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あの日のように……
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ジョージの言っていたカトリック教会が丘の向こうから見えてきた。
雷亜は教会の屋根にある十字架に向かって祈った。
どうかシャノンにもしもの事がありませんように──。
全ては雷亜の思い違いでありますように──。
シャノンは父とは違う。
何もかも全部、雷亜の妄想で、雷亜の取り越し苦労で終わりますように──。
そう祈りながら長い坂道を登った。
最初は緩やかな傾斜だったけれど、途中から急に角度が増し、ペダルにかかる重みがかなりきつかった。それでも雷亜はスピードを落とさず必死に登った。もしもの事があったなら、こんな重みは大したことではない。
遂に坂を登りきると、しっかりとした鉄門に遮られた大きな屋敷が前方にあらわれた。
雷亜は門の前まで自転車を走らせると、その場に投げ捨てた。
インターフォンを連打したが、応答は一切ない。
門の高さはざっと2メートル。これだけの家なら防犯装置が作動する可能性もあるが、雷亜は躊躇わずに門をよじ登った。
中に進入すると芝生の上を一直線に走り、玄関に手をかける。勿論、鍵は閉まっていた。
雷亜は家の周囲をぐるりと廻ってみた。すると二階の窓が一ヶ所だけ開いていて、カーテンがふわふわと顔を覗かせていた。
雷亜の胸中はいよいよ不安が拡大していく。焦る気持ちに駆られ、雷亜は玄関ポーチの屋根に登り、開いている窓に飛び付いた。
かろうじて右手を窓枠に引っかけ、渾身の力で引き上げながらもう片方の手をかける。
手に変な汗をかいてきたが、自分の身体を強く引き寄せ、窓枠に足をかけた。
何とか二階の窓から進入できた。
入った部屋はジム並のトレーニングルームだった。
雷亜は慎重に周囲を見回し、足を進める。
人の気配は全くない。
トレーニング・ルームを抜け、雷亜は二階を隈無く確認してみたが、どの部屋もひどく殺風景だった。
女子生徒が言っていた通り、この家には家族と住んでいる気配すらない。
雷亜は階下に降りてみた。
階段はリビングと直結していて、方々が見渡せた。片付けられていた二階とは違い、一階は少々荒れていた。
玄関に置かれていたのであろう大きな壺のような花瓶は倒され、パンパスグラスの穂先が派手に散っている。
コート掛けも倒され、シャノンが着ていたはずのレザージャケットが床に落ちていた。
リビングの奥には地続きのキッチンがあり、雷亜がそちらに向かうと、ガリッと小石のようなものを踏んだ。
何かと思って床を見てみると、錠剤が所々、落ちていた。
しかも量が半端じゃない。
雷亜は慌ててソファーの裏やテーブルの下まで覗きこんでシャノンの姿を探した。
床に落ちている薬がなんなのか分からないが、嫌な予感しかしない。
雷亜は焦る心を抑えてキッチンに向かった。
そこにもシャノンの姿はなかった。
雷亜は教会の屋根にある十字架に向かって祈った。
どうかシャノンにもしもの事がありませんように──。
全ては雷亜の思い違いでありますように──。
シャノンは父とは違う。
何もかも全部、雷亜の妄想で、雷亜の取り越し苦労で終わりますように──。
そう祈りながら長い坂道を登った。
最初は緩やかな傾斜だったけれど、途中から急に角度が増し、ペダルにかかる重みがかなりきつかった。それでも雷亜はスピードを落とさず必死に登った。もしもの事があったなら、こんな重みは大したことではない。
遂に坂を登りきると、しっかりとした鉄門に遮られた大きな屋敷が前方にあらわれた。
雷亜は門の前まで自転車を走らせると、その場に投げ捨てた。
インターフォンを連打したが、応答は一切ない。
門の高さはざっと2メートル。これだけの家なら防犯装置が作動する可能性もあるが、雷亜は躊躇わずに門をよじ登った。
中に進入すると芝生の上を一直線に走り、玄関に手をかける。勿論、鍵は閉まっていた。
雷亜は家の周囲をぐるりと廻ってみた。すると二階の窓が一ヶ所だけ開いていて、カーテンがふわふわと顔を覗かせていた。
雷亜の胸中はいよいよ不安が拡大していく。焦る気持ちに駆られ、雷亜は玄関ポーチの屋根に登り、開いている窓に飛び付いた。
かろうじて右手を窓枠に引っかけ、渾身の力で引き上げながらもう片方の手をかける。
手に変な汗をかいてきたが、自分の身体を強く引き寄せ、窓枠に足をかけた。
何とか二階の窓から進入できた。
入った部屋はジム並のトレーニングルームだった。
雷亜は慎重に周囲を見回し、足を進める。
人の気配は全くない。
トレーニング・ルームを抜け、雷亜は二階を隈無く確認してみたが、どの部屋もひどく殺風景だった。
女子生徒が言っていた通り、この家には家族と住んでいる気配すらない。
雷亜は階下に降りてみた。
階段はリビングと直結していて、方々が見渡せた。片付けられていた二階とは違い、一階は少々荒れていた。
玄関に置かれていたのであろう大きな壺のような花瓶は倒され、パンパスグラスの穂先が派手に散っている。
コート掛けも倒され、シャノンが着ていたはずのレザージャケットが床に落ちていた。
リビングの奥には地続きのキッチンがあり、雷亜がそちらに向かうと、ガリッと小石のようなものを踏んだ。
何かと思って床を見てみると、錠剤が所々、落ちていた。
しかも量が半端じゃない。
雷亜は慌ててソファーの裏やテーブルの下まで覗きこんでシャノンの姿を探した。
床に落ちている薬がなんなのか分からないが、嫌な予感しかしない。
雷亜は焦る心を抑えてキッチンに向かった。
そこにもシャノンの姿はなかった。
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