Broken Arrows

蓮華空

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再会

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 紫の瞳は雷亜の前で足を止めた。

 一瞬、辺りが水を打ったような静けさに包まれ、お喋りに夢中になっていた女子達も笑顔を引き吊らせたまま固まっている。ヘッドフォンを耳に入れ、雷亜の声が聞こえていなかったと思われる男子だけが、不思議そうにヘッドフォンを外し、何が起こってるのか分からず辺りをキョロキョロとしていた。しかし、皆の視線が雷亜に集中しているのを見ると、彼も固唾を呑み込んでこちらを凝視した。


「……お、お前は、シャノン・ホワイトに向かって何を言ってるんだ?」

 達也の呟きが後方から聞こえてきた。

「おい、おい……、ちょっと待てよ、雷亜。お前が昼に話していたプラチナブロンドの天使って、まさかこいつなのかよ?」

 宇辰の震えるような声も聞こえた。だが、雷亜は目の前の濃艶な美貌から目を逸らせない。

 雷亜は紫の瞳を見つめたまま頷いた。


(間違いない。この人は、あの時のあの子だ!)


 静かにこちらを見つめるシャノン・ホワイトの姿を雷亜は隈無く見つめた。あの頃よりも随分、背が高くなっている。初めて出会った時も雷亜より頭一つ大きかったが、今はもっと差がある。190cmを越える長身にレザージャケットを羽織ったしっかりとした男らしい体躯。けれども、優美さは全く損なわれず、あの頃よりも更に洗練された大人の色気を醸し出していた。白いシャツは襟元を大きく開け、透き通るような肌の白さは今もキメが細かく。筋の通った美しい鼻梁はさらに高く。薄く紅をひいた形の良い唇は今も同じ潤いを保っていて、どこを切り取っても彼は美しかった。当時のふわふわとした天使のような可愛らしさは残念ながら消えてしまったが、紫の瞳を納めた目元はやはり秀麗で、その輝きは鋭い閃光となって、雷亜の胸を貫いた。

(やばい……、成長したあの子もやっぱり綺麗だ……!そしてまさか……、まさか、本当にまた会えるとはーー!!)

 雷亜の瞳に涙が滲んだ。
 身体中が急に熱をおび、全身が震える。

(生きていてくれた……)

 それが何より嬉しかった。

「アイ ラブ ユー」

 と、もう一度、歓喜に震えながら言った。6年前は、この言葉を彼の名前のようにして、雷亜は繰り返し唱えたのだ。

「アイ ラブ ユー」

 と、また唱えると、前方の美しい紫の瞳は、眉間に皺を寄せてこちらを睨んできた。

(ああ、やっぱりこの感じはーー、あの時と同じだ!!)

 6年前の天使は、雷亜が「アイ ラブ ユー」と言うといつもこの表情だった。

 不意に彼の白くて長い指が雷亜に近付き、その髪に触れると、右の半顔を確認した。はっとするように息を吸い、唇をぐっと引き締めた後、美しい眉間には更に力が籠っていた。

(思い出してくれた?)


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