289 / 298
番外編2 君と僕の出会いの物語
6
しおりを挟む
ドクンと心臓が大きく動いた。
なんの前置きもなく言われた父さまの言葉が僕の胸を突き刺し、言葉を失う。
父さまは何を言っているの?
「我が家には跡継ぎがいるし、お前も公爵様にお世話になった方が幸せだろう。もう手続きは終わっているから、さっさと荷物をまとめなさい」
どうしよう……上手く、息が、できない。
父さまは僕がいらないの……?
公爵様にひたすら笑いかけている父さまに何も言えず、僕はうつむいた。手で拳を作り、ぎゅっと握りしめる。
泣いちゃだめだ。泣いても誰も気にかけてくれない。だって……
僕はいらない子、なんだから。
「この件はミカエル君も納得済みだと聞いてましたが?」
「父親の私が納得してますので、大丈夫ですよ。役立たずのグズな息子ですが下働きぐらいはできるでしょう。こき使ってやって下さい。魔力もない厄介者、引き取っていただけるだけでもありがたいもの。ああ、でも、息子を差し上げるのですから、我が家にも多少なりとも援助を……」
公爵様の訝しむ言葉にハキハキ答える父さま声が、僕の頭の中でガンガン反響する。
初めて父さまが僕を息子と言った……でも……役立たずでグズの厄介者の息子。差し上げるから援助を……?
僕は……売られたの?
泣いたらだめだ。余計、無能な奴だと思われる。公爵家でも役立たずだと笑われてしまう。
笑え。笑え。笑え。笑え。笑え。
にっこり笑って挨拶するんだ。
『よろしくお願いします』
と。
歯を食いしばりながら、我慢していた涙が僕の目から溢れてしまい、ひと粒ポトリと床に落ちた瞬間だった。
「失礼な発言は止めて!!」
女の子の凄まじい大声に驚いて顔を上げると、フルフル全身を震わせた小さな令嬢が悔しそうに唇を噛んでいた。
あの令嬢が怒鳴った? えっ? 公爵令嬢が?
びっくりしすぎて、僕の涙は引っ込んでしまう。令嬢は更に驚愕の行動にでた。
僕の腕をガシッと掴み、父さまに向かってイィーーと思いっきり口を横に広げ、顔をプイッと背ける。
「行きましょ!」
彼女は僕の腕を引っ張り、この部屋から連れ出した。
なんの前置きもなく言われた父さまの言葉が僕の胸を突き刺し、言葉を失う。
父さまは何を言っているの?
「我が家には跡継ぎがいるし、お前も公爵様にお世話になった方が幸せだろう。もう手続きは終わっているから、さっさと荷物をまとめなさい」
どうしよう……上手く、息が、できない。
父さまは僕がいらないの……?
公爵様にひたすら笑いかけている父さまに何も言えず、僕はうつむいた。手で拳を作り、ぎゅっと握りしめる。
泣いちゃだめだ。泣いても誰も気にかけてくれない。だって……
僕はいらない子、なんだから。
「この件はミカエル君も納得済みだと聞いてましたが?」
「父親の私が納得してますので、大丈夫ですよ。役立たずのグズな息子ですが下働きぐらいはできるでしょう。こき使ってやって下さい。魔力もない厄介者、引き取っていただけるだけでもありがたいもの。ああ、でも、息子を差し上げるのですから、我が家にも多少なりとも援助を……」
公爵様の訝しむ言葉にハキハキ答える父さま声が、僕の頭の中でガンガン反響する。
初めて父さまが僕を息子と言った……でも……役立たずでグズの厄介者の息子。差し上げるから援助を……?
僕は……売られたの?
泣いたらだめだ。余計、無能な奴だと思われる。公爵家でも役立たずだと笑われてしまう。
笑え。笑え。笑え。笑え。笑え。
にっこり笑って挨拶するんだ。
『よろしくお願いします』
と。
歯を食いしばりながら、我慢していた涙が僕の目から溢れてしまい、ひと粒ポトリと床に落ちた瞬間だった。
「失礼な発言は止めて!!」
女の子の凄まじい大声に驚いて顔を上げると、フルフル全身を震わせた小さな令嬢が悔しそうに唇を噛んでいた。
あの令嬢が怒鳴った? えっ? 公爵令嬢が?
びっくりしすぎて、僕の涙は引っ込んでしまう。令嬢は更に驚愕の行動にでた。
僕の腕をガシッと掴み、父さまに向かってイィーーと思いっきり口を横に広げ、顔をプイッと背ける。
「行きましょ!」
彼女は僕の腕を引っ張り、この部屋から連れ出した。
1
あなたにおすすめの小説
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる