鈍感令嬢に恋した時から俺の苦労は始まった

桜乃

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婚約者の優しさがずれてました

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 俺のバカーーーー
 なに、返事してるんだよっ!

 今まで俺達のやり取りを静観していた、ジェスターとミカエルがニヤニヤしているのを目の端がとらえる。
 あんなに怒っていた2人は楽しそうな顔をしていた。そう、悪魔が楽しく悪巧わるだくみをしている顔だ。

 2人はニコニコとクラリスに話しかけた。

「婚約破棄に協力するよ」
「もちろん、僕も」

 クラリスは、ぱぁぁと嬉しそうな顔をして、感謝を述べる。

「ありがとうございます。2人とも! アルベルト様、2人が協力してくれるなら心強いですわね!」

 心強い……ああ、2人は持てる力を全て使って、協力してくれるよ……

「いや……そんな、2人に迷惑かけるわけには……」

 予想外の展開に呆然としていた俺は、これではいかん、とささやかな反抗をしてみる。ささやかだけどな!

「いやいや、義姉さまのご婚約。義弟の僕としても無関係ではないからね」
「僕だって、大切な友人2人が意に染まない結婚をするなんて、心が痛む」
 
 俺に満面の笑みをむける、ジェスターとミカエル。その目には強い意志が読み取れる。

『お前の思い通りにはさせない』

 と。
 
 クラリスは、俺達のやり取りを微笑ましく眺めては「男の友情ねー」なんて、とんちんかんな事を嬉しそうにつぶやき、俺にとどめを刺す。

「アルベルト様、2人はいつでもアルベルト様の味方でいてくれますよ! これで安心ですわね!」
「お、おう……」

 口下手な俺は、なんて言っていいのやら、どうしたらいいのやら、事の成り行きについていけず、泣きそうである。
 王子だし、泣かないけど……泣くもんかぁ。
 
 そんな俺を横目で見ながら、ミカエルとジェスターが顔を見合わせて、ニヤリと笑う。

「徹底的にぶっ壊そう……そう、徹底的……にね」
 
 俺が再び頭を抱えたのは、言うまでもない。

 ああ、そうだ、クラリスは婚約が嫌で泣いちゃうような令嬢ではない。っていうか、俺が泣きそうだし。
 
 初動がまずかった。
 こんなことなら、ロマンチックなんか捨てて、公開告白でもなんでもすりゃあ良かった……
 しかし、公開告白しても、今の段階では、振られるのは目に見えている。それこそ、公開処刑じゃないか!
 ここでジ・エンドになるわけにはいかないんだ。
 
 俺は、一体、どうしたら良かったんだ?
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