1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

桜乃

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義父さまが……

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「アルベルト王子、クラリスの事を大切にしてくださいよ。大事な娘なんですからっ! なにかあったら、王子といえど許しません。アルフォント家は全力で叩き潰しますからね!!」

 義父さまは僕の手を離し、言葉を失っているアルベルトの両手をガシッと握り、物騒な事を言い始めた。
 
 アルベルトは状況が全く飲み込めないようで、義姉さまの方を向いて、口をパクパクさせ、説明を求める。

 お祝いに来た途端、叩き潰すって泣きながら言われたら、わけわからんってなるよね、やっぱり……って、サラリと王家反逆を口にしてるよね!?

 義姉さまは眉毛を下げ「困ったな……」とつぶやき、なんて説明しようか考えあぐねていた。

「えっと……ですね……強いて言うならですね……うーんと……花嫁の父を勝手に妄想して、感傷に浸っているみたいな?」
「花嫁ーーー!?」
「ダメーーーー!」

 アルベルトとジェスターは花嫁という単語に反応し、僕は声高に否定をし、義父さまは更に号泣し、収拾がつかなくなってくる。

 冗談でも、花嫁なんて単語、聞きたくないんだけど!

「もう! お父様! 花嫁の父になりきりすぎです。ごめんなさい、アルベルト様、花嫁なんて……」

 聞きたくない単語を事もなげに2回も繰り返し、僕のハートにブスブスと剣を刺した義姉さまは、義父さまをたしなめながらアルベルトから引っ剥がし、申し訳無さそうな顔をした。

 自分をアルベルトの花嫁と言った事を謝罪する義姉さま……叩き潰すは謝罪しなくていいの?

 そんな事をチラリと考えていると、隣でアルベルトが「俺の……花嫁……か」とボソリとつぶやき、何を想像してるのかニンマリしている。

 アルベルトの浮かれている様子が僕の心にメラッと火をつけた。

 やっぱり叩き潰すっ!!

「花嫁……いや、全然、構わないが……全然……まったく……本当に……」

 照れているアルベルトをジトッと睨みつけ、僕とジェスターは同時に声を上げた。

「ダメ、絶対」

 とりあえず、なんとかその場は収め、やっと落ち着いた義父さまは、パーティーの準備があるからと、部屋を出ていく。

 まだ、パーティーも始まってないのに、なんだろ……この疲労感は……

 普段あんなにも冷静で、なんでもスマートにこなす義父さまが、こんなに涙もろいとは思わなかったよ……
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