グリム・リーパーは恋をする ~最初で最後の死神の恋~

桜乃

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御祝 ―おいわい― side クラリス

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「えっと……女性が……その……男にペンダントをつけてもらうのは……」

 冷静沈着なジェスター様までもが、言いづらそうにボソボソと口を動かすのを見て、私は、ああ……と小さく呟いた。

 そっかぁ。この世界では男性にペンダントを安易につけてもらっちゃダメなんだ。うーん、雪兄は雪兄なんだけどなぁ……前世ではよくつけてもらってたし。でも、この世界ではお兄ちゃんじゃないからなぁ。ダメかぁ。

「あの……」
「黙りなさい」

 私が断りかけた時、雪兄の厳しい声が鋭いやいばの如く男性陣に向かって飛んだ。その威圧感たるや……三人は黙ってしまい、雪兄は慣れた手つきで私にペンダントをつける。

「あ、ありがとうございます。本当にかわいいです」

 雪兄にお礼を言いつつ、横目でジェスター様を見ると微かに眉根を寄せていた。

 はしたないとか思われちゃったかな……いや、今更よね。子供の頃、騎士ごっこで負かしちゃったこともあるし……うん、今更……よね。

 自分が何を気にしているのか、いまいちわからずソワソワしていると、雪兄が唐突に意味不明な言葉を発する。

「虫よけです」

 …………虫よけ? えっ? いきなり……なに? 蚊取り線香とか?

 意味が理解できずにきょとんとしていると、雪兄は呆れたように説明を始めた。
 
「学園にたくさん虫がいます。なので、そのペンダントは虫よけです。特に三匹、たちの悪い虫がいますので、外してはいけませんよ。いいですか、絶対に外さないこと。わかりましたね。

 雪兄は私に念押しをし、三人をちろりと見ながら言い放つ。三人は苦虫を嚙み潰したような顔をした。

 詳しく説明されても、さっぱりわかんない。みんなのあの表情から察するに、学園にいる虫に心当たりがあるみたい。

「……そんなに学園に虫っていたかな? ねぇ、みんなは虫がいること知ってたんですか?」
「さぁ……何のことだろうね」

 それぞれが明後日あさっての方向を見ながらも、三人の声が重なった。

 えっ? みんな知ってるんじゃないの? 教えてくれないの? なんで? その虫って害虫なの? 3匹って数までわかってるのに、ほっといていいの?

 すっごく、虫、気になるじゃない!
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