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side テレーゼ
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しおりを挟む「おめでとうございます。テレーゼ様」
屋敷に戻り、使用人達が一斉に頭を下げた。
「みんな、ありがとう。あと一歩よ。頑張りましょう」
「そうだな。みんな、今まで、よく頑張ってくれた。もう少しだ。これからもよろしく頼む」
長兄のアレク兄様が使用人達に労いの言葉をかける。次兄のジャルジュ兄様、末兄のレイ兄様もホッとした顔をしていた。
婚約破棄を成立させたことは、ハイウォール家の悲願達成に大きく近づく出来事である。
やっと婚約から解放され、安堵した私は兄様に頭を下げた。
「今まで、私のせいで、お兄様達の悲願の邪魔をしてしまい、申し訳ございませんでした」
「テレーゼ、お前のせいではない。気に病むな」
ジャルジュ兄様が私の頭に手を置き、ポンポンと軽く弾ませる。
私のせいではない……私のせいではないけれど……足枷になっていたのは、事実。
私はその事が悔しくてたまらなかった。
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