105 / 107
混乱
104
しおりを挟む
「俺が……日本へ?」
雷亜は頷いた。
「初めて会った時のように、一緒に日本中を歩き回るんだ!そして、気に入った場所を見付けたら、そこに住んで、俺は、焼き鳥屋をやりたい!!」
「やきとりや?」
キョトンとするシャノンに、雷亜は頷いてみせた。
「そう!焼き鳥!!前に、シャノンが美味しそうに食べてたやつ。ネギは食べれなかったけど」
そう言って、笑うと、シャノンも思い出したようで、「ああ、あれか!」と言って瞳の輝きが戻ってきた。
「思い出した?」
「ああ」
「あの時の僕らって、一番自由だったよね。お互い、心に傷を負って、自分の居場所を見付けられなくて苦しんでた。でも、それは、いつもの場所に、何とかして戻らなくちゃと、思っていたからだ。居場所がないところで、居場所を得ようとして必死だった。でも、一歩、そこから出て、シャノンと一緒に生きようとした時、俺はすごく心が軽くなった。だから、また、そうやって、心が軽く、明るくなる方向へ行きたいと思う。勉強して、大学に行って、良いところに勤めて、それなりの給料で、それなりに生きるって考えるより、俺は行きたい所へ行って、やりたいことを自由にやってみたい!海や山の自然の空気を吸って、この身体が、細胞ひとつひとつが、喜ぶことをするんだ!それを、一緒にやってみないか?」
どうするかは勿論シャノンの自由だ。けれども雷亜はシャノンに来て欲しかった。あらゆる柵《しがらみ》を捨てて、二人だけで逃げた。幼い日の、あの頃の時間に、自分達が自分らしく生きるためのヒントがあったように思える。あの時を、もう一度再確認出来たら、シャノンの内部に蟠った、雷亜に対する罪悪感や、両親に対する想いも変化してくるのではないか?雷亜はそれに賭けてみたかった。
「どう?シャノン?」
雷亜が問いかけると、今度は弛く微笑んで、「それも悪くない」と、言ってくれた。
「確かに、あの時の俺とお前は、全く言葉が通じなかったけど、一緒に居て、すごく心地よかった。まあ、幼かったせいか、時折、俺の方が情緒不安定でおかしな行動をしたけど、お前の言う通りさ。元の居場所に戻らなきゃならないという想いと、戻っても居場所なんかないという不安に苛まれていた。だから、そうだな。日本へ行ってみるのもいいかもしれない」
雷亜は頷いた。
「初めて会った時のように、一緒に日本中を歩き回るんだ!そして、気に入った場所を見付けたら、そこに住んで、俺は、焼き鳥屋をやりたい!!」
「やきとりや?」
キョトンとするシャノンに、雷亜は頷いてみせた。
「そう!焼き鳥!!前に、シャノンが美味しそうに食べてたやつ。ネギは食べれなかったけど」
そう言って、笑うと、シャノンも思い出したようで、「ああ、あれか!」と言って瞳の輝きが戻ってきた。
「思い出した?」
「ああ」
「あの時の僕らって、一番自由だったよね。お互い、心に傷を負って、自分の居場所を見付けられなくて苦しんでた。でも、それは、いつもの場所に、何とかして戻らなくちゃと、思っていたからだ。居場所がないところで、居場所を得ようとして必死だった。でも、一歩、そこから出て、シャノンと一緒に生きようとした時、俺はすごく心が軽くなった。だから、また、そうやって、心が軽く、明るくなる方向へ行きたいと思う。勉強して、大学に行って、良いところに勤めて、それなりの給料で、それなりに生きるって考えるより、俺は行きたい所へ行って、やりたいことを自由にやってみたい!海や山の自然の空気を吸って、この身体が、細胞ひとつひとつが、喜ぶことをするんだ!それを、一緒にやってみないか?」
どうするかは勿論シャノンの自由だ。けれども雷亜はシャノンに来て欲しかった。あらゆる柵《しがらみ》を捨てて、二人だけで逃げた。幼い日の、あの頃の時間に、自分達が自分らしく生きるためのヒントがあったように思える。あの時を、もう一度再確認出来たら、シャノンの内部に蟠った、雷亜に対する罪悪感や、両親に対する想いも変化してくるのではないか?雷亜はそれに賭けてみたかった。
「どう?シャノン?」
雷亜が問いかけると、今度は弛く微笑んで、「それも悪くない」と、言ってくれた。
「確かに、あの時の俺とお前は、全く言葉が通じなかったけど、一緒に居て、すごく心地よかった。まあ、幼かったせいか、時折、俺の方が情緒不安定でおかしな行動をしたけど、お前の言う通りさ。元の居場所に戻らなきゃならないという想いと、戻っても居場所なんかないという不安に苛まれていた。だから、そうだな。日本へ行ってみるのもいいかもしれない」
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
あなたの隣で初めての恋を知る
彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる