底辺回復術士Lv999 勇者に追放されたのでざまぁした

島風

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32トゥールネの帰らずのダンジョン1

僕の心を現したかの様な曇天だった。まだいい方だろう、フィーネを失ったばかりの頃は激しい落雷と大雨だっただろう。 

いよいよトゥールネの帰らずのダンジョンに挑む。アルザス王国はこのダンジョンを研究中だが、ヒルダの祖国フランク王国の暫定政府はこのダンジョンの2階層への決死隊を騎士団で構成した。それを止めたのがヒルダだった。騎士団では魔族に勝てない。ただ斥候として突入しても未帰還となる可能性が高い。アルザス王国の研究を待つべきだが、みな早く祖国を取り戻したくてうずうずしている人達ばかりだ。 

そんな時、ヒルデに臆病風が吹いたのでは? という噂が流れた。勇者としては聞き捨てならない話だ。それで、ヒルダ、つまり僕達のパーティが突入部隊、いや、一気に魔族を討伐するという無謀な計画となってしまった。 

「アル、ごめんなさい。無茶な計画だという事はわかっているわ」 

「無謀だけど、一気に魔族が待つ最下層を目指すつもりで突入するのは悪くないよ。それ位の気持ちじゃないと帰還できないダンジョンだと思わないと」 

ヒルデが謝るが、このパーティで攻略すればフランク王国の暫定政府がヒルデを正式に勇者パーティとして認定するだろう。実力を認めてもらうチャンスだ。僕も賛成だ。僕の為でもある。 

「という訳で、これから第2層へ突入するよ。みんな気を引き締めてね」 

「このメンバーでは初めてですね?」 

「ホント、ワクワクする!?」 

ナディヤとヒルデが能天気な事を言う。この状況でこの能天気具合はかえって頼もしい。能天気な二人はいいムードメーカーだ、安心できるな。 

「それじゃ、リーゼ、前衛を頼む、行くよ!?」 

「下僕の癖に生意気ね、後でお仕置きを希望しているのね」 

レベル40の毒舌リーゼを先頭に、僕達はダンジョンの2階層へと進んだ。 

何かがいる! 僕の探知のスキルに反応がある、ナディヤも気がついたのか、光ライティングの魔法を唱えて前方に投げた。明かりに照らし出された魔物は! 

「ロイヤル・トロールだ気をつけて! 力馬鹿だけどとんでも無い力だ、まともに剣で受けるとヤバいよ」 

リーゼを先頭にヒルデ、僕と前衛が続く、後衛は妹のロッテ、後輩のナディヤが務める。 

リーゼが剣を構え、トロールに対峙する。身の丈3mはある魔物がこん棒をリーゼに振り下ろす。 

リーゼは器用に魔物のこん棒を剣で受け流すと、返す刀で剣戟を打ち込む。 

「一撃では仕留められないか? でも、十分剣の腕は上達したね、リーゼ怪我はない?」 

「下僕に心配されるようでは、主人失格ね。後でお仕置きしてあげるから期待して頂戴」 

大丈夫みたいだけど、そろそろ先頭は交代した方がよさそうだ。 

その時、 

「ミゼラブルミスト(防御力、攻撃力低下のデバフ)!?」 

「プロテクション(味方防御力上昇のバフ)!?」 

ロッテとナディヤが攻防デバフ、バフをばらまく。 

そこへヒルデの聖剣の一閃! 

ロイヤル・トロールはあっさり倒れた。攻防デバフ、バフがあるとこんなに楽とは… 

「前衛と後衛がいると楽だね?」 

「そうね。……でも、パーティ二人だけで剣と魔法を分担していた以前の方がおかしかっただけなような気がする……」 

「それはそうだね」 

ヒルデに根本的な事を指摘されて思わず赤面してしまった。だけど、そろそろ、前衛を交代しよう。どうもこの2階層の最前列はリーゼには荷が重い様に思える。経験を積んでもらう為の最前列にしたけど、ちょっと危険な気がした。 

「リーゼ、最前列は僕が分担するよ。ヒルデの後ろについて支援してくれないかな?」 

「下僕が泣いてお願いするなら、仕方ないわね」 

僕泣いて頼んでなんていないんだけどな。 

「ええっ? お兄ちゃんが前衛って、お兄ちゃんは回復術士でしょう?」 

「そうですよ、先輩は後衛職じゃないですか?」 

妹ロッテと後輩のナディヤが驚いた様な声で指摘する。 

「いや、今の僕は前衛でも後衛でもどちらでもこなせるんだ。その、魔剣あるし、レベル999だし、魔法スキル全部カンストしているし」 

「魔剣?」 

「レ、レベル999…」 

ナディヤが驚愕の視線を僕に向けるが、ロッテはキラキラと輝いた目で僕を見る。そんな恋人を見るような目で兄の僕をみないで!

「お兄ちゃん、素敵!」 

案の定、ロッテは僕に抱き着いてきそうになる。が、僕は避けた。 

「なんで、可愛い妹の抱擁を逃げるの? ロッテ、傷つくんだからね!」 

「い、いや、ロッテに、兄以上の想いを感じて、そのう…」 

「仕方ないでしょう!? 魔剣使いの上にレベル999だなんて、妹だって惚れ直すんだからね!」 

いや、だから、普通 妹は兄を愛さないだろう。僕達、血は繋がっていなくても、本当の兄妹として育ったから、駄目だよね。それに親父に何て言えばいいの? 

「あの、ロッテさんて、実の妹さんじゃないんですか? 貴族は兄妹でも一緒に家族として過ごさないので、血筋とかの問題で兄妹で結婚する事ありますけど、二人でちゃんと兄妹として過ごした兄妹で結婚はまずしないですよ。したらみんなざわざわしちゃいますよ」 

ヒルデがナイスな突っ込みをロッテにしてくれた。これでロッテが諦めてくれれば、ラッキー、僕が親父に殴られた上、村の人達から生暖かい目で見られないで済む。 

ロッテは村でも綺麗な女の子の方で、僕は村の友人からロッテの事を相談された事がある。結構いい奴にはそれなりにアドバイスをしたのだけど、僕とロッテがそんな仲になったら、僕が友人無くすよ。トホホ。 

「ヒルデさん、誤解です。お兄ちゃんは家族じゃないんです。ロッテとお兄ちゃんは血が繋がっていないんです。だから、別にお兄ちゃんが貴族にならなくても結婚できるんです」 

いや、家族じゃないだなんて、素で傷つくんですけど、僕は本当の家族と固く信じていたのに… 

「なんだ、そうだったのね!? 安心したわ、じゃ、私は2号だから、ロッテさんは4号ですね」 

「えっ? 4号?」 

「はい、1番はフィーネさんなので、欠番です。だから私は2号でいいです。そして、冒険者ギルドのお姉さんが3号、ロッテさんは4号という事になります」 

「全く下僕はまた愛人を増やして、だけど私は性奴隷なので、そこははき違えないで」 

「えっと?」 

ロッテが僕を凝視する。 

「お兄ちゃん、リーゼさんを性奴隷にしていたの?」 

「う、うん、一応そういう事になるかな。正式に奴隷商から購入して隷属の魔法がかかっているから」 

ロッテが僕を見つめて、涙を流す。えっ? なんで? 

「お、お兄ちゃんが性奴隷を購入するような変態だったなんて…でも、は、早く言ってくれれば、私が、私がどんな激しいプレイでも、どんな変態プレイでも受け入れてあげたのに!」 

いや、止めて、妹よ。実の妹に変態プレイだなんて、想像すらしたくないよ! 
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