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男爵が……
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しおりを挟む爵位……返上!?
義父さまは執事のディールにもう一杯紅茶を頼み、ふぅと息を吐く。
「爵位を返上すれば、示談金を半分にしても良い。との条件だ」
「なる……ほど」
爵位返上……貴族にとって最も屈辱的な条件だな。
「シーメス男爵はそれに同意したと……」
「いや、流石にね……結局、話は平行線を辿ってしまい、ベリル伯爵が仲裁に入った」
ああ、シトリン家が介入したのか……
法治の看守と呼ばれているシトリン家の右腕ベリル伯爵が間に入ると当事者は一切意見を主張できなくなる。
揉め事の際のシトリン家の決断は絶対。
子爵、男爵の争いにシトリン家が出てくるなんて、余程、目に余っていたんだろうな。
「それで、どのように決着がついたのですか?」
「シーメス家の後継者であるファンレー・シーメス……彼を当主にし、シーメス男爵は隠居する事になった」
義父さまの口から懐かしい名前が発せられ、僕は驚いてしまう。
僕の異母弟が、12歳で当主になる? それ、大丈夫なの?
「ドラッキド子爵は相当腹に据えかねていたんだろう。まさか、爵位返上を条件に出すとはね。宥めるのに苦労したよ」
義父さまはククッと苦笑しながら、報告書を机に置いた。
「その話はいつ実行されるのですか?」
「明日だよ。爵位継承は受理された。ファンレー君が明日からシーメス男爵だ」
「そう……ですか……」
僕は紅茶を見つめながら、子供の頃の切ない気持ちを思い出すのと同時に、一度も話したこともない異母弟の事を考えていた。
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