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本編 イザヤside1
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「よし!陶也。はっきりさせよう!」
イザヤの声かけに陶也は不安そうに顔を上げたが、容赦するつもりはねえ。
「お前の腹ん中に蟠ってるもん、取り敢えず全部ぶちまけろ。話はそれからだ」
「な、何ですかそれは?僕は別に……、特にありませんよってさっきから……」
イザヤは陶也の前に手を翳した。
「何が別に……だ!お前の中に沈んで納得出来ないもんがあるだろ!それを吐き出せ!さもなくば、俺はお前に触れるぞ!」
陶也にとっては明らかに脅迫。拷問に近い事だろうけど、イザヤは止める気はない。
「腹ん中に消化できないもん溜めるんじゃねえよ。即刻、吐き出しな!さあ、あいつらの事でお前が気になってる、蟠ってる事はなんだ?」
イザヤは手を翳しながら、じりじりと陶也を座席の隅に追いやる。陶也はさっきの三人組に弄られる以上に真っ青になり怯えていた。限界まで近づくも陶也は口を割らない。
「先ずはあの女だ。お前はあの女をどう思ってるんだ?好きなのか?嫌いなのか?」
「どうとも思ってないですよ!」
「じゃあ、何でさっき気持ちが沈んだんだ?」
「そんなつもりは……」
ダン!と陶也の顔寸前でイザヤが壁を叩く。互いの吐息が伝わる距離までイザヤは陶也に接近した。陶也は顔を背けた。
「別に、や、そんなつもりは……で済ますなよ。ちゃんと言わなきゃ、このままお前に触れるぞ!」
陶也は首を振り、それだけは止めて下さい、と懇願した。
「こんなところで僕に触れたら、きっとイザヤさんが周りから酷い目で見られますよ」
「俺は別に誰からどんな目で見られても構わねえよ。勝手にすりゃいい」
どうせイザヤはろくでなしだ。どんな目で見られようが、イザヤからしたら、今さらな話だ。
「じゃあ、触れるぞ」
そう言って右手で陶也の頭を触ろうとした。陶也が泣きそうな声で、「わかりました!言います!言いますから!!」と言った。イザヤは手を引いた。陶也はすっかり涙目だ。自分で泣かしといてなんだが、とても可哀想だ。
「ほら、じゃあ、言えよ」
陶也は目に溜まった涙を拭くとイザヤの方を睨み付けてきた。よしよし、いい目だ。
「だってイザヤさん、蒔田さんの事、好きでもないのに一回寝てみりゃ分かるだろ、とか言うから……、それってすごく、不誠実です!!」
「はん?」
「か、軽すぎます。そういうことは、そんな簡単に……し、しないで下さい!」
「なるほど、俺が適当に言うから、穢れた大人は嫌いって訳か」
良い子ちゃんである陶也らしい潔癖な意見だ。
「で、あの三人は?」
「あの三人に関しては、去年、神田くんに触れられた時、気持ち悪くなって吐いてしまったんです」
「神田くんってどいつ?」
「銀髪の彼です」
「ふーん。でも、どうようもないだろ?それがお前の障害なんだから、で、それが切っ掛けで何かされたのか?」
「いえ、何かをされたというより、僕がそれで彼のプライドを傷付けたんだと思います。暫く学校で神田くんに触れると僕が気持ち悪くなって吐くから、一部で神田はキモイからな、なんて神田くんをからかう奴も出てきて、不愉快だったんだと思います。僕の症状は触れた人で反応が違いますから……神田くんだけなんです。吐き気がするの。だから彼の方も僕の事をよく思ってなくて、僕の嫌がる事をするようになったんです。だがら、それって、やっぱり僕が悪いんだと思います」
「何でだよ。お前のどこが悪いんだよ」
「触れられた時の反応がやっぱり失礼だと思います」
「だけど、仕様がねえだろ、そういう症状なんだから。てめえが触れると気持ち悪くなるから触るな!ってはっきり言えばいい。言ったのか?」
「と、とんでもない!そんな事……言えないです」
ポコン!とイザヤがまた孫の手で陶也の頭を叩く。
「言え!ばか!」
「そ、そんな!僕には出来ないです。だって、そこまではっきり言うにはそれなりの理由がないと……、神田くんに触れて吐く理由が説明出来ないんです。それだとやっぱ相手が傷付くだけかと……」
「あほ!だからって黙って、人の顔見るたびに怯えたり、避けられたりするのも不愉快だ!ケンカになったっていい!嫌われたっていい!どうしたってそれが自分の症状なんだから、ありのままでいけ!」
イザヤは連続でポカポカと陶也を叩いた。
「お前の人を傷付けないようにしよう、という心掛けは悪い事ではないけど、度が過ぎると本末転倒だ。お前自身が分かりづらくてこっちはイライラする!いいか!ちゃんと話さないとこっちは勝手に想像しちまうんだぞ!あの女のことだって、俺はてっきりお前があの女を密かに好きなのかと思ったわ!そういう誤解を産むんだぞ。それでいいのか?」
陶也は首をふるふる振りながら否定した。よろしい。
「では最後にもう一つ。お前に触れると脅迫してまでお前に無理をさせた俺に対しての恨み言は?」
今度は陶也の目に強い光が灯る。いい顔だ。イザヤの口許が期待を込めて綻ぶ。
「もう二度とこんな真似しないで下さい。確かに僕の態度もはっきりしなくて、よくなかったと思います。でも、こんなやり方、僕は嫌いです!」
上出来だ。イザヤは満面の笑みで迎えた。
「よく出来ました。そうやってはっきり言ってくれると、俺は嬉しい」
そう言うと陶也は苦笑いで返してきたが、さっきまでの暗く沈んでいた表情よりはよっぽどいい。
「これからは言うのを躊躇うようなことでも、俺には話してみろ。俺が怒るようなことでも躊躇うな!仲良くケンカしようぜ!お前にはケンカが必要だ」
とイザヤが言うと、陶也は真っ青になって、「ケンカはしたくありません」と弱気になった。
「だから、仲良くケンカするんだよ」
「何ですかそれ……仲良くしながらケンカの意味がわかりません」
と陶也は涙混じりに言うが、なあに、これからゆっくり教えてやるよ。
イザヤの声かけに陶也は不安そうに顔を上げたが、容赦するつもりはねえ。
「お前の腹ん中に蟠ってるもん、取り敢えず全部ぶちまけろ。話はそれからだ」
「な、何ですかそれは?僕は別に……、特にありませんよってさっきから……」
イザヤは陶也の前に手を翳した。
「何が別に……だ!お前の中に沈んで納得出来ないもんがあるだろ!それを吐き出せ!さもなくば、俺はお前に触れるぞ!」
陶也にとっては明らかに脅迫。拷問に近い事だろうけど、イザヤは止める気はない。
「腹ん中に消化できないもん溜めるんじゃねえよ。即刻、吐き出しな!さあ、あいつらの事でお前が気になってる、蟠ってる事はなんだ?」
イザヤは手を翳しながら、じりじりと陶也を座席の隅に追いやる。陶也はさっきの三人組に弄られる以上に真っ青になり怯えていた。限界まで近づくも陶也は口を割らない。
「先ずはあの女だ。お前はあの女をどう思ってるんだ?好きなのか?嫌いなのか?」
「どうとも思ってないですよ!」
「じゃあ、何でさっき気持ちが沈んだんだ?」
「そんなつもりは……」
ダン!と陶也の顔寸前でイザヤが壁を叩く。互いの吐息が伝わる距離までイザヤは陶也に接近した。陶也は顔を背けた。
「別に、や、そんなつもりは……で済ますなよ。ちゃんと言わなきゃ、このままお前に触れるぞ!」
陶也は首を振り、それだけは止めて下さい、と懇願した。
「こんなところで僕に触れたら、きっとイザヤさんが周りから酷い目で見られますよ」
「俺は別に誰からどんな目で見られても構わねえよ。勝手にすりゃいい」
どうせイザヤはろくでなしだ。どんな目で見られようが、イザヤからしたら、今さらな話だ。
「じゃあ、触れるぞ」
そう言って右手で陶也の頭を触ろうとした。陶也が泣きそうな声で、「わかりました!言います!言いますから!!」と言った。イザヤは手を引いた。陶也はすっかり涙目だ。自分で泣かしといてなんだが、とても可哀想だ。
「ほら、じゃあ、言えよ」
陶也は目に溜まった涙を拭くとイザヤの方を睨み付けてきた。よしよし、いい目だ。
「だってイザヤさん、蒔田さんの事、好きでもないのに一回寝てみりゃ分かるだろ、とか言うから……、それってすごく、不誠実です!!」
「はん?」
「か、軽すぎます。そういうことは、そんな簡単に……し、しないで下さい!」
「なるほど、俺が適当に言うから、穢れた大人は嫌いって訳か」
良い子ちゃんである陶也らしい潔癖な意見だ。
「で、あの三人は?」
「あの三人に関しては、去年、神田くんに触れられた時、気持ち悪くなって吐いてしまったんです」
「神田くんってどいつ?」
「銀髪の彼です」
「ふーん。でも、どうようもないだろ?それがお前の障害なんだから、で、それが切っ掛けで何かされたのか?」
「いえ、何かをされたというより、僕がそれで彼のプライドを傷付けたんだと思います。暫く学校で神田くんに触れると僕が気持ち悪くなって吐くから、一部で神田はキモイからな、なんて神田くんをからかう奴も出てきて、不愉快だったんだと思います。僕の症状は触れた人で反応が違いますから……神田くんだけなんです。吐き気がするの。だから彼の方も僕の事をよく思ってなくて、僕の嫌がる事をするようになったんです。だがら、それって、やっぱり僕が悪いんだと思います」
「何でだよ。お前のどこが悪いんだよ」
「触れられた時の反応がやっぱり失礼だと思います」
「だけど、仕様がねえだろ、そういう症状なんだから。てめえが触れると気持ち悪くなるから触るな!ってはっきり言えばいい。言ったのか?」
「と、とんでもない!そんな事……言えないです」
ポコン!とイザヤがまた孫の手で陶也の頭を叩く。
「言え!ばか!」
「そ、そんな!僕には出来ないです。だって、そこまではっきり言うにはそれなりの理由がないと……、神田くんに触れて吐く理由が説明出来ないんです。それだとやっぱ相手が傷付くだけかと……」
「あほ!だからって黙って、人の顔見るたびに怯えたり、避けられたりするのも不愉快だ!ケンカになったっていい!嫌われたっていい!どうしたってそれが自分の症状なんだから、ありのままでいけ!」
イザヤは連続でポカポカと陶也を叩いた。
「お前の人を傷付けないようにしよう、という心掛けは悪い事ではないけど、度が過ぎると本末転倒だ。お前自身が分かりづらくてこっちはイライラする!いいか!ちゃんと話さないとこっちは勝手に想像しちまうんだぞ!あの女のことだって、俺はてっきりお前があの女を密かに好きなのかと思ったわ!そういう誤解を産むんだぞ。それでいいのか?」
陶也は首をふるふる振りながら否定した。よろしい。
「では最後にもう一つ。お前に触れると脅迫してまでお前に無理をさせた俺に対しての恨み言は?」
今度は陶也の目に強い光が灯る。いい顔だ。イザヤの口許が期待を込めて綻ぶ。
「もう二度とこんな真似しないで下さい。確かに僕の態度もはっきりしなくて、よくなかったと思います。でも、こんなやり方、僕は嫌いです!」
上出来だ。イザヤは満面の笑みで迎えた。
「よく出来ました。そうやってはっきり言ってくれると、俺は嬉しい」
そう言うと陶也は苦笑いで返してきたが、さっきまでの暗く沈んでいた表情よりはよっぽどいい。
「これからは言うのを躊躇うようなことでも、俺には話してみろ。俺が怒るようなことでも躊躇うな!仲良くケンカしようぜ!お前にはケンカが必要だ」
とイザヤが言うと、陶也は真っ青になって、「ケンカはしたくありません」と弱気になった。
「だから、仲良くケンカするんだよ」
「何ですかそれ……仲良くしながらケンカの意味がわかりません」
と陶也は涙混じりに言うが、なあに、これからゆっくり教えてやるよ。
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