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一章
僅かな糸にすら縋る浅ましさよ◆
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いつからだ。いつから、こんなにも淀み、息苦しくなったのか。白亜が美しかった神殿も今では薄汚れて見える。
清廉だった信徒たちはいつしか欲に塗れ、特性が光魔法であることを笠に修練は行わず、怠惰に過ごす。今や聖水すらまともに作ることができていない。
『なんだ、まだ還ってはおらんかったのか』
ぬるりの暗闇の中から黒いソレが現れる。我と同じく龍を模ったソレ。主君を同じくとし、共に仕えた仲ではある。神殿に座せざるを得ない我と異なり、ソレは自由気ままに世界を浮遊しているらしい。
『これは何ぞや』
『聖水という名の泥水よ』
黒いソレが訝しげに祭壇の目前にある石杯を覗き込む。石杯の中には水が並々と注がれているが、ソレも我も顔を顰めるほどのもの。聖水ではあるらしいが我々からすればとてもじゃないが聖水とは呼べぬもの。義務的に捧げられる聖水と呼ばれるものはひどく不味くとても飲めたものではない。さりとて、そのままこちらにいるためには何かしら体に入れなければならない。故に泥水を啜らねば、保てなかった。
『……限界も近かろう。泥水を啜ってまでなぜ縋る』
『決まっているだろう。主君のためだ』
主君は愛した。ならば、我らはそれに応えるべきである。だからこそ、どのように思われようとこの世界に留まり続けようとしているのだ。ソレはくだらぬと吐き捨てる。
『くだらぬ、くだらぬと吐かすか貴様は!? 主君に応えず、ふらりふらりとしている貴様が』
『あぁ、吐かすとも。そもそも、そのように泥水を啜らねば生きていけぬ弱りきった己なぞ、主君も邪魔であろう。故にさっさとこの世界から去ね』
『貴様は! 貴様は!!』
吠える我をソレは平然と見下す。穢れに侵された体は酷く重く、その体を起こすのも力がいる。だからこそなのだろう、ソレは憐れみ、何もしない。
『己がおらずとも世界は巡る。どうせ、ここの人間に己はもはや見えておらぬのだろう。それがココが出した答えよ』
わかったのなら、さっさと還ることだと言うだけ言ってソレは再び闇の中に消えた。闇属性のアレは穢れに対して耐性が強い。強いが故にああも自由にしていられるのだろう。我は、我は聖域化された神殿でしか保てぬというのに。燻る怒りにダンダンと尾で床を叩く。
『……きゃう』
小さな鳴き声がする。あぁ、そうだ、我が弱ったが故に出てきてしまったコレがいる。小さな我は不甲斐ない我の跡継ぎだ。けれど、コレを育てるための力もない。ただただ、我にはコレを維持してやることしかできぬ。すとんと冷静になる。
『さっさと去ね、か』
それは我とこの跡継ぎに向けて放った言の葉だろう。もはや限界であることはアレからすれば一目瞭然だったのであろう。向こうに還れば、どこにでも出かけれる。穢れを気にする必要もない。故にさっさと還れと。
『きゅう、きゃう』
ふらりふらりと出てきた跡継ぎは地面に落ちた何かを拾う。キラキラと輝くそれはとても、とても美味そうだった。
『きゅう』
『どうした、食せばよかろう。お前が見つけたものだ』
それは数本の糸のようだった。それも懐かしく上質な光魔法を纏った。食せば、少しは回復するだろう、そう思えた。
『きゅう』
しかし、自分では食さず、一生懸命に糸を差し出す跡継ぎ。コレにすら我は弱り切ってると思われているのか。
『我は良い』
『ぎゃわわう』
『わかった、わかった、食せばよいのだろう』
いらぬと退けるも声を荒げ、怒る跡継ぎ。流石にコレを消耗させるわけにもいかぬ。仕方なく、少し残して糸を食す。甘い。そして、やはり懐かしい。ほろりと目から雫がこぼれ落ちる。体に巡る力。重かった穢れが消えた。まるで主君からの贈り物のようだ。
体を起こし、周りを見る。そこにはいつも間にか残りの糸を食し、惰眠を貪る跡継ぎ。その姿に溜息を吐くも今しかないかと考える。
跡継ぎを銜え、神殿を出る。ふと、振り返り目に入ったのは主君と妻君が神殿に掲げた王家の紋章。いつしか背景は黒く塗り潰され、その中には目を瞑った我たる白い竜。黒の背景の輝く一つの金がアレの唯一の残滓。
人間の愚かさに溜息すらも出ない。ゆっくりと神殿の中を歩いていたというのに誰一人として、我に気づくものはいなかった。多少なりとも修行した人間には見えるであろうはずの我をだ、擦れ違うも誰も気づかなかった。
『少しでもコレが残れる場所を探さねばな』
弱り、成長もできず、言の葉も紡げぬ跡継ぎ。本来であれば、十分な環境を用意しておいてやれるはずだった。けれど、現実はこれだ。
神殿はもうダメだ。穢れが酷い。我がいるからこそ、多少なりとも聖域として維持はできていたのだろうが、それとコレを維持してやるだけの力がもう我には残されていない。糸に含まれていた光魔法のおかげでこうして動ける程度までにはなったがそれがいつまで続くかは我にもわからぬ。
飛翔する。久方ぶりの空は心地良い。主君と共に旅をしていた頃を思い出す。
ふと景色を眺め、王城を見た。見たが、そこは穢れで黒くその影を見るので精一杯であった。結界が張ってあるため、王城の纏う穢れが都へと流れ出ていないのだろう。年が経てばこうなるのか。主君と妻君、妻君の弟が苦労に苦労を重ね築き上げたものだったというのに。
目を離し、都を離れる。どこへ行けば良い。どこに行けば、コレはこの世界に残れる。行く宛など我にはなかった。
どのくらい飛んでいたか、ふとキラキラと輝く糸が目に入る。何かが通った後なのか、それは途切れ途切れに宙を漂っていた。
思えばだ、あの糸はなぜ神殿にあった。あの糸を見つける前にナニがいた。
『アレにくっついていたものか』
なぜ、それを纏っていたかは知らぬ。知らぬが、もしかしたら、アレが今好んでいるところにあるのかもしれない。懐かしく美味いそれが。
目的地は決まった。糸を辿ろう。この僅かばかりの糸を。
糸を見失わぬよう慎重に慎重に進む。けれど、糸の大元に辿り着く前に我は飛翔する力を無くし、不時着することとなった。
広がるのは畑。しかし、そこかしこに光魔法を感じる。簡易的な聖域だった。
『あぁ、ココなれば、ココなれば大丈夫だ』
まだこのようなところがあった。それは我にとって救いであった。ココであれば、我が還ったとてコレは生きていけるだろう。もう少し早く、この存在に気づいていれば、我とて還らずとも良かったかも知れぬ。けれど、そればかりはもうどうしようもない。
『さらばだ、我が跡継ぎよ。己に何も残してやれず、すまぬな』
まぁ、なんだ、恐らく何かあればアレが気にかけてくれるはずだ。アレは主君曰くお人好しであるらしいからな。
眠る跡継ぎの額に口付け、祝福を贈る。
『己が戻った時、たっぷりとこの世界の己が見聞きした話を聞かせてくれ』
余計なことは引き継がなくていいだろう。主君との思い出は我のものだ。主君との約束も我のものだ。だから、お前にはやれぬ。本来であればやらねばならぬがな。
まぁ、なに、主君は許してくれるだろうよ。
目が覚めた。目が覚めた。起きたら、あの方はいなくなっていた。どこに行ったのと見渡すれけど、自分がいるのはあの穢れた神殿ではなく一面緑の場所だった。開けたその場所の中央には一本の木がサワサワと葉を揺らしている。
清らかな空気に包まれたその場所に自分はあの方の跡継ぎとして出てきたというのに役にも立たず、あの方よりも先に還ってしまったのか。
でも、それにしては声が聞こえない。騒がしいほどの仲間達の声がしない。とても、しんとしている。
タシタシと歩く。歩いてみる。土がしっかりとしている。ほのかに光魔法が宿っているようだ。
――くぅ~。
腹が鳴った。鳴ってしまった。これだけ、美味しそうな匂いがするのだもの、仕方ないだろう。仕方ない。
『きゃう』
地面に溜まった水を見つけた。あの神殿にある泥水よりも美味しそうなそれ。この開けた場所には数箇所水溜まりが点在しているようだ。
一口飲んだだけでもわかる。体に染み渡る光魔法。美味しい美味しい。いくらでも飲めてしまう。
次々と水溜まりを飲み干し、お腹いっぱいになる。
『きゅや』
水溜まりを制覇し、誘われるがまま、目を閉じた。
美味しかった。ご馳走様。おやすみなさい。
清廉だった信徒たちはいつしか欲に塗れ、特性が光魔法であることを笠に修練は行わず、怠惰に過ごす。今や聖水すらまともに作ることができていない。
『なんだ、まだ還ってはおらんかったのか』
ぬるりの暗闇の中から黒いソレが現れる。我と同じく龍を模ったソレ。主君を同じくとし、共に仕えた仲ではある。神殿に座せざるを得ない我と異なり、ソレは自由気ままに世界を浮遊しているらしい。
『これは何ぞや』
『聖水という名の泥水よ』
黒いソレが訝しげに祭壇の目前にある石杯を覗き込む。石杯の中には水が並々と注がれているが、ソレも我も顔を顰めるほどのもの。聖水ではあるらしいが我々からすればとてもじゃないが聖水とは呼べぬもの。義務的に捧げられる聖水と呼ばれるものはひどく不味くとても飲めたものではない。さりとて、そのままこちらにいるためには何かしら体に入れなければならない。故に泥水を啜らねば、保てなかった。
『……限界も近かろう。泥水を啜ってまでなぜ縋る』
『決まっているだろう。主君のためだ』
主君は愛した。ならば、我らはそれに応えるべきである。だからこそ、どのように思われようとこの世界に留まり続けようとしているのだ。ソレはくだらぬと吐き捨てる。
『くだらぬ、くだらぬと吐かすか貴様は!? 主君に応えず、ふらりふらりとしている貴様が』
『あぁ、吐かすとも。そもそも、そのように泥水を啜らねば生きていけぬ弱りきった己なぞ、主君も邪魔であろう。故にさっさとこの世界から去ね』
『貴様は! 貴様は!!』
吠える我をソレは平然と見下す。穢れに侵された体は酷く重く、その体を起こすのも力がいる。だからこそなのだろう、ソレは憐れみ、何もしない。
『己がおらずとも世界は巡る。どうせ、ここの人間に己はもはや見えておらぬのだろう。それがココが出した答えよ』
わかったのなら、さっさと還ることだと言うだけ言ってソレは再び闇の中に消えた。闇属性のアレは穢れに対して耐性が強い。強いが故にああも自由にしていられるのだろう。我は、我は聖域化された神殿でしか保てぬというのに。燻る怒りにダンダンと尾で床を叩く。
『……きゃう』
小さな鳴き声がする。あぁ、そうだ、我が弱ったが故に出てきてしまったコレがいる。小さな我は不甲斐ない我の跡継ぎだ。けれど、コレを育てるための力もない。ただただ、我にはコレを維持してやることしかできぬ。すとんと冷静になる。
『さっさと去ね、か』
それは我とこの跡継ぎに向けて放った言の葉だろう。もはや限界であることはアレからすれば一目瞭然だったのであろう。向こうに還れば、どこにでも出かけれる。穢れを気にする必要もない。故にさっさと還れと。
『きゅう、きゃう』
ふらりふらりと出てきた跡継ぎは地面に落ちた何かを拾う。キラキラと輝くそれはとても、とても美味そうだった。
『きゅう』
『どうした、食せばよかろう。お前が見つけたものだ』
それは数本の糸のようだった。それも懐かしく上質な光魔法を纏った。食せば、少しは回復するだろう、そう思えた。
『きゅう』
しかし、自分では食さず、一生懸命に糸を差し出す跡継ぎ。コレにすら我は弱り切ってると思われているのか。
『我は良い』
『ぎゃわわう』
『わかった、わかった、食せばよいのだろう』
いらぬと退けるも声を荒げ、怒る跡継ぎ。流石にコレを消耗させるわけにもいかぬ。仕方なく、少し残して糸を食す。甘い。そして、やはり懐かしい。ほろりと目から雫がこぼれ落ちる。体に巡る力。重かった穢れが消えた。まるで主君からの贈り物のようだ。
体を起こし、周りを見る。そこにはいつも間にか残りの糸を食し、惰眠を貪る跡継ぎ。その姿に溜息を吐くも今しかないかと考える。
跡継ぎを銜え、神殿を出る。ふと、振り返り目に入ったのは主君と妻君が神殿に掲げた王家の紋章。いつしか背景は黒く塗り潰され、その中には目を瞑った我たる白い竜。黒の背景の輝く一つの金がアレの唯一の残滓。
人間の愚かさに溜息すらも出ない。ゆっくりと神殿の中を歩いていたというのに誰一人として、我に気づくものはいなかった。多少なりとも修行した人間には見えるであろうはずの我をだ、擦れ違うも誰も気づかなかった。
『少しでもコレが残れる場所を探さねばな』
弱り、成長もできず、言の葉も紡げぬ跡継ぎ。本来であれば、十分な環境を用意しておいてやれるはずだった。けれど、現実はこれだ。
神殿はもうダメだ。穢れが酷い。我がいるからこそ、多少なりとも聖域として維持はできていたのだろうが、それとコレを維持してやるだけの力がもう我には残されていない。糸に含まれていた光魔法のおかげでこうして動ける程度までにはなったがそれがいつまで続くかは我にもわからぬ。
飛翔する。久方ぶりの空は心地良い。主君と共に旅をしていた頃を思い出す。
ふと景色を眺め、王城を見た。見たが、そこは穢れで黒くその影を見るので精一杯であった。結界が張ってあるため、王城の纏う穢れが都へと流れ出ていないのだろう。年が経てばこうなるのか。主君と妻君、妻君の弟が苦労に苦労を重ね築き上げたものだったというのに。
目を離し、都を離れる。どこへ行けば良い。どこに行けば、コレはこの世界に残れる。行く宛など我にはなかった。
どのくらい飛んでいたか、ふとキラキラと輝く糸が目に入る。何かが通った後なのか、それは途切れ途切れに宙を漂っていた。
思えばだ、あの糸はなぜ神殿にあった。あの糸を見つける前にナニがいた。
『アレにくっついていたものか』
なぜ、それを纏っていたかは知らぬ。知らぬが、もしかしたら、アレが今好んでいるところにあるのかもしれない。懐かしく美味いそれが。
目的地は決まった。糸を辿ろう。この僅かばかりの糸を。
糸を見失わぬよう慎重に慎重に進む。けれど、糸の大元に辿り着く前に我は飛翔する力を無くし、不時着することとなった。
広がるのは畑。しかし、そこかしこに光魔法を感じる。簡易的な聖域だった。
『あぁ、ココなれば、ココなれば大丈夫だ』
まだこのようなところがあった。それは我にとって救いであった。ココであれば、我が還ったとてコレは生きていけるだろう。もう少し早く、この存在に気づいていれば、我とて還らずとも良かったかも知れぬ。けれど、そればかりはもうどうしようもない。
『さらばだ、我が跡継ぎよ。己に何も残してやれず、すまぬな』
まぁ、なんだ、恐らく何かあればアレが気にかけてくれるはずだ。アレは主君曰くお人好しであるらしいからな。
眠る跡継ぎの額に口付け、祝福を贈る。
『己が戻った時、たっぷりとこの世界の己が見聞きした話を聞かせてくれ』
余計なことは引き継がなくていいだろう。主君との思い出は我のものだ。主君との約束も我のものだ。だから、お前にはやれぬ。本来であればやらねばならぬがな。
まぁ、なに、主君は許してくれるだろうよ。
目が覚めた。目が覚めた。起きたら、あの方はいなくなっていた。どこに行ったのと見渡すれけど、自分がいるのはあの穢れた神殿ではなく一面緑の場所だった。開けたその場所の中央には一本の木がサワサワと葉を揺らしている。
清らかな空気に包まれたその場所に自分はあの方の跡継ぎとして出てきたというのに役にも立たず、あの方よりも先に還ってしまったのか。
でも、それにしては声が聞こえない。騒がしいほどの仲間達の声がしない。とても、しんとしている。
タシタシと歩く。歩いてみる。土がしっかりとしている。ほのかに光魔法が宿っているようだ。
――くぅ~。
腹が鳴った。鳴ってしまった。これだけ、美味しそうな匂いがするのだもの、仕方ないだろう。仕方ない。
『きゃう』
地面に溜まった水を見つけた。あの神殿にある泥水よりも美味しそうなそれ。この開けた場所には数箇所水溜まりが点在しているようだ。
一口飲んだだけでもわかる。体に染み渡る光魔法。美味しい美味しい。いくらでも飲めてしまう。
次々と水溜まりを飲み干し、お腹いっぱいになる。
『きゅや』
水溜まりを制覇し、誘われるがまま、目を閉じた。
美味しかった。ご馳走様。おやすみなさい。
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