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摩矢episode2
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「あ、……秋ちゃん……?
微妙にずれたコットンの下から瞳孔を思いっきり広げて見つめないでくれる?
それだとかなりホラーで怖いんだけど……」
「ああ……今の俺はどうしようもない殺意に芽生えたからな」
「──な、なんで?!」
「さあな、なんでだろうなっ!」
俺は吐き捨ててそっぽを向いた。またもやこんな餓鬼みたいな態度で本当に嫌になる。
「……秋ちゃん、ごめんね」
挙げ句、桜木に謝らせてる。
俺は自分が情けなくて溜め息を付いた。
「別にお前が謝ることじゃねえよ。お前は俺の事を心配してくれてるんだろ?……それなのに俺の方こそ嫌な態度を取って悪かった」
俺が謝ると桜木は眉を八の字にして困った表情を見せた。
「いや、でもやっぱり俺が悪かったと思う。……ごめん」
桜木は下を向いてもう一度謝った。そして、俺の顔をチラリと見ると、言い辛そうに口を開いた。
「ちょっと聞きづらいんだけど──秋ちゃんってさ……やっぱり無性愛者なの?だとしたら、俺の言ったことってすごく良くないことだったよね。気を悪くしたのはそのせい?」
俺はぎょっとした。どうやら大きな誤解をさせてしまったようだ。でも、俺のこの態度だと確かにそう思っても仕方がない。俺は直ぐにでも、無性愛者じゃねえ、と否定したかったが、なら何で?と訊かれたら答えようがないから止めた。
「──ああ……そうなのかもな」
──無性愛者。
そう思っててくれた方がいいのかもしれない……。
俺は真実を隠すように、瞼を閉じてコットンを元の位置に戻した。
「秋ちゃん……ごめん」
「いいよ、別に。何度も言うがお前がそんな謝ることじゃない。だからもう謝るなよ」
何度も謝られると、俺はこいつに振られている錯覚に陥る。
……振られて、謝られて……そして、気まずくなって、こいつとの関係はそれっきり……。
そんな連想してしまい、俺は唇を噛み締めた。
それから俺と桜木の間には、妙に寂しい空気が流れた。
そんな中、俺に触れる桜木の手だけが温かく感じた。
暫くすると桜木は歌を口ずさんだ。切なくて悲しい、だけど優しくふんわりと包み込んでくれるような綺麗なメロディだった。
だが、一小節、二小節と進むうちに俺の額に冷や汗が滲んできた。全身の血の気も徐々に引いていき、呼吸も段々浅くなってくる。
(──ど、ど、どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどういうことだ? これは?!)
俺は軽いパニック状態に陥った。
そのメロディに乗った歌詞には、覚えがあったからだ。
「お、……お前……、なんなんだ……その歌は?」
俺は恐る恐る訊いてみた。
「ああ、これ? すごい詞だよねー。やっぱり秋ちゃんも気になった?」
気になるもなにも……、その地獄から生者を引き摺り下ろそうともがく執拗な亡者の怨念詞は、紛れもなく俺が例のサイトに投稿していた糞詩だった。
「大分前に投稿サイトで見付けたんだけど、俺、この詩を書いてる子の作品に魅せられちゃってさあ、勝手に曲を作っちゃったんだよね。今度、その子にも良かったら聞いて貰いたいと思ってるんだ」
━━はっ?!
━━ちょっと待てっ!!
と、いうことは、赤虫って……
微妙にずれたコットンの下から瞳孔を思いっきり広げて見つめないでくれる?
それだとかなりホラーで怖いんだけど……」
「ああ……今の俺はどうしようもない殺意に芽生えたからな」
「──な、なんで?!」
「さあな、なんでだろうなっ!」
俺は吐き捨ててそっぽを向いた。またもやこんな餓鬼みたいな態度で本当に嫌になる。
「……秋ちゃん、ごめんね」
挙げ句、桜木に謝らせてる。
俺は自分が情けなくて溜め息を付いた。
「別にお前が謝ることじゃねえよ。お前は俺の事を心配してくれてるんだろ?……それなのに俺の方こそ嫌な態度を取って悪かった」
俺が謝ると桜木は眉を八の字にして困った表情を見せた。
「いや、でもやっぱり俺が悪かったと思う。……ごめん」
桜木は下を向いてもう一度謝った。そして、俺の顔をチラリと見ると、言い辛そうに口を開いた。
「ちょっと聞きづらいんだけど──秋ちゃんってさ……やっぱり無性愛者なの?だとしたら、俺の言ったことってすごく良くないことだったよね。気を悪くしたのはそのせい?」
俺はぎょっとした。どうやら大きな誤解をさせてしまったようだ。でも、俺のこの態度だと確かにそう思っても仕方がない。俺は直ぐにでも、無性愛者じゃねえ、と否定したかったが、なら何で?と訊かれたら答えようがないから止めた。
「──ああ……そうなのかもな」
──無性愛者。
そう思っててくれた方がいいのかもしれない……。
俺は真実を隠すように、瞼を閉じてコットンを元の位置に戻した。
「秋ちゃん……ごめん」
「いいよ、別に。何度も言うがお前がそんな謝ることじゃない。だからもう謝るなよ」
何度も謝られると、俺はこいつに振られている錯覚に陥る。
……振られて、謝られて……そして、気まずくなって、こいつとの関係はそれっきり……。
そんな連想してしまい、俺は唇を噛み締めた。
それから俺と桜木の間には、妙に寂しい空気が流れた。
そんな中、俺に触れる桜木の手だけが温かく感じた。
暫くすると桜木は歌を口ずさんだ。切なくて悲しい、だけど優しくふんわりと包み込んでくれるような綺麗なメロディだった。
だが、一小節、二小節と進むうちに俺の額に冷や汗が滲んできた。全身の血の気も徐々に引いていき、呼吸も段々浅くなってくる。
(──ど、ど、どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどういうことだ? これは?!)
俺は軽いパニック状態に陥った。
そのメロディに乗った歌詞には、覚えがあったからだ。
「お、……お前……、なんなんだ……その歌は?」
俺は恐る恐る訊いてみた。
「ああ、これ? すごい詞だよねー。やっぱり秋ちゃんも気になった?」
気になるもなにも……、その地獄から生者を引き摺り下ろそうともがく執拗な亡者の怨念詞は、紛れもなく俺が例のサイトに投稿していた糞詩だった。
「大分前に投稿サイトで見付けたんだけど、俺、この詩を書いてる子の作品に魅せられちゃってさあ、勝手に曲を作っちゃったんだよね。今度、その子にも良かったら聞いて貰いたいと思ってるんだ」
━━はっ?!
━━ちょっと待てっ!!
と、いうことは、赤虫って……
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