『アルマンドの騎士1』“魂の伴侶、それは魂の片割れツインレイ”

大輝

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第13章 クリスマス休暇

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【修道院】

「ローズマリー。南の海上での戦争の記事が新聞に載ってるわよ」

「えっ?」

「アッサムさん意識不明ですって。まだ戻らなのかしら?」

(大丈夫…大丈夫よ。エネルギーでわかるもの)

「ミントさんが先程聖杯を返しに見えましたよ。意識は戻ったそうです」

(そうなのね…私にはわかっていたわ。だって、貴方が苦しい時は私も苦しいの)

(貴方が泣いている時は、悲しくなくても涙がこぼれてくるのよ)

「アッサムさんの竜の事も書いて有る。お手柄ですって」

【コリアンダーのサロン】

〈ベッドの上に起き上がるアッサム〉

「順調に回復してるわね。クリスマス休暇に入ったし、安心して休みなさい」

「もう動けるのだから屋敷に戻る。いつまでも世話になっているわけには」

「何言ってるのよ。遠慮なんてやめてよね」

「すまない」

「クリスマスのミサには行けると思うわ」

クリスマスのミサか…

修道院から来るのだな…

ローズマリーも来るのだろうか?

【ギルドの魔獣の小屋】

「休みでも、結局ギルドに来ちゃいますね」

「ルナとミストラルをほっとけないからね」

「もっと食えよ。沢山食うんだぞ」

「ガゥガゥ」

「ガォガォ」

「皆んな~。アッサム君起きられるようになったよ~」

「おお」

「良かった」

「ガォガォ」

「ガゥガゥ」

「なんだか良いなあ…僕もギルドに入れてもらいたいな~」

「入れば良いじゃないかよ」

「え?でも、魔物と戦ったりは出来ないよ~」

「セージさんの発明には、助けられてますよね」

「俺の肉焼き機なんて、改良に改良を重ねて、やっとまともに使えるようになったんだけどな」

「笑える発明とかも沢山有るけどね」

「ハ、ハハ…」

〈後ろの新作を、体で隠すセージ〉


「で、その大きな箱みたいなのは何?」

「あ、アハハ…これね、自動餌やり機」

「良し、俺が運んでやる」

〈自動餌やり機を檻に運ぶバジル。セージが取り付ける〉

「ここに、取って来た魔物や魚を入れておくと、自動で燻されて保存もきくし、時間になると勝手に餌が出て来るんだ」

「本当にそんな事が出来るの?」

「大丈夫…たぶん」

「たぶんかい!」

「やあ、皆んな。ここだったのかい」

「オレガノさん」

「アッサムさんの鎧が直ったから、届けに来たんだよ」

「クリスマス休暇だって言うのに、悪いですね」

「あの人の事だ、動けるようになったら、休暇も何も無いだろうからね」

「ガォー」

「ガゥー」

〈自動餌やり機から、燻された肉が出て来る〉

「ちゃんと出て来た」

「食べてるよ」

「とりあえず、使えそうだね~」

「ルナちゃん、だいぶ大きくなったね。何か防具でも作ってやりたいな」

「ガゥー」

「窮屈なのは嫌だってさ」

「そうか、じゃあ、何かアクセサリーでも考えておくよ」

【コリアンダーのサロン】

「で?ギルドに入れてもらえたの?」

「うん」

「魔物と戦えないのに?」

「うん」

「アッサムの許可無しに?」

「うん。ミントちゃんが良い、って」

「そういう事はミントに任せている。よほどの事がない限り、私は口を出さんよ」

「武器屋のオレガノさんも入ったよ。格安で武器の修理をするんだって」

「へー…私もそろそろ入ろうかしら?」

「失礼する」

「ルバーブさん」

「アッサム。代わりに勲章を貰って来たぞ」

「今回の戦闘では、私は何もしていないが」

「お前の竜にこの勲章をやるのも良いな。まあ、竜には褒美の食料が届くはずだが」


【ギルド・レ・シルフィード】

「バジルさん。これ、運んで下さい」

〈大量の箱が積み上げられている。箱を開けるバジル〉

「おお!凄い食料だな」

「王宮から届いたんです」

「美味そうだな」

「ミストラル君にご褒美だそうです。あ、食べちゃダメ!」

〈フルーツを食べているバジル〉

「こんなに沢山有るんだ。少しぐらい良いじゃないか」

【魔獣の小屋】

「早速この餌やり機が役に立ちそうだね」

「肉や魚は入れても良いけど、フルーツは今あげちゃいましょう」

〈フルーツを食べるルナとミストラル。ミストラルがフルーツをバジルに渡す〉

「くれるのか?」

「ガォ」

〈ルナも真似してフルーツを渡す〉

「ガゥ」

「ありがとな」

「バジルさんの食べっぷり、ルナちゃん達と変わりませんね」

「そんなに食べたら、夜のご飯が食べられなくなるよ」

「ちゃんと食うから、心配するな」

「今日は、全員コリアンダーさんの家に招待されてるんですからね」

「家族が居ないからな、俺達」

「助かるね」

「食事の後は、皆んなで教会のミサに行きますからね」

【コリアンダーの家】

「皆んな来たね。さあさ、座った座った。大したごちそうは無いけど、食べて行きなさいよ」

「うお!美味そうだな」

〈テーブルの上に沢山の料理が並んでいる。料理を食べるバジル〉

「バジルさんのお腹って、いったいどうなってるんですかね。さっきあんなに食べてたのに」

「私は、見慣れてるから驚かないわよ。いつも魔物を倒すとすーぐ肉焼き機で焼いて食べてるし」

「私は、魔物狩りに同行した事が無いので…」

「あの肉焼き機、もう少し早く焼けるように改良してくれないかな」

「焼いてる間に、魔物に襲われるからね」

「腹減ってる時は、焼けるの待てなくて、生で食いたくなる」

「そっちね…ハハ」

「わかったよ。改良してみるよ~」

「一度に沢山焼けるやつが良いかな?」

「重くなるかも~」

「重くたって、食べる為なら運ぶわよね」

「おうよ」


「あー、ミサに行くから呑めないわね」

コリアンダーの事だ、どうせ帰ってから呑むのだろう。

【教会】

クリスマスミサが始まった。

〈キャンドルサービス。入祭の歌。司祭入場〉

ローズマリーが居る。

私にはもう、彼女の他何も目に入らなかった。

(近くに居るのね…涙が溢れそうだわ…いけない…今は彼の事を考えないようにしないと…)

賛美歌を歌い、聖書を読む。

私は今、彼女と同じ空間に居る。

言葉を交わす事も出来ないが、確かに君はそこに居る。

〈感謝の典礼、交わりの儀とミサは終わりに近づいていく〉

(アッサム…やめて…今は…抱き締めないで…お願いだから、大人しくしていて)

ミサが終わってしまう…

今度はいつ…

いつ君と会えるのだろう?

〈アッサムの横顔を見るコリアンダー。閉祭の歌。ミサが終わった〉

【教会の外】

〈人々が教会から出て来る。ギルドのメンバーが出て来た〉

「今日は、付き合いなさいよ」

「ああ、私も呑みたい気分だ。どうだ?皆んなで」

「良いね、僕も呑みたいな」

「じゃあ、皆んなまとめて面倒見ましょうか」

【コリアンダーの家】

「さあ、呑むわよ」

「良いね。僕お酒は大好きなんだ」

「タイムさんて、飲兵衛なんですか?」

「うん。飲兵衛なの」

〈バジルのいびき〉

「あら、ちょっと呑んだだけで寝ちゃったの?バジルのいびきはモンスター並だって、忘れてたわ」

「大きな体して、あんまり呑めないんですね」

「こんなに所で寝たら、風邪ひくわよ」

「私が運ぼう」

「僕も手を貸します」

【客間】

フー…

タイムと2人で、バジルをベッドに寝かせた。

バジルの巨体だ。

コリアンダーを運ぶのとは、わけが違う。

ふと窓の外を見ると、雪が降っていた。

彼女はもう、修道院に帰ったのだろうか?

送ってやる事も出来ないのか…私は。

いつも天使に守られている、と言っていたが…

そばに居て守ってやりたい。


「こら、アッサム。早くこっちに来て呑みなさいよねー」

向こうでコリアンダーが呼んでいる。

【居間】

「コリアンダーさん。もうそのぐらいでやめといた方が」

「まーだ呑むわよ」

「ワインの樽が空だよ」

「タイムさんも、随分沢山呑んでますけど…」

「まだまだ」

〈ニッコリ笑うタイム〉

「セージさんも、結構呑むんだね」

「呑むよ~僕だって~」

「そう言えば、オレガノさんも飲兵衛だって?」

「う~ん。飲兵衛、飲兵衛」

「ああ…とんだ飲兵衛ギルドだわ…」

【修道院のローズマリーの部屋】

(あの人のエネルギーが、とっても穏やかだわ…いつも通りに戻ったみたいね)

〈窓の外を見る〉

「雪…」

(この時季になると、東の塔に白い竜が現れると聞くわ。きっとまた、貴方は行くのでしょうね…)

(私より先に死んだりしたら許さないから…私だけ生きていて統合するなんて嫌)

(出来るなら…出来る事なら一緒に神に召されたいわ)

(次は一緒に転生出来ないのよ…私達…)

(もう少し、この地上で魂の修行をしましょう。次に巡り会えた時結ばれるように)

【ギルド・レ・シルフィード】

「今日は、新年祭ですよ」

「それなのに、皆んなしてギルドに揃ってるのかあ?」

「一緒に祝う家族が居ないからね」

「ギルドのメンバーが家族のようなものだな」

「そうですよね、マスター」

〈武具の手入れをするアッサム〉

「もう、出かける気?」

「手入れだけはしておかんとな」

「まだ無理はしないでね…って言っても、聞くような人じゃないけど」

「そうそう」

「行くなら私も連れて行きなさいよね」

「必要な時はな」

「必要な時は、ですって?私もギルドのメンバーになったのよ。これからはいつも同行させてもらうわ」

「ほう、メンバーに?聞いていないぞ」

「ミントちゃんが決めれば、口出ししないはずよね」

「よほどの事が無ければな」

「じゃあ、文句は言わせないわよ」

何と文句を言おうが、ついて来るだろうな。

今日は新年祭と言う事で依頼は入っていないようだが…

「ああ、俺そろそろ仕事に出かけないと、体が鈍る」

私も、バジルと同じ事を考えていた。

「ルナもそろそろ連れて行けるよ」

明日になれば、店が開く。

装備を整えて、出かけるとしよう。


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