『アルマンドの騎士1』“魂の伴侶、それは魂の片割れツインレイ”

大輝

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最終章 君が為全てをかけて

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【アルマンドの防護壁】

〈その頃アルマンドは、北からも西からも攻められていた〉

「来るぞ!岩を落とせ!」

「矢を射よ!」

〈黒い雲の間から稲光り!落雷!〉

「また雷だ!」

「避雷針が有るので、大丈夫です」

「本当に、あんな物が信用出来るのか?」

【南の海上】

「北と西の連隊がアルマンドに到達しました!」

「良し!我々はロンドを占領する!」

【ロンドの港】

「何だ?あれは…海を見ろ」

「敵の船が来るぞー!」

「凄い数だ、逃げろ!」

〈漁師達が町の方へ逃げて行く。連合軍の船が入港する。船から兵士達が続々と降りて来る〉

「逆らう者は殺して構わんぞ」

「ロンドの町を占領したのち、我々の隊はアルマンドに向かう」

【港町ロンド】

「敵兵が来たぞ!」

「逃げろ!」

「何だって?」

「アルマンドに逃げるか?」

「アルマンドはダメだ!敵兵に包囲されている!」

〈港からの道を、連合軍が行進して来る〉

「もうダメだ、殺される」

【修道院の礼拝堂】

彼女のエネルギーを強く感じる。

すぐそばに居るのか?

「たかが騎士1人に、何を手こずっている!」

「まとめて面倒みてやる、来い!」

「かかれ!」

「やー」

「わー」

「でぇやー!」

ローズマリー、そこに居るのか?

【奥の部屋】

「俺は、そっちの女にする」

「来ないで!」

〈逃げ惑うフェンネル〉

「この女、ディル様に差し出す前に、どうしても俺が味見してえ」

「触らないで。嫌、離して」

「その汚い手で、彼女に触れるな!!」

「アッサム」

「くそう、邪魔が入りやがった」

「フハハ、知り合いか?」

「こいつを始末したら、ゆっくり可愛がってやるからな」

「お前達は、そこで見てな」

「2人まとめてかかって来い!」


「生意気な!」

「やー!」

「えーい!」

「はー!」

「ほう、中々やるな。今迄の相手とは比べ者にならん」

「当たり前だ。俺は今度の戦争で手柄を立てて、ディル様の側近にしてもらうのさ」

「俺達は、他の傭兵とはわけが違う。いずれサラバンドの、いやクーラントの将軍になるんだ」

「ならば、こちらも本気で戦わねばな」

「何だと?」

「今迄本気じゃなかった、って言うのか?!」

「気にくわねえ野郎だな」

「二度と生意気な口叩けねえようにしてやる!」

「やっちまえ!」

「やー!」

「たー!」

「どうした?未来の将軍の腕とは、その程度か」

「若造が!えーい!」

「やー!」

「でぇーい!」

「このガキ!」

「このランスで、串刺しが良いか?うん?」

「アルマンドを征服する!」

「クーラント統一だ!」

「来い!」

「やー!」

「たー!」

「でぇやー!!」

ランスで突進!

2人を串刺しにした。

「うっぷ」

「くわぁ…」

口程にもない。

「アッサム」

「ローズマリー、大丈夫か?」

「アッサム!」

彼女は、私の腕の中に飛び込んで来た。

「怖かった…」

「すまない。もう少し早く来たかったのだが、敵兵の掃除に手間取ってな」

「いつも私が危ない時は、貴方が助けに来てくれるの」

「以前は確か、天使に助けられていると言っていたが、余計な事をしたかな?」

「もう、意地悪ね」


〈アッサムの腕の中にローズマリー、2人は動く事が出来ない〉

(貴方の優しい手が、そっと包むように私を抱いている。2つの魂が溶け合って1つになってゆく)

もう、離したくない。

愛していると、言わせてほしい。

神が許し賜うなら、君を愛していると…

その時、敵の気配がした。

「まだ居たか」

「女も殺せ、殺してからやるなら、ディル様も文句は言えねえだろう」

〈片手でローズマリーを抱くように、守りながら戦うアッサム〉

「野郎!」

「やー!」

〈カン、カン、カン。アッサムはランスで敵の剣を受ける。ローズマリーが手から離れた〉

「殺す。殺せば俺の物だ」

〈1人の兵士がローズマリーに切りかかる!〉

「させるか!」

〈アッサムが割って入り、ローズマリーを腕に抱くと、剣が振り下ろされ肩を切られる〉

「アッサム」

「私は、大丈夫だ!」

〈言いながら、ランスで突いた〉

「うわー」

〈男は、倒れた。その時背中からもう1人が剣でアッサムを刺す〉

「くっ」

〈アッサムは、ランスを逆手に持って、後ろの兵士を突いた〉

「ぐわ」

〈男は、倒れた〉

「大丈夫…か?」

「ええ、私は大丈夫」

「そう…か」

「アッサム?」

「君が…無事で…良か…っ…た」

〈崩れ落ちるように倒れるアッサムの背中、心臓の裏側に剣が刺さっている〉

「アッサム、アッサム、しっかりして」

〈赤い煙のようなエネルギー体が、アッサムから離れてローズマリーにまとわりつく〉

「はっ!統合!?」

〈エネルギー体は、ローズマリーの中に入って行く〉

「嫌よ、アッサム。嫌!!」

(ツインレイは、どちらかが死ぬと統合するの。死なないで、お願い)

「アッサム!」

「何をそんなに泣いているのだ」

「あっ!」

(さっきの指揮官?!)


「おお、白馬の騎士め、地獄に落ちたか。何だ?その顔は?この男と愛し合っていたか?」

「来ないで」

「あんまり遅いので迎えに来たのだよ」

「嫌、近寄らないで」

〈後ずさりするローズマリー〉

「私の妻にしてやろうと言っているのだ、光栄に思うのだな」

「嫌です、誰が貴方のような人と」

「私は、将軍の地位だぞ。大人しく私の物になった方が幸せと言うもの」

「私は神に仕える身、誰の物にもなりません」

「もうこの国に神などおらんわ」

〈ディルは、壁際までローズマリーを追い詰める〉

「嫌、触らないで!」

「ならば私も、僧侶にでもなるか、フハハハハ」

〈ローズマリーの上に覆い被さるディル〉

「やめ…て、嫌!」

(男の人はみんなあの人のように優しいものだと思っていたの)

〈ディルがローズマリーを腕に抱く〉

「嫌!!」

(あの人の腕は、もっと優しいわ。あの人の胸は温かいの)

すまない。

もう、君を守ってやれぬ。

「え?」

(私の中から、あの人の声が聞こえた気がした)

「この男の前で、お前を我が物とする」

「嫌、助けて、アッサム!」

〈ローズマリーは、アッサムの方へ手を伸ばす。キスをしようとするディルを避けながらアッサムを見るローズマリー〉

(あれは…風の剣…もう少しよ…もう少しで届くわ)

〈ディルは、ローズマリーの修道服を破る。ローズマリーの指先が風の剣に触れる〉

「淫らに足を開け」

〈ディルは両手でローズマリーの足を開こうとする〉

「嫌ああ!!」

〈ローズマリーは、アッサムの風の剣を手にした〉


(身も心も清らかなまま、貴方の所へゆきます)

〈ローズマリーは、風の剣で自ら喉元を切り自害した〉

「何をした?!」

「う…」

(アッサム、待っていてね。すぐに私も行くから)

「バカな…バカな女だ」

【アルマンドの防護壁】

「南からも来たぞ!」

「岩を落とせ!」

「矢を射よ!」

【北門】

〈連合軍が破城槌で門を突く。ドスーン!ドスーン!〉

「もう少しだ!休むな!」

〈破城槌で門を突く。ドスーン!ドスーン!門が破られ、連合軍がなだれ込む〉

「わー!!」

「逆らう者は、女子供も殺せ!」

「城を包囲せよ!」

【アルマンド城】

「北の防護壁が破られたぞ!」

「敵が来ます!」

「国王陛下をお護りするのだ!」

「西からも、南からも来ます!」

「もうダメだ」

「何を言っている!国王陛下をお護りしろ!」

〈そして、30日程の籠城の末、アルマンド国は降伏した。クーラント地方統一。アルマンド国王は処刑され、政治は、サラバンドの貴族達が行っている〉

【ギルド・レ・シルフィード】

「やっと、外に出られるわ」

「大勢殺されましたね」

「市民達まで殺すんだからな」

「町の中は、サラバンドの、いえクーラントの兵士達が、我が物顔で歩いてますね」

「逆らえば、皆んな殺されるよ」

「窓の外を見て!」

〈汚れた白い馬がギルドの窓を覗いている〉

「ミューズだわ!帰って来たのね!」

【ギルドの前】

「ミューズ…1人か?」

「アッサムは?アッサムはどこ?」

「コリアンダー嬢…ギルドの皆さん」

「ルバーブさん」

「アッサムは…彼は…戦死した」

「嘘よ!嘘でじょ?!アッサムが死ぬはずないじゃない!アッサムが」

〈バジルは、泣きじゃくるコリアンダーを抱き寄せる。コリアンダーは、バジルの胸で泣く〉

「俺だって、亡骸を見るまで信じられねえが」

「だから、あの鎧は嫌って言ったのよ!オレガノがあんな鎧作るから」

「オレガノに当たっても、しょうがねえだろ」

「すまん、俺がもっと丈夫な鎧を作っていたら…」

「アッサムとローズマリーは、やっと一緒に居られるのだ」

【丘の上】

「ここに2人一緒に眠っている」

〈2人の墓に花を供えるコリアンダー達。アッサムとローズマリーの魂は、完全に統合して天に昇ったのであった〉

ーLa Finー


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