Broken Arrows

蓮華空

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達也の執着

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「おー!シャノン!!どこに行くんだ?」

 周囲を5、6人の取り巻きに囲まれていたシャノンは、同じく3人の後輩を引き連れて声をかけてきたジョージに目をやった。

「もう家に帰る」

 仏頂面で答えると、ジョージを肩を竦めた。

「マジで?!あの馬鹿猿と雷亜のライブを観ていかないのか?俺はこれから野次でも飛ばして、ライブをめちゃくちゃにしてやろうかと思ってるんだけど、きっと面白くなるから、シャノンも観に行こうぜ!」

「嫌だね。あいつ、俺が行くと人が増えるから嫌だって言ってたし。そもそも俺はあいつのやることになんか興味ないから、帰って映画でも観てた方がましだ」

「うえー!そう言わずにさあ、ちょっとだけ観に行こうぜ!野次を飛ばされて、あたふたするあいつを観るのも面白いだろ?なあ?」

 そう言ってジョージは横にいた後輩に同意を求めた。

「ええ。きっとそれだけじゃなくとも今日は面白い事が起きると思います!おれ、従兄弟から聞いたんですけど、隣のバーモント高校から札付きの悪が5人と、バーモント校の野獣と呼ばれているゲテモノ食いのトム・サラヤンが日本人のあいつを食いにやって来るって聞きました!」

「──は?!」

 辺りが一瞬、凍るように寒くなる。

「どういうことだ?何故、トム・サラヤンが雷亜を?」

 シャノンが声を低くして訊ねる。眉間には怒りを示す皺がじりじりと深く刻まれていった。

 その様相に気圧された後輩は身を縮こませて言った。

「いえ、あの……。ど、どうやらあの日本人……。かなりの好き者だって話で……、何故かバーモント校の間で、あいつのア〇ニー写真が出回ってきてて、それを見たトム・サラヤンがあいつに興味を持ったみたいで……」

「雷亜のア〇ニー写真?!はっ!どうせ合成だろ?」

 ジョージが笑いながら訊ねると、後輩は頷いた。

「まあ、みんなそうだと思ってますけどね。でも、合成とかそんなのはトム・サラヤンにとってはどうでもいいんですよ。要は面白いネタを見付けては、それで遊べるか遊べないかなだけですからね」

「ふーん。それにしたって、何で雷亜の写真が隣のバーモント高校で出回るんだ?どんな写真なんだ?」

 ジョージが疑問を溢すと、後輩は自分のスマホを取り出し、見てみますか?と言った。

「俺の従兄弟がバーモント高校なんで、そいつからマジでこんな変態日本人がそっちに居るのか?って写真を回されたんだ」

 そう言って後輩はスマホをいじり出すと、コレコレ!と言って、ジョージとシャノンに差し出した。

 そして、シャノンの顔色が一瞬にして青くなる。

「うわ!マジかこれ!?合成にしたって趣味悪ぃなあ~。ケツに瓶を突っ込んで自分でしごいてるのかよ!よくぞこんなコラ画像見付けてきたなあ~」

 感心するジョージの声をシャノンは遠くで聞いた。

 これはコラ画像でも何でもなかった。シャノンが自分の過去を隠すために、雷亜を脅す目的でシャノンが撮った紛れもない雷亜の痴態写真だった。

 でも、何故──?

 誰にも見せたこともない。シャノンのスマホにのみ隠されていた筈の画像がバーモント校で出回ったのか?

 シャノンは頭を巡らせた。スマホのセキュリティは万全にしてある筈だ。それなのに漏洩している。しかも、シャノン自身を貶めるようなものが出回ったのではなく、わざわざ雷亜の写真だけというのがおかしい。

『……用心して。俺も気を付けるけど、シャノンも決して達也を見くびらないで……』

 そう言った雷亜の声がシャノンの脳裏に甦った。

 ──達也!!あいつか?!

 でも、一体いつ?

 そういえば、スマホを雷亜の家で見ていた時、無造作にテーブルに置いたまま俺はその場を外したような気がする。その時か?

 ──達也の奴……。

 シャノンの中で怒りが爆発した。

「おい、お前!トム・サラヤンはもううちの学校に来てるっていうのか?!奴は何をしようとしている?!」

 シャノンは後輩の襟首を鷲掴みにし、怒鳴った。

 突然シャノンがキレるものだから、後輩は驚き、身を縮こませて、「え?あ、よく分からないけど、犯してやるとかなんとか……って聞いた」と、唇を震わせながら言った。

「マジかよ……」

 ジョージが嫌そうに顔をしかめた。

「ジョージ!お前は兎も角、トム・サラヤンより早く雷亜を拉致しろ!そして、奴らから隠し通せ!」

「OK!」

 ジョージが返事をして走り出すと、シャノンはジョージとは逆の方向へ走り出した。

「おい!シャノン!!お前は何処に行く気だよ?!」

「その写真をばら蒔いた犯人を探す!」

「ええ!心当たりあるのかよ?」

 ジョージが声を張り上げ、訊ねるが、シャノンは一切返事もせず、廊下を瞬く間に走り去った。

「なんだ?あいつ……。闇雲に探すより、サラヤン達が来たら、直接奴らから聞けばいいだろうに……。何をそんなに慌ててんだ?」

 ジョージと後輩達はその場に立ち尽くし、しばし首を捻っていたが、やがて、こんなことをしている場合ではないと、雷亜と宇辰が歌うステージへと急いだ。













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