8 / 10
8
しおりを挟む
東の空から日が上る。
騎士のジャックは憂鬱な気持ちで石の階段を下りた。階段を下りれば下りるほど、陰湿な雰囲気が漂う。
この仕事もベテランと呼ばれるまでこなしたが、この日は何度経験しても嫌な気分になるな。
「おつかれさん」
牢獄の前で夜どうし見張りをしていた看守にジャックは声をかける。
「おつかれ様です、騎士様」
「囚人375番の様子はどうだ?」
「大人しくしてますよ」
「だろうな」
囚人が暴れた時の為に引き連れてきた若手の騎士達に剣を構えさせ、ジャックは牢獄の鍵穴に鍵を差し込んだ。
「なんだ? 昨夜の飯は食べなかったのか?」
チラリと手つかずのご飯に目をやり、囚人に話しかけたが、返事は返っては来ない。
いつものことである。
ベッドで寝ている囚人に近づき、肩を揺さぶる。
「起きろ」
まったく反応のない囚人にジャックは訝しく思い、もう1度「起きろ」と声をかけるが、ピクリとも動かない。囚人のほんのり温かい身体を仰向けにする。
囚人は幸せそうな微笑みを浮かべ……
死んでいた。
騎士のジャックは憂鬱な気持ちで石の階段を下りた。階段を下りれば下りるほど、陰湿な雰囲気が漂う。
この仕事もベテランと呼ばれるまでこなしたが、この日は何度経験しても嫌な気分になるな。
「おつかれさん」
牢獄の前で夜どうし見張りをしていた看守にジャックは声をかける。
「おつかれ様です、騎士様」
「囚人375番の様子はどうだ?」
「大人しくしてますよ」
「だろうな」
囚人が暴れた時の為に引き連れてきた若手の騎士達に剣を構えさせ、ジャックは牢獄の鍵穴に鍵を差し込んだ。
「なんだ? 昨夜の飯は食べなかったのか?」
チラリと手つかずのご飯に目をやり、囚人に話しかけたが、返事は返っては来ない。
いつものことである。
ベッドで寝ている囚人に近づき、肩を揺さぶる。
「起きろ」
まったく反応のない囚人にジャックは訝しく思い、もう1度「起きろ」と声をかけるが、ピクリとも動かない。囚人のほんのり温かい身体を仰向けにする。
囚人は幸せそうな微笑みを浮かべ……
死んでいた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる