1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

桜乃

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番外編2 君と僕の出会いの物語

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 令嬢は僕の腕を掴んだまま黙ってズンズン進み、屋敷を出た。アルフォント家の馬車に乗り込み、席に座った途端、令嬢は…………泣き始めたのだ。

 えっ!? なんで? なんで君が泣くの?
 どうして君が泣いているの!?

「あんなの、悔しい……」

 声を上げて、わんわん泣きじゃくっている女の子の隣で困惑してしまう。

 女の子を慰めるにはどうしたらいいの!?

 目の前で泣かれるなんて経験した事ない僕は、気の利いた言葉も行動もとれず、ただ女の子が泣き止むのをオロオロしながら待つことしかできなかった。

 泣いている彼女をそっと見る。

 それどころじゃないと思いつつ、コバルトブルーの瞳からポロポロ流れ落ちる僕の為の涙が光るたびに、嬉しいと、美しいと……思ってしまった。

 しばらくして落ち着いたのか、指で涙を拭いながら令嬢は今の状況を説明し始めた。

 令嬢はクラリスという名前であること。
 クラリスの母上の妹が僕の母であること。
 なので僕達は従姉弟いとこであること。
 クラリスの母上は妹(僕の母)の忘れ形見である僕の現状を知り、アルフォント家に迎えることに決めたこと。

「あまりに酷すぎて、黙っていられなかったの。なんてこと言うんだー!! って、つい怒って出てきちゃった」

 やっちゃったと小さくつぶやくと、ペロッとかわいく舌を出す。

 いや……舌を出す令嬢って……

「お父さまもお母さまも絶対に怒っているわ。あとは大人同士で話し合いしてると思うの。安心してね」

 母が亡くなって以来、僕に話しかけてくれた人なんていないのに……クラリスは屈託なく僕に話しかけてくれた。それが、なんだか不思議な気持ちで……この気持ちは何だろう。

「私、勝手に連れてきちゃったけど……荷物、大丈夫……?」

 今、気がついたのか心配そうな顔でおずおずと聞いてきたが、荷物なんて何もない。母の形見は売られてしまったし。

「持っていくものなんて、なにもありません。あの……僕はクラリス様付きの使用人になるんですか?」

 この子に仕えるならいい。使用人として仕えるのなら、この子に仕えたい。

「まぁ! 違うわよ」

 心底驚きましたと目をまん丸くしたクラリスの顔に僕は肩を落とし、がっかりする。

 そっか……使用人になるなら、この子の傍にいたかった。やっぱり、僕には分不相応なのかな……
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