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方舟
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「──そうか……」
と、一言だけ口にし、またぎゅっと抱き締めてくれた。
そのきつく抱き締める圧力に押され、涙と嗚咽が滝のように溢れだし、シャノンの服を濡らした。
「俺は……俺は……、みんなを幸せにしたかった……みんなの苦しみを取り除きたかった!それだけだったんだ!それだけだったのに、俺のやることはどうしても裏目に出てしまう!」
「それはお前のせいじゃないだろ。俺も含め、お前の周りにいた奴がバカだっただけだ。お前がそのつもりでやったならそれは間違いじゃない。全ては相手がバカだから悪いんだ。
面倒臭いけど、バカを相手にするには言葉にしろ行動にしろ、タイミングが重要なんだ。タイミングがズレたらバカは気付かないし、分からない。何しろバカだからな……それだけのことだ。お前は悪くない」
「でも……でも……それで、父さんは死んでしまった。ひょっとしたら、母さんも俺のせいだったかもしれない……」
「そんな訳ねえよ。そいつらにはそいつらなりの葛藤があったんだろ。その葛藤にお前を巻き込みたくなかったんじゃねえの。──親としてさ。それも愛情だと思えばいい」
雷亜は顔を上げ、シャノンを見つめた。
紫の瞳は春のラベンダー畑のように穏やかで優しかった。
「なんだよ、その顔?俺がこんな事を言うのがそんなに変か?」
「い、いや……そういう事じゃなくて……巻き込ませたくない、なんて……それも親の愛情だったなんて、思いもしなかったから……」
「ああ……、何となく……だけどな」
一瞬だけ逡巡したような暗いトーンの声音が気になって、シャノンの横顔をじっと見つめたが、冷厳な紫の瞳からは何一つ読み取れなかった。
「漸くお前が分かったよ。
お前は誰かが苦しんでいると、何とかして助けてやりたいって思っちゃうんだな」
「う、うん」
「でも、それ、俺から言わせると余計なお世話だから。お前になんか憐れまれたくねえ。だから、てめえはてめえの幸せだけ考えてろ!」
「──え?!」
鳩が豆鉄砲を食らったような衝撃を感じ、雷亜は目をしばたたいた。
「他人の幸せを願うなら、自分の幸せを先に考えろ。嘘か本当か知らねえけど、その方が人を幸せにする近道だって何かで聞いたことがあるぞ。人の心配ばっかりするお前にはそっちの方がいいんじゃねえの?」
「そ、そう……なの……かな?」
「今までのやり方で駄目だったのなら、方法を変えろよ。他人のために一生懸命になれるのなら、自分のためにも一生懸命になれるだろ?」
雷亜はぽかんと口を開けた。
と、一言だけ口にし、またぎゅっと抱き締めてくれた。
そのきつく抱き締める圧力に押され、涙と嗚咽が滝のように溢れだし、シャノンの服を濡らした。
「俺は……俺は……、みんなを幸せにしたかった……みんなの苦しみを取り除きたかった!それだけだったんだ!それだけだったのに、俺のやることはどうしても裏目に出てしまう!」
「それはお前のせいじゃないだろ。俺も含め、お前の周りにいた奴がバカだっただけだ。お前がそのつもりでやったならそれは間違いじゃない。全ては相手がバカだから悪いんだ。
面倒臭いけど、バカを相手にするには言葉にしろ行動にしろ、タイミングが重要なんだ。タイミングがズレたらバカは気付かないし、分からない。何しろバカだからな……それだけのことだ。お前は悪くない」
「でも……でも……それで、父さんは死んでしまった。ひょっとしたら、母さんも俺のせいだったかもしれない……」
「そんな訳ねえよ。そいつらにはそいつらなりの葛藤があったんだろ。その葛藤にお前を巻き込みたくなかったんじゃねえの。──親としてさ。それも愛情だと思えばいい」
雷亜は顔を上げ、シャノンを見つめた。
紫の瞳は春のラベンダー畑のように穏やかで優しかった。
「なんだよ、その顔?俺がこんな事を言うのがそんなに変か?」
「い、いや……そういう事じゃなくて……巻き込ませたくない、なんて……それも親の愛情だったなんて、思いもしなかったから……」
「ああ……、何となく……だけどな」
一瞬だけ逡巡したような暗いトーンの声音が気になって、シャノンの横顔をじっと見つめたが、冷厳な紫の瞳からは何一つ読み取れなかった。
「漸くお前が分かったよ。
お前は誰かが苦しんでいると、何とかして助けてやりたいって思っちゃうんだな」
「う、うん」
「でも、それ、俺から言わせると余計なお世話だから。お前になんか憐れまれたくねえ。だから、てめえはてめえの幸せだけ考えてろ!」
「──え?!」
鳩が豆鉄砲を食らったような衝撃を感じ、雷亜は目をしばたたいた。
「他人の幸せを願うなら、自分の幸せを先に考えろ。嘘か本当か知らねえけど、その方が人を幸せにする近道だって何かで聞いたことがあるぞ。人の心配ばっかりするお前にはそっちの方がいいんじゃねえの?」
「そ、そう……なの……かな?」
「今までのやり方で駄目だったのなら、方法を変えろよ。他人のために一生懸命になれるのなら、自分のためにも一生懸命になれるだろ?」
雷亜はぽかんと口を開けた。
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