経験値10000倍~ハズレスキル放置プレイヤーが覚醒したらレベル上限なし! 最強で最速のレベルアップ~

島風

文字の大きさ
64 / 93

64魔族ミロス

しおりを挟む
俺達は隣りの領のヨナス-ハウゼン伯爵の屋敷へ馬車で向かっていた。 

族長のルナは伯爵への正式な抗議を申し入れるそうだ。 

その証拠の人攫いを殺してしまって、どうやってそれを証明する? 

俺達はルナ一行の護衛として連れ従ったが、どう考えても罠だ。 

おそらく口封じ。 

「さあ、着きました。ここがハウゼン伯爵の舘です」 

族長のルナの涼やかな声が届いた。 

いきなり魔法とかでやられることもあり得るな。 

とか、思ってけど、意外とあっさりと舘の中に通された。 

そして、領主のヨナス-ハウゼン伯爵が出迎えた。 

「ようこそいらっしゃいました。私が領主のヨナス-ハウゼンです。猫耳族の方が来られるのは1年ぶりでしょうか?」 

「歓迎に感謝致します。確かに訪問は1年ぶりになりますね」 

ここ1年、猫耳族は人族との交流を絶った。 

だから1年ぶりか。 

「今日は抗議に参りました。1年前からの猫耳族の人攫い。昨日捕らえましてね。犯人はハウゼン様と白状してしまいました」 

「で? その犯人はどうされたのですかな?」 

「ふっ。もちろん口封じのために私が殺しました」 

「そうか、ご苦労。今後も互いに良い関係のビジネスといきましょう」 

「なっ!!」 

「族長!!」 

なんと、族長はいともあっさり人攫いに加担していることを認めた。 

「で? 何故わざわざここへ来た? いや愚問か、始末して欲しいヤツがいる……という理解で良いかな?」 

「はい。先日から来た招かれざる人族の客人がどうも、ハウゼン様から頂いた魔道具に屈しないようでして。是非、ハウゼン様のお力を。お礼はそこの猫耳族の女2人と人族の女」 

「ふふ、いい取引だ。相変わらず君は商売が上手い」 

全く、予想通りとは言え、こんなに簡単に白状するとはな。 

「やはり族長が加担していた訳で、それを認める訳だな?」 

「あら、やはり魅了の魔道具が効いていなかったのですね?」 

「ああ、俺には自分に向かう魔法を検知するパッシブスキルがあってね。すぐに君の目を逸らさせてもらった。領主に会うのも俺達の口封じだと最初からわかっていたよ」 

俺は剣の鞘に手をかける。 

クリスやみんなも同じだ。 

リーゼは呪文詠唱を開始する。 

「はははは! お前達馬鹿か! そんな手勢で私の舘に来るとはな!」 

「それはどうかしら? アル殿の力を知らぬから言える」 

「そうね。アルはスタンビードを一人で解決する程の腕よ。詰んでるのあなた達の方よ」 

「なっ!!」 

リリーとクリスが煽る。 

しかし、スタンビードは俺一人の力じゃないもん。 

みんなの力を合わせた結果なんだもん。 

決して俺一人が悪い訳じゃないもん。 

「ま、まさかダンジョンの街のスタンビードの英雄か? ルナ! お前、なんてことを!」 

「ふふっ。そのために伯爵様のアレがあるのでしょう?」 

アレ? 

何のことだ? 

絶対ヤバい敵が出てくるヤツだな。 

「わかった。人には絶対に勝てないモノがある。私にはそれがある。今、その力を使う時だ。まさかこんなタイミングで使うことになろうとはな。さあ、出てこい化け物よ!」 

ハウゼン伯爵が叫ぶと、目の前に無数のコウモリが出現して、そして段々集まっていく。 

そして、それは人の形となり、ついには人の姿そのものになる。 

「ハウゼン家に伝わる伝説の魔族、吸血鬼だ。この化け物には奴隷の隷属の呪文が施されている。100年前に1000人以上の犠牲を払って手に入れた我家の宝だ。さあ、殺れミロス!」 

現れた吸血鬼は青白い顔、黒い衣装に包まれ、首には奴隷の象徴である隷属の首輪が見てとれた。 

「ふふ、ご紹介に預かった吸血鬼ミロスです。どうぞお見知り置きを」 

もったいぶった動作で丁寧な礼をする吸血鬼。 

唯の吸血鬼ではないのだろう。 

魔族と言った。 

吸血鬼は長く生きると力を付け、災害級の魔物を超えて、ついには魔族となることがある。 

魔族とは人が勝手に決めた呼称だ。 

師匠から聞いたのだが、魔族には二種類ある。 

魔物が進化して、強くなり、言葉や頭脳が発達し、災害級の魔物のレベルを超えた者。 

そしてもう一つが人が人外の力を得て、災害級の魔物以上の存在になり、人の脅威と認定された者。 

そう、師匠がそうだ。 

師匠は本当は英雄だった。 

100年前にこの国を襲った大災害級の魔物を討伐した。 

しかし、師匠の力を危険視した当時の人々は師匠を人外の魔族と認定し、師匠を迫害した。 

師匠は誰一人傷つけることなく逃げ続け、絶えず人知れず姿を消してダンジョンの奥に潜むようになった。 

師匠が魔王となったのは、そんな魔族同士には僅かにコミュニティがあり、その取りまとめをする自治会長になったためだ。 

師匠、あれでも魔族では人気者らしい。 

コミュ症だけど、魔族自体が大抵コミュ症だから比較的面倒見がいい、陽キャに分類されるらしい。あくまで魔族の中ではだけど。 

ぷぷ、あの師匠が陽キャだとか、本人からその言葉を聞いた時は笑いが込み上げた。 

師匠がめそめそ泣いて、部屋の隅の角で膝を抱えて縮こまったのは言うまでも無い。 

魔族の自治会長は魔王と人から勝手に呼ばれる。 

魔王や魔族は皆が思っているような存在じゃない。 

彼らには言葉も知性もある。 

元は魔物でも、高い知性を身につけた魔族は良識や善悪の区別もつく。 

確か、吸血鬼の魔族も滅多に人の血を吸わないで耐えている。 

吸っても悪人からだったりだし、そもそも吸血鬼化する程吸ったりしない。 

師匠から聞いた話は信じるに値する。 

それに、そもそも複数の魔族が人族に戦いを挑んだら、滅亡するのは人族の方だ。 

魔族を人が捉えるなど信じがたいことだ。 

察するに、何かあるのだろう。 

俺は吸血鬼ミロスに聞いた。 

「魔族ミロス殿、俺はアルと言います。魔王アルベルティーナの弟子です。正直、魔族であるあなた程の方が人に屈したとは思えない。一体何があったのです?」 

「ほう、そなた、あのお嬢ちゃんの弟子か? 懐かしいのう。人にも我らのことに理解を示す者もいるのだな。まあ、私は下手を打ってな。人に恋してしまった。そして彼女を人質に取られてしまっての……」 

悲しそうな顔をするミロス。 

「その恋人はあなたの元へ返してもらえたのですか?」 

「いや、処刑されたと聞く。魔族に汚された穢れた存在として……私には隷属の魔法を施されていてな。そして、ある日突然伝えられた」 

「……」 

俺は唖然とした。 

これが魔族と人の真実? 

俺達は人のため、魔王や魔族の襲撃に備えるため、勇者パーティを組織し、俺はそのメンバーだった。 

だが…… 

悪はどちらだ? 

そして魔族ミロス。 

とても俺が敵う相手じゃないだろう。 

だが、俺には勝ち筋が見えていた。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...