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達也の執着
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極彩色のライトは、下で踊る男女を色彩り取りに照らしていた。
会場全体に響き渡る重低音は、そこにいる者達の胸を熱くさせ、内面に滞っていた本性を剥き出しにさせていくようだった。
いつもより大胆にカットされたドレスを着て、危うげに踊る女も居れば、いつもより強引に迫る男も居た。
ジョージはその中で、一人一人に訊ねた歩いた。
「おい!バーモント校の奴らを見なかったか?」
派手な化粧をした尻軽そうな女に声をかけている黒髪の男に話しかけた。
「さあ、俺は見なかったけど」
今度は訊いてもいないのに、尻軽女が勝手に話し始める。
「さっき、トイレを出たときに、あたしナンパされちゃったー。でも、断ってやったわ。だから、そのあと何処に行ったか知らなーい」
自慢げに話す女をジョージは無視し、その隣を通りかかった、眼鏡のIT野郎に話しかけた。
「ああ、奴等ならステージの前方でチラリと見たぜ。ほら、あそこ!トム・サラヤンのスキンヘッドが見えるだろ」
IT野郎がステージ前方に居るハゲを指をさした。山のようにデカイ身体だ。しかし、ブヨブヨとしている訳ではなく、Tシャツからはみ出た僧帽筋はアメフト部のディフェンス連中よりも発達していた。
「OK!ありがとよ」
ジョージが礼を行って前方へ行こうとすると、IT野郎が止めた。
「悪いことは言わない。あんな奴らに関わらない方がいいぞ。何か悪巧みをしている話をちょっと聞いちまったんだ。だから、近付くと、きっととばっちりを食うぞ」
ジョージは足を止めた。
「悪巧みって、何を聞いた?」
「薬を誰かに盛ったらしい。先ずは気分を高揚させて警戒心を解き、警戒心が解けたところでまた薬を盛って犯すとか言ってたぜ。やベーよ、奴等……」
ジョージはステージ上の雷亜を見た。確かにいつもと様子が変だ。雷亜という奴は、盛り上げなきゃいけない場面でも、盛り下げる天才のはずだ。それが今夜はかなりハイテンションで踊りまくっている。
「こいつは確かに盛られてるなあ……」
「え?誰が薬を盛られたのか知っているのか?」
IT野郎が驚く。
「ああ、一目瞭然だ。つまり、ハゲが次の薬を盛るより早く、あいつをこっちで回収しなくちゃなんねぇんだな。OK!ありがとよ!」
「あ、ああ……」
ジョージはIT野郎と別れて、後輩を連れ、バックステージへと向かった。
バックステージに向かう途中、ジョージは達也に会った。
「おう!達也、こんなところに一人でどうしたんだ?」
達也は目にかかりそうなストレートの髪を退かして、にっこりと笑ってみせた。
「いや、別に。雷亜が終わって帰って来たら、これを渡そうと思って待っているだけさ」
達也は手にしたドリンクを掲げてみせた。
「渡すのはいいけどよー。そのドリンク、ちゃんと店で買ってきたものか?誰かに渡されたもんじゃねーよなぁ」
「え?あ、ああ……」
訳が分からないといった風に、達也は戸惑いながら返事をした。
ジョージはそんな様子の達也をじっと見て念を押した。
「本当にお前が店でちゃんと買ってきたものか?ここ、はっきりさせとかないと、お前もヤバイぞ」
ジョージの迫力に押され、達也は生唾を飲み込んだ。
「……実は……ある奴等から、雷亜に一杯奢りたいと言われ持たされたんだ」
「ふーん。そうか。じゃあ、それ、俺に寄越せ」
「え?」
ジョージは達也からドリンクを奪い、それを後輩に差し出した。
「お前、試しに飲んでみろ!」
「ほえ?!俺がッスかぁ!!嫌っッスよ!!」
「あのIT野郎が言っていたことが本当かどうか確認するんだよ!大丈夫だよ、死にやしねぇよ!どうせ眠くなるか、エロくなるかのどっちかだろう」
「ええ!でも、嫌ッスよ!!」
「大丈夫だ!お前がどうなっても俺が面倒をみてやるよ!」
ジョージがそう言うと、もう一人の後輩が「本当ですかぁ!!」と声を上げた。
「じゃあ、俺が飲みますッ!!」
「「は?」」
ジョージともう一人の後輩が唖然として、もう一人を見る。
「ジョージさんが後で面倒をみてくれるっていうのなら、俺……いいです!喜んで飲みます!!」
そう言って、鼻息を荒くした後輩は、ジョージの持っているドリンクに手を伸ばしたが、ジョージはさっとそれを隠した。
「ちょっと待て!!喜んで飲むって……気持ちの悪い奴だなぁ、言っておくが眠った場合はちゃんと家まで送り届けるけど、エロくなったら自分で処理しろよ!その場合、俺は何もしねぇぞ!!」
「そんなご無体な……。では、せめて、その様子をじっくりと見守ってて下さい!!」
後輩はジョージからドリンクを奪い、飲もうとした。
「ああー!ちょっと待て!!やっぱりお前が飲め!!」
ジョージがまたそいつからドリンクをかっさらい、もう一人の後輩に差し出す。
「うぇー!!俺は嫌ッスよ!!」
「いいから、お前が飲め!!立派に毒味を果たせるのはお前しかいない!!こいつじゃ駄目だ!」
滅茶苦茶な事を後輩に向かって言い、ジョージは無理矢理飲ませようと奮闘した。
「いやー!やめてー!」と、「俺が飲みます!!」と、言う、ハチャメチャなジョージ達のやり取りを眺めながら、達也は密かに舌打ちした。
一体、誰がこの計画に気付いたのか?
しかし、ジョージはまだこの計画の首謀者が誰だか解っていない様子だった。ならば、ここで自分への疑いをもっとかからないように振る舞った方が得策だ。
達也は徐に、彼らからドリンクを奪うと「俺が飲んでみるよ」と、言った。
「さっきから見てると、これに何か盛られたかもしれないってんだね。俺が渡されたんだから俺が責任を持って飲んでみるよ。だったらいいでしょ」
ジョージは達也に向き直り、眉根を寄せた。
「まあ、達也でも構わんが、そもそもお前は誰からこれを受け取ったんだ?」
「さあ、知らない奴だったけど、確かにちょっと派手めで怖そうな奴等だったな」
「そこにでかいハゲも居たか?」
「うん、居た。どうして解るの?」
「まあ、いいから、飲んでみろよ」
「うん」
そう言って、ドリンクの縁に口を付けようとした瞬間、自分が飲むと言い張った後輩にドリンクを奪われた。
そして、皆が「あ!」と言っている間に、全てを飲み干した。
極彩色のライトは、下で踊る男女を色彩り取りに照らしていた。
会場全体に響き渡る重低音は、そこにいる者達の胸を熱くさせ、内面に滞っていた本性を剥き出しにさせていくようだった。
いつもより大胆にカットされたドレスを着て、危うげに踊る女も居れば、いつもより強引に迫る男も居た。
ジョージはその中で、一人一人に訊ねた歩いた。
「おい!バーモント校の奴らを見なかったか?」
派手な化粧をした尻軽そうな女に声をかけている黒髪の男に話しかけた。
「さあ、俺は見なかったけど」
今度は訊いてもいないのに、尻軽女が勝手に話し始める。
「さっき、トイレを出たときに、あたしナンパされちゃったー。でも、断ってやったわ。だから、そのあと何処に行ったか知らなーい」
自慢げに話す女をジョージは無視し、その隣を通りかかった、眼鏡のIT野郎に話しかけた。
「ああ、奴等ならステージの前方でチラリと見たぜ。ほら、あそこ!トム・サラヤンのスキンヘッドが見えるだろ」
IT野郎がステージ前方に居るハゲを指をさした。山のようにデカイ身体だ。しかし、ブヨブヨとしている訳ではなく、Tシャツからはみ出た僧帽筋はアメフト部のディフェンス連中よりも発達していた。
「OK!ありがとよ」
ジョージが礼を行って前方へ行こうとすると、IT野郎が止めた。
「悪いことは言わない。あんな奴らに関わらない方がいいぞ。何か悪巧みをしている話をちょっと聞いちまったんだ。だから、近付くと、きっととばっちりを食うぞ」
ジョージは足を止めた。
「悪巧みって、何を聞いた?」
「薬を誰かに盛ったらしい。先ずは気分を高揚させて警戒心を解き、警戒心が解けたところでまた薬を盛って犯すとか言ってたぜ。やベーよ、奴等……」
ジョージはステージ上の雷亜を見た。確かにいつもと様子が変だ。雷亜という奴は、盛り上げなきゃいけない場面でも、盛り下げる天才のはずだ。それが今夜はかなりハイテンションで踊りまくっている。
「こいつは確かに盛られてるなあ……」
「え?誰が薬を盛られたのか知っているのか?」
IT野郎が驚く。
「ああ、一目瞭然だ。つまり、ハゲが次の薬を盛るより早く、あいつをこっちで回収しなくちゃなんねぇんだな。OK!ありがとよ!」
「あ、ああ……」
ジョージはIT野郎と別れて、後輩を連れ、バックステージへと向かった。
バックステージに向かう途中、ジョージは達也に会った。
「おう!達也、こんなところに一人でどうしたんだ?」
達也は目にかかりそうなストレートの髪を退かして、にっこりと笑ってみせた。
「いや、別に。雷亜が終わって帰って来たら、これを渡そうと思って待っているだけさ」
達也は手にしたドリンクを掲げてみせた。
「渡すのはいいけどよー。そのドリンク、ちゃんと店で買ってきたものか?誰かに渡されたもんじゃねーよなぁ」
「え?あ、ああ……」
訳が分からないといった風に、達也は戸惑いながら返事をした。
ジョージはそんな様子の達也をじっと見て念を押した。
「本当にお前が店でちゃんと買ってきたものか?ここ、はっきりさせとかないと、お前もヤバイぞ」
ジョージの迫力に押され、達也は生唾を飲み込んだ。
「……実は……ある奴等から、雷亜に一杯奢りたいと言われ持たされたんだ」
「ふーん。そうか。じゃあ、それ、俺に寄越せ」
「え?」
ジョージは達也からドリンクを奪い、それを後輩に差し出した。
「お前、試しに飲んでみろ!」
「ほえ?!俺がッスかぁ!!嫌っッスよ!!」
「あのIT野郎が言っていたことが本当かどうか確認するんだよ!大丈夫だよ、死にやしねぇよ!どうせ眠くなるか、エロくなるかのどっちかだろう」
「ええ!でも、嫌ッスよ!!」
「大丈夫だ!お前がどうなっても俺が面倒をみてやるよ!」
ジョージがそう言うと、もう一人の後輩が「本当ですかぁ!!」と声を上げた。
「じゃあ、俺が飲みますッ!!」
「「は?」」
ジョージともう一人の後輩が唖然として、もう一人を見る。
「ジョージさんが後で面倒をみてくれるっていうのなら、俺……いいです!喜んで飲みます!!」
そう言って、鼻息を荒くした後輩は、ジョージの持っているドリンクに手を伸ばしたが、ジョージはさっとそれを隠した。
「ちょっと待て!!喜んで飲むって……気持ちの悪い奴だなぁ、言っておくが眠った場合はちゃんと家まで送り届けるけど、エロくなったら自分で処理しろよ!その場合、俺は何もしねぇぞ!!」
「そんなご無体な……。では、せめて、その様子をじっくりと見守ってて下さい!!」
後輩はジョージからドリンクを奪い、飲もうとした。
「ああー!ちょっと待て!!やっぱりお前が飲め!!」
ジョージがまたそいつからドリンクをかっさらい、もう一人の後輩に差し出す。
「うぇー!!俺は嫌ッスよ!!」
「いいから、お前が飲め!!立派に毒味を果たせるのはお前しかいない!!こいつじゃ駄目だ!」
滅茶苦茶な事を後輩に向かって言い、ジョージは無理矢理飲ませようと奮闘した。
「いやー!やめてー!」と、「俺が飲みます!!」と、言う、ハチャメチャなジョージ達のやり取りを眺めながら、達也は密かに舌打ちした。
一体、誰がこの計画に気付いたのか?
しかし、ジョージはまだこの計画の首謀者が誰だか解っていない様子だった。ならば、ここで自分への疑いをもっとかからないように振る舞った方が得策だ。
達也は徐に、彼らからドリンクを奪うと「俺が飲んでみるよ」と、言った。
「さっきから見てると、これに何か盛られたかもしれないってんだね。俺が渡されたんだから俺が責任を持って飲んでみるよ。だったらいいでしょ」
ジョージは達也に向き直り、眉根を寄せた。
「まあ、達也でも構わんが、そもそもお前は誰からこれを受け取ったんだ?」
「さあ、知らない奴だったけど、確かにちょっと派手めで怖そうな奴等だったな」
「そこにでかいハゲも居たか?」
「うん、居た。どうして解るの?」
「まあ、いいから、飲んでみろよ」
「うん」
そう言って、ドリンクの縁に口を付けようとした瞬間、自分が飲むと言い張った後輩にドリンクを奪われた。
そして、皆が「あ!」と言っている間に、全てを飲み干した。
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