「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃

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番外編 バストリー・アルマンの事情

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 テレーゼ嬢が綺麗だと話題にのぼる事はまず、ない。

 ハイウォール家の兄3人はそれぞれ整った顔立ちの美男子だが、彼女ははっきりいって地味である。

 サファイア色の瞳は美しいものの、左右の頬にそばかすが広がり、唇も薄く血色が悪い。更に愛想もなく必要最低限の事しか喋らない。

 容姿端麗がもてはやされる貴族社会で、テレーゼ嬢はお世辞にも美しいとは言い難かった。

 あまりにも普段と違うテレーゼ嬢の様子にどう対処をするのが最善かを考えあぐねていると、再度テレーゼ嬢はニコリと笑う。

「困りますわ…………殿下の事ですので」 
「殿下の事でご相談ですか? 僕は執務を担ってますが、恋愛ごとの話は……ちょっと……」

 殿下の色恋沙汰にはかかわりたくない。ややこしくなるに決まっている。

 僕が苦笑いを返すとテレーゼ嬢は可笑しそうにふふっと口元から笑みを零した。

「嫌ですわ。バストリー様が想像されているような甘い話ではございませんわよ」
「ああ、そうでしたか。では、どのような……?」

 恋愛ごと以外の殿下にかかわる話であるなら、側近としては内容を聞いておきたい。

 僕が話に乗ってきたとわかるやいなや、テレーゼ嬢は周りにちらりと視線を移し、人の有無を確かめる。そして、僕達以外誰もいないことを確認した後、小さく息を吐き、声を潜めた。

「わたくし、婚約破棄をしたいと思ってますの」

 あまりにも予想外の台詞に僕は驚き、一瞬言葉を失う。

 ロイ王子の婚約者。ゆくゆくはこの国の王妃。

 ハイウォール家は全てにおいて貴族の筆頭ではあるが、それでも王家との婚姻は家門にとって悪い話じゃないはず。

 何が不満だというのか。

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