鈍感令嬢に恋した時から俺の苦労は始まった

桜乃

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お出掛けすることになりました

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 俺達は必死に説明をして、なんとか誤解を解いた……と思いたい。クラリスはわかっているのかいないのか「はいはい」と言うだけで……わかってないな。

 なんでこういう事には敏感なんだよ。俺の気持ちには鈍感なくせに。

「お待たせしましたぁ。こちらがカップル限定ベリーベリーケーキでございま~す」

 お姉さんがハート形のケーキを2つ、ドドンッとテーブルに置いた。圧倒的な存在感のケーキに俺達3人は閉口する。クラリスは念願のケーキを目の前にして「わぁぁ」と感嘆の声を漏らし、目を輝かせていた。
 
 ハートの形の大きめのタルトにストロベリーにブルーベリー、ラズベリーがふんだんにのっていて、色鮮やか。生クリームもタップリ、ベリーには糸状に飴がかかっていてキラキラしている……甘……そう……だな……

「どうすんだよ。コレ、2つって」
「食べるしかないでしょ……食べるしか……」
「紅茶のおかわり必至だな」

 俺達がコソコソ話していると、フォークとナイフを手に持ち、食べる気満々のクラリスが不思議そうに首を傾げる。

 このケーキにひるまないのか……さすが……だな。

 カフェのお姉さんがニコニコ笑顔で説明を続ける。

「この限定ケーキを食べたカップルはぁ永遠に結ばれると巷で話題です~」
「食べます」

 俺達3人の声が被った。

 甘々だろうがなんだろうが、そのハートのケーキ食べてやろうじゃないかっ!

 誰がクラリスとケーキを食べるか、牽制しあっていると俺の目の端に挙動不審な人物が映る。
 帽子を目深にかぶり、路地を行ったり来たりして、テラス席にいる俺達をチラチラと見る2人組の怪しい男達。ケーキが美味しそうで見ているわけではないだろうな。

 人攫ひとさらいか……

 男達の出で立ちいでたち、雰囲気から察するに俺を狙ったやからではない……とすると、ターゲットはクラリス。
 稀な存在であるSSクラス魔道士は他国の闇取引でとんでもない高値で売れるからな。しかも女性。今のクラリスは制御装置を装着しているからBクラス魔道士程度の魔法しか使えないが、高い魔力をもつ子供を産ませるという目的で取引されているらしい。

 ふざけるなよっ!

 王族はいつ危険にさらされるかわからないため、俺は幼き頃より観察力、洞察力の訓練、防衛のノウハウを叩き込まれている。それはシトリン家のジェスターも同じで、あの2人組に気がついたらしい。そして鋭い観察眼を持っているミカエルも気がついていた。
 まぁ、俺達はこれでもAクラス魔道士だしな。
 気がついてないのは狙われている本人クラリスだけだ。

 このまま気がつかないでいて欲しい。

 これは3人の共通認識だ。俺達は目で合図を送り合う。

「ちょっと野暮用を思い出した。10分くらいで戻るから待っててくれ。ジェスター、行くぞ。ミカエル頼んだ」

 ミカエルは真剣な顔で頷き、俺とジェスターは店の外に出るため、席を立った。クラリスはきょとんとしながら、ミカエルに耳打ちする。

「ねぇ、やっぱりアルベルト様とジェスター様って恋人同士なの?」

 え? そっちの誤解? まてまて。違うぞ。

「かもね」

 ミカエル! そこは否定しろーーーー!
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