰ってやんないと」
【山道】
《獣人族の子が歩いている》
「ここはどこでござるか?」
《キョロキョロと辺りを見回しながら山道を歩く獣人族の子》
「洞窟の向こうに人間界に繋がる入口が有るとは聞いていたでござるが、本当に来てしまったようでござるな。海が見えるでござる!」
《獣人族の子は海に向かって走り出す》
【町】
《大河、優里香先生、大岡梅、醜女の4人が洋食屋から出て来る》
「醜女さんどうしたの?何だか元気が無いけど…あ、もしかして、カッパのお皿が乾いた的な?」
「何の事?」
「もう、大河君鈍いな。だって醜女さん半魚人じゃない、水よ水。水が無いとカッパのお皿が乾いたみたいになっちうの」
「だから、アタシゃ半魚人じゃないって!それにカッパじゃないんだから、お皿乾いてどうなるってもんじゃないよ」
だけど、醜女さん魚人族だから水が恋しいのかな?
普段は水辺で生活してるんだもんね。
「そんな事より、小猿が心配なんだよ。何だか胸騒ぎがすんのさ」
【海岸】
「人間界にはモンスターは居ないでござるな」
「グワーッ!」
「ま、魔族でござる!」
「グワーッ!」
「た、助けて!」
《魔族が獣人族の子に襲いかかる》
「小猿ちゃん!」
「え?醜女さんでござるか?た、助けて!」
戦えるのは僕だけだ。
先生達を守らないと。
《大河はカプセルから装備を取り出す》
「私も」
《優里香先生もカプセルから装備を取り出す》
「大岡さん、翔達呼んで」
「わ、わかった」
《大河は皆んなを庇うように盾を構えて前に出る》
「私だって戦えるわ」
「先生は僕が守るから」
「私も戦います。でなければスキルを覚えられないもの」
そうか…
「ヒーラーのポジションは、後列だからね」
「わかったわ」
戦場の花よ舞い散る事無かれ。
「グワーッ!」
《戦闘開始!!大河は優里香先生を庇いながら槍で攻撃する。優里香先生は本で攻撃》
「通常攻撃しか出来ないのはツラいわ」
「頑張るホン」
「ごめんね、痛いでしょう?」
「大丈夫なの、良いから僕で殴るの」
《優里香先生を庇いながら戦う大河は魔族の攻撃を受ける》
「グワーッ!」
「くっ!」
「大河君!」
「大丈夫だから」
火力が居ないと…
盾と回復だけじゃスタミナ要るな。
長期戦になりそうだぞ。
《優里香先生の本が金色の光に包まれている》
「先生、本」
「え?」
《優里香先生は自分の手に持った本を見る》
「どうしたの?」
「ウーーーッ!熱いの熱いの」
「大丈夫?様子が変よ」
「スキル覚えそうだね」
「え?そうなの?」
「うん。僕達がスキルを覚える時、いつも装備が光に包まれるよ」
「ホンちゃん頑張って」
「光の輪が…今ふと目に浮かんだの」
「それだよ。言ってみて」
「光の輪!」
《優里香先生がそう言うと本がパッと開き光の輪が飛び出す。光の輪は魔族の体にすっぽり入って締め付ける》
「スタン有るんだ」
「あら本当。気絶してる」
そう長くはないけど、気絶してると助かるね。
「大河ー!」
翔の声だ。
「大河君、皆んな来てくれたよ」
《走りながらカプセルを取り出し装備を整える翔、司、蓮》
「来てやったぜ」
「だりぃ、待たせたな」
「主役は遅れて登場するものだ」
「皆んなありがとう」
「何言ってんだよ大河。当たり前じゃん」
「何故優里香先生は間に合ったのだ?」
「先生と大河君一緒にご飯食べてたんだよ」
「おおー!ついにデートしたのねー」
「もう、沙羅ちゃん。違うわよ」
「私と醜女さんも一緒だったんだよ」
「醜女さん何で来たんだ?」
「小猿を追いかけて 、って!あんた達!お喋りしてないで、真面目に戦いなさいよ!」
「光の輪!」
「優里香先生スキル覚えてんじゃん」
「このスキル、スタンが有るんだよ」
《嬉しそうに言う大河》
「本当だ、すげー!」
「これは助かるな」
「だりぃから、範囲スキルで一掃するぞ」
「今僕がそう言おうと思ったところだ」
「ったくう、良いじゃねえかよ。イヤミは負けず嫌いだな」
「イヤミ君、自分で仕切らないと気が済まないのよねー」
「イヤミじゃない!井山だ!」
「だりぃ、どっちでも良いじゃん」
「良くない!!」
「ファイヤーレイン!」
「いつの間に覚えたのだ?!」
「だりぃな、今だよ」
そう、今司の弓が赤く光ってたもんね。
「先を越されたか。見てろ僕もすぐに覚えてやる」
「なぎ払い!でーーーい!!!」
「グワァーーー!!!」
「ふぅ、倒したな」
「僕のビッグウェーブでトドメを刺そうとしたところに…」
本当蓮君は負けず嫌いだな。
「良いじゃんかよ、倒したんだからさぁ」
「優里香先生大丈夫?」
「ええ、私は大丈夫よ。皆んな怪我は無い?」
「あーん…大河が打撲してるぐらいか?」
「見せてご覧なさい」
「このぐらい平気だよ」
「ダメよ。大河君はいつもそうなんだから」
「また始まったぜ」
《大河のケガを手当てする優里香先生》
「2人は恋人でござるか?」
「違います!」
「違うよ」
《同時に言う2人》
「2人とも顔が赤いでござるよ」
「子供が何言ってんだい」
「子供じゃないでござるよ」
《歪みの中から誰か出て来る。入り口からは大岡梅が駆け込んで来る。バッタリと顔を合わせる2人》
「キャー」
「キャー」
「何よ!」
「それはこっちのセリフよ。あなた人間?」
「アタシは魚人族」
「そうか、やっぱり!向こうの世界から来たんだ。キャー!半魚人!」
「それを言うなら人魚よ、人魚」
「え!?私の事食べる気?」
「誰があんたなんか食べるのよ。食べれたとしても美味しくなさそうだわ」
「何か変な人だけど、悪もんじゃなさそう」
「当たり前でしょ!」
「向こうの世界から来たなら、勇者様は?」
「勇者?そんなもん知らないわよ」
「居るでしょう。剣と盾持ってて、カッコ良くて、モンスターに襲われてたりしたら助けに来てくれるの」
「ああ、それならあの子達の事だね」
「あの子達?子供なの?」
「ちょうどあんたぐらいの子さ」
「そうなんだぁ」
《嬉しそうに目を輝かせる大岡梅》
「どこに行けば会えるの?連れてって」
「どこって、こっちの世界から来たんだよ」
「えー?嘘。勇者様って、普通こんな所に居ないもん」
「本当に来たのさ。男の子が4人」
「4人?ふむふむ、勇者のパーティは4人なのね」
「女の人も2人居たよ」
「えー?やだぁ!女の人も一緒なの?」
「あの子達の先生って言ってたね」
「なんだぁ。それってもしかして、大河君達の事?」
「大河?あ、そうそう。確か小虎が「大河兄ちゃん」て呼んでたよ」
「もう、なによ。あんなのじゃなくて、本当の勇者様に会いたいの!向こうの世界に連れてってよ」
「そんなもんアタシ達の世界にだって居やしないよ。そんな事よりさ、アタシゃ人間の町を見て歩きたいんだよ」
【大岡梅の部屋】
「あ、桜からメール」
メール
桜/今どこに居るの?
梅/どこって、家だよ
桜/心配したんだからね
「何で心配よ?」
「ちょっと、こんなの着れないわよ。もっと他の無いの?」
「醜女さんて、魚人族なんでしよう?河童みたいにお皿が乾いたらダメとか?」
「そんなバカな。まあさ、長く陸に上がってると水ん中に入りたくはなるけどね」
「そうなんだぁ…じゃあ、お風呂入れば良いか」
「本当は海が良いんだけどさ」
「そのカッコで海になんか行ったら捕まえられちゃうよ」
「それはごめんだね」
「だから、半魚人てわかんないようにちゃんと着替えてよ」
「半魚人て言うな!人魚よ、人魚」
「そこんとここだわるんだぁ」
「だって、半魚人て言うと何と無くオヤジ臭いじゃない」
「だって本当はオヤジでしょう?」
「もう、言わないでよ」
「ほらほら早く着替えなさいって」
「着替えたら町を案内してくれんのかい?」
「今日はもう遅いから、出かけたら怒られちゃうよ。明日ね」
【特別クラスの寮エントランス】
《翌日の土曜日》
「(どうしよう?こんな事、彼にしか頼めないわよね…彼?あの子でしょう?あの子よ)」
「あれ?優里香先生。何してるの?」
「あ、大河君…」
「うん?」
「(どうしよう?彼に、ううん、この子よ。この子に頼んでみる?)」
「どうしたの?」
「あのね、大河君。トレーニングに付き合ってほしいの」
「トレーニング?」
「私もこれから戦う事になるでしょう?貴方達の足でまといになりたくないもの」
「なるほどね」
「お願い出来る?」
《大河はいたずらっぽく笑って》
「お礼は何?」
「お礼?そうね…」
「kissが良いなぁ」
「もう、この子は。何言ってるの」
【街】
「醜女さん、こっちこっち!早く!」
「ちょっと待ってよ、アタシゃ何見ても珍しくてさ」
《大岡梅に案内されて人間界の街の散策を楽しむ醜女》
「醜女さん達の世界にも、町は有るでしょう?ほら、城下町とか」
「有るけどさ。凄い高いね…こんな建物は無いよ」
「高層ビルが珍しいの?」
【聖フェアリー学園特別クラス旧校舎の庭】
《大河と優里香先生がアンドロイドを相手に戦闘の特訓をしている。大河は必要以上に優里香先生を庇いながら戦う》
「大河君、それじゃぁ私何も出来ないわ」
「だって、僕達が戦うから、先生は僕が守るから」
「私だって戦えるわよ、この子が居るもの」
「そうだホン、ヒーラーだって戦闘スキルが有るホン」
「あら、そうなのね」
「僕を開いてみるホン」
「ヒール以外何も書いて無いわ」
「これから覚えるホン」
「えー?これからなの?」
「そうか、僕達だって戦いながら少しずつスキルを覚えるんだから、先生も同じだよね」
「そうなのね」
【町】
《大岡梅と醜女が歩いている。醜女は人間界に興味津々でキョロキョロしている》
「醜女さん、私お腹空いちゃったよ。何か食べようよ」
「良いわね、食べましょ」
「半魚人て何食べるんだろう?」
「だから半魚人じゃない、って言ってんだろ、本当にアンタは」
「いつも何食べてんの?」
「何でも食べるわよ。そう言やあの翔って坊やに魚食べてたら「共食いだ!」って言われちゃったわよ」
「あー、東成君の言いそうな事だわ」
「どこのお店に入るのよ?」
「この先に美味しい洋食屋さんが有るんだ」
【聖フェアリー学園並木道】
《校門に向かう優里香先生と大河》
「お礼にお昼ご馳走するわ」
「それってデート?」
「え?もう、またそんな事言って」
「お礼ならデートが良いんだけどね」
「貴方と私は教師と生徒。デートなんて出来ないでしょう?」
「そうかな?そんな校則ある?この学校」
「常識です」
「いやあ、だって、僕達魔族と戦ったり、常識じゃ計り知れない事してるでしょう」
「だからって、教師と生徒がデートして良いって事にはならないわ」
「いい加減な気持ちじゃないんだ。僕は本当に先生の事が好きだ」
「……大河君」
【洋食屋】
《大岡梅と醜女がテーブルに着く》
「ここは何でも美味しいから」
「忘れてたんだけどさ、アタシこっちの世界のお金持ってないんだよ」
「当たり前じゃない。そんなのわかってるわよ。私が奢るから心配しないで」
「それじゃ悪いよ」
「気にしない、気にしない。今度醜女さん達の世界に行ったらお世話になるからさ」
《優里香先生と大河が入って来る》
「おや、あの子じゃないかい」
「あ、大河君じゃない。保健の先生も一緒だ」
「坊や達。こっちにいらっしゃいよ」
「え?醜女さん?」
《目を丸くする大河》
「大河君と先生も一緒に食べようよ」
《2人は醜女達と同じテーブルに着く》
「醜女さん、いつ来たの?」
「昨日だよ。小猿を追いかけて洞窟に入ったらさ、こっちの世界に来ちまったんだよ」
「小猿?」
「獣人族の子さ」
「もしかして、その子もこっちの世界に来ちゃったのかしら?」
「もしそうなら探し出して連れて帰ってやんないと」
【山道】
《獣人族の子が歩いている》
「ここはどこでござるか?」
《キョロキョロと辺りを見回しながら山道を歩く獣人族の子》
「洞窟の向こうに人間界に繋がる入口が有るとは聞いていたでござるが、本当に来てしまったようでござるな。海が見えるでござる!」
《獣人族の子は海に向かって走り出す》
【町】
《大河、優里香先生、大岡梅、醜女の4人が洋食屋から出て来る》
「醜女さんどうしたの?何だか元気が無いけど…あ、もしかして、カッパのお皿が乾いた的な?」
「何の事?」
「もう、大河君鈍いな。だって醜女さん半魚人じゃない、水よ水。水が無いとカッパのお皿が乾いたみたいになっちうの」
「だから、アタシゃ半魚人じゃないって!それにカッパじゃないんだから、お皿乾いてどうなるってもんじゃないよ」
だけど、醜女さん魚人族だから水が恋しいのかな?
普段は水辺で生活してるんだもんね。
「そんな事より、小猿が心配なんだよ。何だか胸騒ぎがすんのさ」
【海岸】
「人間界にはモンスターは居ないでござるな」
「グワーッ!」
「ま、魔族でござる!」
「グワーッ!」
「た、助けて!」
《魔族が獣人族の子に襲いかかる》
「小猿ちゃん!」
「え?醜女さんでござるか?た、助けて!」
戦えるのは僕だけだ。
先生達を守らないと。
《大河はカプセルから装備を取り出す》
「私も」
《優里香先生もカプセルから装備を取り出す》
「大岡さん、翔達呼んで」
「わ、わかった」
《大河は皆んなを庇うように盾を構えて前に出る》
「私だって戦えるわ」
「先生は僕が守るから」
「私も戦います。でなければスキルを覚えられないもの」
そうか…
「ヒーラーのポジションは、後列だからね」
「わかったわ」
戦場の花よ舞い散る事無かれ。
「グワーッ!」
《戦闘開始!!大河は優里香先生を庇いながら槍で攻撃する。優里香先生は本で攻撃》
「通常攻撃しか出来ないのはツラいわ」
「頑張るホン」
「ごめんね、痛いでしょう?」
「大丈夫なの、良いから僕で殴るの」
《優里香先生を庇いながら戦う大河は魔族の攻撃を受ける》
「グワーッ!」
「くっ!」
「大河君!」
「大丈夫だから」
火力が居ないと…
盾と回復だけじゃスタミナ要るな。
長期戦になりそうだぞ。
《優里香先生の本が金色の光に包まれている》
「先生、本」
「え?」
《優里香先生は自分の手に持った本を見る》
「どうしたの?」
「ウーーーッ!熱いの熱いの」
「大丈夫?様子が変よ」
「スキル覚えそうだね」
「え?そうなの?」
「うん。僕達がスキルを覚える時、いつも装備が光に包まれるよ」
「ホンちゃん頑張って」
「光の輪が…今ふと目に浮かんだの」
「それだよ。言ってみて」
「光の輪!」
《優里香先生がそう言うと本がパッと開き光の輪が飛び出す。光の輪は魔族の体にすっぽり入って締め付ける》
「スタン有るんだ」
「あら本当。気絶してる」
そう長くはないけど、気絶してると助かるね。
「大河ー!」
翔の声だ。
「大河君、皆んな来てくれたよ」
《走りながらカプセルを取り出し装備を整える翔、司、蓮》
「来てやったぜ」
「だりぃ、待たせたな」
「主役は遅れて登場するものだ」
「皆んなありがとう」
「何言ってんだよ大河。当たり前じゃん」
「何故優里香先生は間に合ったのだ?」
「先生と大河君一緒にご飯食べてたんだよ」
「おおー!ついにデートしたのねー」
「もう、沙羅ちゃん。違うわよ」
「私と醜女さんも一緒だったんだよ」
「醜女さん何で来たんだ?」
「小猿を追いかけて 、って!あんた達!お喋りしてないで、真面目に戦いなさいよ!」
「光の輪!」
「優里香先生スキル覚えてんじゃん」
「このスキル、スタンが有るんだよ」
《嬉しそうに言う大河》
「本当だ、すげー!」
「これは助かるな」
「だりぃから、範囲スキルで一掃するぞ」
「今僕がそう言おうと思ったところだ」
「ったくう、良いじゃねえかよ。イヤミは負けず嫌いだな」
「イヤミ君、自分で仕切らないと気が済まないのよねー」
「イヤミじゃない!井山だ!」
「だりぃ、どっちでも良いじゃん」
「良くない!!」
「ファイヤーレイン!」
「いつの間に覚えたのだ?!」
「だりぃな、今だよ」
そう、今司の弓が赤く光ってたもんね。
「先を越されたか。見てろ僕もすぐに覚えてやる」
「なぎ払い!でーーーい!!!」
「グワァーーー!!!」
「ふぅ、倒したな」
「僕のビッグウェーブでトドメを刺そうとしたところに…」
本当蓮君は負けず嫌いだな。
「良いじゃんかよ、倒したんだからさぁ」
「優里香先生大丈夫?」
「ええ、私は大丈夫よ。皆んな怪我は無い?」
「あーん…大河が打撲してるぐらいか?」
「見せてご覧なさい」
「このぐらい平気だよ」
「ダメよ。大河君はいつもそうなんだから」
「また始まったぜ」
《大河のケガを手当てする優里香先生》
「2人は恋人でござるか?」
「違います!」
「違うよ」
《同時に言う2人》
「2人とも顔が赤いでござるよ」
「子供が何言ってんだい」
「子供じゃないでござるよ」
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美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
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