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32おっさんは聖女ちゃんにキスを迫られる
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「おっさん、一つだけ忠告がある」
「なんだ? シュレン?」
旅立つ前に、俺は例のお嬢様をかけて決闘した貴族の男の話に耳を傾けた。
「いいか、秘密の通路の最後のトラップは何人たりとも突破できねえって言われている。お前ならあるいは万が一踏んでもなんとかなるかもしれんが、念の為、伝えておくぜ」
「あんたのことを誤解してやした。気位の高いお坊ちゃんかと思ってたけど、お嬢様のために……あんた、伯爵家の嫡男だから、第一王子か第二王子のどちらかに関わっているんじゃないすか?」
「気にすんな。俺はただ、偶然通りすがって、聞くこともなしに聞いてしまっただけだ」
「ふん。そういうことにさせて頂きやすぜ。その意気、必ず報いてみせまさ」
「……ふっ」
男はそうキザに呟くと、手を振って去って行った。
「……それにしてもあれだね……」
「どうしたんでさ、ミア様?」
「いや、あの人、まだここにいたんだね」
「うむ、ワシもすっかり存在を忘れておった。てっきり去ったとばかり」
……聖女ちゃん……教皇様……酷すぎん?
俺がそう思っていると、聖女ちゃんが俺の前に来て、潤んだ瞳で俺を見上げた。
「おじさまも死地に赴くけど、私も西方の死地に赴くんだよ。だからね……おじさまからご褒美欲しいな」
そう言って、恥じらうように下を見て、手の指をコネコネする聖女ちゃん。
何、この可愛い仕草?
そんな聖女ちゃんがご褒美を要求して来た。
「わ、私ね。男の人に免疫なくて……男女交際とか全然経験なくてね。だからね……おっぱい揉んでくれないかな? 出来れば激しく揉みしだく感じで」
「は?」
真っ赤な顔でそう言って、手で顔を塞ぐ聖女ちゃん。
でも、言ってることは痴女だよな?
いや、そんな筈がねえ。聖女ちゃんがそんなことを言う筈がねえ。
これは幻聴にちげえねえ。
改めて聖女ちゃんを見ると、神が美を体現するために生み出したとしか思えない美貌とプロポーション。
胸はお嬢様と同じ位のメロン大で、おそらくGカップはありそう。
清楚な容貌に男を惹きつける艶かしい、男の欲望を体現化したかのようなスタイル。
は! い、いかん。
俺としたことが、聖女ちゃんの見事なプロポーションに欲情して、幻聴を聞いてしまったんだ。
「……だめ……かな?」
「何がでやす? もう一回言ってくだせえ」
「え!? もう一回? そ、そんな……は、恥ずかしいよう」
「おっさんは意外とSっ気があるようじゃな。女からこんなこと言うのは死を覚悟したからこそじゃというのに」
へ? 俺がSっけ?
いや、俺はいたってノーマルだぞ?
むしろMっけがあるかもしれない。
お嬢様や聖女ちゃんに犬のように骨付き肉を投げられて、這いつくばって拾って来いと言われたら、喜んで拾って来るかもしれねぇ。
それ位お嬢様と聖女ちゃんのことをリスペクトしている。
しかし、聖女ちゃんの要望を俺の妄想が邪魔して聞き逃してしまい、もう一度聞くしかねえ。
「すいやせん。ミア様にこんなに親近感を持って頂いて、嬉しくて、ついうっかり聞き逃してしまいやした。もう一度言ってくだせえ」
「も、もう一回? え……と、あの、む、胸を……荒々しく……やだ、ち、違うの! そう、キスなの。キスをして欲しいの! 決して、生乳を荒々しく揉みしだいて欲しいとかじゃないの!」
真っ赤な顔で必死な表情で俺を上目遣いで見ながら俺への要望を言って来る。
……そうか。
俺は腑に落ちた。
聖女ちゃんは男女の経験がないから、俺に疑似恋愛みたいなものを期待したんだろう。
だから、キスなんだ。
もちろん、口へのガチなやつな訳がねえ。
奥手の聖女ちゃんのことだ。
これは、あれだ。
「わかりやした。ミア様。俺で宜しければ、是非。俺にとっても光栄なことでやす」
「ほ、ほんと? おじさま、お願い」
そう言うと、聖女ちゃんは俺の方を見上げて、目を閉じた。
「ミア様、どうか無事帰還してくだせえ」
俺はそう言うと、聖女ちゃんの額に軽く触れるかのキスをした。
聖女ちゃんみたいな初心な女の子には、これでも刺激が強すぎるのは間違いねえ。
きっと、恥ずかしさでいっぱいだろう。
俺なんかで代用する。
それ位、西部戦線は危険だ。
俺の作戦で、かなり有利になると思うが、魔法弓兵の矢の補給が果たして何処まで持つか。
その辺はわからねぇ。
「……おじさま……ありがとう。続きは帰って来てからということだよね。生きて帰って来たら、必ずお願いするね……その……ほんとの唇への……キ……ス」
いけねえ、いけねえ。
また幻聴が聞こえて来た。
聖女ちゃんが俺と唇を合わせる?
ありえねえな。
「じゃあ、行きやしょう」
「はい! 私も西部戦線に心置き無く行けます」
「なんだ? シュレン?」
旅立つ前に、俺は例のお嬢様をかけて決闘した貴族の男の話に耳を傾けた。
「いいか、秘密の通路の最後のトラップは何人たりとも突破できねえって言われている。お前ならあるいは万が一踏んでもなんとかなるかもしれんが、念の為、伝えておくぜ」
「あんたのことを誤解してやした。気位の高いお坊ちゃんかと思ってたけど、お嬢様のために……あんた、伯爵家の嫡男だから、第一王子か第二王子のどちらかに関わっているんじゃないすか?」
「気にすんな。俺はただ、偶然通りすがって、聞くこともなしに聞いてしまっただけだ」
「ふん。そういうことにさせて頂きやすぜ。その意気、必ず報いてみせまさ」
「……ふっ」
男はそうキザに呟くと、手を振って去って行った。
「……それにしてもあれだね……」
「どうしたんでさ、ミア様?」
「いや、あの人、まだここにいたんだね」
「うむ、ワシもすっかり存在を忘れておった。てっきり去ったとばかり」
……聖女ちゃん……教皇様……酷すぎん?
俺がそう思っていると、聖女ちゃんが俺の前に来て、潤んだ瞳で俺を見上げた。
「おじさまも死地に赴くけど、私も西方の死地に赴くんだよ。だからね……おじさまからご褒美欲しいな」
そう言って、恥じらうように下を見て、手の指をコネコネする聖女ちゃん。
何、この可愛い仕草?
そんな聖女ちゃんがご褒美を要求して来た。
「わ、私ね。男の人に免疫なくて……男女交際とか全然経験なくてね。だからね……おっぱい揉んでくれないかな? 出来れば激しく揉みしだく感じで」
「は?」
真っ赤な顔でそう言って、手で顔を塞ぐ聖女ちゃん。
でも、言ってることは痴女だよな?
いや、そんな筈がねえ。聖女ちゃんがそんなことを言う筈がねえ。
これは幻聴にちげえねえ。
改めて聖女ちゃんを見ると、神が美を体現するために生み出したとしか思えない美貌とプロポーション。
胸はお嬢様と同じ位のメロン大で、おそらくGカップはありそう。
清楚な容貌に男を惹きつける艶かしい、男の欲望を体現化したかのようなスタイル。
は! い、いかん。
俺としたことが、聖女ちゃんの見事なプロポーションに欲情して、幻聴を聞いてしまったんだ。
「……だめ……かな?」
「何がでやす? もう一回言ってくだせえ」
「え!? もう一回? そ、そんな……は、恥ずかしいよう」
「おっさんは意外とSっ気があるようじゃな。女からこんなこと言うのは死を覚悟したからこそじゃというのに」
へ? 俺がSっけ?
いや、俺はいたってノーマルだぞ?
むしろMっけがあるかもしれない。
お嬢様や聖女ちゃんに犬のように骨付き肉を投げられて、這いつくばって拾って来いと言われたら、喜んで拾って来るかもしれねぇ。
それ位お嬢様と聖女ちゃんのことをリスペクトしている。
しかし、聖女ちゃんの要望を俺の妄想が邪魔して聞き逃してしまい、もう一度聞くしかねえ。
「すいやせん。ミア様にこんなに親近感を持って頂いて、嬉しくて、ついうっかり聞き逃してしまいやした。もう一度言ってくだせえ」
「も、もう一回? え……と、あの、む、胸を……荒々しく……やだ、ち、違うの! そう、キスなの。キスをして欲しいの! 決して、生乳を荒々しく揉みしだいて欲しいとかじゃないの!」
真っ赤な顔で必死な表情で俺を上目遣いで見ながら俺への要望を言って来る。
……そうか。
俺は腑に落ちた。
聖女ちゃんは男女の経験がないから、俺に疑似恋愛みたいなものを期待したんだろう。
だから、キスなんだ。
もちろん、口へのガチなやつな訳がねえ。
奥手の聖女ちゃんのことだ。
これは、あれだ。
「わかりやした。ミア様。俺で宜しければ、是非。俺にとっても光栄なことでやす」
「ほ、ほんと? おじさま、お願い」
そう言うと、聖女ちゃんは俺の方を見上げて、目を閉じた。
「ミア様、どうか無事帰還してくだせえ」
俺はそう言うと、聖女ちゃんの額に軽く触れるかのキスをした。
聖女ちゃんみたいな初心な女の子には、これでも刺激が強すぎるのは間違いねえ。
きっと、恥ずかしさでいっぱいだろう。
俺なんかで代用する。
それ位、西部戦線は危険だ。
俺の作戦で、かなり有利になると思うが、魔法弓兵の矢の補給が果たして何処まで持つか。
その辺はわからねぇ。
「……おじさま……ありがとう。続きは帰って来てからということだよね。生きて帰って来たら、必ずお願いするね……その……ほんとの唇への……キ……ス」
いけねえ、いけねえ。
また幻聴が聞こえて来た。
聖女ちゃんが俺と唇を合わせる?
ありえねえな。
「じゃあ、行きやしょう」
「はい! 私も西部戦線に心置き無く行けます」
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