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30冒険者試験-魔法編1
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俺は失意の元、次の魔法試験の会場である郊外に向かった。
場所はどうもギルドや街の魔法の訓練施設のようだ。
そりゃそうだな。街中で魔法ぶっ放すとかあり得ないからな。
何とか、剣術の試験の失敗を取り返さないと、冒険者になれないとアリーと一発、いや、それどころか、食うのに困る。
俺はかなり気合を入れて試験に臨んだ。
「私が試験官の副ギルド長でクルゥだ。君が冒険者希望者か?」
「はい。アルと言います」
俺は姿勢を正してお辞儀した。
やはり初対面の時の礼儀が大事だと思う。
できるだけ、好印象を持たれるように、礼儀正しくする。
この手の年寄りは大体、敬うような感じで、礼儀正しくしとけば、イチコロだ。
心の中では、ケッ、何カッコつけてるんだこの禿げ、とか思ってた。
と、思っていたが。
「君……何か、すごく失礼なことを考えてなかったか?」
「い、いえ、滅相もないです。副ギルド長自ら試験をして頂けることに感謝しています」
「そうか、今……私の頭部を見て、歪んだ笑いが見えたような気がするが」
「とんでもないことです」
俺は真顔で次々と嘘と美辞麗句が出て来る自分にちょっとだけ引いたけど。
被害妄想だよ! 見て思って、ちょっと、歪んだ笑いが漏れたけどな!
「まあ、そんなことより、これより魔法試験を開始する。試験は簡単だ。攻撃魔法が使えるなら攻撃魔法を、治癒魔法や他の魔法が使えるなら、それを私の前で披露してくれ。安心しろ、威力は問わん、基本を理解出来ているかどうかを確認するだけじゃ。むろん発動できなくとも構わん」
「は、はい!!」
やった!!
そうだよな。冒険者になろうとか、初心者の人間が強力な魔法使える必要ないな。
だが、困った。
俺は師匠に直伝で、多分、初心者らしからぬ魔法を使えると思う。
ここは自重しよう。
そうだ。
基本のフレアアローでも使うか。
「では、フレアアローでお願いします」
「おお、基本の攻撃魔法じゃな。良い心がけじゃ、基本は大事じゃからな。では、あちらの誰もいない方に向かって撃ってくれ。ここから先は立ち入り禁止区域だ。安心して放つがいい」
俺はここで思案した。あまり強力な魔法では不味い。
しかし、ここで爪痕を残すにはどうすればいいか?
この試験官は基本が大事と言っていた。
ならば。
俺は探知のスキルを発動した。
すると3km先にラッキーラビットを発見した。なんてラッキーなんだ!
ラッキーラビットとは滅多に遭遇しない魔物で、その肉が最高に美味いことで知られている。
しかも、この魔物は驚く程素早しっこくて、そう簡単に捕獲できない。
更に、魔法や弓矢などで大きな傷を負うと、急激に肉が不味くなるという、美味しく食べることは極めて難しく、国王でさえ、1年に一度食べられるかどうかという希少な肉だ。
ここは俺の攻撃魔法の魔法操作の精度を見せるのが良いかなと思った。
威力だけなら、師匠に習った、創世級魔法でもかませばいいだろうけど、そんなの悪目立ちする。
それより、魔法操作の正確さ、緻密さをアピールした方が基本がどれだけできているかアピールすることが可能だろう。
俺は3km先のラッキーラビットをフレアアローで射抜くつもりだ。
呪文を唱える。
だが、アレンジして、フレアアローの炎の温度を下げる、そして、収束して、直径0.01mmの矢を頭上に出現させる。
矢を細くしたのは、ラッキーラビットの心臓を正確に射抜き、肉の損傷を最小限にとどめ、美味しさを損なわないためだ。
温度を下げたのも、熱でラビットの肉に火が入ってしまったら、台無しになるからだ。
そして、俺の頭上には50あまりの炎の細い弓矢が魔力の翻弄を渦巻きながら、浮かんでいた。
「フレアアロー!!」
俺が叫ぶと、次々に炎の矢がラッキーラビットを襲う。
ただのフレアアローではない。
重力を操作して、速度を音速のおよそ5倍にあげている。
たちまち、ソニックブームが起こり、ゴォという矢が音の壁を破る音が聞こえる。
「は?」
「もう」
「また、アル君は……」
何? この反応?
俺の放った極超音速の炎の矢は、俺のデュアルクアッドコアの頭脳とスキル『管制』によって、正確に軌道修正しながら、ラビットを襲う。
しかし、ラビットは信じがたく素早く、探知能力に秀でている。
咄嗟に飛んで逃げて、最初の射撃を次々と避ける。
だが、俺は炎の矢を50程用意していたので、構わず次々とラビット目指して打ち続ける。
すると、ようやく30射目でラビットの心臓を射抜くことに成功した。
「やりました! ラッキーラビットを仕留めました!!」
「悪い。君、何言ってんの? て言うか、フレアアローって、普通1本発動するのがやっとなのに、何で君はそんなにたくさん炎の矢を出現させることが出来るのだ? いや……それ、全部的にぶつけたら、ファイヤーボールと同じじゃない? ねえ、君、炎の矢を曲げてコントロールしてたよね? それって、失われた技術。攻撃魔法の目標への誘導じゃないのか?」
俺はなんかやらかしたような気がした。
場所はどうもギルドや街の魔法の訓練施設のようだ。
そりゃそうだな。街中で魔法ぶっ放すとかあり得ないからな。
何とか、剣術の試験の失敗を取り返さないと、冒険者になれないとアリーと一発、いや、それどころか、食うのに困る。
俺はかなり気合を入れて試験に臨んだ。
「私が試験官の副ギルド長でクルゥだ。君が冒険者希望者か?」
「はい。アルと言います」
俺は姿勢を正してお辞儀した。
やはり初対面の時の礼儀が大事だと思う。
できるだけ、好印象を持たれるように、礼儀正しくする。
この手の年寄りは大体、敬うような感じで、礼儀正しくしとけば、イチコロだ。
心の中では、ケッ、何カッコつけてるんだこの禿げ、とか思ってた。
と、思っていたが。
「君……何か、すごく失礼なことを考えてなかったか?」
「い、いえ、滅相もないです。副ギルド長自ら試験をして頂けることに感謝しています」
「そうか、今……私の頭部を見て、歪んだ笑いが見えたような気がするが」
「とんでもないことです」
俺は真顔で次々と嘘と美辞麗句が出て来る自分にちょっとだけ引いたけど。
被害妄想だよ! 見て思って、ちょっと、歪んだ笑いが漏れたけどな!
「まあ、そんなことより、これより魔法試験を開始する。試験は簡単だ。攻撃魔法が使えるなら攻撃魔法を、治癒魔法や他の魔法が使えるなら、それを私の前で披露してくれ。安心しろ、威力は問わん、基本を理解出来ているかどうかを確認するだけじゃ。むろん発動できなくとも構わん」
「は、はい!!」
やった!!
そうだよな。冒険者になろうとか、初心者の人間が強力な魔法使える必要ないな。
だが、困った。
俺は師匠に直伝で、多分、初心者らしからぬ魔法を使えると思う。
ここは自重しよう。
そうだ。
基本のフレアアローでも使うか。
「では、フレアアローでお願いします」
「おお、基本の攻撃魔法じゃな。良い心がけじゃ、基本は大事じゃからな。では、あちらの誰もいない方に向かって撃ってくれ。ここから先は立ち入り禁止区域だ。安心して放つがいい」
俺はここで思案した。あまり強力な魔法では不味い。
しかし、ここで爪痕を残すにはどうすればいいか?
この試験官は基本が大事と言っていた。
ならば。
俺は探知のスキルを発動した。
すると3km先にラッキーラビットを発見した。なんてラッキーなんだ!
ラッキーラビットとは滅多に遭遇しない魔物で、その肉が最高に美味いことで知られている。
しかも、この魔物は驚く程素早しっこくて、そう簡単に捕獲できない。
更に、魔法や弓矢などで大きな傷を負うと、急激に肉が不味くなるという、美味しく食べることは極めて難しく、国王でさえ、1年に一度食べられるかどうかという希少な肉だ。
ここは俺の攻撃魔法の魔法操作の精度を見せるのが良いかなと思った。
威力だけなら、師匠に習った、創世級魔法でもかませばいいだろうけど、そんなの悪目立ちする。
それより、魔法操作の正確さ、緻密さをアピールした方が基本がどれだけできているかアピールすることが可能だろう。
俺は3km先のラッキーラビットをフレアアローで射抜くつもりだ。
呪文を唱える。
だが、アレンジして、フレアアローの炎の温度を下げる、そして、収束して、直径0.01mmの矢を頭上に出現させる。
矢を細くしたのは、ラッキーラビットの心臓を正確に射抜き、肉の損傷を最小限にとどめ、美味しさを損なわないためだ。
温度を下げたのも、熱でラビットの肉に火が入ってしまったら、台無しになるからだ。
そして、俺の頭上には50あまりの炎の細い弓矢が魔力の翻弄を渦巻きながら、浮かんでいた。
「フレアアロー!!」
俺が叫ぶと、次々に炎の矢がラッキーラビットを襲う。
ただのフレアアローではない。
重力を操作して、速度を音速のおよそ5倍にあげている。
たちまち、ソニックブームが起こり、ゴォという矢が音の壁を破る音が聞こえる。
「は?」
「もう」
「また、アル君は……」
何? この反応?
俺の放った極超音速の炎の矢は、俺のデュアルクアッドコアの頭脳とスキル『管制』によって、正確に軌道修正しながら、ラビットを襲う。
しかし、ラビットは信じがたく素早く、探知能力に秀でている。
咄嗟に飛んで逃げて、最初の射撃を次々と避ける。
だが、俺は炎の矢を50程用意していたので、構わず次々とラビット目指して打ち続ける。
すると、ようやく30射目でラビットの心臓を射抜くことに成功した。
「やりました! ラッキーラビットを仕留めました!!」
「悪い。君、何言ってんの? て言うか、フレアアローって、普通1本発動するのがやっとなのに、何で君はそんなにたくさん炎の矢を出現させることが出来るのだ? いや……それ、全部的にぶつけたら、ファイヤーボールと同じじゃない? ねえ、君、炎の矢を曲げてコントロールしてたよね? それって、失われた技術。攻撃魔法の目標への誘導じゃないのか?」
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