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第11章 帰る前に見物でござるよ
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【坂道】
「せっかく来たんだから、もう少し人間の町を見て歩きたかったけど、小猿を連れて帰ってやんなくちゃ」
「拙者も人間界を見たいでござるよ」
「だって、獣人族の人達が心配しやしないかい?」
「うっ、そ、そうかもでござるが…」
「一人で人間界に来たなんて言ったら、長老に叱られるだろ?」
「醜女さんと一緒でござるから、大丈夫でござるよ…きっと」
「しょうがないね、ま、帰ったらアタシが執り成してやるか」
「ありがとうでござる!」
小猿君嬉しそうだね。
醜女さんもご機嫌だけどね。
「小猿ちゃんて、忍者みたいだね」
「あはは、そうだねー」
僕もそう思ってたけど、大岡さんと沙羅先生が小猿君をからかってる。
「小猿でござる?」
「あはは、可愛いねー。良し良し」
「私も。ふふふ、良い子良い子」
あは、優里香先生まで。
まあ、可愛いくてこねくり回したくなるのわかるな。
「や、やめるでござるよ」
僕も可愛い可愛いしよう。
「やめるでござる、子供じゃないでござるよ」
「何言ってんだい、子供のくせに」
【町】
「小猿君はどこに行きたいの?」
《大河がそう聞くと小猿は満面の笑みで答える》
「遊園地に行ってみたいでござるよ!」
遊園地か、やっぱり子供だね。
【遊園地】
《遊園地のゲートを入ると目をキラキラ輝かせて走る小猿》
「わー、凄いでござる!あれは何でござるか?あっちは?」
「あれは観覧車だよ」
「どれもこれもみんな乗ってみたいでござる」
「ここは夜までやってるから、そんなに焦らずとも大丈夫だ」
「イヤミ君。そんな事言って…遅くならないうちち小猿ちゃんを帰さないと、村の人達が心配するわ」
「ここまで来たらアタシに任しときなって。心配要らないよ。せっかく来たんだ、好きなだけ遊びなよ、小猿」
「はい、でござる!」
そんなわけで、小猿君は片っ端から乗り物に乗って楽しんだ。
「あそこは何でござるか?」
「お化けやしきだよ!」
「うわっ」
「もう、何だよ?びっくりすんじゃないかよ」
翔が脅かすように大声を出すもんだから、小猿君と醜女さんは驚いて飛び上がった。
「入ろうぜ」
「は、入るでござるか?」
「何だ?怖いのか?やっぱ子供だな」
「こ、怖く…無いでござるよ」
「怖くなど無い」
そっか、言葉とは裏腹に横で蓮君が青ざめてる。
「男女2人ずつになろうぜ」
「男が1人余る」
「梅ちゃーん」
「桜だ。ちょうど良いじゃん。これで男女同じ数だよ」
「遠山何で来てんだ?」
「いとこがここでバイトしてるから会いに来たの」
「へー、可愛いのか?その従姉妹って」
「従兄弟って男の子よ」
「ちっ、何だ」
「まあ良いじゃん、人数揃ったし。だりぃからとっとと入ろうぜ」
「イヤミ、行くわよー」
「え?沙羅先生と僕?」
「何か文句有る?」
「じゃあ、私大河君にしようかな」
「だりぃな、梅は俺にしとけ」
「え?何でよ?」
「大河は優里香先生とだ。翔は遠山さんをエスコートするんだ」
「またイヤミが仕切ってやがる」
【お化け屋敷】
「ちょっと待って大河君。暗くて足元が見えないわ」
《大河は優里香先生と手を繋ぐ》
「あ…」
「これで良いでしょう?「嫌だ」なんて言ったら置いて行くよ」
「もう、意地悪」
「司君て無口だよね」
「だりぃからな」
「私とペアじゃ嫌?」
「別に。桜よりマシだ」
「マシとは何よ?!まあさ、桜と司君は幼馴染みの腐れ縁だもんね」
「イヤミ、ほら手」
「こ、怖くなんか」
「(強がってるけど、震えてるじゃなーい)」
「ははは、ちっとも怖くないでござる。これなら山に居るモンスターの方が怖いでござるよ」
《大河と優里香の頭上から仕掛けが落ちてくる》
「キャッ」
《優里香は大河にしがみつく》
「ああ、生首がぶら下がってるな」
「どうして怖くないの?」
「だって、芝居とかで良く有る仕掛けだよ」
優里香先生凄くドキドキしてるな。
心臓の鼓動が伝わって来る。
「置いて行かないでね」
「うん」
「離れないでよ」
「離れないよ、ずっと」
「ずっと?」
「嫌?」
「またそんな事言って…」
「じゃあ、この手を離して良い?」
「ああん、嫌。今だけはそばに居て」
「ハイハイ、わかりましたよ、ワガママ姫」
「何ですって?」
「アハハ(大河頑張れー)」
【お化け屋敷前】
「あー、面白かったでござる」
「すっかり暗くなっちまったね」
「イルミネーションが綺麗でしょう?」
「そうだねぇ」
「私の従兄弟が飾り付けしたんです」
「最後にあれに乗るでござるよ」
観覧車か。
「じゃあさ、さっきのペアで乗ろー」
「ぼ、僕はあんなものに興味無い」
「ああ、イヤミー。もしかして暗いとこだけじゃなくて高いとこも怖いんだー」
「こ、怖いわけではない。高い所は好きじゃないだけだ」
「高所恐怖症ー?」
「そうとも言う」
「なんだよイヤミ、結局怖いんじゃねえか」
「大丈夫大丈夫ー。ほら、しっかり手を繋いでてあげるからー」
何だかんだ言いながら、さっきのペアで観覧車に乗り込んだ。
【沙羅先生と蓮のゴンドラ】
「(イヤミったら小刻みに震えてる。可愛い。もう、母性本能刺激しまくりだわー)」
《沙羅先生がわざと手を離そうとすると、蓮はギュッと握る》
「誰も見てないからキスしちゃおっかー?」
「な、何を…こんな時に」
「こんな時だからするんじゃなーい」
《沙羅ガバッと蓮に被さり唇を重ねる》
「(ハッ…)」
《蓮は一瞬見開く》
【優里香先生と大河のゴンドラ】
《優里香先生は自分の座っている後ろの窓の外を眺めている》
「見て、私達の学校が見えるわ」
「どこ?」
《大河は優里香先生の方へ行こうと立ち上がる》
「キャッ」
《ゴンドラが揺れる》
「大丈夫?」
「怖かった。こんな所で止まったりしたら嫌ね」
「大丈夫だよ、僕が居るから」
「(私…何だかドキドキしてるわ)」
《大河は優里香先生の隣に座り優しく肩を抱く》
あれ?
何も言わないぞ。
いつもなら「もう、何してるの?」って言うのが有るはずなんだけど…
《横顔見詰める大河》
「綺麗だ」
「え?」
「あ…つい口に出ちゃった」
「もう、何言ってるの。それにこの手はなあに?」
「ははは、それそれ。やっぱりだ」
「何の事?」
「そう言うと思ったんだ」
「だって変な事言うんだもの」
「変じゃないさ。本当に綺麗だと思ったから、だから口に出ちゃった」
「…大人をからかわないのよ」
そんな事言って、ちょっと頬を染める優里香先生、可愛いなあ。
【山の廃屋】
《翌日》
「皆んなで見送りなんか来てくれて、帰るのが寂しくなるじゃなか」
「寂しいでござる」
「また来いよ」
「そんな事言っちゃいけないのかな?でも、またおいでよ」
「大河ぁ、来るよ。また来るからさあ」
「うわっ」
《醜女は大河に抱きつく》
「あれ?優里香ー。なんか不機嫌。焼いてるー?」
「私は別に…」
「うん?」
《大河が振り返ると》
「焼いてなんかいません」
「わかりやすいねぇ、好きなら好きってお言いよ」
「す、好きじゃ有りません!生徒ですから」
「そんなのどうだって良いじゃないのさ」
「いいえ、良く有りません。大河君は生徒で私は教師です」
「めんどくさいんだねぇ。そんじゃ帰るよ」
「またでござる」
醜女さんと小猿君は歪を通って自分達の世界へ帰って行った。
【山道】
皆んな黙って歩いてるね。
何だか寂しくなっちゃったな。
「何かさ、あの二人居ないと静かだよね」
最初に口を開いたのは大岡さんだった。
そうだよね、醜女さん大岡さんの家に居たんだもんね。
「おじさんみたいなおばさんみたいな変な半魚人?変な人だったけど、面白かった」
「大岡さん、醜女さんは半魚人じゃなくて人魚だって言ってたよ」
「アハハ、そうそう。自分では人魚のつもりなんだよね。良い人だったな」
「今日は日曜だし、これからどっか遊びに行くか?」
「私はパス。何か気が抜けちゃった」
大岡さん寂しそうだね。
「じゃあさー、これから皆んなで特訓しよーう」
「えー?!」
「まじかよ?」
「私達も見てて良いですか?」
「良いよー。今日は特別に許すー」
「わぁ…梅ちゃんも行こうよ」
「そうだね、気晴らしに見物させてもらうか」
「じゃーあー。学校着いたらまずイヤミのコーヒーね」
「お安い御用だ」
【聖フェアリー学園旧校舎】
「うわぁ、良い香りがして来た」
「当たり前だ、僕が入れるコーヒーは絶品だぞ」
「一々言う事が大層なのよね、イヤミ先輩って」
「井山だ!」
「蓮君、珈琲を立てる時怒ったら味が変わっちゃうよ」
「そ、そうだな。そんな事はわかってる。大河に言われるまでも無い」
「あの、井山先輩。私手伝います」
「そうか、じゃあ運んでくれ」
「はい」
遠山さんて、良く気がつくんだな。
「梅ちゃんもどうぞ」
「ありがとう。何かさ、教室の机でコーヒー飲むって変な感じだけど、旧校舎って良いね。あ、意外!美味しい」
「意外とは何だ」
「えー?だって美味しいよ、このコーヒー」
「当たり前だ。僕が入れたコーヒーなんだぞ。絶品に決まってるだろ」
「はぁ…それが無ければもっと美味しいのよ、イヤミ先輩」
「イヤミじゃない、井山だ!」
「じゃあ、特訓始めるわよー(優里香が参戦したから鍛えとかないとね)」
「私達はこの窓から見てますー」
《窓の外ではアンドロイド相手の戦闘訓練が始まる》
「ねえ梅ちゃん。大河君て優里香先生の事が好きなのかな?」
「そうでしょう。だってデートしてたし」
「そうなんだぁ」
「先生の方は煮え切らない感じだけどね。桜、大河君の事好きなんじゃないの?」
「うーん…ちょっと良いかなぁって(優里香先生がライバルじゃ勝ち目ないわね…私)」
「私はさ、あの「だりぃ」が良いかな?」
「司君?梅ちゃん司君が好みなの?」
「桜幼馴染みなんでしょう?彼小さい頃どんなだった?」
「どんなって…今とそんなに変わらないよ」
「へー…じゃあ、じゃぁあ、小っちゃい頃から「だりぃ」なわけ?」
「言ってたな、小学生ぐらいからかな?」
「どんな小学生よ?!」
【旧校舎の校庭】
《アンドロイド相手に戦闘訓練する戦士達》
優里香先生前に出過ぎだな、危ないから下がった方が良いのに。
翔がダメージ受けると夢中でヒールかけるから前に出て来ちゃうみたいだ。
まだ戦闘に慣れてないし、仕方ないんだけど…
「危ない!」
《大河は前に出過ぎた優里香先生を庇いダメージを受ける》
「大河君!」
「あー、アンドロイドストップ」
「今ヒーリングしますからね」
「大した事無いよ」
「大河ー。何の為に盾持ってんのよ?」
「うん…重くて間に合わなかった」
「しょうがない子だねー。誰かを守る時は捨て身なんだからー(特に優里香を守る時はね)」
「お前、間に合わねえって。訓練だから良いけどよ、魔族相手だったらどうすんだよ?」
「その時はちゃんとやるよ」
「ああ、そう願いたいな。盾が重いなら筋力アップの必要が有るのではないか?」
「うん、トレーニングする」
「ダメよ、怪我が治るまで無理しちゃ」
「だりぃ、そんな悠長な事言ってる間に魔族が出たらどうすんだ?」
「そうだよね、だからちゃんと筋力アップしとくよ」
「はい、終わり。後で保健室にいらっしゃいね」
「え?もう良いって」
「ダメです」
【保健室】
結局保健室に引っ張って来られちゃった。
「はい、服を脱いでそこに横になりなさい」
「はい…」
《大河はシャツを脱ぐ》
「ほらご覧なさい。こんなにひどい怪我なのに何が「大した事無い」ですか」
仕方ないな、大人しく処置してもらおう。
《優里香先生は大河の傷に薬を塗る》
「傷が有るから湿布は出来ないわね。もう少しヒーリングしておくわ」
「醜女さんと小猿君どうしてるかな?」
「もう村に帰ってるかしら?」
また会えるよね?うん、きっと会える。
「はい、終わり」
「ありがとう」
「先生」
「なあに?」
「僕、もう少しで大人になるから」
「………」
「だから…だから待ってて」
「大河君が大人になるの待ってたら、私おばさんになっちゃうわ」
「きっと可愛いと思うよ、おばさんになっても」
「どうかしらね?その頃には大河君、もっと若い女の子が良くなるわよきっと」
「僕の気持ちは変わらないよ」
「本当かしら?」
「おばさんになって、お嫁の貰い手が無かったら僕が貰ってあげるからね。これはプロポーズ」
「嫌だわそんなプロポーズ…プロポーズはもっとロマンチックじゃないと」
「じゃあ、僕が大人になってプロポーズする日を楽しみに待ってて」
「はいはい」
「せっかく来たんだから、もう少し人間の町を見て歩きたかったけど、小猿を連れて帰ってやんなくちゃ」
「拙者も人間界を見たいでござるよ」
「だって、獣人族の人達が心配しやしないかい?」
「うっ、そ、そうかもでござるが…」
「一人で人間界に来たなんて言ったら、長老に叱られるだろ?」
「醜女さんと一緒でござるから、大丈夫でござるよ…きっと」
「しょうがないね、ま、帰ったらアタシが執り成してやるか」
「ありがとうでござる!」
小猿君嬉しそうだね。
醜女さんもご機嫌だけどね。
「小猿ちゃんて、忍者みたいだね」
「あはは、そうだねー」
僕もそう思ってたけど、大岡さんと沙羅先生が小猿君をからかってる。
「小猿でござる?」
「あはは、可愛いねー。良し良し」
「私も。ふふふ、良い子良い子」
あは、優里香先生まで。
まあ、可愛いくてこねくり回したくなるのわかるな。
「や、やめるでござるよ」
僕も可愛い可愛いしよう。
「やめるでござる、子供じゃないでござるよ」
「何言ってんだい、子供のくせに」
【町】
「小猿君はどこに行きたいの?」
《大河がそう聞くと小猿は満面の笑みで答える》
「遊園地に行ってみたいでござるよ!」
遊園地か、やっぱり子供だね。
【遊園地】
《遊園地のゲートを入ると目をキラキラ輝かせて走る小猿》
「わー、凄いでござる!あれは何でござるか?あっちは?」
「あれは観覧車だよ」
「どれもこれもみんな乗ってみたいでござる」
「ここは夜までやってるから、そんなに焦らずとも大丈夫だ」
「イヤミ君。そんな事言って…遅くならないうちち小猿ちゃんを帰さないと、村の人達が心配するわ」
「ここまで来たらアタシに任しときなって。心配要らないよ。せっかく来たんだ、好きなだけ遊びなよ、小猿」
「はい、でござる!」
そんなわけで、小猿君は片っ端から乗り物に乗って楽しんだ。
「あそこは何でござるか?」
「お化けやしきだよ!」
「うわっ」
「もう、何だよ?びっくりすんじゃないかよ」
翔が脅かすように大声を出すもんだから、小猿君と醜女さんは驚いて飛び上がった。
「入ろうぜ」
「は、入るでござるか?」
「何だ?怖いのか?やっぱ子供だな」
「こ、怖く…無いでござるよ」
「怖くなど無い」
そっか、言葉とは裏腹に横で蓮君が青ざめてる。
「男女2人ずつになろうぜ」
「男が1人余る」
「梅ちゃーん」
「桜だ。ちょうど良いじゃん。これで男女同じ数だよ」
「遠山何で来てんだ?」
「いとこがここでバイトしてるから会いに来たの」
「へー、可愛いのか?その従姉妹って」
「従兄弟って男の子よ」
「ちっ、何だ」
「まあ良いじゃん、人数揃ったし。だりぃからとっとと入ろうぜ」
「イヤミ、行くわよー」
「え?沙羅先生と僕?」
「何か文句有る?」
「じゃあ、私大河君にしようかな」
「だりぃな、梅は俺にしとけ」
「え?何でよ?」
「大河は優里香先生とだ。翔は遠山さんをエスコートするんだ」
「またイヤミが仕切ってやがる」
【お化け屋敷】
「ちょっと待って大河君。暗くて足元が見えないわ」
《大河は優里香先生と手を繋ぐ》
「あ…」
「これで良いでしょう?「嫌だ」なんて言ったら置いて行くよ」
「もう、意地悪」
「司君て無口だよね」
「だりぃからな」
「私とペアじゃ嫌?」
「別に。桜よりマシだ」
「マシとは何よ?!まあさ、桜と司君は幼馴染みの腐れ縁だもんね」
「イヤミ、ほら手」
「こ、怖くなんか」
「(強がってるけど、震えてるじゃなーい)」
「ははは、ちっとも怖くないでござる。これなら山に居るモンスターの方が怖いでござるよ」
《大河と優里香の頭上から仕掛けが落ちてくる》
「キャッ」
《優里香は大河にしがみつく》
「ああ、生首がぶら下がってるな」
「どうして怖くないの?」
「だって、芝居とかで良く有る仕掛けだよ」
優里香先生凄くドキドキしてるな。
心臓の鼓動が伝わって来る。
「置いて行かないでね」
「うん」
「離れないでよ」
「離れないよ、ずっと」
「ずっと?」
「嫌?」
「またそんな事言って…」
「じゃあ、この手を離して良い?」
「ああん、嫌。今だけはそばに居て」
「ハイハイ、わかりましたよ、ワガママ姫」
「何ですって?」
「アハハ(大河頑張れー)」
【お化け屋敷前】
「あー、面白かったでござる」
「すっかり暗くなっちまったね」
「イルミネーションが綺麗でしょう?」
「そうだねぇ」
「私の従兄弟が飾り付けしたんです」
「最後にあれに乗るでござるよ」
観覧車か。
「じゃあさ、さっきのペアで乗ろー」
「ぼ、僕はあんなものに興味無い」
「ああ、イヤミー。もしかして暗いとこだけじゃなくて高いとこも怖いんだー」
「こ、怖いわけではない。高い所は好きじゃないだけだ」
「高所恐怖症ー?」
「そうとも言う」
「なんだよイヤミ、結局怖いんじゃねえか」
「大丈夫大丈夫ー。ほら、しっかり手を繋いでてあげるからー」
何だかんだ言いながら、さっきのペアで観覧車に乗り込んだ。
【沙羅先生と蓮のゴンドラ】
「(イヤミったら小刻みに震えてる。可愛い。もう、母性本能刺激しまくりだわー)」
《沙羅先生がわざと手を離そうとすると、蓮はギュッと握る》
「誰も見てないからキスしちゃおっかー?」
「な、何を…こんな時に」
「こんな時だからするんじゃなーい」
《沙羅ガバッと蓮に被さり唇を重ねる》
「(ハッ…)」
《蓮は一瞬見開く》
【優里香先生と大河のゴンドラ】
《優里香先生は自分の座っている後ろの窓の外を眺めている》
「見て、私達の学校が見えるわ」
「どこ?」
《大河は優里香先生の方へ行こうと立ち上がる》
「キャッ」
《ゴンドラが揺れる》
「大丈夫?」
「怖かった。こんな所で止まったりしたら嫌ね」
「大丈夫だよ、僕が居るから」
「(私…何だかドキドキしてるわ)」
《大河は優里香先生の隣に座り優しく肩を抱く》
あれ?
何も言わないぞ。
いつもなら「もう、何してるの?」って言うのが有るはずなんだけど…
《横顔見詰める大河》
「綺麗だ」
「え?」
「あ…つい口に出ちゃった」
「もう、何言ってるの。それにこの手はなあに?」
「ははは、それそれ。やっぱりだ」
「何の事?」
「そう言うと思ったんだ」
「だって変な事言うんだもの」
「変じゃないさ。本当に綺麗だと思ったから、だから口に出ちゃった」
「…大人をからかわないのよ」
そんな事言って、ちょっと頬を染める優里香先生、可愛いなあ。
【山の廃屋】
《翌日》
「皆んなで見送りなんか来てくれて、帰るのが寂しくなるじゃなか」
「寂しいでござる」
「また来いよ」
「そんな事言っちゃいけないのかな?でも、またおいでよ」
「大河ぁ、来るよ。また来るからさあ」
「うわっ」
《醜女は大河に抱きつく》
「あれ?優里香ー。なんか不機嫌。焼いてるー?」
「私は別に…」
「うん?」
《大河が振り返ると》
「焼いてなんかいません」
「わかりやすいねぇ、好きなら好きってお言いよ」
「す、好きじゃ有りません!生徒ですから」
「そんなのどうだって良いじゃないのさ」
「いいえ、良く有りません。大河君は生徒で私は教師です」
「めんどくさいんだねぇ。そんじゃ帰るよ」
「またでござる」
醜女さんと小猿君は歪を通って自分達の世界へ帰って行った。
【山道】
皆んな黙って歩いてるね。
何だか寂しくなっちゃったな。
「何かさ、あの二人居ないと静かだよね」
最初に口を開いたのは大岡さんだった。
そうだよね、醜女さん大岡さんの家に居たんだもんね。
「おじさんみたいなおばさんみたいな変な半魚人?変な人だったけど、面白かった」
「大岡さん、醜女さんは半魚人じゃなくて人魚だって言ってたよ」
「アハハ、そうそう。自分では人魚のつもりなんだよね。良い人だったな」
「今日は日曜だし、これからどっか遊びに行くか?」
「私はパス。何か気が抜けちゃった」
大岡さん寂しそうだね。
「じゃあさー、これから皆んなで特訓しよーう」
「えー?!」
「まじかよ?」
「私達も見てて良いですか?」
「良いよー。今日は特別に許すー」
「わぁ…梅ちゃんも行こうよ」
「そうだね、気晴らしに見物させてもらうか」
「じゃーあー。学校着いたらまずイヤミのコーヒーね」
「お安い御用だ」
【聖フェアリー学園旧校舎】
「うわぁ、良い香りがして来た」
「当たり前だ、僕が入れるコーヒーは絶品だぞ」
「一々言う事が大層なのよね、イヤミ先輩って」
「井山だ!」
「蓮君、珈琲を立てる時怒ったら味が変わっちゃうよ」
「そ、そうだな。そんな事はわかってる。大河に言われるまでも無い」
「あの、井山先輩。私手伝います」
「そうか、じゃあ運んでくれ」
「はい」
遠山さんて、良く気がつくんだな。
「梅ちゃんもどうぞ」
「ありがとう。何かさ、教室の机でコーヒー飲むって変な感じだけど、旧校舎って良いね。あ、意外!美味しい」
「意外とは何だ」
「えー?だって美味しいよ、このコーヒー」
「当たり前だ。僕が入れたコーヒーなんだぞ。絶品に決まってるだろ」
「はぁ…それが無ければもっと美味しいのよ、イヤミ先輩」
「イヤミじゃない、井山だ!」
「じゃあ、特訓始めるわよー(優里香が参戦したから鍛えとかないとね)」
「私達はこの窓から見てますー」
《窓の外ではアンドロイド相手の戦闘訓練が始まる》
「ねえ梅ちゃん。大河君て優里香先生の事が好きなのかな?」
「そうでしょう。だってデートしてたし」
「そうなんだぁ」
「先生の方は煮え切らない感じだけどね。桜、大河君の事好きなんじゃないの?」
「うーん…ちょっと良いかなぁって(優里香先生がライバルじゃ勝ち目ないわね…私)」
「私はさ、あの「だりぃ」が良いかな?」
「司君?梅ちゃん司君が好みなの?」
「桜幼馴染みなんでしょう?彼小さい頃どんなだった?」
「どんなって…今とそんなに変わらないよ」
「へー…じゃあ、じゃぁあ、小っちゃい頃から「だりぃ」なわけ?」
「言ってたな、小学生ぐらいからかな?」
「どんな小学生よ?!」
【旧校舎の校庭】
《アンドロイド相手に戦闘訓練する戦士達》
優里香先生前に出過ぎだな、危ないから下がった方が良いのに。
翔がダメージ受けると夢中でヒールかけるから前に出て来ちゃうみたいだ。
まだ戦闘に慣れてないし、仕方ないんだけど…
「危ない!」
《大河は前に出過ぎた優里香先生を庇いダメージを受ける》
「大河君!」
「あー、アンドロイドストップ」
「今ヒーリングしますからね」
「大した事無いよ」
「大河ー。何の為に盾持ってんのよ?」
「うん…重くて間に合わなかった」
「しょうがない子だねー。誰かを守る時は捨て身なんだからー(特に優里香を守る時はね)」
「お前、間に合わねえって。訓練だから良いけどよ、魔族相手だったらどうすんだよ?」
「その時はちゃんとやるよ」
「ああ、そう願いたいな。盾が重いなら筋力アップの必要が有るのではないか?」
「うん、トレーニングする」
「ダメよ、怪我が治るまで無理しちゃ」
「だりぃ、そんな悠長な事言ってる間に魔族が出たらどうすんだ?」
「そうだよね、だからちゃんと筋力アップしとくよ」
「はい、終わり。後で保健室にいらっしゃいね」
「え?もう良いって」
「ダメです」
【保健室】
結局保健室に引っ張って来られちゃった。
「はい、服を脱いでそこに横になりなさい」
「はい…」
《大河はシャツを脱ぐ》
「ほらご覧なさい。こんなにひどい怪我なのに何が「大した事無い」ですか」
仕方ないな、大人しく処置してもらおう。
《優里香先生は大河の傷に薬を塗る》
「傷が有るから湿布は出来ないわね。もう少しヒーリングしておくわ」
「醜女さんと小猿君どうしてるかな?」
「もう村に帰ってるかしら?」
また会えるよね?うん、きっと会える。
「はい、終わり」
「ありがとう」
「先生」
「なあに?」
「僕、もう少しで大人になるから」
「………」
「だから…だから待ってて」
「大河君が大人になるの待ってたら、私おばさんになっちゃうわ」
「きっと可愛いと思うよ、おばさんになっても」
「どうかしらね?その頃には大河君、もっと若い女の子が良くなるわよきっと」
「僕の気持ちは変わらないよ」
「本当かしら?」
「おばさんになって、お嫁の貰い手が無かったら僕が貰ってあげるからね。これはプロポーズ」
「嫌だわそんなプロポーズ…プロポーズはもっとロマンチックじゃないと」
「じゃあ、僕が大人になってプロポーズする日を楽しみに待ってて」
「はいはい」
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今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
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とても、これからが楽しみな作品だと思いました。
そして気になったところが、主人公が誰なのか,誰が喋っているのかなどが分かりずらかったです
次回も期待してます!
感想をありがとうございます!
主人公わかりずらいですか?(^^;;
僕と言う話し方は4人のうち2人、ちょっとイヤミな感じの井山蓮と優しい感じの瀬戸大河。
さて、あの口調は、イヤミではなくて大河ですよね。
亀さん更新ですが宜しくお願いします(^◇^;)