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本編 イザヤside1
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「お、お前の部屋って……。肉団子が居るだろう。あいつがお前の部屋に俺を入れる訳ねぇ」
「もう寝てるから大丈夫ですよ。布団も僕の隣にもう一組敷けますから、僕の部屋でゆっくりお休みになった方がいいと思います」
「い、いいのか?」
肉団子が居ると分かっていても、隣に陶也が寝ると思うと、何だが心臓の鼓動が早くなる。更にこちらを見つめる陶也の濡れた瞳が恥じらうように伏せるから、余計にイザヤの胸中は落ち着かない。
「やっぱ俺、廊下でいい!邪魔だと言うなら土間でもいい!」
何だかよく分からないけど全力で拒否したら、「駄目です。風邪でもひいたらどうするんですか!僕の部屋に来てください」と叱られてしまった。「はい」と返事して、陶也の部屋に向かう。
肉団子が寝ているから、薄暗いままの部屋へ静かに入り、そっと押し入れを開け、もう一組の布団を静かに陶也は取り出した。
「いま、シーツを持って来ますから待っていて下さい」
そう言って部屋から出て行く際、触れるか触れないかの距離に立ち、イザヤの耳元で囁いた。肉団子に配慮しての事なのだろうが、情事の前の甘い囁きにも似て、イザヤの胸中は掻き乱された。目の前には、さっきまで陶也が寝ていたであろう布団がある。そこに陶也の寝姿を想像し、急激に心拍数が上がる。これ以上、バカな妄想を抱かないように、イザヤは慌てて肉団子に視線を移した。肉団子は陶也の布団の隣で、気持ち良さそうに寝息を立てている。いつもイザヤには生意気な顔ばかりするが、寝顔はやはり子供だ。よく見ると福福として可愛らしい子だった。
スっと静かに襖が開き、陶也が戻ってきた。音を立てないようゆっくりと布団を敷き、シーツを広げると、スッーと手のひらで皺を伸ばしていった。その時の優しく撫でるような美しい手つきに、イザヤの目は釘付けになった。この手が、肌を滑っていく感触はどんなだろう。決して自分の肌には触れることのない、その手の動きを、息を飲んで見つめた。
布団が敷き終わると「どうぞ」と言って、陶也は隣にある自分の布団の上に移動した。
ーーなんなんだ?この緊張感は???同じ布団に寝る訳じゃない。隣の布団なのに??
緊張を悟られないように、イザヤは陶也の隣に転がり、「有り難う、じゃ、お休み」と素っ気なく言って、陶也とは反対の方向を向いて、努力と根性で睡眠に集中しようとした。が、「イザヤさん?」と声をかけられた。仕方なしに、「なに?」と返事はしたが、目を閉じて、俺は寝んるだ、俺は寝るんだ、と暗示をかける。
「眠いですか?」
パチッと目を開ける。
ーー無理!!
「いや、まだ全然」
「では、少しだけ、お話しませんか?」
「いいけど……何を?」
「取り敢えず、こちらを向いて貰えませんか?」
イザヤは宙を仰いで考えた。そっちを向いて理性を保てるのか?
「顔が見えないと寂しいです」
切なそうな声で乞われ、イザヤは反射的に振り返ってしまった。麗しい黒瞳と目が合う。息を呑むほどーーやっぱ綺麗だ。
「何?訊きたい事でもあるのか?」
別々の布団とはいえ、いつもより距離が近い。しかも、身を横たわらせたままの無防備な状態だ。
「あ、いや……その……なんて言うか……」
陶也の口調がしどろもどろになる。
「お前はまた、言いたい事はピッと言えよ」
「は、はい!では……」
陶也が深呼吸をするように大きく息を吸い込んだ。そんなに言い難い事なのか?俺に答えられるのか?イザヤに緊張が走る。
「イザヤさんって、恋人が居たことありますか?」
「は?」
ーーこいつ、今……、何を言った?
「前にモテてたって、義政さんと話してたし……だから、恋愛経験豊富なのかな?と思って……」
「あ」
ーーあれは……。モテたと言っても刑務所の中でだ。しかし、誰が言えるか!そんなこと!!!
「もう寝てるから大丈夫ですよ。布団も僕の隣にもう一組敷けますから、僕の部屋でゆっくりお休みになった方がいいと思います」
「い、いいのか?」
肉団子が居ると分かっていても、隣に陶也が寝ると思うと、何だが心臓の鼓動が早くなる。更にこちらを見つめる陶也の濡れた瞳が恥じらうように伏せるから、余計にイザヤの胸中は落ち着かない。
「やっぱ俺、廊下でいい!邪魔だと言うなら土間でもいい!」
何だかよく分からないけど全力で拒否したら、「駄目です。風邪でもひいたらどうするんですか!僕の部屋に来てください」と叱られてしまった。「はい」と返事して、陶也の部屋に向かう。
肉団子が寝ているから、薄暗いままの部屋へ静かに入り、そっと押し入れを開け、もう一組の布団を静かに陶也は取り出した。
「いま、シーツを持って来ますから待っていて下さい」
そう言って部屋から出て行く際、触れるか触れないかの距離に立ち、イザヤの耳元で囁いた。肉団子に配慮しての事なのだろうが、情事の前の甘い囁きにも似て、イザヤの胸中は掻き乱された。目の前には、さっきまで陶也が寝ていたであろう布団がある。そこに陶也の寝姿を想像し、急激に心拍数が上がる。これ以上、バカな妄想を抱かないように、イザヤは慌てて肉団子に視線を移した。肉団子は陶也の布団の隣で、気持ち良さそうに寝息を立てている。いつもイザヤには生意気な顔ばかりするが、寝顔はやはり子供だ。よく見ると福福として可愛らしい子だった。
スっと静かに襖が開き、陶也が戻ってきた。音を立てないようゆっくりと布団を敷き、シーツを広げると、スッーと手のひらで皺を伸ばしていった。その時の優しく撫でるような美しい手つきに、イザヤの目は釘付けになった。この手が、肌を滑っていく感触はどんなだろう。決して自分の肌には触れることのない、その手の動きを、息を飲んで見つめた。
布団が敷き終わると「どうぞ」と言って、陶也は隣にある自分の布団の上に移動した。
ーーなんなんだ?この緊張感は???同じ布団に寝る訳じゃない。隣の布団なのに??
緊張を悟られないように、イザヤは陶也の隣に転がり、「有り難う、じゃ、お休み」と素っ気なく言って、陶也とは反対の方向を向いて、努力と根性で睡眠に集中しようとした。が、「イザヤさん?」と声をかけられた。仕方なしに、「なに?」と返事はしたが、目を閉じて、俺は寝んるだ、俺は寝るんだ、と暗示をかける。
「眠いですか?」
パチッと目を開ける。
ーー無理!!
「いや、まだ全然」
「では、少しだけ、お話しませんか?」
「いいけど……何を?」
「取り敢えず、こちらを向いて貰えませんか?」
イザヤは宙を仰いで考えた。そっちを向いて理性を保てるのか?
「顔が見えないと寂しいです」
切なそうな声で乞われ、イザヤは反射的に振り返ってしまった。麗しい黒瞳と目が合う。息を呑むほどーーやっぱ綺麗だ。
「何?訊きたい事でもあるのか?」
別々の布団とはいえ、いつもより距離が近い。しかも、身を横たわらせたままの無防備な状態だ。
「あ、いや……その……なんて言うか……」
陶也の口調がしどろもどろになる。
「お前はまた、言いたい事はピッと言えよ」
「は、はい!では……」
陶也が深呼吸をするように大きく息を吸い込んだ。そんなに言い難い事なのか?俺に答えられるのか?イザヤに緊張が走る。
「イザヤさんって、恋人が居たことありますか?」
「は?」
ーーこいつ、今……、何を言った?
「前にモテてたって、義政さんと話してたし……だから、恋愛経験豊富なのかな?と思って……」
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ーーあれは……。モテたと言っても刑務所の中でだ。しかし、誰が言えるか!そんなこと!!!
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