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第3章 恋してはいけない相手
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【新校舎1年A組の教室】
教室に入ると、何だかクラスメイトの視線が一斉に集まってるけど…
「ねえ、瀬戸君達が魔族をやっつけたって本当?」
「えっ?」
遠山さんが何で知ってるんだろう?
「ワイワイ、ガヤガヤ」
そうか、昨日の戦い誰かに見られてたみたいだ。
「本当に魔族が出たの?」
「ああそうだ、俺たちがやっつけた」
「ほらね、やっぱり魔族は居たんだ。お父さんが言った通りよ。警察の人達じゃ手に負える相手じゃなくて困ってたの」
遠山さんのお父さん刑事なんだね。
「勇者様は?来なかったの?」
大岡さんは勇者が大好きらしい。
「ねえ、勇者様よ、勇者様。助けに来てくれた?」
「はっ、だりぃ。勇者なんて居るかよ」
「なーんだ。魔族倒したの勇者様じゃないんだ。本当にあんた達なの?信じられなーい」
「悪かったな、勇者じゃなくて」
「魔族をやっつけるのは、勇者様じゃなくちゃねぇ」
そりゃ僕達は勇者じゃないですけど…
でも、カプセルに選ばれたんだから、これから戦って行かなくちゃならないんだ。
【カフェ】
《ランチを食べる大河、翔、司、蓮》
今日は先生達の都合で特別クラスまでまだ時間が有る。
「何で僕は、ランチまでお前達と一緒にしなければならんのだ」
「だりぃ、誰も頼んでないぞ」
「鬼嫁の弁当じゃねえのかよ?」
「そんな物は無い」
「頼めば作ってくれるんじゃないの?」
「良いか大河。女子なら頼まれなくても作るものだ」
そうなの?
何か昔の男みたいだね、蓮君。
まあ、僕も古典の世界で育ったから人の事言えないけど、女性のこと「こう有るべき」っていうのはあんまり無いな。
そりゃあ、理想は有るけどね。
「美味っ」
「翔、ガツガツ食べるな、行儀悪い。ほら、こぼしたぞ」
蓮君、翔の事も名前で呼んだ。
何だかんだ言いながら、仲良くなって来てるよな、僕達。
《スマホの通知音が鳴る》
「何だ?大河。女からのメールか?」
司はすぐそういう事言うし。
《スマホを見る大河》
「女性には違い無いけど…」
お婆ちゃまからだ。
え?今度のおさらい会の序開き?
僕が踊るの?
梅の春か…
清元は唄の間が取りにくいんだよな。
今の僕にはまだ難しいよ、梅の春は。
メール
「千代の友鶴ではいけませんか?常磐津なら弾けるから踊りやすいです」
メール
「友鶴で良いです。しっかりさらっておきなさい。お休みには帰って来るのよ。見てあげるから」
メール
「はい」
とは言ったものの、女の踊りは得意じゃないんだよな。
梅の春は男だから、家元はそっちが良いと思ったんだろうけど…
やっぱり清元より常磐津の方が踊りやすい。
お稽古は厳しいんだよね。
普段は優しいお婆ちゃまなんだけど。
「なあなあ、これからどっか行かねえか?」
「だりぃ」
「ったあく、司は「だりぃ」しか言わねえな」
「僕は勉強が有る。一年坊主に付き合ってる暇など無い」
「ああ、そうですかっ?大河は?」
「ごめん」
「んだよ、皆して」
【旧校舎の講堂】
ここは板の間だから、トンしたら響きそうだね。
まあ、床の下に瓶は入れてないだろうけどね。
トンしたらちゃんと響かないと踊りにくい。
さて、お稽古しますか。
「チャチャチャチャーン、チャンチャン。霞たーぁぁ、つーぅーチーンチンチンチンチンチンチンそらのどーぉぉかなるーぅぅぅぅぅー」
【廊下】
《トントンと床を踏む音が聞こえる》
「何の音かしら?」
《音のする方へ歩く優里香先生》
【講堂】
《優里香先生は入り口から中を見るとハッとして足を止める》
「(大河君?…踊ってる…何か歌いながら…)」
《踊る大河を見ている優里香先生》
「(何だか不思議な空間に迷い込んだみたい。ちょっと、声をかけづらい感じね)」
「優里香、何してるの?」
「しーっ」
《優里香先生と紗羅先生に気付かず集中して踊る大河》
「歌舞伎?女みたいね」
《と小声で言う紗羅先生》
「恵ぃの、末ぇやー、契ぃるーらーぁぁ、んーんーんーーん」
《パチパチパチ拍手する紗羅先生と優里香先生》
「あ…」
見られちゃった。
「いつからそこに?」
「結構前から見てたわよー」
「気付かなかった」
「凄い集中力だわ」
「でも、何で日本舞踊なワケー?」
「おさらい会が有って、序に踊らないといけなくて…」
「習ってるのー?日本舞踊」
《興味津々で根掘り葉掘り聞く紗羅先生》
「家元の孫に生まれちゃったから…」
はあ…
紗羅先生の質問攻め。
《答える大河に目を丸くする二人》
「踊りが好きとか嫌いとか考える前に、当たり前に毎日の生活の中にお稽古が有ったと言うか…」
「へー、そうなんだー」
「あ、先生時間」
「わっ、本当」
「そろそろ教室に行きましょう」
【旧校舎の教室】
僕が教室に戻ると、もう皆んな揃っていた。
「何だよ大河。先生達と一緒に来やがった」
そこ、突っ込まないで。
「さあ、始めるわよー」
紗羅先生が分厚い歴史書を持っ来て開いた。
昔天界で精霊と魔族の戦いが有った事。
天界で負けた魔族が地に降りて来た事。
この地は一度壊滅状態になった事。
勇者が現れて魔族を退治した事など、ここでは魔族達との戦いの歴史を勉強したり、現在の魔族の事を先生達から報告されたりするんだ。
武器の手入れなんかもここでする。
これは昔勇者が使っていた物だそうだ。
精霊から貰ったんだって。
武器の手入れが終わったら、裏庭に出て訓練だ。
【裏庭】
僕も早くスキルを身に付けないと。
戦闘用アンドロイド相手にバトルする。
本当こんな物まで有る時代に、この武器は確かに古臭いけど、魔族にはこれしか通用しないんだから仕方ない。
でも、何だか蓮君の杖初めの時と少し変わった気がするよね。
スキルを覚えた時赤く光ってだけど、あれは宝石みたいなのが輝いてたんだよな。
「さーて、次にスキルを覚えるのは誰かしらねー」
「俺俺、ぜってえ俺が覚えてやっかんな」
「ふっ、だりぃ。順番なんてどうでも良い」
「この僕が2つ目のスキルを覚えるという事も有りうるな」
僕だって、頑張るんだ。
優里香先生魔族とのバトルの時毎回来るつもりなのかな?
だったら僕がしっかり守らないと。
僕はガーディアンなんだ。
でも…
僕、本当に優里香先生の事好きになっちゃったのかな?
もしそうなら、お婆ちゃまに知られたら大変だぞ。
師弟関係の恋愛はいけない、っていつも言われているんだ。
まあ、僕は家元がお婆ちゃまだから有り得ないけど、代稽古の姉弟子がそれに当たる。
「弟子が師匠に恋をするのは、簡単だ。でもそれは芸に惚れているのだから、弟子に手を付けたりしちゃいけないよ」って、お弟子さんを持っている名取さん達にそう言っている。
「魔族、いつ来ても良いぞ。俺がやっつけてやっかんな」
「でも、何だか可哀想な気がするな」
「はあ?お前はバカか?何故魔族などに情けをかける?」
「大河は甘いんだよ」
「魔族だって、僕達と同じように家族とか居るのかな?って」
「居るわよー。だから増えてるのよー」
「ボスのような者が居るのならば、そいつを叩けば早いのではないか?」
「ボスねえ、魔王が居るわよー」
「魔王だあ?ゲームじゃあるめえし、魔王だ勇者だって、バカバカしい」
「魔王がこの世界を自分達の物にしようとしてるのよー」
「だって、勇者が倒したんじゃねえのかよ?」
「ゲームだってー、倒しても倒しても復活するでしょーう?」
「するな、三度は。倒す度にバージョンアップして。はあ、だりぃ、マジ生きてたのかよ魔王」
「ええ、生きていたの。そして残った魔族達と再建を始めた」
「この世界をって、他に行くとこねえのかよ?」
「元は天に居たのよねー、悪い事するもんだから、精霊に追い出されたってわけよー。だ・か・らー、行き場所は無いのねー」
「共存する事出来ないのかな?戦わないで」
「本当大河君は甘いわねー。人が襲われてるの。向こうは共存なんて考えてないわよ。人間を全て殺して、この世界を魔族の物にしようとしてるの。昔みたいに」
「あの時勇者が現れなければ、人間は絶滅して、この世界は魔族の物になっていたでしょうね」
「勇者は人間だから死んじまったけど、魔王は生きてたってか。どんだけ長生きなんだよ」
【学生寮】
翔と司と蓮君は夕食を食べに外に出たけど、僕はちょっとストレスが有るから…
お婆ちゃまの会で序の舞を踊るのは、ちょっとだげストレスになってるみたいだ。
だから、ストレス解消に音楽を聴いてる。
僕の初恋のピアニスト、マリア・マルタさんのシューマン。
初恋の人なんだ、本当に。
お婆ちゃまより年上なんだけど、そんなの知らなかった。
僕が12歳の時初めて彼女のショパンコンクールの時の第1コンチェルトを聞いて、名前と演奏しか知らなかったけど恋してしまったんだ。
あんなに美しい女性だなんて、後から知った。
お年を召されても美しくて、素敵なお婆様だよね。
ああ、この弾き方…
もう、そこが彼女なんだよ。
素敵だよな、本当に。
はあ…ついため息が出てしまう。
《シューマンのピアノコンチェルトを最後まで聴いて余韻に浸る大河》
はあ、気持ち良い。
さて、僕もお腹が空いて来たぞ。
夕食を食べに行くかな。
どうしよう?
取り敢えずキッチンに行ってみるか。
何か適当に作って食べよう。
【キッチン】
うーん、ご飯は有るか…冷たいけど。
冷蔵庫は…卵と、豚肉。
野菜は有るかな?
玉ねぎと人参と…
良し。
フライパンに油を引いて温めてと。
豚肉に火が通ったら野菜を入れて塩胡椒だな。
ご飯を入れて少し炒めたらもう一度味を整えて…
僕はここでケチャップは使わないんだ。
「美味しそうな匂いがしてるわね」
《ニコニコしながら優里香先生がやって来る》
「食べる?」
「え?良いの?」
「二人分ぐらい作れるよ」
「そう?じゃあ頂こうかしら。フフフ」
卵にマヨネーズを入れると、ふっくら焼けるんだよな。
後はトマトソースをかけてオムライスの出来上がり。
「こっちも出来たわよ~」
優里香先生がサラダとスープを作ってくれた。
本当に手際良くサッと作るよな。
慣れてるんだね。
あ、誰かの為に作ったりするのかな?
羨ましいぞ。
【ダイニングテーブル】
《食事をする優里香先生と大河》
「男の子にお料理作ってもらったの初めてだわ」
「え?作ってくれないの?」
「誰?」
「彼氏」
「そんな人居ないもの」
「良かった。ライバルが少なくて」
「少なくて?」
「先生結構男子に人気だから」
「あら、知らなかったわ。フフフ」
教師と生徒だけど、この特別クラスでは先生と僕達は一つのチームなんだって。
だから、ここでは友達みたいに話すように言われている。
作法にうるさく育ったから、最初は戸惑ったけど、だいぶ慣れて来た。
勿論目上の人なのだから、敬意を払う必要が有ると僕は思っているけどね。
「美味しい。お料理はお母様から?」
「内弟子さんから。母親は居ないんだ」
「まあ…ごめんなさい」
「良いよ、謝らなくても。僕が小さい時離婚して家を出て行った」
「そう…」
「普通の暖かい家庭って、どんなだろうな…」
「大河君…」
「優しいお父さんとお母さんに可愛い子供…女の子が良いな。優里香先生はどっちが欲しい?」
「え?」
「そんな家庭を二人で築きませんか?」
「あら、プロポーズなら大人になってから聞くわ」
「あ、今のセリフ忘れないよ。大人になったらもう一度言うからね」
「良いわよ。その時本当に私の事好きになってくれていたら」
「あ、その言い方は信じてないな」
「だって、今の貴方は本気じゃないでしょう?からかわれてるとしか思えないもの」
「うーん…」
「(本気になられても困るけれど…教師と生徒だもの)」
やっぱり心のどこかに、好きになってはいけないというブロックが有るのかな?
でも、人を好きになる時って、好きになろうとしてなるものじゃないし、いけないとわかっていても好きになってしまうものだよ。
教室に入ると、何だかクラスメイトの視線が一斉に集まってるけど…
「ねえ、瀬戸君達が魔族をやっつけたって本当?」
「えっ?」
遠山さんが何で知ってるんだろう?
「ワイワイ、ガヤガヤ」
そうか、昨日の戦い誰かに見られてたみたいだ。
「本当に魔族が出たの?」
「ああそうだ、俺たちがやっつけた」
「ほらね、やっぱり魔族は居たんだ。お父さんが言った通りよ。警察の人達じゃ手に負える相手じゃなくて困ってたの」
遠山さんのお父さん刑事なんだね。
「勇者様は?来なかったの?」
大岡さんは勇者が大好きらしい。
「ねえ、勇者様よ、勇者様。助けに来てくれた?」
「はっ、だりぃ。勇者なんて居るかよ」
「なーんだ。魔族倒したの勇者様じゃないんだ。本当にあんた達なの?信じられなーい」
「悪かったな、勇者じゃなくて」
「魔族をやっつけるのは、勇者様じゃなくちゃねぇ」
そりゃ僕達は勇者じゃないですけど…
でも、カプセルに選ばれたんだから、これから戦って行かなくちゃならないんだ。
【カフェ】
《ランチを食べる大河、翔、司、蓮》
今日は先生達の都合で特別クラスまでまだ時間が有る。
「何で僕は、ランチまでお前達と一緒にしなければならんのだ」
「だりぃ、誰も頼んでないぞ」
「鬼嫁の弁当じゃねえのかよ?」
「そんな物は無い」
「頼めば作ってくれるんじゃないの?」
「良いか大河。女子なら頼まれなくても作るものだ」
そうなの?
何か昔の男みたいだね、蓮君。
まあ、僕も古典の世界で育ったから人の事言えないけど、女性のこと「こう有るべき」っていうのはあんまり無いな。
そりゃあ、理想は有るけどね。
「美味っ」
「翔、ガツガツ食べるな、行儀悪い。ほら、こぼしたぞ」
蓮君、翔の事も名前で呼んだ。
何だかんだ言いながら、仲良くなって来てるよな、僕達。
《スマホの通知音が鳴る》
「何だ?大河。女からのメールか?」
司はすぐそういう事言うし。
《スマホを見る大河》
「女性には違い無いけど…」
お婆ちゃまからだ。
え?今度のおさらい会の序開き?
僕が踊るの?
梅の春か…
清元は唄の間が取りにくいんだよな。
今の僕にはまだ難しいよ、梅の春は。
メール
「千代の友鶴ではいけませんか?常磐津なら弾けるから踊りやすいです」
メール
「友鶴で良いです。しっかりさらっておきなさい。お休みには帰って来るのよ。見てあげるから」
メール
「はい」
とは言ったものの、女の踊りは得意じゃないんだよな。
梅の春は男だから、家元はそっちが良いと思ったんだろうけど…
やっぱり清元より常磐津の方が踊りやすい。
お稽古は厳しいんだよね。
普段は優しいお婆ちゃまなんだけど。
「なあなあ、これからどっか行かねえか?」
「だりぃ」
「ったあく、司は「だりぃ」しか言わねえな」
「僕は勉強が有る。一年坊主に付き合ってる暇など無い」
「ああ、そうですかっ?大河は?」
「ごめん」
「んだよ、皆して」
【旧校舎の講堂】
ここは板の間だから、トンしたら響きそうだね。
まあ、床の下に瓶は入れてないだろうけどね。
トンしたらちゃんと響かないと踊りにくい。
さて、お稽古しますか。
「チャチャチャチャーン、チャンチャン。霞たーぁぁ、つーぅーチーンチンチンチンチンチンチンそらのどーぉぉかなるーぅぅぅぅぅー」
【廊下】
《トントンと床を踏む音が聞こえる》
「何の音かしら?」
《音のする方へ歩く優里香先生》
【講堂】
《優里香先生は入り口から中を見るとハッとして足を止める》
「(大河君?…踊ってる…何か歌いながら…)」
《踊る大河を見ている優里香先生》
「(何だか不思議な空間に迷い込んだみたい。ちょっと、声をかけづらい感じね)」
「優里香、何してるの?」
「しーっ」
《優里香先生と紗羅先生に気付かず集中して踊る大河》
「歌舞伎?女みたいね」
《と小声で言う紗羅先生》
「恵ぃの、末ぇやー、契ぃるーらーぁぁ、んーんーんーーん」
《パチパチパチ拍手する紗羅先生と優里香先生》
「あ…」
見られちゃった。
「いつからそこに?」
「結構前から見てたわよー」
「気付かなかった」
「凄い集中力だわ」
「でも、何で日本舞踊なワケー?」
「おさらい会が有って、序に踊らないといけなくて…」
「習ってるのー?日本舞踊」
《興味津々で根掘り葉掘り聞く紗羅先生》
「家元の孫に生まれちゃったから…」
はあ…
紗羅先生の質問攻め。
《答える大河に目を丸くする二人》
「踊りが好きとか嫌いとか考える前に、当たり前に毎日の生活の中にお稽古が有ったと言うか…」
「へー、そうなんだー」
「あ、先生時間」
「わっ、本当」
「そろそろ教室に行きましょう」
【旧校舎の教室】
僕が教室に戻ると、もう皆んな揃っていた。
「何だよ大河。先生達と一緒に来やがった」
そこ、突っ込まないで。
「さあ、始めるわよー」
紗羅先生が分厚い歴史書を持っ来て開いた。
昔天界で精霊と魔族の戦いが有った事。
天界で負けた魔族が地に降りて来た事。
この地は一度壊滅状態になった事。
勇者が現れて魔族を退治した事など、ここでは魔族達との戦いの歴史を勉強したり、現在の魔族の事を先生達から報告されたりするんだ。
武器の手入れなんかもここでする。
これは昔勇者が使っていた物だそうだ。
精霊から貰ったんだって。
武器の手入れが終わったら、裏庭に出て訓練だ。
【裏庭】
僕も早くスキルを身に付けないと。
戦闘用アンドロイド相手にバトルする。
本当こんな物まで有る時代に、この武器は確かに古臭いけど、魔族にはこれしか通用しないんだから仕方ない。
でも、何だか蓮君の杖初めの時と少し変わった気がするよね。
スキルを覚えた時赤く光ってだけど、あれは宝石みたいなのが輝いてたんだよな。
「さーて、次にスキルを覚えるのは誰かしらねー」
「俺俺、ぜってえ俺が覚えてやっかんな」
「ふっ、だりぃ。順番なんてどうでも良い」
「この僕が2つ目のスキルを覚えるという事も有りうるな」
僕だって、頑張るんだ。
優里香先生魔族とのバトルの時毎回来るつもりなのかな?
だったら僕がしっかり守らないと。
僕はガーディアンなんだ。
でも…
僕、本当に優里香先生の事好きになっちゃったのかな?
もしそうなら、お婆ちゃまに知られたら大変だぞ。
師弟関係の恋愛はいけない、っていつも言われているんだ。
まあ、僕は家元がお婆ちゃまだから有り得ないけど、代稽古の姉弟子がそれに当たる。
「弟子が師匠に恋をするのは、簡単だ。でもそれは芸に惚れているのだから、弟子に手を付けたりしちゃいけないよ」って、お弟子さんを持っている名取さん達にそう言っている。
「魔族、いつ来ても良いぞ。俺がやっつけてやっかんな」
「でも、何だか可哀想な気がするな」
「はあ?お前はバカか?何故魔族などに情けをかける?」
「大河は甘いんだよ」
「魔族だって、僕達と同じように家族とか居るのかな?って」
「居るわよー。だから増えてるのよー」
「ボスのような者が居るのならば、そいつを叩けば早いのではないか?」
「ボスねえ、魔王が居るわよー」
「魔王だあ?ゲームじゃあるめえし、魔王だ勇者だって、バカバカしい」
「魔王がこの世界を自分達の物にしようとしてるのよー」
「だって、勇者が倒したんじゃねえのかよ?」
「ゲームだってー、倒しても倒しても復活するでしょーう?」
「するな、三度は。倒す度にバージョンアップして。はあ、だりぃ、マジ生きてたのかよ魔王」
「ええ、生きていたの。そして残った魔族達と再建を始めた」
「この世界をって、他に行くとこねえのかよ?」
「元は天に居たのよねー、悪い事するもんだから、精霊に追い出されたってわけよー。だ・か・らー、行き場所は無いのねー」
「共存する事出来ないのかな?戦わないで」
「本当大河君は甘いわねー。人が襲われてるの。向こうは共存なんて考えてないわよ。人間を全て殺して、この世界を魔族の物にしようとしてるの。昔みたいに」
「あの時勇者が現れなければ、人間は絶滅して、この世界は魔族の物になっていたでしょうね」
「勇者は人間だから死んじまったけど、魔王は生きてたってか。どんだけ長生きなんだよ」
【学生寮】
翔と司と蓮君は夕食を食べに外に出たけど、僕はちょっとストレスが有るから…
お婆ちゃまの会で序の舞を踊るのは、ちょっとだげストレスになってるみたいだ。
だから、ストレス解消に音楽を聴いてる。
僕の初恋のピアニスト、マリア・マルタさんのシューマン。
初恋の人なんだ、本当に。
お婆ちゃまより年上なんだけど、そんなの知らなかった。
僕が12歳の時初めて彼女のショパンコンクールの時の第1コンチェルトを聞いて、名前と演奏しか知らなかったけど恋してしまったんだ。
あんなに美しい女性だなんて、後から知った。
お年を召されても美しくて、素敵なお婆様だよね。
ああ、この弾き方…
もう、そこが彼女なんだよ。
素敵だよな、本当に。
はあ…ついため息が出てしまう。
《シューマンのピアノコンチェルトを最後まで聴いて余韻に浸る大河》
はあ、気持ち良い。
さて、僕もお腹が空いて来たぞ。
夕食を食べに行くかな。
どうしよう?
取り敢えずキッチンに行ってみるか。
何か適当に作って食べよう。
【キッチン】
うーん、ご飯は有るか…冷たいけど。
冷蔵庫は…卵と、豚肉。
野菜は有るかな?
玉ねぎと人参と…
良し。
フライパンに油を引いて温めてと。
豚肉に火が通ったら野菜を入れて塩胡椒だな。
ご飯を入れて少し炒めたらもう一度味を整えて…
僕はここでケチャップは使わないんだ。
「美味しそうな匂いがしてるわね」
《ニコニコしながら優里香先生がやって来る》
「食べる?」
「え?良いの?」
「二人分ぐらい作れるよ」
「そう?じゃあ頂こうかしら。フフフ」
卵にマヨネーズを入れると、ふっくら焼けるんだよな。
後はトマトソースをかけてオムライスの出来上がり。
「こっちも出来たわよ~」
優里香先生がサラダとスープを作ってくれた。
本当に手際良くサッと作るよな。
慣れてるんだね。
あ、誰かの為に作ったりするのかな?
羨ましいぞ。
【ダイニングテーブル】
《食事をする優里香先生と大河》
「男の子にお料理作ってもらったの初めてだわ」
「え?作ってくれないの?」
「誰?」
「彼氏」
「そんな人居ないもの」
「良かった。ライバルが少なくて」
「少なくて?」
「先生結構男子に人気だから」
「あら、知らなかったわ。フフフ」
教師と生徒だけど、この特別クラスでは先生と僕達は一つのチームなんだって。
だから、ここでは友達みたいに話すように言われている。
作法にうるさく育ったから、最初は戸惑ったけど、だいぶ慣れて来た。
勿論目上の人なのだから、敬意を払う必要が有ると僕は思っているけどね。
「美味しい。お料理はお母様から?」
「内弟子さんから。母親は居ないんだ」
「まあ…ごめんなさい」
「良いよ、謝らなくても。僕が小さい時離婚して家を出て行った」
「そう…」
「普通の暖かい家庭って、どんなだろうな…」
「大河君…」
「優しいお父さんとお母さんに可愛い子供…女の子が良いな。優里香先生はどっちが欲しい?」
「え?」
「そんな家庭を二人で築きませんか?」
「あら、プロポーズなら大人になってから聞くわ」
「あ、今のセリフ忘れないよ。大人になったらもう一度言うからね」
「良いわよ。その時本当に私の事好きになってくれていたら」
「あ、その言い方は信じてないな」
「だって、今の貴方は本気じゃないでしょう?からかわれてるとしか思えないもの」
「うーん…」
「(本気になられても困るけれど…教師と生徒だもの)」
やっぱり心のどこかに、好きになってはいけないというブロックが有るのかな?
でも、人を好きになる時って、好きになろうとしてなるものじゃないし、いけないとわかっていても好きになってしまうものだよ。
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主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
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