1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

桜乃

文字の大きさ
125 / 298
王宮で……

8

しおりを挟む

 緊張でカラカラだった喉を潤すため、紅茶をコクコクと飲んでいたところに、突然、僕の視界に義父さまが現れ「宰相から貿易権の取得について話を聞いてきたよ」と笑いかける。

「ありがとうございます」と咄嗟に返事をするも、いきなりの事でドキリとし、紅茶でむせてしまう。

 そんな僕を見て、国王様は大笑いだ。

 もしかして……楽しんでます!?

「大丈夫かい? ミカエル」
「あ、は、はい……んっ……大丈夫……んんっ……です」

 心配してくれている義父さまに、むせながら返事をしつつ、僕は考える。

 義父さまが僕の気持ちを知っているのかどうか……

 正直、怖くて聞けない。
 もし僕の気持ちを知ったら?
 義父さまから見て、僕は義理とはいえ息子。
 息子が娘に恋焦がれてるなんて……親としてどう思うんだろう……

「ミカエル? 本当に大丈夫かい?」
「大丈夫、です」

 僕は平常心を取り戻すべく、落ち着け落ち着けと心の中でつぶやいた。

「そうかい。ならいいのだけれど」
「心配をおかけしてすみません」
「ところで、クローディス。シーメス男爵の事はどうするのだ」

 急に別の話題を口にした国王様を義父さまはジロリと睨みつけ、あんなに威厳のあった国王様は「まずいことを言ったか」とあさっての方向を眺め……

 えっ? シーメス男爵? 今、国王様、シーメス男爵って……

「義父さま……シーメス男爵がなにか……」

 縁を切ったとはいえ、僕がシーメス男爵と血縁関係……息子である事は消せない事実。

 シーメス家は社交界の中央から外れた家門。
 それ故に、魔道士を跡継ぎに……と強くこだわっていたのだと思うけど。

 でも実際は魔道士が当主といえど、そう簡単に社交界の中央にはくる事はできない。残念ながら貴族社会とはそういうところ。

 だから、余程の事がない限り、国王様が名を口にするような家門では……

「義父さま……シーメス男爵がどうかしたんですか?」

 義父さまの瞳をジッと見ながら、再度聞いてみる。
 諦めた様子の義父さまは、ふぅぅと息を吐き、説明を始めた。

「今度、きちんと場を設けて話すつもりだったんだが……シーメス男爵は詐欺罪で捕まったんだよ」

 ……詐欺? 捕まった……?

 そんな言葉が発せられるとは夢にも思わなかった僕は、国王様の御前であるにもかかわらず、狼狽うろたえてしまい、テーブルに乗っていた紅茶のカップを倒してしまう。

 そばにいたメイド達がこぼしてしまった紅茶を慌てて片付けてくれていたのは、認識できていたけれど、頭が回らず、ただただ義父さまの顔を見続けていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

処理中です...