Broken Arrows

蓮華空

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あの日のように……

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「あの時は……本当にすまなかった……。どうしたって、俺は馬鹿だから……礼をしようと思っても……、思うように身体が動かなくて……、全く逆の……酷い事を……してしまった……本当は……本当は……あんな事……するつもりじゃ……」

 ぎゅっと、すがり付くようにシャノンの腕が雷亜の腰をきつく抱いた。

「橋からお前が落ちていくのを見て、肝が冷えた。自分のした事を……その時、初めて振り返った……。6年前と同じように……お前を危険な目に遭わせた。慌てて車に戻り、お前を探しに高速道路を走った。……でも、見つからなくて……どうしても……見つからなくて……」

 シャノンの身体が小刻みに震えていた。

 要するに彼はいつでも本意ではない行動を取ってしまって、後悔しているということなのだろう。
 父と同じ双極性障害だとしたらありえる話だ。気付いたときには、破壊的な状態に事態は進行して、言い様のない後悔に襲われるのだ。

「大丈夫。俺はここにいるよ。俺はそう簡単に居なくならない──約束する。俺はシャノンの側に居るから!」

 雷亜もしっかりとシャノンの身体を抱きしめた。

 シャノンの奥底にある本心では、雷亜の事を気にかけてくれていた。それだけで6年前に取った雷亜の行動は無駄ではなかった。そう思えた。

「大丈夫……大丈夫だよ。俺が側にいるから、なにも心配しなくて大丈夫だよ」

 6年前──。浜辺でシャノンを抱き締めた時と同じように、シャノンの背中をさすってやった。そして、言うなと言われていたけど、どうしても6年前と同じあの言葉が言いたくなって、自然と口についた。

 すると、シャノンは顔を上げ、眼を大きく見開いて、雷亜の顔を見つめた。

「I  love  you ──」

 雷亜はもう一度口にした。

 そして、こちらをじっと見つめるシャノンの頬を両手で包んだ。

 驚くように見開かれた紫水晶の瞳は、やはり宝石のような煌めきで雷亜を魅了した。

「良かった……。君が生きていてくれて──、本当に……良かった──」

 雷亜の瞳からは涙が一筋溢れた。



 この一言が言える喜び。

 父や母には、叶わなかった一言。

 この一言が言えた。

 今はそれだけが嬉しかった。

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