『アルマンドの騎士1』“魂の伴侶、それは魂の片割れツインレイ”

大輝

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第9章 迷いの森

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「南の森に入ってみようよ」

「あそこは迷いの森と言われている。ミストラルは大丈夫か?」

「ガォガォー」

「迷いの森へ行くんですって?」

「俺達も行くぜ」

コリアンダーとバジルだ。

ミントに聞いて、追いかけて来たらしい。

私達四人は、ミューズとミストラルを連れて南の森へ向かった。

【南の森】

「せっかくだから、木の実を取って帰りましょう」

樹々にはたわわに実がなっており、まるで果樹園のようだ。

「まだこんなに残ってたのね」

コリアンダーは、手を伸ばして木の実を取った。

〈バジルの頭に実が落ちる〉

「痛て」

「あ、こら、ミストラル」

「ミストラルは、木の実を取ってくれてるのよ。良い子ね」

「ガォー」

ミストラルが木を揺らすと、木の実が沢山落ちてきた。

「おお、美味そう」

と言ったかと思うと、バジルは木の実を口に入れた。

「美味い。良い子だな、ミストラル」

「ガォー」

ミストラルは、舞い上がり風を纏うと一気に木の実を落とした。

「わっ、わ、やり過ぎだぞ」

少々調子に乗り過ぎたようだ。

「ミストラル。もうそのぐらいで良いよ」

「ガォガォー」

ミストラルは、タイムの言う事を良く聞く。

私達は、木の実を拾い奥へと進む。

ずっと奥には、聖なる泉が有る。

【大きな木の下】

「誰か居るみたいだよ」

「ガォ」

あれは…

「シスター・フェンネル」

「ギルドの皆さん」

「こんな所に1人で?」

「ローズマリーと一緒に来たんですけど、はぐれてしまって」

「何だって?!」


「ヒヒーン」

ミューズが前足で地面を掻く

「お前達は、ここに居ろ」

「ガォー」

ミストラルが舞い上がった。

先導してくれると言うのか?

「ヒヒーン」

ミューズが走り出す。

私達は、ミストラルに先導され森の奥へと進んだ。

【大きな木の下】

「シスター・フェンネル。少しエネルギーチャージするわね」

「ありがとう、コリアンダーさん」

「木の実食うか?」

「今は、結構です。ありがとう」

【聖なる泉】

〈1人祈るローズマリー〉

(フェンネルは、無事かしら?)

「ローズマリー!」

「アッサム?」

「どこだ!」

「アッサム」

泉のほとりに、ローズマリーは居た。

ミストラルは、何度か旋回すると舞い降りた。

私とミューズがローズマリーの所に到着するのを待っていたようだ。

「貴方が連れて来たの?」

「彼が、私達をここへ連れて来てくれた」

「そうなの。ありがとう」

彼女は微笑んで、ミストラルにそう言った。

「怖くは、ないか」

「ガォ」

「怖くないわ。大人しいもの」

ローズマリーは、ミストラルの頭を撫でた。

「ガォガォー」

ミストラルは、ローズマリーに甘えているようだ。

「お名前は?」

「ガォガォ」

「フフフ」

「ミストラルだよ。風竜だから」

「ガォー」

ミストラルが、風を纏って見せた。

「ミストラルちゃんね。宜しくね」

「ガォガォー」

「竜も、人に懐けば可愛いものだわ。他の子達も、皆んな良い子なら戦わなくても良いのにね」

「うん。私も本当は、無闇に殺したくはないのだ」

「辛いわね」


「ところで、何故ここに?」

「聖水を汲みに来たの」

ミストラルが羽ばたいて泉の水をかけた。

「ああっ」

「こらこら、ミストラル。いたずらはよせ」

「ガォガォー」

「不満そうな顔だな」

「水を汲みに来たって言ったから、手伝ってくれてるつもりなのかしら?」

「ガォー」

再び水をかける。

「あっ」

ローズマリーが私の腕の中に入ってくる。

「あ…ごめんなさい」

「あ、いや…」

「…」

「…」

(この人の腕の中に居ると、とても安心するわ…でも…いけない!)

〈ローズマリーは、アッサムから離れる〉

「ローズマリー」

君を愛していると言えたら…神よ、一度だけで良い。

愛の言葉を…

お許し下さるなら…どうか一度だけ愛の言葉を言わせて下さい。

「水を…汲まないと…」

(天の父なる神様。お許し下さい。私は…私は、罪を犯してしまいました)

〈泉の水を汲むローズマリー。アッサムは、ローズマリーをミューズに乗せ抱くように走る〉

「ヒヒーン」

いつまでもこうしていられたら…

このままミューズに翼が生えて、雲の上まで飛んで行く事が出来れば良いのに。

(貴方と一緒に居たい。ずっと2人だけで居る事が出来たら、どんなに幸せかしら?でも…ダメよ)

(やっと巡り会えたのに、貴方は、神に忠誠を誓った騎士で、私は神に仕える身…。)

(私は、3つの誓願をしてしまったの)

(やっと巡り会えたのに…私達の魂は、3000年の時を越えてやっと巡り会えたと言うのに)

〈上空をミストラルが先導する〉

「ガォーガォー」

「戻って来たね」

「馬の蹄の音が聞こえるぞ、ミューズか?」

「そうみたいね。白い馬体に銀鎧が見えて来たわ」

「誰か馬に乗せてるよ」

「ローズマリーかしら?見つかったのね」


【大きな木の下】

〈アッサムは、ローズマリーを馬から降ろした〉

「シスター・ローズマリー、無事だったのね。騎士様ありがとうございます」

「見つかって良かったな」

「ミストラルに助けられた」

「良し良し、良い子だったね」

「ガォー」

それから2人は話す事は無かった。

修道女を手紙で誘い出す事なんて出来ない。

私達は、こうやって偶然会う事しか許されないのだ。

修道院まで彼女達を送り届け、ギルドに戻った。

【ギルド・レ・シルフィード】

「あー、重かったわ」

「俺は、殆ど食ったからな」

「ミントちゃん。お土産よー」

「わっ、ありがとう」

「ルナ。おやつだよ」

「ガゥー」

【アッサムの屋敷の寝室】

彼女のエネルギーが、私の身体に居る。

温かい…

まるで、本当にそばにいるようで、抱き締めたくなる。

夜中に目が覚めた時、手を伸ばして抱きしめるけれど、そこに君は居ない。

確かにエネルギーは感じる。

まるで肉体を持ってそこに居るように感じるのに、抱き締めても虚しいだけだ。

何故君は、ここに居ないのだ…

【修道院のローズマリーの部屋】

(あの人のエネルギーが私の中に入って来る)

(私が受け入れると、2つの魂が溶け合って1つになっていく…こうやって統合するのね…)

(3000年前一緒だった時は私が若くして神に召されて、一緒に居られる時間は少ししか無かったわ)

(そして、今生は一緒に居る事が出来ないの)

【騎士団】

翌日私は騎士団に顔を出した。

「北のサラバンドが、南の国々と同盟を結んだようだぞ」

「いずれ攻め込んで来るかも知れんな」

北の国境の時のように、夜襲などという事も有る…

警戒しておいた方が良いだろうな。


「北は、荒れ地が多く、作物を育てるのは容易ではない」

「我が国の水も欲しいのであろう」

「湧き水が豊富だからな」

「聖なる泉を渡すわけにはいかんぞ」

「北は宗教が違う。泉の聖水もただの水でしかなかろう」

我々騎士団は、敵に攻め込まれた時、第一に国王を守らねばならぬ。

国王を守り、貴族を守らねばならない。

しかし…

私には命に替えても守りたい人が居る。

ローズマリー。

今度こそ必ず君を守ってみせる。

今度…こそ?

何故そう思うのだろう?

過去にあの魂と一緒だった時、守ってやれなかったのだろうか?

【コリアンダーの師匠の家】

「ほら、この本よ」

「魂の伴侶」

その本には、ツインレイと言う1つの魂が2つに割れた物の事が書かれていた。

ツインソウルと言う魂の事も有った。

こちらは双子の魂で、1人に12人居る魂だそうだ。

「アッサムさん、いらっしゃい」

コリアンダーの師匠だ。

「お邪魔しています」

「ああ、本当に連れて来てるね、彼女」

「でしょう?」

また生き霊か。

私には見えんが、2人には見えるらしい。

「うーん…その子、前に一緒だった時、若くして病気で亡くなってるわね」

「そうなのですね…」

「その前に一緒だった時は…これは激務のせいかね…この時も若くして亡くなっているね」

そうだったのか…

今生は、必ず私が守るからな。

「ハーブティーを飲んで行きなさい。浄化作用があるの入れたから」

「ありがとうございます」

「アッサム。沢山飲んで沢山出しちゃいなさいよ」

「貴方達が本当にツインレイなら、魂の浄化が始まるわよ」


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