経験値10000倍~ハズレスキル放置プレイヤーが覚醒したらレベル上限なし! 最強で最速のレベルアップ~

島風

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36災害級の魔物が弱いのだが?

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「災害級の魔物が出たぞー!」  

俺とアリーは郊外の火の手が出ている方向に向かった。 

災害級の魔物討伐は全冒険者に参加義務がある。 

たとえ初級冒険者の俺達でもやれることはある。 

現場へはすぐに到着した。 

まさか、こんなに街の近くまで災害級の魔物が近づいているとは驚きだ。 

「アル君、どうもジャイアントアントの主みたいね」  

「ああ、おそらく主だ。あの大きさ、通常の個体じゃない」  

 魔物は長い年月をかけて成長し、時には主と呼ばれる強大な力を持つ個体に成長することがある。 

現場を見て思わず声が出る。 

「こ、これじゃ修羅場じゃないか?」  

「そ……そんな! この街のギルドは精鋭揃いなのに!」  

アリーが弱音を吐く。 

無理もない。 

現場には無数の戦闘不能になった冒険者で溢れかえっていた。 

治癒係の光魔法使いのジョブを持つ者の周りにたくさん集まっているが、とても治癒が追いつかないよう思える。 

「これはまずいな」 

「ええ、早く討伐しないと死者が出かねないわね」  

その時、ギルド長のバーニィが到着した。  

「アル君か? 来てくれたのか?」  

見ると、ギルド長のバーニィさんと副ギルド長のクルゥさんがいた。  

普通、ギルド長が現場に来ることなんてない筈だ。 

それ程ひっ迫した状況ということか? 

「王都への街道沿いにジャイアントアントが出没していたのだが、どうも主が紛れ込んでいたらしい、我々ギルドの落ち度だ……」  

「ギルド長、今は悔やんでいる場合ではありません。何か対策を!」  

「ああ、アル君が来てくれて心強い、ここは久しぶりに俺達の出番だな」 

「ギルド長と一緒に闘うのは何年ぶりかのう」 

クルゥさんがこんな時に少し嬉しげに話す。 

まあ、管理職はなにかと大変なんだろう。 

久しぶりの現場に心を踊らされているのだろう。 

そんな時、また。 

「おい!? お前、勇者パーティのアルじゃないか? あの落ちこぼれか?」  

嫌味を含んだ声がクルゥさんの後ろから響いた。  

見ると、一人の見覚えのない冒険者が進み出ていた。顔付きを見ると、如何にも腕に自信にあふれている男がいた。だが、顔つきを見れば内面は察しがついた。  

「やっぱり、勇者パーティの落ちこぼれのアルか? こりゃ傑作だ!」  

「そうだが……」  

ろくなことにはならないが、冒険者ギルドの仲間のようなので、素直に答える。  

「勇者様も可哀想にな。そうか、お前があの……敵前逃亡したアルか?」  

「なっ!?」 

「あなた、一体何を言ってるの? アル君がそんなことする訳ないでしょ?」 

しかし、男はわざとらしくかぶりを振って、大げさなポーズで俺を煽る。  

「街中で有名だぜ。勇者様が落ちこぼれの突然の逃亡で危ういことになったってな!」  

男はわざとらしく一息話を切ると。言い出した。  

「はっきり言おう、てめぇはクズだ。カスが勇者様に迷惑かけんじゃねぇ!」  

「……」  

俺は無言になってしまった。隣では、アリーがフルフルと震えていた。  

「まあ、どうせ勇者様の名前を出して、先輩方に生意気な発言をしてたんだろうが、残念だな。俺がお前の正体を暴露したからな。わかったら、さっさと何処かへ行けや」  

「おい、ダニエル、無礼だろう?」  

「何言ってるんですか? ギルド長。こいつはどうしようもないハズレスキルで、無能なんですよ。勇者パーティの一員様でも、無能なんです。そ、む・の・う」  

「無能って……」 

酷い言いように腹がたつが、一応冒険者の仲間では。  

「すまん、アル君。こいつは今日、パーティから追放されたばかりでどう見ても問題ありそうなので、俺が面倒を見ているのだが……その、腕はな、悪くないんだ」  

「アル君、本当に申し訳ない。後で良く言っておくので、許してくれ」  

ギルド長のバーニィさんとクルゥさんが取り繕う。どうも、問題がある人物のようだ。  

だが、俺が勇者パーティで敵前逃亡したとか、何の話だ? 

しかし、今はそれの詮索をしている場合じゃない。 

「それより、このジャイアントアントの主を何とかしましょう。災害級ですよね?」  

「そうだ。街から続々とS級冒険者達が駆けつける手筈だ。だから、しばらく持ちこたえればいいだけだ」  

「わかった。じゃあ、アル君、助太刀を頼む」  

「はぁ? 助太刀? このカスに?」  

「いいから、お前は黙っていろ、直にわかる」  

よし、いきなり不知火流の奥義をぶちかましてやる。  

ジャイアントアントは巨大な蟻の魔物だ。 

その動きは素早く、硬い甲殻に覆われていて、魔法にも強くホワイトファングの数倍は強い魔物だ。 

「先ずは様子見だ。アル君は見極めてから参戦してくれ!」 

「へっ、お前の出番なんてないさ、俺が止めを刺してやる」 

「すまん、アル君、今は堪えてくれ」 

例の嫌なヤツが捨て台詞吐くかのように去って行き、クルゥさんが俺を気遣う。 

だが。 

ギルド長は元S級冒険者だった。 

例の無礼な男もギルド長が認める程の腕。 

だから大丈夫? 

救援が来るまで持ち堪える時間稼ぎだけでいい? 

いや、それはとんでもない誤算だった。 

俺達の誤算…… 

普通のジャイアントアントとはまるで次元が違う。 

ジャイアントアントの主は信じられない程の能力を持つ個体だった。 

たちまちギルド長が負傷する。 

これは……戦いとは呼べないだろう。 

言うならば唯の殺戮だろう。 

「くっ……! アル君、きみは逃げるんだ! 街の人々に避難の指示を!」 

負傷したギルド長は険しい表情で剣を杖代わりに立ち上がる。 

あの体でなおも戦いを続ける気か? 

ギルド長は死を覚悟しているらしい。 

なんて立派な人だろうか? 

「しかし、ギルド長を残してなんて……!」 

「何を言っておる! 私もおるだろう? ギルド長も寂しくわないわい。それに他に方法があるか?」 

それは…… 

たしかに俺達が街の住人に避難勧告をして、王都から救援を呼ぶべき。 

理屈ではわかる。 

だが。 

「お前のようなヘナチョコにも有益な役割が出来たんだ! 一人だけ逃げるんじゃねえぞ! 俺達の死を無駄にするんじゃねぇ!」 
なんとあの嫌なヤツまでもが死を覚悟している。 

俺は前よりずっと強くなった。でも、召喚魔は昨日の夜、放置プレイに出してしまった。 

自分の主力兵装が使えないのが悔やまれる。 

もちろん個人能力も前とは段違いだが、通常のジョブのレベル50前後の実力。 

普通に考えると、ここで戦っても、ギルド長達と死を共にするだけだ。 

だからと言って、アリーだけ逃がすのも危険だ。 

主以外のジャイアントアントと遭遇するかもしれない。 

ここは心を鬼にして、ギルド長の言う通りにすべき。 

戦場では時に味方の犠牲を計算に入れる必要がある。 

今はその時なのか? 

その時だった。 

「うぁあああああああ……た、助けて! し、死にたくねぇ!!」 

例の嫌な男、ダニエルがジャイアントアントの甲殻に剣を弾かれ、隙を作ってしまった。 
勇敢だった彼も、死を前に本音が。 

悲痛な叫び声で叫んでいた。 

「い、嫌だぁ……死にたくねぇ!!」 

「ガウウッ!」 

ダニエルの声はかえってジャイアントアントの主の注意を引きつけてしまった。 

「ギャァアアアアアアッッ!!」 

ジャイアントアントがダニエルに向かって、凄まじいスピードで突進する。 

その時。 

それは理性とかじゃなくて。 

彼も同じ冒険者。 

仲間だ。 

女嫌いの俺だが、例えそれが女だとしても同じことをしただろう。 
ただ、仲間の危機を放っておけないという、無意識の行動。 

スキル『身体能力(強)』発動。 

「キィエエエエエエ!!」 

同時に『瞬歩』のスキルを発動し剣の柄に手をかける。 

不知火流 

一の型 

関礫一閃 

『陽炎』 
鞘から解き放たれた剣が音速の壁を突き抜け、ソニックブームを呼び起こす。 

その瞬間、ドンッという衝撃波が剣から放たれる。 

俺の力でどうにかなる相手ではない、硬いジャイアントアントの甲殻に跳ね返されるだけだろう。 

だが。 

「グアァ……?」 

体長10mはある巨大なジャイアントアントが…… 

真っ二つになっていた。
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