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摩矢episode 6
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俺の背後で桜木が滅茶苦茶驚いている。ここまで話して、本当に何の反応も示さなかったらどうしようかと思った。でも、ここで分かったと言うことは、もう俺の気持ちにも気付くはずだ。そう思うと、途端と緊張してきて、俺は俯いた。湯船に映る自分の顔が、この期に及んで、不安げに眉を歪ませている。
「ちょっと待って!ってことはだよ!あの日の夜、俺にキスをしたのは……」
俺はそのまま、こくんと頷いた。
「嘘……」
「嘘じゃねえよ……だから、俺……。ずっと辛かった。お前に彼女が出来る度に、俺はいつも……。だから、お前から離れたかった。お前と距離を取って、ひっそりとお前の幸せを願っていた方がまだ楽なんじゃないかと思ったからだ。だから学校も辞めて、ずっとひとりで暮らそうと思ってた。あの日は彼女が居るのに悪いと思ったけど、俺にとっては生涯最初で最後だからと勇気を出した。でも……、それを無意味な真似とか、どうでもいいことだとか……言われて…………」
「ま、待って、秋ちゃん!!ご、ごめん……俺も今、すごい驚いてて、だから、若干頭がパニクっているんだけど、一つずつ確認していい?」
俺は頷いた。
「秋ちゃんは……ずっと俺の事が好きだったの?」
言葉なんて返せない。俺はただゆっくりと頷く。
「それって単なる幼馴染みの好きじゃなく?」
俺は耳まで赤くなるのを感じながら頷いた。
「いつからそう思ってたの?」
「お前に出会ったその時から……」
「それって、4歳の時からずっとってこと?……なんで? なんでもっと早く言ってくれなかったの? 昨夜だって、俺、何度も聞いたよね? でも、あの時は俺のこと好きじゃないって言ったくせに?」
「だって、その時はお前に彼女がいたし、彼女がいる奴にいくら好きだって言っても、男の俺ではそもそも迷惑にしかならないだろう。それに……お前にはずっと幸せでいて欲しいって思ってたから……言えるわけない……」
背後から伸びてきた手に、俺はそっと抱き締められた。
「秋ちゃん……」
桜木の吐息が耳朶に触れる。そして、桜木は俺の首筋に唇を這わせた。すると、全身がゾクゾクとして、思わず身を捩る。逃げたい気持ちと快感がない交ぜになったおかしな感覚だ。こんな時、どんな反応を示せばいいのだろう。戸惑っている間に、桜木の唇が頬に触れる。その柔らかな唇が次第に唇へと移動し、顎を軽く上に上げられ、そっと唇が重なった。
「秋ちゃん、好きだよ」
そう言ってはゆっくりと唇を離し、俺が抵抗しないのを確認すると、また優しく唇を重ねた。俺は余りの幸福感に身を震わせた。唇をそっと開いて桜木の舌を迎え入れると、自ら舌を絡ませた。
「っ……ん……」
思わず声を漏らす。すると、桜木の腕は俺の胸をまさぐり、先端に指をそっと這わせた。そのまま両手で両方の先端をグリグリと刺激され、俺は身を捩らせ快感に震えた。互いに息を荒げながら、キスはさらに深く、何度も舌を絡め、互いを求め合った。
「さ、桜木……も、もう……」
「うん。俺も耐えられない」
「で、でも……」
「うん。こんな場所じゃ嫌だよね?」
「今日は随分と冷静じゃないか?」
「もうこれ以上、秋ちゃんに辛い思いをさせたくないからね」
俺は顔を上げ、桜木の顔をじっと見つめた。桜木の瞳が俺だけを映して優しく微笑んでいる。そんな信じられない現実に、頭はすっかり沸いておかしくなりそうだった。俺は幸福な熱に包まれて、泣き出しそうになるのをぐっと堪えた。すると、桜木の人差し指が唇にそっと触れる。
「秋ちゃんのこの唇、すごく好き。泣くのを一生懸命我慢して富士山の形になってる。すごく可愛い。何度でもキスしたくなる」
言うなり桜木は俺を引き寄せ、また唇を重ねた。
「バ、バカ!……だから、そんなことすると……」
息も絶え絶えに言うと、桜木は「だね!」と言って俺をぎゅっと抱き締めた。
「この続きはご飯を食べて、みんなが寝静まった後にしようか?」
俺は拒否することも、肯定することも出来ずに、ただ頬を赤らめた。それを見て、桜木は艶やかに笑い、俺の頭を撫でる。
「無理はさせないから、大丈夫だよ。じゃ、もう出ようか?」
俺は頷いて、風呂場を後にした。
「ちょっと待って!ってことはだよ!あの日の夜、俺にキスをしたのは……」
俺はそのまま、こくんと頷いた。
「嘘……」
「嘘じゃねえよ……だから、俺……。ずっと辛かった。お前に彼女が出来る度に、俺はいつも……。だから、お前から離れたかった。お前と距離を取って、ひっそりとお前の幸せを願っていた方がまだ楽なんじゃないかと思ったからだ。だから学校も辞めて、ずっとひとりで暮らそうと思ってた。あの日は彼女が居るのに悪いと思ったけど、俺にとっては生涯最初で最後だからと勇気を出した。でも……、それを無意味な真似とか、どうでもいいことだとか……言われて…………」
「ま、待って、秋ちゃん!!ご、ごめん……俺も今、すごい驚いてて、だから、若干頭がパニクっているんだけど、一つずつ確認していい?」
俺は頷いた。
「秋ちゃんは……ずっと俺の事が好きだったの?」
言葉なんて返せない。俺はただゆっくりと頷く。
「それって単なる幼馴染みの好きじゃなく?」
俺は耳まで赤くなるのを感じながら頷いた。
「いつからそう思ってたの?」
「お前に出会ったその時から……」
「それって、4歳の時からずっとってこと?……なんで? なんでもっと早く言ってくれなかったの? 昨夜だって、俺、何度も聞いたよね? でも、あの時は俺のこと好きじゃないって言ったくせに?」
「だって、その時はお前に彼女がいたし、彼女がいる奴にいくら好きだって言っても、男の俺ではそもそも迷惑にしかならないだろう。それに……お前にはずっと幸せでいて欲しいって思ってたから……言えるわけない……」
背後から伸びてきた手に、俺はそっと抱き締められた。
「秋ちゃん……」
桜木の吐息が耳朶に触れる。そして、桜木は俺の首筋に唇を這わせた。すると、全身がゾクゾクとして、思わず身を捩る。逃げたい気持ちと快感がない交ぜになったおかしな感覚だ。こんな時、どんな反応を示せばいいのだろう。戸惑っている間に、桜木の唇が頬に触れる。その柔らかな唇が次第に唇へと移動し、顎を軽く上に上げられ、そっと唇が重なった。
「秋ちゃん、好きだよ」
そう言ってはゆっくりと唇を離し、俺が抵抗しないのを確認すると、また優しく唇を重ねた。俺は余りの幸福感に身を震わせた。唇をそっと開いて桜木の舌を迎え入れると、自ら舌を絡ませた。
「っ……ん……」
思わず声を漏らす。すると、桜木の腕は俺の胸をまさぐり、先端に指をそっと這わせた。そのまま両手で両方の先端をグリグリと刺激され、俺は身を捩らせ快感に震えた。互いに息を荒げながら、キスはさらに深く、何度も舌を絡め、互いを求め合った。
「さ、桜木……も、もう……」
「うん。俺も耐えられない」
「で、でも……」
「うん。こんな場所じゃ嫌だよね?」
「今日は随分と冷静じゃないか?」
「もうこれ以上、秋ちゃんに辛い思いをさせたくないからね」
俺は顔を上げ、桜木の顔をじっと見つめた。桜木の瞳が俺だけを映して優しく微笑んでいる。そんな信じられない現実に、頭はすっかり沸いておかしくなりそうだった。俺は幸福な熱に包まれて、泣き出しそうになるのをぐっと堪えた。すると、桜木の人差し指が唇にそっと触れる。
「秋ちゃんのこの唇、すごく好き。泣くのを一生懸命我慢して富士山の形になってる。すごく可愛い。何度でもキスしたくなる」
言うなり桜木は俺を引き寄せ、また唇を重ねた。
「バ、バカ!……だから、そんなことすると……」
息も絶え絶えに言うと、桜木は「だね!」と言って俺をぎゅっと抱き締めた。
「この続きはご飯を食べて、みんなが寝静まった後にしようか?」
俺は拒否することも、肯定することも出来ずに、ただ頬を赤らめた。それを見て、桜木は艶やかに笑い、俺の頭を撫でる。
「無理はさせないから、大丈夫だよ。じゃ、もう出ようか?」
俺は頷いて、風呂場を後にした。
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