jkたち、trpg風な異世界を大冒険する

丸々 かずきち

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1章 〜我ら初心者冒険者〜

6話

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 静寂なグリーンロッドを歩き続けること30分。4人は気が抜けた空気感でいた。

「なんか、もっとロマンチックなものかと思ってたなー、ファンタジーって」

 水無月は文句を垂れながら、過ぎ去っていく木々をハンマーで殴り、凹ませていた。

「あの……なんでそんなこと……」

 浦星は心配そうな表情をする。

「え? これ、羽美っちに言われてやってるの。来た道を忘れないようにするための印」

「なるほど……」

 そんなに大げさな印をつけなくてもいいんじゃ、と浦星は言おうとしたがそこで喋るのをやめる。その時にあった表情の歪みを、水無月は見逃さなかった。

 しばらく歩き続け、宮野は欠伸の途中で何かの音を聞く。木々に何かが擦れる音だ。

「おいみんな」

 会長の低い声を聞き、他の3人は真剣な表情になる。

「木々の間をなにかが通ってくる。それもいっぱいいる」

 水無月と宮野が前後に着き、中心に羽美と浦星が並んでフォーメーションを作る。

「ウキャァ!!」

 そんな鳴き声がして、10を超える数のヒヒが現れる。

「う、猿か……」

 宮野は顔を歪める。

「会長、嫌いなの?」

 羽美が尋ねると、宮野は頷く。

「ゴリラは平気なんだ。けど、猿は無理……下品で敵わない」

「まあ、類人猿のよしみだから大目に見てあげて」

 そして4匹ものヒヒが宮野に襲いかかる。ヒヒの噛みつき攻撃は、宮野のアーマーには通らずに弾かれた。

「はっは! なんだこの万能感! 貴様らの攻撃では私は傷つかぬ!」

 そう言いながら、宮野はスピアでヒヒたちを薙ぎ払う。一撃でヒヒたちは絶命していく。その光景は、命のやり取りとは無縁な日本の高校生にはショッキングなはずなのに、4人は大したリアクションもしなかった。思っても少し気持ち悪いと思うだけだった。

 とはいえ、そこに疑問を持っているのは羽美だけだった。

 羽美は浦星が魔法を撃ちたそうにしているのを見て、「2人ともしゃがんで!」と叫ぶ。水無月と宮野は言われた通りとっさにしゃがむ。

「マナ……ミサイルっ!」

 浦星が詠唱すると筒状のマナ(魔法を構成する粒子)が手のひらから3本飛んで1本づつヒヒに直撃する。

 直撃したマナは破裂していき、ヒヒたちを吹き飛ばしていく。

「でやぁぁぁ!!」

 そして水無月は勇ましく叫びながらウォーハンマーを振り回す。コントロールは悪いとはいえ、攻撃に直撃したヒヒはとてつもない高度まで吹き飛ばされる。

「キャキャァ!!」

 2匹のヒヒが木の影から飛び出し、鋭い歯を羽美の腕に突き立てる。

「くっ……!」

 羽美はヒヒを振り払った後、人差し指からマナ・ブラストを発射する。紫色の閃光はヒヒの体を突き抜けて、奥の木にまで直撃する。

「ふぅ、危なかった」

 羽美はホッと胸を撫で下ろす。 



 その後、ヒヒの血がかかった宮野、水無月は近くにある小川で体を洗い始める。ヒヒたちの死体からは悪臭が放たれているので、羽美と浦星はその場から離れた場所で休憩を始める。

「ふっふ……圧巻だな」

 羽美は宮野の裸体を眺めながらそう言う。

「羽美さん、おっさんみたい……」

 浦星は苦笑いをする。

 体を洗い終えた宮野と水無月は、装備を着て準備を終える。

「前回の反省を活かせたね」

 羽美はヒヒたちとの戦いを振り返る。

「そうだな。私も積極的に前に出ることができると分かったよ」

「うん! ハンマー振り回すのもストレス発散できるしね!」

 振り返り、と言うより感想会を終えた4人は水分補給などを済ませて旅を再開させる。羽美は戦った場所を見る。

「あれ……なにあれ」

 そう呟いて羽美はまた進み始める。

 羽美が見た景色。それはヒヒの死体から1つづつ赤い石のようなものが出ていた、というものだった。

 しばらく進んで羽美は仲間に見たものを打ち明ける。

「ヒヒの体内から赤い石があった。森の様子がおかしいかもしれない」

「羽美っちでも知らないものなの?」

 羽美は自分の記憶から知識を探し始めるが、それらしきものはなかった。

「知らない。けど、憶測で語るならあれは生き物を凶暴化させるもの。そもそもヒヒはあんなに好戦的じゃない」

「そうか。まあ、真実が分かるまでは用心しよう。依頼通り、狩人の集落に向かおうか」

「そうだね」

 今後の方針が決まったところで、4人はコンパスに従ってグリーンロッドを進む。

 夕方になるまで、羽美たちはアナグマの親子を見ただけで、それ以外何かあった訳でもない。ただひたすら森の中を迷わずに進むだけで、彼女たちの集中力と体力は削がれていった。

 日が暮れて、辺りがすっかり暗くなると羽美はそこら辺の枯れ木を集める。

「お、そろそろ休もうか?」

 宮野も羽美の行動に気付いたのか、荷物を置いて布を取り出したりと野宿の準備をする。

「やったー! 疲れたよぉ」

 水無月は地面の上で仰向けになる。

「こら。水無月も手伝え」

 宮野は地面に落ちていた、冷たい葉っぱを水無月の顔に乗せる。

「うぎゃぁ! びっくりした~」

 そんな2人の様子を横目に、浦星は街で購入した魚、野菜、ハーブを取り出す。

「羽美さん、私料理できますよ」

「そうなの? ふふ、浦星の手料理なんて、うまいに決まってる」

 羽美は邪な雰囲気をまとった笑みをする。

 こんな調子で、4人はキャンプの準備を終えた。テンションも落ち着き、4人は浦星が作った魚料理を食べながら焚き火を囲む。

「なんか、最初は不安だったけど楽しいな」

 水無月はそう言いながら魚を骨ごと平らげる。

「食事もバーバリアンみたいになってる……」

 羽美のその発言で他の3人は軽く笑う。

「だから、その……実は地球には帰りたくないかな」

 水無月がそう言い終わると、羽美たちは食事の手を止めた。
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