おばあちゃん百合ひとりアンソロジー

飛鳥井作太

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身体の柔らかい人×身体の固い人

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 After

 私の通うフィットネスでは、レッスンや清掃の時間以外は、ヨガスタジオを自由に使っていいことになっている。ゆえに、部屋のあちこちで、ヨガの自主練やストレッチを行う人が居た。私もその一人。今日も今日とて、のんびりレッスンの復習をしていたのだけれど。
「ふぅん。随分固まっちゃってるねぇ。こぉんなマシュマロボディの癖してねぇ」
「いだいっ! 骨折しちゃう! 皆が皆、たーちゃんみたいな関節してないんだよ!?」
 部屋の隅で、ヨガをしているおばあちゃん二人。というより、ふっくらしたおばあちゃんのポーズを、もう一人の瘦せ型おばあちゃんが直してあげているようだ。
 歳を取っても仲良しな、友人同士の微笑ましい光景……である筈なのだが。
「ここなんて」
「あっ……」
 何やら、手付きが怪しい。そのポーズを直すのに、そんな際触ります??
「あれだけほぐしてやったってのに……『運動』しないうちに、すっかり生娘だ」
「いっ」
 いや、話していることも怪しい。生娘って、何。
「ほら、こっちも」
「ああっ!」
 その所為で、痛みに耐える声も何やら聞いてはいけないもののようで。
「「「…………」」」
 スタジオ内に、微妙な空気が流れる。
「やっぱり今夜からまた『柔軟』再開するかぁ」
「やめて、この歳でするの怖い……!」
(それって、本当に柔軟か……?)
 そんな口に出せない問いが、ずっと部屋に満ちていた。 

 Before

 体育の時間。柔軟体操で。
「ほーら。もっと行ける、もっと行ける……」
「んんっ、も、無理ぃ……っ!」
 今日も今日とて、隣から怪しい声がする。
「……アンタらねぇ」
 私は、相方の背を押しながら眉を顰めた。
「ただの柔軟体操なのに、妙な空気出すのやめな?」
 そうそう、と相方も声を上げる。前屈中なので、くぐもった声で。ちなみに、周りのクラスメイトたちも神妙に頷いていた。二人は暫し、柔軟を中断すると顔を見合わせ。
「ほれ見ろ。お前のやらしい声の所為でバレただろ」
「ちっがうよ! たーちゃんが昨日も今も容赦ない所為だよ!」
 などと互いに罪をなすりつけ合っていたが、すぐにまた準備運動へと戻っていった。
 あまりに自然な流れで、我らも一瞬流しかけるも。
「「「……ん???」」」
 聞き捨てならない単語があった気がして、思わず彼女たちの方を二度見した。
 相変わらず、そちらからは艶めかしい声が上がっている。

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