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本編 イザヤside1
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刑務所で暮らしていたイザヤにとって、鶏卵農家の仕事は、刑務作業とほとんど変わらなかったので、苦労することもなく受け入れられた。産んだ卵の回収と洗浄はほとんどパート従業員がやってくれるので、イザヤは陶也と一緒に、飼料の配合や、掃除、鶏糞の取り扱いなどが主な仕事となった。
「う○こも売れるんだな」
と、イザヤは鶏糞の入った袋をフォークリフトに乗せながら呟いた。イザヤの率直な感想に陶也は「はい。無駄なものは何一つないんですよ」と言って笑った。
義政は卵が詰められた段ボールを次々にトラックに積んで納品に出掛けた。
「免許証が出来たら納品もイザヤさんにお願いしたいと思ってますので、その時はよろしくお願いします」
イザヤは片手を上げて了承した。
昼は鶏卵場より少し高い丘に、小さな小屋が一つ立てられていて、みんなそこで休憩を取っていた。この休憩所にも広い土間がもうけられていて、大抵はそこにある大テーブルを使って、お昼を食べていたが、もうちょい寛ぎたい場合には、奥の座敷でテレビでも見ながら寝そべったりもできた。
田中さんはお菓子作りを趣味にしているようで、焼いてきたクッキーをみんなに配りながら、吉田さんと楽しそうにお喋りをしていた。
イザヤは陶也が作ってくれた弁当を平らげ、少し体を伸ばそうと、休憩所から外へ出てみた。
すると、鶏卵場の方から丸々とした肉付きのいい男の子が此方に走ってきた。その子は「とうやぁー、とうやぁー」と辺りを見回しながら叫んでいる。陶也の事を探しているようだ。イザヤはもう一度、休憩所の引き戸を開けて、陶也を呼んだ。
「おい、陶也。お前の事を探してる小僧がいるぞ」
「え?」
と言って、陶也も表に出た。
「あ!将太。おーい!将太こっちー!」
小僧に手を振ると、どすどすと言う音が聞こえてきそうな足取りで此方に走ってきた。
「どうしたの将太。夏休みの間はオーストラリアじゃなかったの?」
「だって陶也のお爺ちゃん、体調悪いんだろ!もし、俺がオーストラリアに行ってる間に何かあったら、陶也、一人ぼっちじゃないか!だから、今年は一週間だけにしたんだ」
「そうだったのか。心配かけたね。でも、僕は一人じゃないから大丈夫だよ」
陶也がイザヤの方に視線を向けると、小僧も此方に視線を合わせる。ーーが、何故かイザヤをこれでもかと睨み付けてきた。
「将太、紹介するよ。アメリカから来たお爺ちゃんのお孫さんで、イザヤさん」
陶也が英語に切り替えてイザヤを紹介した。ーーなるほど、こいつがオーストラリアに行ってたという小学生の餓鬼か、と言うことは英語が通じるんだな、と思い英語で挨拶したら、いきなり唾を吐かれた。
ーーこの餓鬼、上等じゃねぇか!!陶也は面喰らって、「何でそんなことするの!」と叱っているが、無駄だ。こいつは俺が本能的に気にくわない奴と認定したのだ。
「おい、陶也。気にするな。こういう餓鬼の躾は俺に任しておけ!なあ、肉団子!」
小僧はむっとしながら「俺は肉団子じゃない!将太だ!!」と鼻息も荒く怒っているようだが、イザヤは意地悪く「お前が先にちゃんと自己紹介しないのが悪い。だからお前はもう肉団子だ」ともう一度言うと、肉団子は赤く膨れ上がって、今にも肉汁が飛び出しそうになった。
「陶也、こいつ、めちゃくちゃ性格悪い!!こんな奴と暮らしたら陶也が穢れる!早く追い出した方がいい!」
「こら!将太、そんな失礼な事を言うんじゃないの!」
「いいって、いいって。陶也は取り敢えず後に下がってろ」
イザヤは腰の孫の手を抜き、しゃがみこんで将太の目線に合わせると、将太の丸いお腹を孫の手でさすりながら「お前、人をバイ菌扱いすんじゃねーぞ。そんな態度を取るんだったら俺もお前の事をずっと肉団子って言ってやるからな」と言うと、将太は孫の手を払いながら「ふんだ!子供の言うことにいちいちむきになる大人気ない奴に態度を改める気はないね!んっな事より、この孫の手なんだよ!こんなもんでいい大人が遊ぶんじゃない!」と最もらしい事を言った。
「バカ野郎!これは遊びで持ってるんじゃねぇ。これを使わないと陶也とのコミュニケーションが難しいんだよ」
そう言うと、肉団子がニヤリと笑った。そして、陶也に駆け寄るとガシッと陶也に抱きついた。
ーーお ま え も かあぁぁ!!!
肉団子が、勝ち誇った顔で此方を見ている。
「汚れた奴に陶也は触れないんだよ」
イザヤの気にしている事をズバリ言われ、餓鬼の言うことながら、イザヤの心は突き刺されたように痛かった。
「う○こも売れるんだな」
と、イザヤは鶏糞の入った袋をフォークリフトに乗せながら呟いた。イザヤの率直な感想に陶也は「はい。無駄なものは何一つないんですよ」と言って笑った。
義政は卵が詰められた段ボールを次々にトラックに積んで納品に出掛けた。
「免許証が出来たら納品もイザヤさんにお願いしたいと思ってますので、その時はよろしくお願いします」
イザヤは片手を上げて了承した。
昼は鶏卵場より少し高い丘に、小さな小屋が一つ立てられていて、みんなそこで休憩を取っていた。この休憩所にも広い土間がもうけられていて、大抵はそこにある大テーブルを使って、お昼を食べていたが、もうちょい寛ぎたい場合には、奥の座敷でテレビでも見ながら寝そべったりもできた。
田中さんはお菓子作りを趣味にしているようで、焼いてきたクッキーをみんなに配りながら、吉田さんと楽しそうにお喋りをしていた。
イザヤは陶也が作ってくれた弁当を平らげ、少し体を伸ばそうと、休憩所から外へ出てみた。
すると、鶏卵場の方から丸々とした肉付きのいい男の子が此方に走ってきた。その子は「とうやぁー、とうやぁー」と辺りを見回しながら叫んでいる。陶也の事を探しているようだ。イザヤはもう一度、休憩所の引き戸を開けて、陶也を呼んだ。
「おい、陶也。お前の事を探してる小僧がいるぞ」
「え?」
と言って、陶也も表に出た。
「あ!将太。おーい!将太こっちー!」
小僧に手を振ると、どすどすと言う音が聞こえてきそうな足取りで此方に走ってきた。
「どうしたの将太。夏休みの間はオーストラリアじゃなかったの?」
「だって陶也のお爺ちゃん、体調悪いんだろ!もし、俺がオーストラリアに行ってる間に何かあったら、陶也、一人ぼっちじゃないか!だから、今年は一週間だけにしたんだ」
「そうだったのか。心配かけたね。でも、僕は一人じゃないから大丈夫だよ」
陶也がイザヤの方に視線を向けると、小僧も此方に視線を合わせる。ーーが、何故かイザヤをこれでもかと睨み付けてきた。
「将太、紹介するよ。アメリカから来たお爺ちゃんのお孫さんで、イザヤさん」
陶也が英語に切り替えてイザヤを紹介した。ーーなるほど、こいつがオーストラリアに行ってたという小学生の餓鬼か、と言うことは英語が通じるんだな、と思い英語で挨拶したら、いきなり唾を吐かれた。
ーーこの餓鬼、上等じゃねぇか!!陶也は面喰らって、「何でそんなことするの!」と叱っているが、無駄だ。こいつは俺が本能的に気にくわない奴と認定したのだ。
「おい、陶也。気にするな。こういう餓鬼の躾は俺に任しておけ!なあ、肉団子!」
小僧はむっとしながら「俺は肉団子じゃない!将太だ!!」と鼻息も荒く怒っているようだが、イザヤは意地悪く「お前が先にちゃんと自己紹介しないのが悪い。だからお前はもう肉団子だ」ともう一度言うと、肉団子は赤く膨れ上がって、今にも肉汁が飛び出しそうになった。
「陶也、こいつ、めちゃくちゃ性格悪い!!こんな奴と暮らしたら陶也が穢れる!早く追い出した方がいい!」
「こら!将太、そんな失礼な事を言うんじゃないの!」
「いいって、いいって。陶也は取り敢えず後に下がってろ」
イザヤは腰の孫の手を抜き、しゃがみこんで将太の目線に合わせると、将太の丸いお腹を孫の手でさすりながら「お前、人をバイ菌扱いすんじゃねーぞ。そんな態度を取るんだったら俺もお前の事をずっと肉団子って言ってやるからな」と言うと、将太は孫の手を払いながら「ふんだ!子供の言うことにいちいちむきになる大人気ない奴に態度を改める気はないね!んっな事より、この孫の手なんだよ!こんなもんでいい大人が遊ぶんじゃない!」と最もらしい事を言った。
「バカ野郎!これは遊びで持ってるんじゃねぇ。これを使わないと陶也とのコミュニケーションが難しいんだよ」
そう言うと、肉団子がニヤリと笑った。そして、陶也に駆け寄るとガシッと陶也に抱きついた。
ーーお ま え も かあぁぁ!!!
肉団子が、勝ち誇った顔で此方を見ている。
「汚れた奴に陶也は触れないんだよ」
イザヤの気にしている事をズバリ言われ、餓鬼の言うことながら、イザヤの心は突き刺されたように痛かった。
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