『アルマンドの騎士1』“魂の伴侶、それは魂の片割れツインレイ”

大輝

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第24章 敵襲!

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火事騒ぎから一週間が過ぎた。

相変わらずアルマンドの空は、どんよりと暗い。

雨は止んでも、黒い雲が居座っている。

「ルナちゃん達に、ハーブを持って来たわ」

【魔獣の小屋】

コリアンダーと2人で、ルナとミストラルにハーブを食べさせている。

「この嫌な天気、いつまで続くのかしら?」

「ガゥガゥ」

「ガォガォ」

「その黒い鎧、やっぱり似合わないわね」

「オレガノに頼んで、染めてもらうか?」

「色もだけど、もっと丈夫に作り変えてもらったら?」

丈夫な鎧なら他にいくらでも有るが、黒竜の鎧は軽くて動きやすい。

「ケガをしたら、お前に治療してもらうさ」

「治療なら、いくらでもしてあげるけど…」

「いったい、何をそんなに心配しているのだ」

「アッサム、死なないでね。死んだりしたら許さないから」

私は騎士なのだ、命の危険は付き物だ。

【ギルド・レ・シルフィード】

「今日も、市民からの依頼は有りませんね」

「こんな空じゃ、森に入る人も居ないよね」

「いい加減戦いに出ないと、体が鈍っちまうが、焼けた家の建て直ししてる大工の仕事でも手伝って来るかな」

大工仕事は得意のバジルだからな。

ミストラル達の小屋も、ハバネラの村の子供達の家を建てたのもバジルだ。

【武具屋】

コリアンダーが、あんまりうるさく言うので、鎧を補強してもらおうと来たのだが…

「申し訳有りません。只今軍の仕事が立て込んでまして、少しお時間を頂けるのでしたらお預かりしますが」

「そうか…いや、また来る」

私は、オレガノを信頼している。

彼が作った物だ、これはこれで良い。

〈アッサムが武具屋を出ると、入れ違いに奥の工房からオレガノが顔を出す〉

「アッサムさんの声がしてたようだが?」

「たった今、お帰りになりましたよ」

【アルマンドの町】

城の近くの家は、殆ど焼けてしまっているな。

あちこちで瓦礫の撤去をしていたり、早い所では建て直しが始まっている。

「こう暗くちゃ、仕事がやりにくくてしょうがねえな」

「晴れるまで待ってるわけにもいかないだろ」

「薄気味悪い空だな」

「ガタガタ言ってないで、片付けるぞ」


「手伝いに来ましたよ」

「あん?そんなひ弱そうな体で、大丈夫か?」

「助かるよ。猫の手も借りたいぐらいだ」

「ルナ、おいで」

タイムが呼び笛を吹くと、上空からルナが舞い降りて来た。

「こりゃまた、デッカい猫だな、って竜か」

「可愛いでしょう?」

ルナが、瓦礫の撤去を手伝っている。

「おお、猫の手より竜の手だな」

建て直しをしている現場には、バジルが居た。

本当に大工仕事を手伝っている。

バジルもタイムも、もうすっかりこの町の住人になったな。

【海上】

「国境の砦を落としました!」

「良し!良いぞ」

「ジーグを占領して、ブーレに向かっています」

「アルマンドの西、廃墟の町レントラーと古城を占拠!」

「そろそろこちらも動くぞ」

「ロンドを落としますか?」

「いや、ロンドは敵の本拠地から近い。敵兵に見つからないように、他から上陸する」

【城下町アルマンド】

「城壁の上の兵隊が、やけに多いね」

「いったい、どうしたんだろう?」

〈防護壁の上を歩く兵士達〉

「門を閉めろ!市民を外に出すな!」

「防護壁の罠の準備をしておけ!」

敵襲か?!

「行くぞミューズ!」

「ヒヒーン!」

【騎士団】

「北の国境が破られた!!」

「レントラーが占拠されました!!」

「騎士団に出動命令が出たぞ!」

「キャラウェイの部隊は、北へ!チャイブの部隊は西へ向かえ!」

「了解です!」

「アッサムは居るか?!」

「聖騎士アッサム殿、参られました!」

「アッサムとルバーブは、城を守れ!」

「武器を取れ!」

「馬引け!」

〈騎士達は装備を整え、続々と騎士団を出て行く。アッサムは、あの黒竜の鎧を着たまま、ランスを手に騎士団を出た〉

【海上】

「そろそろ酒が呑みてえな」

「俺は、女が欲しい」

「傭兵達に、酒と女を与えてやらねばな」

「あそこに酒が有りますよ」

「ああ、それに女も居るな」

〈船上からアルマンド国を見上げる連合軍の兵士達〉

「あの丘を上がるぞ」

「あそこですか?バチが当たりませんかね?」

「構わん。我々の神ではない」

【城下町アルマンド】

〈北門と西門から、続々と騎士達が出て行く〉

【宮殿前】

橋を渡り、城の中へ入らなければならないのだが、ミューズが橋を渡ろうとしない。

その時、彼女のエネルギーを感じた。

怯えて…いるのか?

何か有ったのか?

彼女の身に何か…

胸騒ぎがする。


「ミューズ、修道院に向かうぞ」

「ヒヒーン!」

ミューズは、あおるように向きを変えた。

「聖騎士、な、何を?!」

「城を守れとの命令です!」

「命令に背けば死罪ですぞ!」

「わかっている」

「貴方は、反逆罪になっても良いと?」

「全てを捨てても、守りたい人が居る」

「行かせてやれ」

「ルバーブ殿!指揮官がここを離れてどうなるのです?!」

「指揮は私が執る」

「すまぬ」

私は、ミューズを急かせて南門へ向かう。

〈アッサムの背中を見送る騎士達〉

「聖騎士…ご武運を」

【アルマンド南門】

「開門!!開けてくれ!!」

「聖騎士」

「開けるわけには」

「頼む!開けてくれ!早く!!」

「今開けます」

1人の門番が、察してくれたようで、門を開けてくれる。

敵襲に備えて厳重に閉ざされた門は、中々開かない。

私とミューズは、はやる気持ちを抑えて待つしかない。

【南の丘】

〈連合軍の兵士達が上陸して、丘を登って行く〉

【修道院】

〈窓から敵の船が見える。怯える修道女達〉

「門を閉めましょう。戸締りを厳重にするのよ」

「はい、院長様」

【アルマンド南門】

〈門が開き、ミューズが飛び出す。再び厳重に門が閉ざされる。防護壁の上には兵士達〉

私とミューズは、南の丘へと急いだ。

【修道院の門】

「門を破れ!」

〈敵軍が破城槌で門を破ろうといている〉

「中には酒が有るぞ!」

〈破城槌で門を突く。ドスーン!ドスーン!門や壁が揺れる〉

「女も居るぞ!」

「おお!!」

【祭壇の前】

〈ドスーン!ドスーン!と物凄い物音に怯える修道女達〉

「ああ、神様」

「あ…」

(あの人のエネルギーが熱い…助けて、アッサム)

【アルマンドから修道院への道】

〈アッサムを乗せたミューズが走る〉

「間に合ってくれ」


【アルマンド北の川】

〈騎士団が川を渡ろうとした時、山の麓からサラバンド軍が進軍して来る〉

「もう、こんな所まで来ていたのか!」

「ここから先は、一歩も通さんぞ!」

「何を?!蹴散らしてくれるわ!」

【修道院の門】

〈連合軍の兵士達が、破城槌で門を突く。ドスーン!ドスーン!〉

「もう少しで破れるぞ!」

〈ドスーン!ドスーン!破城槌が門を突く〉

「中には酒と女か、ガハハ」

〈ドスーン!ドスーン!破城槌が門を突き破った。兵士達が修道院になだれ込む〉

「行くぞ!!」

「酒蔵はどこだ?!」

「俺は、酒より女が先だ!」

【丘の上の花畑】

〈アッサムを乗せたミューズが駆け抜ける〉

【修道院の門】

〈門のそばに破城槌が投げ捨てられている〉

「ヒヒーン!」

あれは、破城槌。

「やはりか」

私は、ミューズから降りて修道院の中へと急いだ。

【修道院の中】

〈酒蔵でワインを呑んで騒ぐ連合軍の兵士達〉

「酒だ酒だ!」

「中々旨いぞ」

「酒の次は女だ、ガハハハハ」

「ここだけは、お前達には絶対に渡さん!」

「貴様は、あの時の白馬の騎士」

「でぇーい!」

「うわあー!」

「アルマンドの騎士だ!アルマンドの騎士が来たぞ!」

【建物の中】

「ディル様。アルマンドの騎士が入り込みました」

「敵の数は?!」

「それが、あの白馬の騎士1人です」

「フハハハハ、たった1人で何が出来ると言うのだ。捻り潰してくれるわ」

【酒蔵の前】

私はランスで、敵の兵士達をまとめて薙ぎ払う。

「でぇやー!」

「くっ」

「うわっ」

「うわあ」

戦いながら進む。

早く中へ入らなければ。

ローズマリー、ローズマリー無事でいてくれ。

次から次へと襲いかかって来る敵を倒しながら進む。

「でぇーい!」

「うわっ」

「えーい!」

「くっはっ」


【礼拝堂の扉の前】

「この中に、修道女達が立て篭っているもよう!」

「良し、突き破れ!」

「大人しく、ここを開けろ!」

【祭壇の前】

「神よ、私達をお守り下さい」

〈扉を開けようとする音が聞こえる〉

「怖いわ」

〈身を寄せて怯える修道女達〉

(助けて、アッサム)

【修道院の入り口】

ローズマリー、今行くぞ!

「そこを退け!」

「ここは、俺達が占領した!」

「そんな事は、この私が許さん!」

「敵は1人だ!怯むな!」

外の敵は大方倒して、中に入った。

【祭壇の前】

〈祈る修道女達。扉を開けようとする音が聞こえる〉

「ここは、もうダメ。ローズマリー早く!」

〈奥の扉から逃げるフェンネルとローズマリー〉

「私達も逃げましょう」

【通路】

私は、敵を倒しながら進む。

「ローズマリー!無事か?!」

「己、白馬の騎士!」

「悪いが、お前達の相手をしている暇は無いんでな。てーい!」

「ぐわー」

「うわっ」

「ううっ」

「ローズマリー、どこだ?!」

一部屋ずつ確認するが、彼女はどこにも居ない。

【礼拝堂】

「ここか」

中に入ると、1人の修道女が倒れている。

そばに寄って確かめてみると、息絶えていた。

男に乱暴されて、殺されたようだ。

ローズマリー、君は、無事なのか?!

奥の扉が開いている、あそこか?

「白馬の騎士め!地獄へ送ってくれるわ!」

【奥の部屋】

「大人しく言う事を聞けば、生かしておいてやると言っているのだ」

「いったい、私達に何をしろと言うのです」

「婆さんは、いらねえよ。えーい!」

「あ!院長様!」

「若い女だけで良い」

「その女には手を出すな。後で私の所へ連れて来い」

「はっ、ディル様」

〈ディルは、礼拝堂とは反対の扉から出て行く〉

「良い女なんだがな、ディル様の目に留まったんじゃしょうがねえ」

「ディル様に差し出す前に、俺が味見してやろうか?」

「バカかお前は。そんな事をしたら将軍にバレるだろ。修道女は処女だからな」

「その女を、連れて行け」

「嫌、離して!」

(助けて!アッサム!)


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