47 / 79
桜木episode 1
3
しおりを挟む
逆に訊ねられて、俺は少々困った。だが、これを機に自分の常識を疑ってみることにした。
「俺さぁ、実は昔からそういうことよくあったんだよねー。同級生は勿論、小学生の頃から隣の家の兄ちゃんとか、母親が連れてきた友人とか、中学の先輩とか、その他、諸々と経験した。うちは母子家庭で、母親が帰ってくるの遅かったから、つい彼らに甘えていると、そういうことになりがちだった」
塚ちんが脇で顎が外れんばかりに驚いている。
「さ、さ、桜木……それって……」
「ああ、うん。言いたいことは分かるよ」
塚ちんの反応を見て、やっぱり普通はやらないことなんだと思った。
「桜木ぃ~!お前は俺が思う以上に、小さい頃からいけない事してるんだぁ!俺は悲しいよぉ~!しかも、同級生は兎も角、母親が連れてきた友人って、大人だろお!それじゃあ最早、犯罪じゃんかよぉ!!」
「そうだね。でも、俺は今まで誰とそうしてきても嫌だとか気持ち悪いとか思った事がないんだよね。むしろ気持ちいいから好きだったくらいで……、あ!でも、誤解しないで、女の子とするセックスの方が気持ちいいから出来たら断然そっちの方が好き。でも、男同士で触りっこ程度なら、そっちも全然抵抗がないんだよねー。それを摩矢に言ったら『変態糞野郎』って言われて……。やっぱり、塚ちんもそう思う?」
塚ちんは何も言わず、唖然としたまま静かに頷いた。
俺は大きなため息をついて、「やっぱりそうかー」と俯いた。
前々から薄々と感じてはいたけど、俺は人と性愛の感覚がかなりズレているんだ。秋ちゃんも相当ズレていると思ったけど、ひょっとしたら俺の方がズレにズレまくっているのかもしれない。だから、秋ちゃんは、俺が秋ちゃん以外ともしたことあるって言った時、顔色を変えて俺の事を振り切った。でも、怪我をしたままだったから、色々と一人ではままならず、仕方なく変態糞野郎の俺に、また触れる機会を与えた。秋ちゃんは見かけによらず、すっごく優しいから、全く自覚のなかった俺を、きっと渋々許してくれたのかもしれない。
それなのに……俺ときたら……。
秋ちゃんに対して、また変態的なことを……。
ずーんと気持ちが奈落の底へと沈み込む。
「あ、いや……俺は摩矢くんみたいに、桜木の事を『変態糞野郎』とまでは思ってないから大丈夫だよ」
塚ちんが優しくフォローしてくれた。
俺は顔を上げ、にっこりと笑ってみせたが、きっと心から笑えていない。
「ありがとう塚ちん。まあ、糞野郎とまでは思ってなくても、変態であることには違いないから。うん。大丈夫。俺のことは気にしないで。俺は変態ということを、しっかり自覚したから、これからは気を付けるよ」
俺が変態と知りつつ、心配そうに見つめてくる塚ちんがすごく愛らしい。
「あー、いや……。俺は……だから、そこまで桜木を変態だとは思ってなくて、その……」
そう言ってくれるのは有難いけど、今は自分のしたことに猛省しかない。
「そもそもさぁ、その隣の家の兄ちゃんだとか、母親の友人だったおっさんって、桜木から触った訳じゃないだろ?」
「まあ、確かにそうだけど……」
「だったら、桜木は被害者じゃないか?!桜木の方から誰かのちんちんを無理矢理触ったなら兎も角、そうじゃないなら、桜木は変態じゃない!!」
そう言われて俺の胸は軋んだ。
俺の秋ちゃんに対してのあれは、無理矢理じゃないか。
そういえば幼い頃、性的虐待を受けた子が、成人になると、その子も性的虐待を犯すようになる──なんて話を聞いた事がある。
そういう人は感覚が既に鈍っていて、自分が幼い頃そうだったから、別にしてもいいと自分を正当化する。しかも、相手は誰にも言えないということを、自分自身が経験しているから、簡単にはバレないことを知っている。
そうして、自らが加害者に──。
うわあああ──!!ごめん!!秋ちゃん!!俺はそんなつもりじゃあああ!!
俺は頭を抱えてテーブルに突っ伏した。
「俺さぁ、実は昔からそういうことよくあったんだよねー。同級生は勿論、小学生の頃から隣の家の兄ちゃんとか、母親が連れてきた友人とか、中学の先輩とか、その他、諸々と経験した。うちは母子家庭で、母親が帰ってくるの遅かったから、つい彼らに甘えていると、そういうことになりがちだった」
塚ちんが脇で顎が外れんばかりに驚いている。
「さ、さ、桜木……それって……」
「ああ、うん。言いたいことは分かるよ」
塚ちんの反応を見て、やっぱり普通はやらないことなんだと思った。
「桜木ぃ~!お前は俺が思う以上に、小さい頃からいけない事してるんだぁ!俺は悲しいよぉ~!しかも、同級生は兎も角、母親が連れてきた友人って、大人だろお!それじゃあ最早、犯罪じゃんかよぉ!!」
「そうだね。でも、俺は今まで誰とそうしてきても嫌だとか気持ち悪いとか思った事がないんだよね。むしろ気持ちいいから好きだったくらいで……、あ!でも、誤解しないで、女の子とするセックスの方が気持ちいいから出来たら断然そっちの方が好き。でも、男同士で触りっこ程度なら、そっちも全然抵抗がないんだよねー。それを摩矢に言ったら『変態糞野郎』って言われて……。やっぱり、塚ちんもそう思う?」
塚ちんは何も言わず、唖然としたまま静かに頷いた。
俺は大きなため息をついて、「やっぱりそうかー」と俯いた。
前々から薄々と感じてはいたけど、俺は人と性愛の感覚がかなりズレているんだ。秋ちゃんも相当ズレていると思ったけど、ひょっとしたら俺の方がズレにズレまくっているのかもしれない。だから、秋ちゃんは、俺が秋ちゃん以外ともしたことあるって言った時、顔色を変えて俺の事を振り切った。でも、怪我をしたままだったから、色々と一人ではままならず、仕方なく変態糞野郎の俺に、また触れる機会を与えた。秋ちゃんは見かけによらず、すっごく優しいから、全く自覚のなかった俺を、きっと渋々許してくれたのかもしれない。
それなのに……俺ときたら……。
秋ちゃんに対して、また変態的なことを……。
ずーんと気持ちが奈落の底へと沈み込む。
「あ、いや……俺は摩矢くんみたいに、桜木の事を『変態糞野郎』とまでは思ってないから大丈夫だよ」
塚ちんが優しくフォローしてくれた。
俺は顔を上げ、にっこりと笑ってみせたが、きっと心から笑えていない。
「ありがとう塚ちん。まあ、糞野郎とまでは思ってなくても、変態であることには違いないから。うん。大丈夫。俺のことは気にしないで。俺は変態ということを、しっかり自覚したから、これからは気を付けるよ」
俺が変態と知りつつ、心配そうに見つめてくる塚ちんがすごく愛らしい。
「あー、いや……。俺は……だから、そこまで桜木を変態だとは思ってなくて、その……」
そう言ってくれるのは有難いけど、今は自分のしたことに猛省しかない。
「そもそもさぁ、その隣の家の兄ちゃんだとか、母親の友人だったおっさんって、桜木から触った訳じゃないだろ?」
「まあ、確かにそうだけど……」
「だったら、桜木は被害者じゃないか?!桜木の方から誰かのちんちんを無理矢理触ったなら兎も角、そうじゃないなら、桜木は変態じゃない!!」
そう言われて俺の胸は軋んだ。
俺の秋ちゃんに対してのあれは、無理矢理じゃないか。
そういえば幼い頃、性的虐待を受けた子が、成人になると、その子も性的虐待を犯すようになる──なんて話を聞いた事がある。
そういう人は感覚が既に鈍っていて、自分が幼い頃そうだったから、別にしてもいいと自分を正当化する。しかも、相手は誰にも言えないということを、自分自身が経験しているから、簡単にはバレないことを知っている。
そうして、自らが加害者に──。
うわあああ──!!ごめん!!秋ちゃん!!俺はそんなつもりじゃあああ!!
俺は頭を抱えてテーブルに突っ伏した。
0
あなたにおすすめの小説
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる