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一章
急激成長でお蚕様爆誕!? いや、待って色々待って
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ひーるを貰って数日後。私は首を傾げる。
もしゃもしゃと食べる姿は変わってない。若干、食べる量が増えた。けど、どうも、大きくなってる。まだ脱皮はしてないはずだけど。大体大人の手のひらサイズくらいになってる。
カンデ姉さんが連れてたのは今のひーると同じくらいの手のひらサイズの幼虫だったけど、もうすぐ蛹になるのが近い子達だった。あれはもうつまり四回脱皮した子達ということで。
だけど、目の前にいるひーるは蛹になるまであと二回は脱皮すると言っていた。それは間違いないし、貰った箱にもメモしてある。ザッと説明を受けた時に書いたものだけど、自分の記憶の中にあるものと相違ない。
「しかも、凄く元気でない?」
モリモリと食べるひーるは余命僅かとはとても思えない。でも、確かに貰ってきた当初は弱々しくあったけれども。なんか、変ったものでも食べさせたかと考えるもサンユウの葉しか与えてないし。部屋の掃除をするのも管理をするもの私に一任されてるし。いや、まだ六歳なんだけどね。なんでもやろうとしちゃうから、もう両親からは諦められてると言ってもいい。むしろ、まぁ、そういうこともあるかと納得されてるんだよね。メディシナのご先祖様たちは一体どういう生活を送ってきたのだろう。
「ま、ひーるに関しては考えててもしょうがないね」
私は私のできることをしよう。てか、サンユウの葉が足りないから、もうちょっととっておかないとダメだな。サンユウが坊主にまではならないよね???
さらに数日後、でっかい繭が部屋の隅っこにできました。待って。待って、まだ半月も経ってない。脱皮するのも早かったけれど、繭になるのも早いよ。もう死が近すぎてひーる分からなくなってるのかな。いや、にしても、繭でかいよ。大体、私の身長の半分くらいかな。うん、でかい。
まぁ、流石にサンユウの葉を取りに行くのがめんどくさくなってひーるを抱えてたらカンデ姉さん大きくない!?って驚いてたもんな。専門家が驚くレベルだもん、やっぱりおかしいんだよね。もしかして、ひーるじゃない何かが羽化するとか?? いや、それは嫌だな。せっかく繭まで育てたのに。繭から成虫になるまでは十日ほどって言われてるけど、さて、この子はいつぐらいに生まれるだろうか。早いんだろうな。
「流石に大きすぎない?」
「うん、私もそう思う」
「大丈夫なの?」
「流石に羽化してみないとわからないかな」
「羽化しそうなら、呼んで。リタに何かあったら嫌だし」
幼虫じゃなかったら大丈夫なようで繭になってからちょくちょくナチョが顔を覗かせるようになった。まぁ、大きな幼虫も大概だものね。わかるよ。けど、結構、もにゅもにゅしてて気持ち悪くはなかったよ。なんていうんだろう、ぬいぐるみを持ってるような感じだった。
そして、数日後。やはり、十日もかからなかったよ。ほんのり、淡く光ったと思うと繭の先がモゾモゾと動く。破る作業中かな、これは。
「今日中に出てくると思う?」
「出る分には出るだろうね。そこから、羽を伸ばしてで一日かかるんじゃないかな」
あの羽がどんどん伸びるのも存外、神秘的なんだよね。蝉なんかは色が変わるからね。
「あ、出てきた。やっぱり、思ってるのとだいぶ早いね」
さっと後ろに隠れないでよ、ナチョ。大丈夫だと思うから。何かあったらやだとかって言ってたの誰だよ。
モゾモゾっと出てきたひーる。顔が出てきて、一生懸命体を捻り出そうとしている。前足が出てくるともう、腹筋だよね、それって感じ。バタバタと前足と体を上下して穴から出ようとする。手助けはせずにじーっと見てるとぷるんともっちり魅惑のお腹まで出てきた。
「さ、触りたい」
「リタ、リタ、我慢だよ」
「わかってるよ。あのぷるるんお腹は触っても大丈夫かな」
「さぁ、どうだろう。リタなら、意思疎通できるんじゃない?」
「頑張る」
ここ最近、魔物たちも大人しく、鉢合わせしても、何故か私にペコリと会釈をして去っていく。それを意思疎通できてると言うのかはわからないけど、こちらとしてはどうもと挨拶されてる気がするので、それでいいと思う。問題は今目の前で羽化しているひーるからそう言うのを感じ取れるかと言うこと。感じ取れなければ、あの魅惑のお腹を触れない。にしても、やっぱりでかいな。わかってるつもりだったけれども。うん、身長の半分よりちょっと大きめかな。羽を広げたらそれで私の身長は軽々と超えられそうだ。てか、蚕は飛べないって聞いてたけど、ひーるはどうなんだろ。カンデ姉さんところ、特に上に対策をしている様子もなかったから、蚕と同じく飛べないのかな。あそこにいるひーる全部に飛ばれたら困るわな。
「「……眩しっ」」
全体が出たひーるは繭の上に登ると羽を伸ばし始めた。伸ばし始めたのはいいけど、やたら光ってる。いや、ちょっと二人して、意識して見ようとしたからなんだけど。
ひーるは回復持ちって言われてるから光属性に適性があるんじゃないかって思ってさ。幼虫時代は特に光ってる様子もなかったから、ここかなって二人で思ってみたんだよね。そしたら、眩しいのなんの。カンデ姉さんのところのはあまり光ってなかったのになんでうちの子だけ。
「もはや、お蚕様じゃん」
崇めたらいいかい?? ってほど神々しいよ。それとも輝いてるのは羽を伸ばす途中だからであって、伸び切ったら収まるのかな。まぁ、様子見か。
「ふふふーや、ふふふー、ふにゃらたた、はにゃらー」
「リタ?」
「ふぇ」
「なにそれ?」
首を傾げたナチョに私も首を傾げれば、ナチョは無意識かと私が歌ってたらしい鼻歌を奏でる。あ、はい、聞いたことある、それ。え? 無意識でそれ歌ってた? 歌詞覚えてないんだけど、曲調は覚えてたから、そのせいだね。一応、前世であった娯楽で巨大蛾をモデルにした物語があってそこで使われてた曲とだけ言っておいた。間違ってないし、よく聞いてた覚えがあるから、ひーるを見て思わず出ちゃったんだろうなぁ。
「……それよりさ、繭になるまでが精々って言われたんじゃなかったっけ」
「そだねー、言われたねー、とってもビッグな成虫になっちゃったけど」
ブワッと羽を広げて見せるひーる。うん、大きいわ。そして、変わらず眩しい。
「名前つけてあげなきゃね」
「名前って、さっき言ってた“オカイコサマ”じゃないの?」
そっか、蚕って言葉なかったね。すっごいカタコトに聞こえたけど、そう言うことか。
「んー、それでいいと思う?」
「いいと思うよ。だって、僕が言っただけでも、こっち見たし」
え、こっち見たとはとひーるを見れば、こちらを見つめる顔。複眼だから目が合ってる気はないんだけど、こちらを見てる気はする。
「えっと、お蚕様、おいで」
ちょっと呼んでみた。呼んでみたんだけど、向こうとしては嬉しかったらしい、羽をパタパタ動かしながら、小さい足でこちらに向かってくる。可愛いかよ。
そして、成虫になったひーるは大丈夫なようでナチョも興味津々にみてる。もしかして、ナチョがダメなのって虫じゃなくて幼虫。芋虫なのかな。
「名前、お蚕様でいい?」
言葉がわかるか不安だったけど、嬉しそうに触覚が動くのをみるといいんだろうな。お蚕様に決まりました。
「羽とかお腹とか触ってもいいかな」
やっぱり、虫の毛なのか、鱗粉がつくのかちょっと気になったので、尋ねてみたら、ふいっと体を寄せてくるお蚕様。よろしいようです。
お腹から失礼と触られてもらったけど、フワッフワのもふもふ。え、これはあれかな虫の毛というよりも獣の毛ですね。抜ける様子もない。多分、顔まわりや体のところの体毛もそんな感じなんだろう。それから、羽。触らせてもらったけど、鱗粉がつくということはなかった。鱗粉とかないのかなと思ったけど、後日、ビトに鱗粉を振りかけているのを見たので、本人の意思次第で出せるようだ。
「あ、繭は後日、糸にさせてもらうね」
了解とばかりに羽をパタパタ。餌は今まで通りでいいみたいで、残ってたサンユウの葉をもしゃもしゃと食べていた。後日、繭は父に手伝ってもらって薬を作る大鍋で製糸作業をした。すっごい、集中力がいってしんどかったよ。終わった後にお蚕様にもふもふさせてもらった。
もしゃもしゃと食べる姿は変わってない。若干、食べる量が増えた。けど、どうも、大きくなってる。まだ脱皮はしてないはずだけど。大体大人の手のひらサイズくらいになってる。
カンデ姉さんが連れてたのは今のひーると同じくらいの手のひらサイズの幼虫だったけど、もうすぐ蛹になるのが近い子達だった。あれはもうつまり四回脱皮した子達ということで。
だけど、目の前にいるひーるは蛹になるまであと二回は脱皮すると言っていた。それは間違いないし、貰った箱にもメモしてある。ザッと説明を受けた時に書いたものだけど、自分の記憶の中にあるものと相違ない。
「しかも、凄く元気でない?」
モリモリと食べるひーるは余命僅かとはとても思えない。でも、確かに貰ってきた当初は弱々しくあったけれども。なんか、変ったものでも食べさせたかと考えるもサンユウの葉しか与えてないし。部屋の掃除をするのも管理をするもの私に一任されてるし。いや、まだ六歳なんだけどね。なんでもやろうとしちゃうから、もう両親からは諦められてると言ってもいい。むしろ、まぁ、そういうこともあるかと納得されてるんだよね。メディシナのご先祖様たちは一体どういう生活を送ってきたのだろう。
「ま、ひーるに関しては考えててもしょうがないね」
私は私のできることをしよう。てか、サンユウの葉が足りないから、もうちょっととっておかないとダメだな。サンユウが坊主にまではならないよね???
さらに数日後、でっかい繭が部屋の隅っこにできました。待って。待って、まだ半月も経ってない。脱皮するのも早かったけれど、繭になるのも早いよ。もう死が近すぎてひーる分からなくなってるのかな。いや、にしても、繭でかいよ。大体、私の身長の半分くらいかな。うん、でかい。
まぁ、流石にサンユウの葉を取りに行くのがめんどくさくなってひーるを抱えてたらカンデ姉さん大きくない!?って驚いてたもんな。専門家が驚くレベルだもん、やっぱりおかしいんだよね。もしかして、ひーるじゃない何かが羽化するとか?? いや、それは嫌だな。せっかく繭まで育てたのに。繭から成虫になるまでは十日ほどって言われてるけど、さて、この子はいつぐらいに生まれるだろうか。早いんだろうな。
「流石に大きすぎない?」
「うん、私もそう思う」
「大丈夫なの?」
「流石に羽化してみないとわからないかな」
「羽化しそうなら、呼んで。リタに何かあったら嫌だし」
幼虫じゃなかったら大丈夫なようで繭になってからちょくちょくナチョが顔を覗かせるようになった。まぁ、大きな幼虫も大概だものね。わかるよ。けど、結構、もにゅもにゅしてて気持ち悪くはなかったよ。なんていうんだろう、ぬいぐるみを持ってるような感じだった。
そして、数日後。やはり、十日もかからなかったよ。ほんのり、淡く光ったと思うと繭の先がモゾモゾと動く。破る作業中かな、これは。
「今日中に出てくると思う?」
「出る分には出るだろうね。そこから、羽を伸ばしてで一日かかるんじゃないかな」
あの羽がどんどん伸びるのも存外、神秘的なんだよね。蝉なんかは色が変わるからね。
「あ、出てきた。やっぱり、思ってるのとだいぶ早いね」
さっと後ろに隠れないでよ、ナチョ。大丈夫だと思うから。何かあったらやだとかって言ってたの誰だよ。
モゾモゾっと出てきたひーる。顔が出てきて、一生懸命体を捻り出そうとしている。前足が出てくるともう、腹筋だよね、それって感じ。バタバタと前足と体を上下して穴から出ようとする。手助けはせずにじーっと見てるとぷるんともっちり魅惑のお腹まで出てきた。
「さ、触りたい」
「リタ、リタ、我慢だよ」
「わかってるよ。あのぷるるんお腹は触っても大丈夫かな」
「さぁ、どうだろう。リタなら、意思疎通できるんじゃない?」
「頑張る」
ここ最近、魔物たちも大人しく、鉢合わせしても、何故か私にペコリと会釈をして去っていく。それを意思疎通できてると言うのかはわからないけど、こちらとしてはどうもと挨拶されてる気がするので、それでいいと思う。問題は今目の前で羽化しているひーるからそう言うのを感じ取れるかと言うこと。感じ取れなければ、あの魅惑のお腹を触れない。にしても、やっぱりでかいな。わかってるつもりだったけれども。うん、身長の半分よりちょっと大きめかな。羽を広げたらそれで私の身長は軽々と超えられそうだ。てか、蚕は飛べないって聞いてたけど、ひーるはどうなんだろ。カンデ姉さんところ、特に上に対策をしている様子もなかったから、蚕と同じく飛べないのかな。あそこにいるひーる全部に飛ばれたら困るわな。
「「……眩しっ」」
全体が出たひーるは繭の上に登ると羽を伸ばし始めた。伸ばし始めたのはいいけど、やたら光ってる。いや、ちょっと二人して、意識して見ようとしたからなんだけど。
ひーるは回復持ちって言われてるから光属性に適性があるんじゃないかって思ってさ。幼虫時代は特に光ってる様子もなかったから、ここかなって二人で思ってみたんだよね。そしたら、眩しいのなんの。カンデ姉さんのところのはあまり光ってなかったのになんでうちの子だけ。
「もはや、お蚕様じゃん」
崇めたらいいかい?? ってほど神々しいよ。それとも輝いてるのは羽を伸ばす途中だからであって、伸び切ったら収まるのかな。まぁ、様子見か。
「ふふふーや、ふふふー、ふにゃらたた、はにゃらー」
「リタ?」
「ふぇ」
「なにそれ?」
首を傾げたナチョに私も首を傾げれば、ナチョは無意識かと私が歌ってたらしい鼻歌を奏でる。あ、はい、聞いたことある、それ。え? 無意識でそれ歌ってた? 歌詞覚えてないんだけど、曲調は覚えてたから、そのせいだね。一応、前世であった娯楽で巨大蛾をモデルにした物語があってそこで使われてた曲とだけ言っておいた。間違ってないし、よく聞いてた覚えがあるから、ひーるを見て思わず出ちゃったんだろうなぁ。
「……それよりさ、繭になるまでが精々って言われたんじゃなかったっけ」
「そだねー、言われたねー、とってもビッグな成虫になっちゃったけど」
ブワッと羽を広げて見せるひーる。うん、大きいわ。そして、変わらず眩しい。
「名前つけてあげなきゃね」
「名前って、さっき言ってた“オカイコサマ”じゃないの?」
そっか、蚕って言葉なかったね。すっごいカタコトに聞こえたけど、そう言うことか。
「んー、それでいいと思う?」
「いいと思うよ。だって、僕が言っただけでも、こっち見たし」
え、こっち見たとはとひーるを見れば、こちらを見つめる顔。複眼だから目が合ってる気はないんだけど、こちらを見てる気はする。
「えっと、お蚕様、おいで」
ちょっと呼んでみた。呼んでみたんだけど、向こうとしては嬉しかったらしい、羽をパタパタ動かしながら、小さい足でこちらに向かってくる。可愛いかよ。
そして、成虫になったひーるは大丈夫なようでナチョも興味津々にみてる。もしかして、ナチョがダメなのって虫じゃなくて幼虫。芋虫なのかな。
「名前、お蚕様でいい?」
言葉がわかるか不安だったけど、嬉しそうに触覚が動くのをみるといいんだろうな。お蚕様に決まりました。
「羽とかお腹とか触ってもいいかな」
やっぱり、虫の毛なのか、鱗粉がつくのかちょっと気になったので、尋ねてみたら、ふいっと体を寄せてくるお蚕様。よろしいようです。
お腹から失礼と触られてもらったけど、フワッフワのもふもふ。え、これはあれかな虫の毛というよりも獣の毛ですね。抜ける様子もない。多分、顔まわりや体のところの体毛もそんな感じなんだろう。それから、羽。触らせてもらったけど、鱗粉がつくということはなかった。鱗粉とかないのかなと思ったけど、後日、ビトに鱗粉を振りかけているのを見たので、本人の意思次第で出せるようだ。
「あ、繭は後日、糸にさせてもらうね」
了解とばかりに羽をパタパタ。餌は今まで通りでいいみたいで、残ってたサンユウの葉をもしゃもしゃと食べていた。後日、繭は父に手伝ってもらって薬を作る大鍋で製糸作業をした。すっごい、集中力がいってしんどかったよ。終わった後にお蚕様にもふもふさせてもらった。
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