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茶会 ―チャカイ―
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しおりを挟む「えーと……なにか、ありますか?」
クラリスの心配そうな声に躊躇し、僕とアルベルトはどうする?と目で会話した。そして、同時に言葉を発する。
「あの人は悪魔だっ」
動揺を隠せなかったのか、手に持っていたクッキーをポトリと落としてしまうクラリス。
アルベルトが両手で自分の体を抱くようにし、ブルブル震えた。
「今、思い出しても……実技なんて、無表情で谷から落とされたもんな」
あー、あれね。無言でポンッて突き落とすんだよな。何でもないことのようにポンッとね。
「川にも沈められたな、そう言えば」
僕も鍛錬を思い出し、ボソリと呟く。
死神の仕事を終えた直後に授業と称して、僕を川に沈めるって……間違いなく、悪魔の所業。
「氷漬けにもされそうになったし」
「炎魔法なんて、炭になる寸前で」
「なに? それ?」
「ザラ先生の授業だけど?」
「!?」
クラリスとミカエルは驚きの表情のまま固まってしまった。この2人は常識ある人物に(エリック・オーツは別の意味でぶっ飛んでたが)、常識ある授業を受けているのだから、驚愕するのも当然だろう。
こうやって改めて授業を列挙していくと、酷い内容ばかりだな……でも、魔法の実力はメキメキ上がったし、強くなりたい僕はザラの鍛錬を自ら受けにいくわけだけど。
思っていた以上に厳しい人物だったザラに対し、少し不安げなクラリスが気掛かりで、一緒に行こうか? と3人とも口にする。
「皆、忙しいし、大丈夫! 大丈夫! あ、そう言えば、この間……」
明るい笑顔を作り、クラリスは先日読んだ小説が良かったと話題を変えた。僕達3人は、それ以上は言えなくなってしまい、ザラの話はうやむやになってしまう。
恋愛小説の主人公がいかに素敵かを熱弁するクラリスに相槌を打ちつつも、僕は明日の事が引っ掛かっていた。
心細い思いをするであろうクラリスの傍にいてあげたい。
明日は魂を刈る王命が下っているが、無理をすれば何とかなる。が、クラリスも大丈夫だと言っているし、ザラも初対面の令嬢に滅多な事はしないだろうし…………でも、なんだか落ち着かない。
僕の本能が警鐘を鳴らしているような……この心のざわつきは何なんだろう。杞憂であればいいのだけど。
そんな事を考えながら、楽しげに話すクラリスに微笑みを向け、紅茶を一口コクンと飲んだ。
……そして、僕の心配とは全く違う、思わぬ展開になっていく。
僕は後悔した。
やはり、あの日クラリスの傍にいるべきだった、と。
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