鈍感令嬢に恋した時から俺の苦労は始まった

桜乃

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お出掛けすることになりました

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 とりあえず、人攫ひとさらいをなんとかしないと落ち着かないので、外に出たが……ミカエルめ、覚えてろよ。

「アルベルト、あの路地、静かじゃないか?」
「たしかに……」

 さっきまでウロウロしていた人攫い達の姿が見えなくなった。路地からも人の気配がしない。

「気づかれたか?」
「いや、あの路地は袋小路だし、ずっと見ているけど、大通りには出てきてない」
「じゃあ、まだ、あの路地に……」

 そこに人攫いがいると思うと、ふつふつと怒りが沸いてくる。俺は手のひらに魔力を集中させた。
 
 クラリスをさらおうだなんて万死に値する。

 ジェスターも激怒しているのが空気を通して伝わってくる。こいつの右手はすでに火魔法をだす寸前で……えっ? 殺しちゃだめだぞ。たしかに、万死には値するけど。本当に万死させたらだめだ。まずいな……本気でやりそうだ。
 
 ジェスターはシトリン家次期当主として冷静沈着、冷酷無情との教育を受けているが、クラリスにかかわる事だけは感情がぶっとぶんだよな……
 もしかして、俺、ジェスターから人攫いを守る事に徹することになるのか? 憎き人攫いを俺は守るのか?
 えええ……頼む、暴走だけはしないでくれ。

 俺達は路地に近づき、そっと覗き込むが、暗くてよく見えない……魔力集中を確認して(俺はジェスターの暴走を止めるための心の準備をして)、指先から小さな光を出し、奥に投げ入れた。
 路地の奥を光が照らす……

 えっ?

 光に照らされ現れたのは、必要以上にボコボコにされた2人組の男が縄でぐるぐる巻に縛られている姿だった。

 どういうこと?

 俺達は緊張が一気に解け、縛られている男達に近寄る。大の大人の男が泣きながら、ブルブル震え、呪文のようにぶつぶつと小声でつぶやき続けている異様な光景だった。

「悪魔だ……悪魔……お許し下さい……申し訳ございません……もうしません……お助けください……悪魔……悪魔……」

 どうしたんだ? この数分で何が起こった?
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